鉄血×AC カルタ・イシューを王に据える話   作:蒼天伍号

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AC6まだかなー
最悪、過去作リメイクでもいい……いややっぱダメだわ、嫌な予感しかしない(熱管理シミュレーターを見ながら


ファーストミッション・ブリーフィング

ミッションを連絡します。

 

 

火星宙域ポイント-03に展開する『リリアナ』を排除してください。

 

ご存知の通り、『エドモントンの雷撃』以後ギャラルホルンの権威は失墜し、各経済圏での混乱、ひいては圏外圏の無法化が加速度的に増加しています。

また、ギャラルホルン火星支部の壊滅によって火星周辺宙域の治安は悪化の一途を辿っています。そのことは貴方方のほうがよくご存知でしょう。

 

よって、火星と地球を繋ぐ航路上で無法を為す海賊の排除を依頼したいのです。

現在、圏外圏・地球圏問わず猛威を振るう『リリアナ本隊』はアリアンロッド艦隊と長期に渡り交戦中です。頭目『オールドキング』の機体もその戦場に姿を現していると聞きます。心配はいりません。

 

そのため、このタイミングでの依頼を要請した次第となります。

 

 

失礼ながら、これは『あなた方』の試金石でもあります。

確実なミッション遂行を期待します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ってのが『あちらさん』から送られてきたデータになる。なんかブリーフィングだとか書いてあった気がするが、要するに依頼文ってわけだな」

 

ブリーフィングもクソもない。単なる『命令』だ。

そう思いつつも、オルガは集めた幹部たちに視線を送る。

 

一同は先ほどまでモニターに流れていた『企業連からの依頼』を思い出しながら難しい顔で沈黙している。

 

「なあ、リリアナってのは『例の裏航路』でタービンズと一緒に戦った連中だよな?」

 

黙り込む一同を見かねたユージンが声を上げた。

 

「そうだ。あの戦闘でもリーダー『オールドキング』は出てこなかった。なら、今回も俺たちならやれると思ってる。

それに、今度は企業連から敵部隊の情報も送られてきてる。煮るなり焼くなりお好きにってところなんだろう」

 

ご丁寧に企業連からは目標に関する詳細データがわんさか送られてきている。

奇襲でもなんでもやりたい放題である。

 

「でもよ、前に戦った時は結構手強かったぜ?

あいつらの使う、なんだったか……AC?」

 

「ああ、奴らは闇市場に流れた『AC』という兵器を取り扱っている。ACについてはもうお前らも知っている通りだ。

特にリリアナの使っているのは『特定の運用に絞って製造された廉価版』。元の拡張性や主導力が実用燃料電池であることから大量生産が容易で、奴らの大半が扱うのも意図的に闇に流されたブツばかりだ」

 

「……で、その中に紛れてる『マジモンのAC』ってのにぶち当たる可能性があるんだよな?」

 

「……」

 

ユージンの言葉にオルガも言葉に詰まる。

結局のところ、懸念事項はソレなのだ。

 

以前、タービンズの案内で正規ではない航路を使わせてもらった際に遭遇したリリアナ。その時、鉄華団を苦しめたのは他でもない、カスタマイズされたACであった。

 

各部パーツを組み合わせて一体の機動兵器となるAC。

その真骨頂とも言えるのが、用途別にさまざまなパーツを合わせて作り上げられることである。

 

『AC計画』が流出して以後、そのデータを入手した企業は独自にさまざまなパーツを作り出してきた。

そうなると必然、世に出されたパーツというのは膨大なものとなりそれらを自由に組み合わせて作られたACというのはそれこそ無限のパターンを有している。

 

鉄華団が遭遇したACもそんな独自色の強い機体であった。

 

ユージンが口に出した懸念は皆が感じていたことであり揃って頭を悩ますことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄華団が無事に火星に帰った後、間を置かずして『カラード』から連絡が入った。

 

モージの一件でカラードには少しだけ世話になった鉄華団は、素直に応答し要件を伺う。

そうして語られたのは、『今後の傭兵業務の斡旋契約』についてであった。

 

カラードという組織については、鉄華団も詳しくは知らない。

モージから『傭兵斡旋組織』という簡単な説明は受けていたものの、同組織の守秘義務に抵触するためそれ以上の言及を拒まれていたためだ。

最も、モージにはエドモントンやそれ以前にも助けられてきたためにオルガたちが彼に無理強いすることはなく。結果として『なんか傭兵を貸してくれる奴ら』とふんわりした認識を持つに留まっていた。これまでは。

 

しかし、此度の連絡によって提案された契約の交渉においては必然、細かい業務内容や事業の説明を受けるに至り、ようやくオルガたちはカラードという組織の概要を窺い知ることになる。

 

そうして語られたのは、『主要企業連合体によって協議、運営される傭兵斡旋組織』という実態。その業務内容は多岐に渡り、カラードの目玉商品たる『山猫』を用いた重要かつ高級な傭兵業務から、その下位互換にあたる“通常の傭兵”を斡旋する比較的安価な傭兵業務。そして、同組織の育成した各分野のスペシャリストを派遣する派遣業務などなど。

主に『人材派遣』と呼ばれる業務のスペシャリスト、というのがカラードという組織であった。

厳密にはその本質は他にあるのだが。

 

 

閑話休題。

 

 

カラードには先述の“通常の傭兵”という枠がある。当然、彼らはカラードに雇われた元独立傭兵たちだ。その中には鉄華団のようなゴロツキ集団も少なからず含まれている。

そんな『契約傭兵団』の枠の中に鉄華団を加えたい、というのが先方の提案であった。

 

それはつまり、カラードという組織への『所属』、もとい『就職』を意味する。

そうなると考えなければいけないのは、現所属組織たる『テイワズ』との関係である。

未だ代表のマクマードと『杯』を交わしてはいないが、子会社のタービンズとは『兄弟杯』を交わしている。マクマードには兵器面その他でも手厚い加護を受けており、このタイミングで別組織に帰属することは憚られる、というのが鉄華団の最終結論であった。

 

 

その旨を伝えるべく、先方が指定した交渉場所。『クリュセ内にある場末の喫茶店』へと足を運んだオルガ以下三人。

カラードという組織を信用していない訳ではないが、万が一を考えて護衛役を務める三日月・オーガス。参謀として団の頭脳を担当するビスケット・グリフォン。そして長たるオルガ・イツカ。

地球圏主要企業の総意を受けるカラードの使者に少しの緊張を抱きつつも、指定時刻の十分前に店へと到着した三人。

 

「いらっしゃいませ。ご予約の方ですね? 席はあちらとなります」

 

店に入るなり、マスターと思しき若い男がカウンターから声をかけてきた。

『黒』を印象つける雰囲気を纏った男性の言葉は、どこか暗い趣きを醸し出し、店内の薄暗い様子も相まって不気味な印象さえ与える。

 

彼の言葉に反応するより先に、マスターが指し示した席から声が上がった。

 

「ああ、鉄華団の方々ですね。お待ちしておりました」

 

スッと席を立ち軽く会釈するスーツ姿の女性。

彼女がカラードの使者であると理解したオルガは会釈を返しつつ席へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「初めまして。私、カラードのオペレーター室室長兼契約傭兵総務課課長を務めておりますレイン・マイヤーズと申します」

 

席に着くなり丁寧な挨拶を述べたカラードの使者・レイン女史にオルガたちは僅かに動揺した。

自分たちがこれまで関わったことのない実に礼儀正しく、『できる女』といった風な態度ももちろんだが。

金髪を後ろで短く結いた絶世の美女が現れたことによる青少年特有の動揺である。

 

そんな彼らの態度に特に反応を示すことなくレインは話を続ける。

 

「確認ですが、貴方方が鉄華団のメンバー、ということで間違いないですね?」

 

「あ、ああ。俺は鉄華団団長のオルガ・イツカ。右がビスケット・グリフォン。こっちが三日月・オーガスだ」

 

「ど、どうも」

 

なんとか平静を取り戻したオルガの紹介のあと、ビスケットが遠慮気味に会釈する。続けて三日月も見様見真似で軽く会釈した。

 

「ありがとうございます。すみません、こちらも『守秘義務』の関係上確かな相手にのみ情報を与える決まりですので。

 

改めて、こちらの要請に応えていただいたことに感謝します」

 

キビキビとスムーズに話を進めるレインに気圧されながらも、オルガは口を開く。

 

「それは構わねぇ。で、そろそろ本題に入ろうか」

 

「そうですね」

 

いつもの調子を取り戻したオルガに、臆することなくレインは淡々と告げる。

 

「こちらの用件はメールで伝えた通りです。

あなた方鉄華団がエドモントンでの戦い、またそれ以前の活躍によって轟かせた勇名。それらを鑑みて、我々カラードはあなた方を契約傭兵団として雇用し、傭兵業務の斡旋契約を結ぶことを決定しました」

 

「知ってる。……だが、『はいそうですか』って答えられるほどの情報は与えられていない」

 

「ご尤もです。

では、我々からあなた方に対する『援助』をご紹介させていただきます。

 

まず、我々カラードが受けた依頼の斡旋。内容は『通常戦力』を求めるものが多いです。報酬のレートは『山猫』には劣りますが、その分『比較的安全』な依頼内容が揃っています。堅実な傭兵業を求める方々におすすめです。

また、『今後、緩やかに傭兵業を畳む』つもりの熟練傭兵の方々もこちらの契約をおすすめしています。

最も、『実力が認められれば』山猫に回すような依頼も斡旋することが認められています。どのような道を歩まれるかは貴方方に一任しますがカラードへの登竜門に限った話で言えばこの契約内容が最もポピュラーなものと言えるでしょう。

 

加えて、傭兵団の皆様にはカラード運営委員会の許可によって主要企業連の開発した『兵器』の提供が認められています。当然、対価はいただきますが、どれも『正規のルート』には出回らない逸品揃いです。必ずや皆様方のご期待に添えるはずです。

 

 

……以上がこちらからの『譲歩』となります。何かご質問はありますか?」

 

レインからのスムーズな営業トークに、しかしオルガは冷静に思考を巡らせる。また、傍のビスケットもレインの提案のメリットとデメリットを冷静に分析していた。

 

「ポピュラー、ってことは『他の契約内容』ってのもあるのか?」

 

オルガの素朴な疑問に、レインは一瞬言葉に困りながらも淡々と説明する。

 

「……詳しくは『守秘義務』に抵触しますので省きますが。

傭兵に限らず、オペレーター業務や機体整備に関する技術職。

それらとは別に『リンクス雇用契約』というものがあります。

 

指定の『研究機関』において『施術』を受け『山猫』となった傭兵を、主要企業のどれかに雇ってもらう形態ですね。

中には『独立傭兵』を選択される方もいらっしゃいますが、そういう方々はすでに各企業に『コネ』があるか別途に『スポンサー』を設けています。

皆様方は『複数人の傭兵団』であるのは元より、『私個人』が『リンクス手術』にあまり良い印象を持っていないのでこちらの契約内容を提案させていただきました」

 

リンクス手術、その単語はすでにモージから聞いていた。そして彼の背中に埋め込まれた小さな『端末』も見ている。

その姿は自分たち『宇宙ネズミ』を彷彿とさせるものであり、より密接かつ安全に機体とリンクするという性質は『つまり機械とより一層融合してしまう』危険性を匂わすもの。

当然、オルガたちはその選択をしない。

すでに阿頼耶識という非人道的MMIもといHMIを持っている彼らには不要であり、尚且つ『この上さらに危険な賭け』をすることへの強い忌避があったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

結局、交渉は成立した。

 

当初懸念された『テイワズとの兼ね合い』についてはすでに『カラード代表』とマクマードの間で取引が成立しているため心配ないとのことであった。

オルガたちにとっては拍子抜けな展開である。

 

ただし、この一件によってマクマードと鉄華団が『親子の盃』を交わすという儀礼は先送りとなった。このことをオルガは酷く気にしていたが兄貴分たる名瀬の励ましによって気を取り直し、新たな食い扶持として用意された『カラードからの傭兵業務斡旋』という案件に対して真剣に取り組むのであった。

 

 

そして冒頭に繋がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー以上が作戦だ。何か質問はあるか?」

 

カラードから送られた資料の精査による敵部隊の把握、布陣、作戦時間等を決定した彼らは話し合いの末にようやく準備を終えた。

 

外に目を向ければすでに陽は落ち、薄暗い火星荒野が見受けられた。

 

「だぁー、疲れた……」

 

盛大な伸びをしたあとユージンは机に突っ伏した。

苦笑しつつ見ながらオルガは集まった幹部メンバーを見渡す。

 

「敵は雑魚ばかりだ、いつも通りやれば俺たちならやれる。だが油断は禁物だ。そうやって死んでったギャラルホルンの連中を散々見てきたからな。

……会議は終わりだ。みんな担当の仕事に戻ってくれ」

 

オルガの言葉に一同は気を引き締めて退室し各々の業務へと戻っていく。

そんな中、ビスケットが徐にオルガへと歩み寄る。

 

「お疲れ様」

 

「ああ、ちっとばかしカッコつけ過ぎた気もするが」

 

「いや、ちゃんと『リーダー』としての威厳が出てたと思うよ」

 

「それならいいが……」

 

しばらくの沈黙、時計の秒針が一回りした頃にオルガは再び口を開いた。

 

「悪いな、まだしばらく『こういう仕事』を続けることになりそうだ」

 

それは地球圏の孤島にて二人が口論する原因となった事柄。

曰く、危険な道ばかりを選択するオルガへと溜まりに溜まったビスケットのストレスが炸裂した出来事。

 

しかし、ビスケットは苦笑を返した。

 

「今更だよ。火星で確固たる地位を築くために必要な道筋なんだろう?

 

……それに、僕はもう降りるなんて言わないよ。

僕も見てみたいんだ。オルガの言う『辿り着くべき場所』を。きっとそこでならクッキーやクラッカに安心安全で伸びやかな暮らしをさせてやれると思うから」

 

愛しの妹たち、彼にとってはたった二人の肉親を思い浮かべながらビスケットは語る。

 

「そうだな……いや、()()()。鉄華団がもう少し大きくなれば、ツテが作れればいずれカタギの仕事だけで食っていくことになる。

そうなればもうお前たちを危険な場所へ送り込む必要もなくなる。

それまで、まだしばらく手を貸してくれ」

 

「当たり前だよ。鉄華団は僕にとっても大切な『家族』だ。途中で投げ出したりしない」

 

決意のこもった瞳を見てオルガは少し目を見開いた。そして穏やかな微笑を浮かべて拳を突き出す。

 

「頼りにしてるぜ、ビスケット」

 

ビスケットも笑顔でその拳に自らの拳を突き合わせた。

 




『できる女』
と言えばコーテックスの姐さんことレイン嬢だと俺は思ってます。レイヤードの現状を憂いつつしっかり仕事をこなす、あの麗しき美声から察せられる金髪ポニテ美女という妄想。大好きです。
というか、2のネルさんはちょっとメンタル弱そうだし、コーテックスの後輩たるエマちゃんはクール系ロリ枠だし、カテジn…ラナさんはそもそもアレだし。つまり、『できる女』はレイン嬢しかいないのです。

メリビットさん?
いや、あの人は◯楽天に出てきそうな薄幸OL枠でしょう。

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