デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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多田李衣菜編

 

 音楽が好き

 

 中でもロックが一番好き

 

 だから私も

 

 ロックな人間になりたくて

 

 オーディションに応募した

 

 でもそこはアイドルオーディションで

 

 たまたまロックの次に

 

 アイドルが好きだったから

 

 そのままオーディションを受けた

 

 私はそこでロックを教えてもらった

 

 ―――――――――

 

「プロデューサーさん、少し休もうよ〜……」

「何言ってんだ、休んでる暇なんてないぞ! ハリハリ!」

「んが〜! 分かったよ〜!」

 

 皆さんこんにちは。ロックなアイドル多田李衣菜です。私は今、私をロックなアイドルにしてくれた専属プロデューサーさんに走らされてます。

 どういう状況なのかと言うと、今日は都心から離れた所でフェスをやってて、私はそのフェスでソロの野外ライブをするんだよ!

 でも私の出番は夜でリハの時間もまだまだ先だから、プロデューサーさんにお願いしてフェスを満喫してる……はずなんだけど、プロデューサーさんのスタミナに私が遅れを取っている感じ。

 

 プロデューサーさんってプロデューサー業に就く前は自分でもバンド組んで活動してたらしくて、フェスとか超詳しいんだよね。んでもって悔しいけど私より音楽詳しいからどこでやるどこどこのバンドが凄いとか、どこどこのバンドのベーシストのテクは見といて損はないとか言って、めっちゃ走らされてる。

 なつきちとか涼さんとかとフェスに行ったことは何度かあるけど、こんなに走らなかったと思うんだけど……。

 

「次見せたいのはきっと李衣菜も気に入ると思うから! 頑張れ!」

「分かったよ〜!」

 

 そんなこと言われたら頑張るしかないじゃん。プロデューサーさんと私の音楽の趣味はバッチリ合うし、プロデューサーさんからおすすめされたバンドでハズレなんてなかったもん。だからかな、弱音は吐いてるけど心はドキドキとワクワクでいっぱいなんだ。

 

 ―――――――――

 

『おいおいおーい! おめぇらの叫びはそんなもんかー!? もっと腹から声出せよーっ!!!!』

 

 ワァァァァァッ!!!!!

 

『そうだそうだ、その調子だ! じゃあ聞かせてやるからありがたく聞きやがれーっ!!!!!!』

 

 ワァァァァァッ!!!!!!!

 

 プロデューサーさんに言われてやってきた第三ステージ。今ライブをやってるバンドは名前も聞いたことないけど、熱気が凄くて魂を揺さぶってくる。

 始まった前奏もギターの一人がハーモニングをやると、反対側のもう一人のギターがタッピングをして、かと思ったら二人で合わせてスイッチング奏法をする。それだけでもう背筋がゾクゾクするのに、そこに重低音のベースが合わさり、ドラムがみんなして突っ走らないように制御する。まさにロック!

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 プロデューサーさんも大興奮してるし、私も自分のライブを控えてるけど大声で叫んじゃった♪

 

 ―――――――――

 

「あぁ、最高だった……燃え尽きた……」

「うん、本当に凄いバンドだったね……」

 

 私たちはフェスを自分たちなりに満喫してから、自分たちのテントに戻ってきた。お互い最後に見てきたあのバンドで燃え尽きたって感じ。まあお昼ご飯が終わったら今度は私がライブに向けてリハしたり、プロデューサーさんは音響とかの調節したり忙しくなるんだけどね。

 

「李衣菜、結構叫んでたけど喉は潰してないだろうな?」

「大丈夫大丈夫♪ でもプロデューサーさんにつられて大声出しちゃったから、声が出なくなったら責任とってね☆」

「そうならないようにうがい薬でうがいしとけ」

「はーい♪」

 

 プロデューサーさんはバンドマンだったこともあってヴォーカルへのサポートの仕方を熟知してる。

 リハの時の声の加減とか、ステージに立つ直前までの喉の調節とか、本当にプロデューサーさんにはお世話になりっぱなし。

 それに―――

 

「うがいしてきたよー!」

「はい、お疲れ……ちゅっ」

「んっ♡」

 

 ―――効果抜群のおまじないもしてくれるから♡

 

 プロデューサーさんと私は事務所に秘密にして付き合ってる。告白したのは私からで最初は断られたんだけど、告白は男からするもんだって言って改めて告白してくれたの♡

 みくとかなつきちにはよく相談に乗ってもらってたんだけど、最近は『惚気るならよそでやれ』って言われて相談に乗ってくれない。今日だって送ってもらう間に何回キスしていいのかとか、大好きって何回言ってもいいのかとか……色々と相談に乗ってほしかったのに、昨日はその相談する前から『プロデューサーとの話はするな』って言われたもん……。みくに至っては語尾のにゃん消えてたし……。

 

「弁当受け取ってくるから、李衣菜は休んでろ」

「うん、分かった♡」

 

 プロデューサーさんは私の頭を優しく撫でてからテントをあとにする。私はいつもみたいに手を振ってプロデューサーさんを見送ったけど、これで良かったのかな?

 やっぱりロックな私なら「早く戻って来てね?♡」とか「寂しいから私も一緒に行くぅ♡」って言った方がロックな気がする。プロデューサーさんにダサい女の子だって思われたくないもん。

 そもそも今日はいつもよりキスしてる回数少ないんだよね。まだ10回だもん。これじゃロックな私じゃないよね……あぁ、でもロックロックって押せ押せで行ってもそれはロックじゃないよね。ロックって本当に奥が深いなぁ。

 

 ―――――――――

 

「ごちそうさまでした!」

「早いな。よく噛んで食べたのか?」

「噛んだ! 子どもじゃないんだから!」

「すまんすまん。じゃあ片付けたら、受け取ってきた衣装の確認よろしく」

「は〜い♪」

 

 今回のステージ衣装どんなのかな〜♪ 野外ライブだし、やっぱりロックな感じかな〜?♪ パンツとかにダメージ加工入ってたり〜、チェーンとかでジャラジャラだったり〜……楽しみ〜♪

 

「………………あるぇ?」

 

 お〜か〜し〜ぞ〜? どれもスカートだし、パステルカラーでフリフリが付いてるぞ〜? こんなのロックな私には可愛すぎると思うんだけどな〜?

 

「どうした?」

「プロデューサーさん、今回の衣装ってこれだけ?」

「うむ」

「あとで事務所から追加で来るとかはない?」

「うむっ」

「そっかそっか〜、じゃあこの可愛いヤツのどれかを着なきゃいけないんだ〜」

「うむっ!」

「うむじゃなぁぁぁいっ!」

 

 違うでしょ! そうじゃないでしょ! 野外ライブだよ!? アスタリスクのステージならみくが一緒だから仕方ないけどさ! 今回私ソロなんだよっ!? ならロックが溢れ出してるロックな衣装一択でしょ!

 

「プロデューサーさんにはガッカリだよ。こんなロックなフェスに不釣り合いな格好を私にさせるなんて……」

「それは聞き捨てならないなぁ」

「だってそうじゃん。参加してるバンドはみんなロックだったりパンクだったりメタルだったりしてるのにさ……」

「だって李衣菜アイドルじゃん」

「ロ ッ ク な! アイドルなの! 李衣菜ちゃんは!」

 

 プロデューサーさんなら私をロックなアイドルにしてくれると信じて来たのに……こんなのってあんまりだよ。でも大好き♡ 別れたりは絶対しないからね♡

 

「相変わらず李衣菜はロックを理解してないな」

「どういうこと?」

「いいか、今回周りはみんなロックテイストだったりパンクテイストが集まってる野外ライブだ」

「うん」

「そこに李衣菜一人だけめちゃくちゃ路線外れた可愛いアイドル衣装でライブをやったら……」

「……やったら?」

「一際浮いた存在になって逆にロックだと思わないか?」

「浮いた存在……」

 

 ロックとは周りに影響されず、反逆する者

 ロックとは定義づけされず、己のまま

 ロックとは己が感じたその物だ

 

 つまり、この野外ライブで一人だけアイドルの私はロックなんだ!

 

「……ロックかもしれないっ!」

 

 プロデューサーさんはやっぱり天才だよ! 私にロックの何たるかをいつも教えてくれる! 大好きだよ、プロデューサーさん!♡

 

「分かってくれたみたいだな」

「うんっ♡」

「よし。それでいい。なら改めて衣装を選んでくれ」

「分かった!♡」

 

 プロデューサーさんが選んでくれた物は全部がロック! その中で私が感じたロックを組み合わせることで私たちのロックは完成する!

 

 ―――――――――

 

 ロックな衣装選びも終わって、リハも終えて、あとは出番を待つのみ。ステージ前の方をこっそり確認してみると、結構お客さんが入ってる。嬉しい! だから余計にテンションが上がった!

 

「さて、いい感じだが、緊張はしてないか?」

「大丈夫! みっちりレッスンしてきたし、もし飛んじゃっても勢いでなんとかなる!」

「出来れば飛ばずに済んでほしいな」

「分かってる♪」

 

 それにプロデューサーさんがいてくれるなら、私には怖い物なんてないもん♡

 

「じゃあ、ステージ前に緊張を解すクイ〜ズ♪」

「えぇ〜、相変わらずプロデューサーさんは急だな〜」

「いいじゃん」

「別にいいけど……問題は?」

「好きって言葉を使わずに俺に好きって気持ちを伝えてみ?」

「えぇ〜!?」

 

 無茶振りすぎるよ! てか言葉以外ってめちゃくちゃ難しいじゃん!

 

「さあ、どうだ李衣菜?」

 

 うぅ……分かんないよぅ……どうしたらいいんだろう?

 考えろ……考えるんだロックなアイドル多田李衣菜! 大好きなプロデューサーさんに言葉を使わずに私の大好きが伝わる方法を!

 

「李衣菜〜?」

 

 プロデューサーさん、私に伝えてほしくて待ってる。うぅ、どうしたらいいのかな。心はロックで思考はクールに……よく考えるんだ多田李衣菜!

 

「あ」

「何か思いついた?」

「うん! じゃあいくよ?」

「ドンと来い」

 

 ちゅっ♡

 

「っ!!!!?」

「っ……ぁ……んむぅ……ちゅ〜っ♡ ぷはぁ♡」

「…………李衣菜?」

「き、キスが一番伝わるかなって思って……しちゃった……♡」

「そ、そうか、めっちゃ伝わったぞ」

(俺の彼女可愛いィィィィィ!)

 

 えへへ、良かった♡ やっぱりロックな李衣菜ちゃんですから? プロデューサーさんが求める物くらいあっという間に分かっちゃうんですよ、はい♡

 

「プロデューサーさん、次の問題は?♡」

「つ、次……だと!?」

「うん、もっと問題出して♡」

「じゃ、じゃあ……好きって10回言ってとか?」

「分かった!♡ 好き好き好き好き好き好き好き好き好き……好き!♡ はい言ったよ!」

「すまん、俺が言われたいだけだった」

「んにゃぁぁぁ、プロデューサーさん大好き〜!♡」

 

 普段はかっこいいのにそういうことするのホント反則だよ〜♡ 好きだよ〜♡ 大好きだよ〜♡ ずっとプロデューサーさんの彼女でいるよ〜♡ あ、でもいつかはお嫁さんになっちゃうからずっとじゃないね〜、でへへへへ〜♡

 

「こほん……それじゃ、緊張も解れただろうしそろそろスタンバイだ」

「うん、プロデューサーさん、ロックな私をちゃんと見ててね!♡」

「あぁ、見てるとも」

「うん、大好きだよ!♡」

「俺もだ」

 

 こうして私はロックなライブを精一杯、全力でやって、来てくれた人たちと熱いライブを過ごしたの。それでその日の夜はプロデューサーさんと……えへへ♡―――

 

 多田李衣菜♢完




多田李衣菜編終わりです!

チョロくて可愛い李衣菜ちゃん。この話の中でロックとは可愛いということで!←

お粗末様でした☆
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