鉄血×AC カルタ・イシューを王に据える話   作:蒼天伍号

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書いた後に「アレ、これ三日月主人公になってね?」と思ってトール視点に書き直しました。
なのでファンタズマ・アイン戦はあっさりです。



緑の光

実のところ、『私』も◾︎◾︎◾︎を使うつもりはなかったのだ。

 

 

 

アレの危険性は私も十分に理解しているし、まして正気を失った輩に預けるなど言語道断。正しい研究には正しい規律を設けるのが常識である。

 

……とはいうものの、『アレを完成させるだけの資金源』を目にしてしまえば、『興奮』を抑えきれなくなるのも仕方ないこと。

 

なので、とりあえず積んでみることにしたのが事実。

 

所詮はデータ収集のための実験機である。

本物の『ファンタズマ』ではないので、壊れようが何しようが一向に構わないのである。

 

ただ、エイハブ・リアクターとの相性は案の定よろしくない。

 

互いに特殊粒子を応用した動力炉ゆえに相互干渉によってイマイチ出が悪くなってしまうのだ。加えて『内部側』の動力源が攻撃的過ぎる。

 

擬似とはいえリアクターを連動させるのも一苦労だった。

後になって、ガンダムに搭載されているツインリアクターの偉大さが身に染みた。

 

まあ、出来ないなら最初からしていない。結果、成功したからあの試作機を実戦投入したのだ。

 

 

ならば、現地に赴いて直接その活躍を見物。もといデータ収集を行うのが正解というもの。

 

 

 

 

 

 

「うーん……見た感じ、スポンサーの方はすでにヤラレてしまったみたいですね」

 

双眼鏡で戦場を眺めていると、大破したキマリスが転がっているのを発見してしまった。とても残念である。

セブンスターズの一角を担うボードウィンの資産は、予想以上に膨大であり、今後も定期的に資金援助をお願いしようと思っていたのだが。

 

「実に残念です。現当主様は『お綺麗』なお方なので援助は期待できませんし、妹君はまだ幼過ぎる」

 

あるいは、その『妹』も面白い実験材料になり得るかも。

セブンスターズのAMS適性は『平均以上』というデータもありますし、今後の計画に一考の余地がありますね。

 

「うんうん、楽しみですね。この戦いはファルクの勝利に終わるのでしょうが、この一件を境にして各経済圏も大きく動き出す。

大戦国時代の開幕ですよ」

 

そうなれば、主要企業たちも嬉々として『兵器の公表』と『実用』をすることでしょう。

『カラード』に入っていない我が社では、情報の伝達に遅れが見られますが、戦乱となればカラードとてまともに機能するとは思えない。

ということは、治安維持機構たるセブンスターズないしギャラルホルンなど崩壊以外に道はありますまい。

 

 

ファルクが何を考えているのかは分かりませんが、結果を見れば我々にとっても望んだモノではありますね。

 

いつの世も、科学の発展に戦争はつきもの。

その中でこそ、私の求める『緑の光』はいっそう輝きを増すことでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アァァァァァァァァ!!!!」

 

『ぐっ、なんなのだ、一体!?』

 

市街地で激戦を繰り広げるバルバトスは、次第にその反応速度を上げていた。

それも緩慢なものではなく、徐々に、しかし確実に、みるみるうちに上がっていく。

遂には、ファンタズマを逆に押すまでの動きを見せていた。

 

『よそ見し過ぎたな』

 

『っ、ちぃ!』

 

ストレイドによる援護射撃も的確だった。

獣のような動きを見せるバルバトスの邪魔にならないよう、絶妙なタイミングでアインの動きを邪魔して来る。

この連携によって、ファンタズマの機体各所には凹みや傷が多く生まれ、バチバチとショートした回路があちこちに発生していた。

 

「もっと……もっとだ、バルバトス」

 

三日月の声に応えるようにバルバトスがカメラアイを赤く染めて、さらに反応速度を向上させる。

 

『ぎっ!?』

 

マニピュレーターを振るうファンタズマの上空へと飛び上がり、メイスで脳天を一撃。

揺さぶられたアインの意識が歪む。

 

だが、そのアインの狂気は怒りによってさらに増幅される。

 

『許されない……クランク二尉を貶めた貴様らなんぞに、真の正義を背負った私が、負けるなど、許されることではない!』

 

思考をファンタズマへと委ねる。

すでに機体の一部であるアインがそう判断すれば、自然と機体はその意を汲み取り、反映させる。

 

「っ!?」

 

再びバルバトスを超える反応速度を獲得したファンタズマは、猛攻を仕掛けるバルバトスのメイスをドリルによって弾き返す。

そして生じた隙を突いて、片手のみを突き出した。

 

『危ねぇ!?』

 

アインが『何をするつもりか』理解したモージは咄嗟にバルバトスの目の前に割って入る。

 

その右手に、マニピュレーターが突き刺さる。

と、同時に側面に装備された『パイルバンカー』が打ち出された。

 

『っ!!』

 

炸裂と爆音。閃光と、衝撃によって吹き飛ばされたバルバトスが次に捉えたのは、右腕を肩部から失ったストレイドであった。

 

『がっ……!』

 

反射的に右手でかばったことでコクピットは無事だったものの、その衝撃は十分過ぎるほどに伝わっており、パイロット自身の身体に浅くない傷を与えていた。

 

『罪深き子供、お前の罪が消えることはない。クランク二尉……私は必ず奴を『裁いて』みせます!』

 

パイロットが昏睡したことで地面に倒れたストレイドに目もくれず、アインはバルバトスだけを見つめていた。

 

『もう貴様は救えない。その穢れは注ぐことができず、地獄の底にて永遠の責め苦を味わうことになるだろう。

貴様と、あの女、お前の仲間たちも全て!』

 

「っ!!」

 

『仲間』という言葉に反応して、三日月の雰囲気がガラリと変わった。

いつもの冷静で冷酷な様子ではなく、激しい感情がその表情に浮かび上がっている。

 

 

「穢れ? 裁く?

それを決めるのはお前じゃないだろ。

 

おい、バルバトス。いいからよこせ、お前の全部」

 

 

瞬間、バルバトスの装甲がパージされた。

 

『? ようやく償う気になったのか? だが、たとえーー』

 

おかしな行動に出たバルバトスを、投降の合図と勘違いしたアインは不遜な態度でくどくどと説教を始めた。

だが、アインが次に気付いた時にはそこにバルバトスの姿はなく、ファンタズマの下部にて体制を低くし、太刀を構えていた。

 

『のわっ!?』

 

死角からの鋭い斬撃は、ファンタズマの装甲を斬り裂いていた。

慌てて下方に視線を向けたアインに、すかさず太刀を見舞う。

 

『がっ、くそ、なんだ、この動き!!』

 

「まだだ、もっと、もっとよこせバルバトス!!」

 

再び攻勢に転じたバルバトスの動きはもはやMSの範疇に無かった。

本来、パイロットの脳を保護するために掛けられているリミッターを外しているのだ。機体と一体化したアインと、擬似的に同じ領域に達した彼を止めることは容易ではない。

当然、その負荷も凄まじく、三日月の右目と鼻からは絶えず鮮血が流れ出し、滝のようになっていた。

 

ファンタズマを圧倒するバルバトスだが、その度に、動くたびに三日月の脳組織は膨大な情報の波によって破壊されて行く。

 

たとえ、この戦いに勝ったとしても、もはや彼が『人並みに動ける』ことはない。

 

だが、三日月・オーガスにとってそんなことは『どうでもいい』。

 

仲間を、クーデリアの決意を貶され、その命を奪わんとするアインを屠ることが最優先であり、彼自身が自らの存在意義と定める事項であった。

 

 

そのとき、バルバトスへとLCSによる通信が届く。

 

『呑まれるな、三日月・オーガス!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AMS搭載グレイズの度重なる妨害を脱し、ようやく市街に辿り着いてみれば、戦いは佳境に差し掛かっていた。

 

部下からの報告では、すでに蒔苗は議事堂に辿り着き、クーデリアによる演説が始まっている。

 

当然といえば当然だが、『目の前の惨状』を見ると胃がキリキリと痛み出した。

 

 

崩れた建物はもはや元の形状を忘却するほどに粉砕され、舗装された道路は天変地異のごとく破壊されていた。

つまり、彼らの戦いを中心として街の一角が更地になっている。

 

どう考えてもやり過ぎである。

悪い予感が当たってしまった。

しかも、現在進行形で街は崩壊しており、3分クッ○ングのごときお手軽さでエドモントンに巨大な空き地が生まれつつあった。

 

頼みの綱というか、「あわよくばバルバトスと協力して速攻でアインを片付けてくれないか」と淡い希望を向けていたモージは、機体を大破させた状態で横たわっている。

この際、生死は問わないから八つ当たりさせてほしい。

 

 

 

とはいえ、このまま眺めているわけにもいかないのだろう。

とりあえず、阿頼耶識のリミッターを解除した三日月に声をかけておいた。

『システムに呑まれるな、飼い馴らせ』と。

別に深い意味はない。

 

ただ、AMSに中身を崩された身としては、システムに侵食される若者を放っておけなかった。

それだけのことだ。

 

 

 

 

俺の言葉が届いたのか定かではないが、バルバトスの動きに精密さが戻っているように見えた。

装甲を捨て、機動性を特化させたバルバトスは太刀を手にファンタズマ擬きを圧倒している。が、先ほどまでの獣臭さはなく、的確に冷静に敵の隙を突いて効率的な戦闘を展開していた。

 

「あの様子なら心配はあるまい」

 

そう考えた俺は、そそくさとモージのストレイドを回収し肩に担いで安全圏まで運ぶ。

 

まったく、上官に運ばせるなど。

 

 

 

 

 

適当に離れた場所にストレイドを投げ捨てた俺は再び阿頼耶識同士の戦いの場に赴いていた。

だが、どうも俺の入る隙がないというか必要がないというか。

 

ただ、こちらが優勢だった先ほどと異なり戦況は互角に戻ってしまっていた。互いに機体もボロボロな癖にその激しさは増す一方で、比例して街の壊れる速度も範囲も大きくなる。

 

これで俺まで加われば、エドモントンが半壊ないし再建不可な領域になってしまう。

大人しく観戦に徹するべきだろう。

 

 

と思っていたら、団長が駆けつけて三日月に発破をかけていた。

確か、この後にアインは串刺しにされる流れだったと記憶する。

 

呆気ない展開だが、これ以上やられても街が保たない。

俺としても早期決着は望むところだ。

 

 

 

 

 

 

『クランク二尉、ガエリオ特務三佐! 私は私の正しーー』

 

台詞の最中にバルバトスの太刀が、ファンタズマの頭部を貫いた。応じてアインの慟哭もピタリと止まる。

 

「うるさいな……オルガの声が聞こえないだろ」

 

ゆっくりと太刀を引き抜く。

しかし三日月はまだ警戒を解いていなかった。

 

刃を抜かれたファンタズマはブルブルと痙攣しその場から動かない。

 

 

その奇妙な姿と、太刀を突き入れた時に『何かに弾かれた』ような感覚から三日月はまだファンタズマが『生きている』という推測を立てていた。

 

 

 

果たしてその推測は正しく。

突如、空中へと飛び上がったファンタズマはめちゃくちゃに空を飛び回った後、空中分解する。

 

バラバラと降り注ぐ機体のパーツの中、『緑の光』を放つナニカがゆっくりと地上に降り立つ。

 

水色を基調としたカラーリング、スポーツカーを思わせる胴体に細い手足が付いた姿は確かにMSに見える。

その丸みしかない頭部も人間に近い形をしている。

 

だが、三日月はその機体から溢れる『緑の光』に悪寒を感じていた。

 

 

 

同じくその光景を見ていたトールは、彼以上に驚愕を露わにする。

 

 

「ばかな、こんな街中で……()()()だと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コジマは……マズイ。

 

 

何がマズイって、アレ、存在するだけで草も木も人も何もかもを破壊してしまうからだ。おまけに、コジマは一定量を超えないと霧散してしまい満足に扱うことができない。そのくせ、一度滞留するといつまでも地域を汚染する害しかない厄介な粒子なのだ。

あの様子を見る限り、まず間違いなくコジマジェネレーターが稼働している。

 

となれば、今のヤツは絶えずコジマ汚染を周囲に垂れ流しているということになる。

 

「どこのバカだ!!」

 

愚痴をこぼしながら機体を急発進させる。

狙いは当然、あの『コジマ兵器』。

ミョルニルを構えて『企業戦士』へと叩きつける。

 

「っ! ご丁寧にPA(プライマルアーマー)まで装備しているか!」

 

機体の手前の空間で何かに押し留められるミョルニル。よく見ればその周囲、企業戦士の周囲だけが空間が歪んだような光景に変わっている。

なら、ますますコジマ汚染がヤバい。

 

俺はアーサソールのブースターを最大出力に。またミョルニルのブースターも最大出力に変更。

その推力によって、PAごと企業戦士を押しながら飛んで行く。

 

「くっ!」

 

ガリガリと舗装や建物を削り、或いは倒壊させながら、郊外へとヤツを運んで行く。

 

 

推進剤の残量が四割を切ったところで、ようやく都市部から引き離すことに成功した。

同時に、仁王立ちだった企業戦士も動き出し、右手に握られた『コジマライフル』をかちゃりとこちらに向ける。

 

「っ!!」

 

慌てて機体を横に移動させその射撃から逃れる。

独特の発射音と共に吐き出された緑の発光物体は、後方へと飛んでいき、やがて丘にぶつかって爆発した。

あたりに散らばる緑の光、それらは全て高濃度に圧縮されたコジマ粒子であり、あの丘がこれから途方も無い年月をかけなければ人の近寄れる場所に戻らないことを表している。

 

『システム、戦闘モードに移行。思考パターン、『ファンタズマ・アイン』から『LINSTANT(ランスタン)』に移行。

 

コジマ出力、正常。

ブースト出力、正常。

機体重量……イエロー』

 

丸みのある頭部から、またアインの声が聞こえて来る。しかし先ほどまでの感情的な様子は残っておらず、淡々と、無機質な声だけが発せられている。

中は一体、どういう状況になっているのか。

 

というか機体重量がオーバーしているのは見れば分かる。

まさかのアクアビットマンにコジマライフル二丁とコジマブレード。背中にはキノコと肩のアンテナも載せている。

……重量以前にENがイエロー通り越してレッドなんじゃないか?

 

 

『ツインジェネレーター、起動』

 

と思っていたら、その呟きと共にヤツから溢れるコジマが増大した。……まさかとは思うが、コジマタンクでツインシステムとかやってるんじゃないだろうな?

 

とか言ってるうちに『ふつくしい光』が溢れんばかりに高まり、いよいよもってコジマ汚染が無視できない領域となる。

ちなみに、この地域一帯はもう捨てる覚悟を決めている。

 

なので、これ以上ひどくなる前に速攻でこいつを片付ける。

 

 

アーサソールを急発進、と同時にサイドブースターで奴の側面へと回り込む。正面から向かえば確実にあの素敵なコジマ兵装によって緑色にされてしまうからだ。

 

が。

 

「ぬぅ!?」

 

こちらがハンマーを振るう前に、ヤツは片方のコジマライフルをこちらに向けて来た。凄まじい反応速度だ。

 

すぐに機体の上半身を後ろに倒す。仰け反るような姿勢でなんとかコジマの塊を躱す。カメラアイに映る視界には、緑の発光物体が機体スレスレで後方に飛んで行くのが見える。

いや、この際多少のコジマ汚染は覚悟の上だ。

 

俺はイナバウアーの体制から背部ブースターで無理やり機体を起こす。と共に、ハンマーを振り下ろした。

 

そして、やはりヤツの寸前で止められる。どうやらミョルニルのフルスイングすら防ぐ出力らしい。厄介なことだ。

 

 

……PA、プライマルアーマーとは先に語った有害な粒子を機体周囲に円状に滞留させ、物理的干渉を拒む機能である。

本来は小威力の火器や、その他の干渉を『緩和』する程度の機能なのだが。

放出するコジマ粒子の量を増やせば理論上、鉄壁の防御を敷くことも不可能ではない。

 

つまり、今のヤツは環境被害を度外視した膨大な量のコジマ粒子を放出して鉄壁のバリアを張っているのだ。

 

無論、対抗策がないわけではない。

また、『レーザー兵器』ならばバリアを貫通することも可能である。

 

が、面倒なことにこの世界ではナノラミネートアーマーの所為で、ビーム兵器が軒並み衰退し、その技術すらも失われて久しい。

他にも貫通力のある物理兵器でバリアを突破する方法もあるにはあるのだが。

 

いかんせん、『どの程度の火力ならば突破できるのか』皆目見当もつかない。

 

 

 

となれば、あと残るのは『ひたすらに猛攻を加えてバリアを削りきる』しかない。

だが、こちらも推進剤の残量を考えれば現実的でない。

 

 

さて、どうしたものか。

 

或いはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、無事に演説を終え、蒔苗が代表の座に再び当選したことで鉄華団たちの初仕事はようやく終わりを告げた。

 

団員たち、特にMSパイロットたちはファンタズマの襲撃によって壊滅状態に陥ったものの。奇跡的に全員が一命を取り留めていた。

そしてその援護に回っていた独立警備隊のMS部隊も、敵が降伏信号を上げたことでようやく一息をつくことができたのだった。

 

 

クーデリアの演説、蒔苗の再当選を確認し、ようやく議事堂の外へと解放されたアトラたち。

しかし、街の様子が、オルガたちの様子がおかしいことに気付いた。

そして、なにやら爆発音と振動が続いていることに気付く。

 

それらを追って目を向けた先、街の外、遠方に視線を向ける。

そこには絶え間なく発生する緑の光とーー

 

「……かみなり?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

『別世界のネクスト』のように凄まじい変態機動を繰り返すヤツに、移動後の僅かな隙をついてミョルニルを当てる。当然、PAにとめられる。

そして、放電。

 

『っ!!!!』

 

アーサソールの主兵装ミョルニルの真骨頂、専用バッテリーから送られる電力を打撃部から放出する機能である。

俺に残された手はこれしかなかった。

 

ただ。

 

「ぐっ!!」

 

やはり当て続けるというのは難しい。

なにせ相手は()()()()である。

コジマジェネレーター、それも二機を並列稼働させるという頭のおかしい機能で動いている化け物。

幸い、重装備なせいで本来の機動性を殺してしまっているらしく、音速を超えるような速さはない。

 

とはいえ、コジマ粒子を応用した『クイックブースト』の出力は素で高い。発動されれば、一瞬で視界から消えてしまうほどだ。

エイハブ・リアクター単機で稼働するアーサソールでは、圧倒的不利なのは明らかだ。

 

「だとしても……ここで計画を崩されるわけにはいかない」

 

()()()()()()()()コジマの露呈は痛手だが、別に計画を見直すほどのトラブルではない。誤差の範囲内である。

 

そんなことを考えている間にも、クイックブーストを連発しながらコジマライフルを撃ちまくってくる。

さらに、僅かでも隙を見せれば接近しコジマブレードを当てようともしてくる。

なかなか優秀なAIじゃないか。

 

「いや、これも『アイン』の脳を利用しているのか?」

 

わからないが、どうでもいい。

 

今はなんとしてもミョルニルをぶち当ててPAを剥がさねばならない。ここまで何度か当てているうちに既にPAの表面が揺らぎ始めていた。

 

もう少しだ。

 

 

 

そして、またクイックブーストを行なった後を狙ってミョルニルを当て、間髪入れずに電撃を見舞う。

その繰り返し。

 

だが、相手も案山子ではない。

素でこちらの機動性を優に超えているのだ。

なんとか致命傷は避けているが、コジマライフルの『弾』は掠りまくっている。

また、一撃だけだがコジマブレードも当たってしまった。

着弾部分である左腕は弾け飛び、咄嗟に距離をとったものの胴体部分にもコジマがこびりついてしまった。

 

「流石に、マズイか……」

 

つぅ、と垂れて来た血涙を認識して少し焦る。

『対コジマ加工』も施していない機体で、ヤツと長時間やり合うのは危険だ。

推進剤も残り僅か。

 

対して、ヤツも撃ちまくった所為で弾切れを起こしたらしいライフルを投げ捨てていた。

 

 

 

 

俺は意を決してヤツから距離をとった。

そして、ミョルニルを肩に担ぎ、バッテリーの出力を最大に引き上げた。

 

バチバチと帯電するミョルニルを構えながら、クイックブーストでドヒャドヒャ言いながら接近して来るヤツをメインカメラに捉える。

動きを止めた俺に対して警戒しているのか、ジグザグに移動を繰り返しながらこちらに接近して来る。当然、その手にあるコジマブレードを振るうつもりだろう。

 

 

やがて、俺の目の前まで接近しその手を突き出そうとした一瞬ーー

 

 

「喰らえ……!」

 

ミョルニルのブースターを起動。加えて重力によって加速したハンマーをヤツ目掛けて全力で振り下ろす。

 

ちょうど、ヤツがコジマブレードを突き出す瞬間だったらしく。ブレードの先端とハンマーの打撃部が激突する。

普通ならゴツい見た目のこちらが優勢なのだろうが、コジマジェネレーターによる出力ゆえか勢いは拮抗していた。

 

が、そんなのは分かりきっていた。

 

衝突によるヤツが完全に動きを止めたこの瞬間に、俺は溜まりに溜まった電撃を全て解放した。

 

 

『っ!?』

 

一瞬にして眩い閃光が炸裂し、凄まじい衝撃が身体を襲った。

メインカメラは直後に破損し、視界を失った機体の中で何が起こったのかを理解する。

 

ヤツが放ったのはコジマブレードだ。

対象に押し当てた状態でコジマ粒子による爆発を放つ武装。

 

ということは。

俺が電撃を放った直後にコジマ爆発が起こったということなのだろう。この意識を刈り取るような衝撃も納得である。

 

 

直後、ヤツの生死を確認する間も無く俺の意識は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「アレ、コジマ粒子これ以上ばら撒いたらエドモントン死ぬんじゃね?」と思ってネクスト戦もあっさりです。
オチは次回に……


【おまけ】


【LINSTANT】
〔スペック〕

カテゴリ:次世代型AC
全高:約16.5m
本体重量:約21t
動力:コジマ・ジェネレーター(二基並列稼働)
装甲材質:?
開発組織:アクアビット社
所属:アクアビット社
主なパイロット:アイン・ユニット

〔備考〕
ぼくのかんがえたコジマづくしマン。
とにかくコジマがいっぱい。
コジマライフルの装弾数は少ない。
コジマブレードを装備しながらライフルも持っている。
KP出力999。

整波装置付けたらENやばいことに気がついてツインコジマとかいう脳味噌緑色な発想に至った。
反省も後悔もしていない。



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