「7番テーブル、オムライス、
5番テーブル、カレーライス!
お願いします!」
「、、りょーかい」
そこそこに埋まっている客席、キビキビとしたフロアの女子高生。そして料理を作る俺。
そう、この俺比企谷八幡は絶賛アルバイト中だ。さんざん、働きたくないと誓った高校時代、いや、まだ俺も高校生だけどな?
アルバイトに至るまでいろんな過程があった、だが結果的にこうやってアルバイトに勤しんでいる所存だ。
働きたくなったとか、そういう訳じゃない。
単純に金が欲しいという気持ちもある、あとはプレゼントを買いたいヤツらのため、それとおまけで社会勉強かな、笑
俺が働いてるこの店は家から30分程にある、自営業の喫茶店で店長と母が仲良く
人手が足りないとの言うことでここで働くことになった。
まぁ、明らかにフロア向けじゃねぇから料理作ってる訳だが。しかし、これがなかなかあっていたのか意外と楽しい。
ふむ、そろそろかな。
いい感じに焼けた卵を皿に盛っていた、ケチャップライスにのせデミグラスをかける、
そしたらホワイトソースを垂らしパセリ缶をひと振りかければ出来上がり。
自分の腕を自慢する訳では無いが、なかなかよくできてる。シンプルな1品、うむ、シンプルっていいよね笑
「7番テーブル、オムライス出来たぞ、西村」
出来上がった料理を出しながら、フロアの人に声をかける。
「比企谷さん、お料理ありがとうございます!」
「、、今日も元気がいいな。」
「そういう比企谷さんは、いつもだるそうにしてますけどね?」
「俺のことはほっとけ」
「はいはい、ではお料理持っていきますね」
「おう」
皆さんは、今の光景をご覧いただけただろうか?そう、俺はバイト先ではコミュ障になっていないのである!
ふっ、今のように軽口を言い合えるぐらいには仲がいい。どうだ?すごかろぉ!
いや、最初はもちろんコミュ障全力だったけどね?ただ、仕事に慣れてきたのと周りの人がいい人だったからな。西村然り、ほかの人然りってな。
ちなみに俺ができるのはキッチンのこと全般、フロアのことは全くできず唯一できるのはレジくらいだな。ま、そうそうレジに行く事態にはならんけどな。
平日の月、水、土にいつもシフトを入れてる。そこそこ給料は貰ってるし、働く環境も悪くない、むしろ恵まれたバイト環境とも言える。
そろそろカレーライス作るか、、。
ちなみにこの店ではカレーは朝作るスタイルになってる、だから正直1番早く出せるのだがあえてそうはしない。
お客さんが、注文をし少したちお腹すいたなー、料理まだかなーと思ったところで出すのがベストタイミング。
ま、忙しい時はそんなことする余裕ないけどな。平日の夜、人があまり来てないからこそできることだ。
そもそも、この店はめちゃめちゃ人が来るという訳では無い。どちらかと言えば昼メインな店のため夜はぼちぼちと言ったところ。
だから、基本フロア1人のキッチン1人って感じだな。つまり、西村と俺の2人ということだ。必然的に仲良くもなる。
こんな俺と仲良くしてくれて、まじ感謝の極みである。
カレーライスも出し終わってそんなことを考えていると、西村が帰ってきた。
「んー、やっぱり平日の夜はお客さんそんなに来ませんね〜」
「まぁ、昼メインの店だしな」
「いや、まぁそうなんですけどね。
比企谷さんとおしゃべりできるから、私的には全然OKなんですけどね〜」
おいおい、嬉しい事言ってくれるじゃないか。
「俺も西村と喋るのはいいけどな」
「........」
いや何故そこで黙る。
「なんだよ」
「いや、なんか比企谷さんが素直にそう言ってくれて嬉しいというか、ちょっとドキッとしちゃったなーって」
「まぁ、俺の唯一の後輩だしな」
この店、従業員は多くないしアルバイト募集も何故かしていないため入ってから基本的に後輩なぞは現れなかった。常に俺が下っ端笑
店長から聞いた話だと、この店の常連でアルバイトしたいみたいな話をしてたから店長が勧誘したらしいけどな。
「まぁ、でも比企谷さんがこの店で働いてて良かったです。最初はえっ、こんな人がって思いましたけど笑」
「おい、えっは余計だろーが」
「すいませんって、でも良かったって思ったのはほんとーですよ。
フロアとキッチンなんで教えてもらうことはあんまりないですけど、
同年代の人は比企谷さんだけだし、
何より、比企谷さん優しいですもん。」
素直に照れた。
「.......」
「あれ、もしかして比企谷さん照れてるんですかー?」にやにや
あのニヤニヤ顔が憎たらしぃ、何より顔立ちが整ってるからニヤニヤ顔も様になってるのがうぜぇ。
「うっせ」
「比企谷さんって、何気にいじりがいがありますよね。なんか、楽しくなります。」
「年上いじってんじゃねぇよ」
「いじられる要素持ってる側が悪いんですよ」
「なにそれ理不尽」
「ま、いじるのは比企谷さんにだけって心に決めてますけどね!」
「なにその、無駄な誓い。まじいらねぇ」
ちりーん
「ほら、お客さんだ行ってこい」
「分かってますよ!」
ちなみに店のドアは2重になっていて、最初ドアを開けてそこでちりーんと音が鳴る、そして更にドアを開けて店の中と言った感じなのだ、もっと言うならキッチンからドアはよく見える。
「いらっしゃいませ!お客様は何名様でしょうか?」
「1人ね」
、、、、いや、まじか。何故ここに雪ノ下が。
幸いキッチンの方は見ていなかったみたいだ。なぜここに来たのか知らないが、客は客きちんと作らなければ。それにしてもやりにくいなぁ。
、、、、まずいとか、いわないよね?
案内の終わった、西村が帰ってきた。
「綺麗な人でしたね〜」
「そ、そうか?」
「いや、興味ないふりしながらめっちゃお客さん見てるじゃないですか笑
あーいう人が好みなんですか?」
少し不機嫌そうに言う西村。何故だ。
「い、いやそーいうわけじゃないけどな?
ただ、なんだかなーっとな?!」
「.............私も髪の毛伸ばそうかな」
「え?なんて?聞こえなかったわ」
「なんでもないですよ〜、男の人って綺麗だったらいいんだなーって比企谷さんが鼻の下伸びてるの見て思って」
違う、それは誤解だ。確かに男はそうだが俺は違う!、、、、つもりだ。
「そんなんじゃねぇよ、あれだあれ。
同じ学校のやつなんだよあいつ、それで少し驚いただけだ。」
「ん?そーなんですか?なんだ!鼻の下伸ばしてんじゃねぇよって思っちゃったじゃないですか!」
いや、こえーよ
「辛辣すぎんだろ、バイト先に知り合い来たらなんかやりずれぇだろ?それだよそれ」
「ほんとですかねー?そもそも、比企谷さんって知り合いそんなに多くないですよね?」
いや、なかなか心を抉ってくるな 。いや事実だけども!
「すいません」
おっと、雪ノ下がご注文のようだ。頼む!凝ったものは来ないでくれ!心の底からそう願う。
「.......ふーん、怪しいなぁ」小声
「ほら西村オーダー行ってこい」
「ふむ、、、、すいません、なんか頭痛くなってきてオーダー行けそうにないのでオーダー取ってきてもらっていいですか?あー頭痛い、痛い」
............は?
「いやいやいやいやいやいや、嘘つくなよ!」
「あー、これ無理ですね。オーダー取りに行くなと頭が頭痛で示してます。はやく言ってきてください比企谷さん。お客さん待ってますよ!」
そーやって、頭を抑えて俺に早く行けと催促してくる。あの野郎、絶対許さねぇ。
心を無にするんだ俺!
幸いオーダーの取り方は辛うじでわかる。
雪ノ下に近づく度にドキドキが止まらねぇ!
落ち着け、落ち着け俺。
「お待たせしました、オーダーはどちらになさいますか?」
「そうね、、、、、、、、、え?」
うん、わかるよ?その気持ち。俺もさっきまでそんな気持ちだったから!
それから見つめ合うこと、10秒。
何故か後ろを咳をしながら通っていく西村のおかげで世界が動き出す俺と雪ノ下。
いや、頭痛いんじゃなかったのかよ。
「ふぅ、取り乱してしまったわ///」
でしょうね。
「いや、なんかすまん」
「あなたアルバイトしてたのね。だから、月水は部活休みだったのかしら?」
「まぁ、そーいうことになるな。あの部活に入る前からしてたからな。休みはもらっとこうと持って。」
「いえ、休みをとっているのは全然いいの。この日は休むと事前に言われてることですし。ただ、あなた専業主夫めざしてなかったかしら?と思って」
「まぁ、色々あるんだよ」
「そう」
「おう」
話終了、帰るか。
「じゃあな、まぁゆっくりして言ってくれ」
「いえ、あの、、、」
「ん?なんだ?」
「オーダーまだ言ってないのだけれども」
................あ、八幡動揺してオーダーとるの忘れちゃった!てへぺろ
いやきもいな。
「あー、すまん。それで何にする?」
もう、お客様に対しての態度じゃないがそれは今更だ。
「そうね、何がオススメかしら?」
「そうだな、今日は俺が作ってるからおすすめはオムライスだな。」
楽だからというのは内緒
「あなたが作っているのね、なら
オムちゃ........オムライスにしようかしら///」
まだ動揺してたんすか我が部長よ。
ここはスルーしてあげるのが大人な対応なのである。
「わかった、オムライスひとつな。」
そう言ってキッチンに戻る。雪ノ下よ気にするな、それが今まで俺が味わってきた気持ちだ笑
「何か言いなさいよ、、、、、ばか//」(小声
我が城に戻ると、そこに居たのは仁王立ちの西村。頭大丈夫なんですかね〜。
「頭痛いの治ったか?」
「なんだか、いい雰囲気でしたね」ムスッ
いや、話聞けよ。せっかく心配してやってんのに。
「そんなことねぇだろ。ただ同じ部活だから少し話しただけだ。」
「さっきと言ってたこと違うじゃないですか!」
「いや、部活の仲間も学校の知り合いに入るから。嘘じゃないから」
「まぁ、それはそーですけど。なんだか納得いかない、、。」
「はいはい、俺は料理作るからテーブルの水ちゃんと入ってるかでもみとけよ」
めんどくさくなったら、誤魔化す。これが俺の必殺技その1。その2は特に考えていない。
「言われなくても、見てきますよ!」
さて、作りますか。いつも以上に丁寧に、スピーディーに、かつ雑にならないように完成をイメージしながら作る。
ま、何回も作ってるから失敗なんてほぼしないけどな笑
てか、さっきからこっちをガン見してる人が二人いるんですが、、、。
おい、雪ノ下水のコップもったまま停止してるぞ。
西村は、ちゃんと水の補充しろ。
なんとか、見られながらも失敗なく完成したオムライス。今までで1番神経使ったオムライスだったわ。
「持ってくか」
「比企谷さん、ここは私が持っていきましょう」
「頭は大丈夫なんですかねぇ」
「えー?頭ですか?もうそんな昔のことは忘れましたね」
「おい」
「冗談ですよ!ありがとうございます!
では、持っていってきますね〜」
全く調子のいいやつだことだ。だか憎めない、それがあいつの人柄なんだろう。
変なことしないといいんだが、、、。
「お待たせ致しました、オムライスになります。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「えぇ、ありがとう。その変なことを聞くのだけれどもあのキッチンの男とは仲が良いのかしら?」
ん?なんか話してるな。でもここからじゃ聞こえねぇ。
「そーですね。いつも良くしてもらってるんです。優しいし仕事できるし、仲良くしてもらってありがとうございますってかんじてすね。」
「そ、そう、、、。こんな所にも伏兵がいるのね」
「ん?なんですか?」
「いえ、なんでもないわ。でもなかなか様になってるじゃないあの男も」
「あ、分かりますか!かっこいいですよね、比企谷さん!普段ダラっとしてるけど、料理作る時の真剣な感じがドキッとしちゃうんです!」
「そ、そうね、、、、確かにかっこ、ゴホッ
いい感じかもしれないわね。」
「ふふ、誤魔化さなくてもいいですよ?何となく比企谷さんに対する目線でわかっちゃったので。でも、比企谷さんは私のですけどね?」
「ち、ちが、、、そんなことないわ」
「まぁあなたがそれでいいならいいんですけどね!では、ゆっくりお召し上がりください」
「待ちなさい、あなた名前は?」
「西村です、西村かよ。比企谷さんをGETする女です」
「私は雪ノ下雪乃、負けないわ」
「えぇ、私も負けるつもりはありません」
やっと帰ってきた、なげぇよ。
「何を話してたんだ?」
「いえいえ、ちょっとした宣戦布告ですよ〜?」
いや、戦争でも始めるんですかねぇ。この店だけ平和じゃねぇじゃねぇか。
「私もうかうかしてられないな〜っとね?」
「いや、何がだよ、、。」
もうわかんねぇ。
「んー、比企谷さんは気にしなくていいことですかねぇ〜、、今は」
「なにそれ、怖いわ」
やっぱ俺が料理持っていけばよかったわ。
一体何があったというんだよ。
そこからは、特に何も無くダラダラと時間が過ぎた。まぁだいたいいつもこんな感じ。
今日が予想外すぎただけだ。
ちりーんちりーん
「比企谷さーん、レジ行ってくださーい。」
「いや、フロアの仕事しろよ」
「いや、だって雪の下さん比企谷さんだせって目で語ってるじゃないですか笑」
「まじっすか、てかなんで雪ノ下の名前知ってんのよ、。」
「まぁ、そんな細かいことは気にしないでくださいよ。それより早く行かないと待たせて ますよ!」
「わーってるよ」
行きたくねぇけど、行くか。
「すまん、待たせた。オムライス1つ689円だな。」
シンプルにかつ若干急かす!なぜなら嫌な予感がするからだ。
「オムライス美味しかったわ、また来るわね。」
俺がいない時ならぜひ来てくださいと心の中で添えることは忘れない。
「おう、ありがとな。」
「それと、、、、。」
まだなんかあるのか?
「、、、、ん?」
「私ここでアルバイトすることに決めたからよろしく。では、また学校で。」
言うことは言ったとばかりに、髪の毛を翻して帰っていく雪ノ下。
「なるほど、そう来ましたか〜」
いや、なんでやねん
特にない