思いきって幼少期に遡って原作ブレイクすることにしました。
キャラ崩壊はなるべく抑えたいという願望。
追記
誤字修正感謝いたします……
あと、ラスタルさんが火星にいるかのような描写になっていたのを修正しました。
記憶を取り戻したトール・イブン・ファルク。
彼が目指すのはカルタ・イシューの生き残る未来。
そのために先ず取り掛かるべき障害は『マクギリス・ファリド』という男だった。
マクギリス・ファリド。
稚児趣味のイズナリオ・ファリドが囲む男娼ハーレムの一員として招かれ、その才覚を見出されて養子として引き取られた少年だ。
それからもイズナリオの夜伽に付き合わされたりと散々な人生を歩む彼は、将来、それらを世界への憎しみへと変えてクーデターを起こすことになる。
その過程で彼は、イズナリオを失脚させるために彼が後見人を務めているカルタを謀殺する。
つまり、マクギリスをどうにかしないとカルタは死んでしまう。
そのために俺は幼少のうちにマクギリスを『味方』に引き込むことにした。
彼が暴動を起こした原因はイズナリオにあるが、こいつを今の段階でどうにかするのは不可能だ。
次に、原因として考えうるのは『アグニカの伝説』。これに感化された彼は、自らの才能を無駄遣いしてクーデターも失敗してしまう。
なんとももったいないことだ。
ゆえに、俺はまずその間違いから正さねばならない。
『力』を信じた彼の信念を貶しはしない。
ただ、その寄る辺をアグニカなどという過去の人間に向けるのは愚かな行為だと思い知らせねばならない。
だが、いきなりそんなことを言っても聞く耳を持たないだろう。
だから俺はまず初めに彼と『仲良くなる』ことにする。
長期に渡る作戦となるが、そうでもしないと彼は止まらない、変えられない。
当たり前だ、誰が好き好んで中年オヤジに無理矢理ケツを掘られて喜ぶだろうか。
いや、中にはそういう人間もいるのかもしれないが、少なくとも彼は苦痛を感じていた。
そこにつけ込む。
幸い、奴はまだ子どもだ。
「マクギリス、ここに居たか」
大きな木の下で、相変わらず絵を描く彼に歩み寄る。
「トールか。いや、少しスケッチをしていてね。話ならこのまま聞こう」
「ああ、すまんな」
「それより、今日はカルタの勉強を見て挙げなくていいの?」
「今日はフリーだ。いや、午後からボードウィン家との会談があるが」
彼に出会ってから数年、すでに俺たちは気心の知れた仲となっていた。少なくともマクギリスも気を許す仲とはなっている。
そんな今だからこそ俺は仕掛ける。
「……率直に聞くんだがな」
前置きをして、俺は核心をつく。
「お前、イズナリオに虐待されてるだろ」
「っっ!!」
その一言にマクギリスは手に持つ鉛筆をへし折った。
分かりやすい反応だ。
さて、ここからは賭けだが
「ふむ、図星か」
「…………なぜ、お前が」
恥辱と怒りと悲しみの入り混じった顔でマクギリスが睨む。
だろうな、憎いだろう。イズナリオが、それを知った俺が、奴に屈するお前自身が。
「別に言いふらす気も弱みを握ったとも思ってない。俺はお前と話がしたいだけだ」
「どういう、つもりだ?」
「お前の憎しみ。それを共に果たしたい」
「は?」
呆気にとられる彼に構わず俺は続ける。
「俺は、悪魔の子と呼ばれているのは知っているだろう。それは父が
「なにを……」
「お前の憎しみの対象はなんだ? あの変態だけか? 耐えるしかない自分自身か?」
「……」
「違うな。それら含めた理不尽全てだ、この世の理不尽、腐敗を貴様は恨んでいる」
「腐敗……?」
「そうだ、一部の権力を握った者による自分勝手によりこの世界は翻弄され続けている。貴様もその一人だ」
「……」
「力があれば成し遂げられる、だが果たしてそれは正しい選択なのか。アグニカは力だけで統一を成し遂げたのか。
いや、アグニカだけで成し遂げたわけじゃない。貴様も分かっているはずだ、人の繋がりの中で圧倒的力を持ったアグニカを旗頭に人類は厄災戦を乗り越えたと」
「……それは」
「だがどうだ、今の世の中は既得権益に執着するゴミどものオモチャだ。そんなものはアグニカたちが築き上げてきたものとは程遠い。
今こそ人類は、世界に巣食う『膿』どもを焼き殺し、一からアグニカたちの世界を取り戻すべきなのだ」
「そうだ……俺は、玩具じゃない」
「その通り、貴様は一人の人間だ。それも、悲劇を知りながらそれを打開しうる力を持った類稀なる人間だ。
世界に仇なすゴミども一掃する力を秘めたお前だからこそ俺は問いたい」
「……」
「俺と一緒に、この腐った世の中を変えて見ないか?」
「お前と……?」
「ああ、貴様だから俺は頼む。共に世界を変革する同志となろう」
「同志……か」
「貴様が躓いたなら俺が手を貸そう。だから俺がもし躓いたなら手を貸してほしい」
「俺と手を組むと?」
「すぐにとは言わない。覚悟ができたなら声をかけてくれ。俺はいつまでも待ち続けよう。世界を変革するには貴様の力が必要不可欠なのだから」
「……カルタにご執心のガキだと思っていたんだがな」
マクギリスは小さな笑みをこぼした。
「確かに彼女は美しい。だが
「へえ、俺が思っていたより、重症なんだな」
「何とでも言え。だが俺は
全て真実だ。本音を語ったまで。
だが、
「……いいだろう。今からお前は俺の共犯者だ」
しかし、マクギリスは邪悪な笑みでこちらに手を差し出してきた。
やはり子どもは操作しやすい。
「それはこちらの台詞だ。よろしく頼むぞ
彼と握手を交わす。
それは同志とは名ばかりの、憎しみと悪逆の誓い。
ただしく共犯者と言い表すことのできる関係だった。
こうして俺たちは叛逆の同盟を結んだ。
「ふふ……我が友ながら末恐ろしいな」
執務室のソファにて資料に目を通しながらマクギリスはほくそ笑んだ。
資料には密偵より送られた『火星圏の新興勢力』の情報が書かれていた。
CGSの崩壊に伴う青少年による武装組織。
後に『鉄華団』として世界に知れ渡るこの勢力の出現を、トールは数年前から予知していた。
マクギリスも聞かされた当初はさすがに信じられなかったが、自分が今からその火星圏へと監査に向かう事態となり初めてその実在を認めることになった。
『この組織の活動により大きく計画が動く』
そう宣言されたのも数年前。
盟友であるトールの言をマクギリスも疑うことはしない。
しかし、予言に等しき今回の件には彼も未だに底知れぬ友の智謀に言い様のない恐気を感じざるを得なかった。
マクギリスの認識の中で、トール・イブン・ファルクという男は友である以外にも恐ろしく慎重で用意周到な人間としてある。
それともう一つ、『とんでもないスパルタ教育者』としての印象も持っていた。
これは他の幼なじみ二人も共通の認識としていることなのだが、幼少より親しい仲にあった彼らは大人に近づくにつれて高度な英才教育を受ける必然性にあった。
その中でもトールはある時期を境にして驚異的な早さで知識を深め、他の幼なじみを大きく引き離すまでに至った。
その頃からである。
トールは盛んに幼なじみたちを招き、勉強会という名の『地獄』を催すようになったのは。
最初はお茶会という名目で三人とも疑うことなくノコノコと誘き出されてしまったが、二回目からは全員トールの誘いに疑ってかかるようになった。
それでも何度も参加させられてしまったのは、トールが巧みに策を巡らせ、幼なじみたちの親まで味方につけて動いたからである。
おかげで三人とも高い教養を身に付けることができたが、未だに旧時代に使われたとされる『コクバン』を見ると拒否反応を示すくらいにはトラウマになった。
中でもトールがしつこく述べたのは『思想論』である。
知識を深めることは重要だが、『特定の個人、思想に傾倒する。或いは流されるのは悪である』と、洗脳のように宣ってきた。
曰く、『現在の世界は思想の精錬と、熟考の欠如によって腐敗している』と。
もちろん、マクギリスはその言葉を頭の片隅に追いやり、カルタは一蹴し、ガエリオはそもそも話を聞いていなかったが。
それでも、各個人の中で『考える』という事柄に対しての癖が僅かでも生まれたことはトールとしては喜ばしい結果と言えた。
ゆえに、『この世界線』におけるマクギリスは知恵者である。元々の素養はトールなどよりも遥かに高いがために、『精神面』においてある程度の『強度』を持たせて、自身の陣営に組み込んでしまえばこれほど優秀な手駒は他にない、そうトールは考えた。
果たして目論見は概ね成功したと言え、物語が動き出す序盤においてマクギリスとトールは『共同』で計画を進めていた。
有り体に、トールの語った思想論に傾倒することもまた『依存』である。
根本的に人間というものは神やカリスマを持つ人間などの『寄る辺』無くして生きられない存在である。
神は基本的に信じないと言われる『連合の島国』の人々も、『家族』であったり『無神論』という概念だったり『ロリコン万歳』だったりと『何か』を寄る辺にして生きている。
それゆえにトールの言論は詭弁に過ぎない、そう彼自身も認識している。しかし『どうでもいい』とも。
彼にとっての『大切なもの』のためになるのならなんであれ構わないのである。
こうしてマクギリスはトールの思惑通りに、才能に見合う『策謀家』として完成するに至った。
憎しみはある、世界への若き反骨心も萎えてはいない。されど、『熟慮する』という新しい手段を得たことで彼はこれから始まる騒動で巧みに立ち回ることに成功する。
それは『大切なあの人を任せる相手』としてはもちろん『破壊のあとの世界を任せる相手』としてもトールは考えていたからである。
「ガエリオ様、マクギリス様ともに火星支局へ向かわれたようです」
マグニの報告にトールは頷きで応えた。
現在、トールはヴィーンゴールヴの屋敷にある執務室にて呑気に紅茶を啜っていた。
「……どうやらモージも無事に『例の組織』で上手くやってるようで」
ぶっきらぼうながらも、心配なのを隠せない声音でマグニは告げた。
それを感じトールも「そうか」と声に出して返事をする。
この局面において、未だにトール自身が表だって動くことは無い。
イズナリオの目もあるが、エリオンが存外にも目敏くトールの動向に気を配っているからである。
当初の計画において、まだエリオンから目の敵にされることは含まれていない。
しかし、予想していなかったわけではないのでトールは冷静に事態を静観することにした。
まだ、『隠密部隊』や『例の研究』など、『世界各国への根回し』も気付かれていないが下手に動けばエリオンに手札を与えかねない。
そう考えトールは計画をプランBへと移行すると共に、表の慈善事業に力を入れ、自身のイメージを補強することにした。
未だエリオンからの『若さゆえの熱い人物』としての印象を変えさせるわけにはいかない。
そのために入念に、慎重にここまで来たのだから。
この時点で、トールが打倒の手段を有しているのはイズナリオのみである。
政治家としては優秀ながら人間性に大きな問題のある彼ならば少し『ディープな調査』を行えば『汚れ』の一つや二つ、掴むことも容易い。
現時点で勝率は七割ほどだが、時期が来れば確実に葬ることができる。
対してラスタル・エリオンは実に難敵である。
本拠が地球から離れた月ないし、宇宙であるために、情報に乏しいのだ。
おまけに部下の忠誠心が高過ぎてスパイはもとよりハニートラップなどの奸計にすら引っ掛からない。
表だって大きな動きを見せていないことも原因の一つである。
ともかく、火星圏は完全にエリオンの勢力圏と見て相違ない。火星圏の各勢力とも太いパイプがある。
「それよりも……」
ふと、トールは手元のPCに表示された情報に視線を移す。
そこに表示されているのはーー
二期のマッキーの暴走は完全に予想外だったので当時はマッキーの言ってることが理解できなくて困惑しました。
ちなみに今もなんであんな結論に至ったのか理解できていません。
もっとやり方あるやろ……。