デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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久川颯編

 

 アイドルになろうと思ったのは

 

 姉とセットじゃなくて

 

 自分ひとりを見てほしかったから

 

 別に姉と一緒にいるのは苦じゃないけど

 

 そこに自分ひとりを見てる人って

 

 いるのかなって前から思ってた

 

 でも不思議なもんでさ

 

 世の中ってほんっとに広いの!

 

 だって

 

 私だけを見ててくれる魔法使いが

 

 目の前にちゃんと現れたんだもん!

 

 ―――――――――

 

 私の名前は久川颯。14歳だけどアイドルやってる!

 まあ相変わらず双子の姉である"なー"とユニットも組んでるんだけど、私のファンも増えてるし、私だけのお仕事もいくつか来てるし、順調そのもの!

 

 でもアイドルである前に、私中学生だからさ〜。今はアイドルじゃなくて、中学生の久川颯だよ〜。

 

「ぅあ〜、彼氏欲しい〜……」

 

 んで、今お昼休みなんだけど、いつも集まってるクラスの仲良しグループの一人がいつものように彼氏ほしーアピールしてきた。

 

「あんたまたそんなこと言ってんの?」

「流石に飽きた〜」

「そういうのはなるようになるしかないと思うよ」

 

 もう一人の友達と私、それとなーで適当な返事をすると、彼氏ほしー友達は「中学生なんだから彼氏くらい欲しいの〜」って余計にひねくれた。

 

「あたしは別にいらないな〜。恋とか愛とかついこの前まで小学生だったガキに分かる訳ないし〜」

 

 んで、もう一人の友達は妙に冷めた返しをする。そんなこと言える時点でガキじゃないと私は思うけどね。

 

「あーあー、きーこーえーなーいー」

「わーお。聞こえないと言いながら、耳を塞ぐという謎行為。聞こえないなら耳を塞ぐ必要はないのでは」

「なーは鋭くツッコミ過ぎ……」

 

 なーはなーでいつも通りだなぁ。

 というか、こうしてると姉妹でアイドル活動してるとか忘れそうになるわ。当たり前の日常過ぎて。

 

「もうこのメンバーだと恋バナとか出来な〜い!」

「出来るメンツの時にすればいいでしょ〜? あたしはともかく、凪も颯もアイドルで恋愛なんてしてらんないんだからさ〜」

「だよね〜、まあ二人はやりたくてアイドルやってるんだからいいけど、恋愛出来ないってホント不便だよね〜」

「ま、まあね……」

「はーちゃんはともかく、なーは恋より応援する側が好きなので」

 

 ちょ、なー!? そんな風に言うと勘付かれちゃうじゃん!

 

「凪は確かに恋愛とか連想出来ないね〜。どっちかと言えば颯の方が陰で付き合ってそ〜」

「べ、別にそんな人いないよ!」

「そんなに強く否定しなくても分かってるって〜」

 

 はぁぁぁぁっ、焦ったぁぁぁぁぁっ!

 もうなーのやつ! 私とPちゃんの関係がバレちゃったらどうしてくれんのさ!

 

 そう、私は事務所に内緒で私専属のプロデューサーと彼氏彼女ってことで付き合ってる。

 理由はPちゃんだけが、私のことを私だけで見ててくれたから。

 

 小さい頃から何をするにもなーと一緒で、なーは何をやっても卒なくこなしてきた。

 まあ私の方が得意なものもあるし、私たちは私たちでお互いのことを理解してるから仲良しだけどね。

 

 でも私個人を好きになって欲しくてアイドルオーディションに応募したの。

 そこで私のことを一番に好きになってくれたのがPちゃん。

 今でこそなーとユニット組んでるけど、私の個性もちゃんと見ててくれたのがPちゃん。そんな人だもん、好きになるに決まってる。

 

 だからいっぱいいっぱい好き好きアピールしたし、なーに相談して色々と頑張って、半年前から交際をスタートさせたんだから。

 Pちゃんは33歳の大人で優しいし、落ち着いてるし、一緒にいて安心する。だから私が結婚出来るようになるまで、飽きられないように頑張るの!

 

 ―――――――――

 

「ってな具合でさ〜! ほんっとに焦った〜!」

「はは、そりゃ大変だったな」

「も〜、他人事じゃないよ〜? はーとPちゃんの関係が終わるところだったんだからね!」

「そうならないから凪ちゃんもそんなこと言ったんだろ?」

「そーだけどー! もっとPちゃんも焦ってよー!」

 

 学校も終わって、私はなーと一緒にいつものように事務所にやってきた。

 なーは相変わらず自分の担当Pとスタミナ作りのためにランニングに行ったんだけど、私は次のお仕事のことで別行動。

 でも私は大好きなPちゃんと二人きりだから、Pちゃんの膝の上に乗って愚痴を聞いてもらってるの。Pちゃん背が高いし、体格もがっしりしてるから背中預けると気持ちいいんだ♪ それに今はPちゃん専用オフィスだから邪魔者もすぐには入って来ないもん♪

 

「焦ったところでどうしようもないだろ? 逆にどっしり構えてる方がいいって」

「Pちゃんは大人だからそんなこと言えるの。はーはそんなこと思えないもん。Pちゃんと別れなきゃいけなくなったら嫌だもん」

「颯……」

「絶対に嫌だもん」

 

 そう言って私は余計にPちゃんへ体重をかけてイヤイヤアピールをする。

 だってホントにそれくらい嫌なんだもん。こんなにこんなに大好きなのに、私たちの関係が仕事だけになるなんて……。

 

「大丈夫だって」

「なんで?」

「もしそうなっても、俺はどんなに敵を作ってでも颯と別れないから」

「Pちゃん……」

「それくらい付き合うって決めた時から決心してるよ。どうなるかなんて分からないけど、俺たちは互いに望んで今の関係になってる。ならそれを終わらせるのは周りじゃない。俺たちだ」

「…………」

「俺は颯のことが好きだ。ずっと一緒にいたいと思ってる。颯もそうだろう?」

「うん」

「なら大丈夫じゃないか。バレたって世間では俺が悪く言われるだけだ」

「それはそれで嫌。Pちゃんが……大好きな人が悪く言われるなんてヤダ」

「でも別れないだろ?」

「そーだけどー!」

 

 もう、Pちゃんのそういうとこずるい。でも大好きっ。そんなPちゃんだから、私は離れたくないって思うんだよ?

 いつも私のこと優先で、自分のことはあと回しで……私のことを甘やかす天才なんだから。

 Pちゃん本人には言わないけど、家でなーにPちゃんは「ダメはーちゃん製造機」なんて言われてるんだからね。まあそれも私がPちゃんとメールしてるだけでふにゃふにゃになってるからなんだけどさ……。

 

「それよりも、仕事の話に移りたいんだが?」

「あ、ごめん。いいよ」

 

 お膝からは退かないけどね。

 

「じゃあ改めて……颯に届いた仕事なんだが、下着メーカーからのオファーなんだ」

「下着?」

「そ。ほら近頃は小学生からでも可愛い下着とか自分で探すだろ? そういうのもあるから、同じ年代のアイドルの子をモデルにしたいんだと。颯は凪と違ってバストがあるし、スタイルも中学生からすればずば抜けてるからな」

「なるほどー」

「仕事内容が内容なだけに断れることも出来るが、俺としては女性ファンを獲得出来るいいチャンスだと思ってる」

「ほうほう」

「それに中学生相手にメーカーも過激な下着なんて着けさせないからね。仕事を受ける場合は事前に着せるサンプル送ってくるらしいし」

「つまり、Pちゃんはその私の下着姿が見たいと……そういうこと?」

「んな下心持ってないよ。見たい時は自分からこれ着てって言うし」

「それはそれでどうなのさ……」

 

 まあ嬉しいし、Pちゃんのためならどんなえっちぃ下着も着てあげるけれども……。

 でもやっぱりPちゃんは大人だなぁ。下着云々で動じないもんなぁ。

 

「で、どうする?」

「やるー!」

「ん、了解。じゃあそういうことで進めるな」

「因みにPちゃんは何色の下着がお好み?」

「色なら青系。デザインはあまり気にしてない。今の颯みたいに黒ベースの白い縦縞パンツとブラでも、それはそれでいい」

「なんで知ってるの!?」

「凪ちゃんから体育の授業の着替えシーンの写メが届いたから」

 

 い、いつの間に撮ったのなー! ていうか、なんでPちゃんに送ってるのー!

 

「も、もしかして今までも?」

「いや」

「ほっ」

「送られてくるようになったのは、付き合った頃からだよ」

「今までじゃーん!」

「俺は大いに感謝してるよ」

「えっち!」

「下着の中まで見てないから断じてえっちではない。寧ろスタイルの確認が出来てプロデューサー視点の俺としては助かってる」

「見られた本人がえっちだって言えばえっちなの!」

「じゃあ、見せてって言えばいいのかな?」

「〜〜……か、可愛いの着けてる時なら……いいけど」

「じゃあ毎日可愛いの着けてね」

「えっちぃ!」

 

 男の人ってみんなこうなのかな? まあ、Pちゃんだからいいんだけどさ。今度なーと下着買いに行こ。

※因みにそうなったらなったで凪からPのところへ『今からはーちゃんがPちゃんのために下着買いに行くので、責任を持って見てやってつかあさい』とメールが届くことになるのを颯は知る由もない。

 

 ―――

 

 仕事の話が終われば私のやることもなくなったんだけど、なーもまだ帰って来てないし、Pちゃんとまだイチャイチャしたいから、私はまたPちゃんの膝の上にきた。

 それに仕事の話が終わったならあとは恋人らしくしててもPちゃんは何も言わないもんねー♪

 だから―――

 

「PちゃんPちゃん♡」

「んー?」

「私のこと好きぃ?♡」

「好きだよ」

 

 ―――なーが帰ってくるまで私はPちゃんとイチャイチャするの!

 

「どれくらい好きぃ?♡」

「いっぱい」

「100回好きって言うまで帰ってあげない♡」

「なら一生このままでいい」

「えー、そんなのダメェ♡ 100回好きって言ってぇ♡」

「言われたいだけかい」

「そんなの決まってるじゃん♡ はーちゃんPちゃんに好き〜って言ってもらうの嬉しいもん♡」

「若いってすごいね」

 

 むぅ、子ども扱いされた気がするぅ。恋人に愛を注ぐのは大切なんだからなぁ。

 するとPちゃんがそっと私の耳元に近寄ってきた。

 そして―――

 

「……好きだよ、颯」

 

 ―――耳元で愛を囁いてきた!

 これ恥ずかしいけど、すっごくゾクゾクして、すっごく気持ちいい!

 

「ふへへ♡ もっとぉ♡」

「好きだ、颯」

「ふにゃあ♡」

「はい終わり」

「えー!」

「この前みたいに粗相されちゃうと困るからね」

「あ、あれはっ……」

 

 あれは本当に不幸な事故だったの! Pちゃんの低音激甘ボイスで悩殺されて、色々と緩んじゃっただけなの!

 

「正直、もうブルッときてるでしょ?」

「…………はい♡」

「ほらね。颯は耳弱いから。この前耳掻きした時も足ピーンってなってたし」

「はぅ、それはぁ……Pちゃんが優しくするからぁ♡」

「デリケートなところなんだから丁寧にやるでしょ」

「でも、自分でするのとは全然違ったもん!♡」

「こら、誤解を招くような言い方をしない」

「だってホントだも〜ん!♡」

 

 Pちゃんのテクに私メロメロにされちゃったんだから!

 

「まあとにかくだ、もう終わりだよ。ほら、凪ちゃん帰ってきた」

 

 そう言うPちゃんが窓の外を指差すと、確かに事務所の前になーたちが戻ってた。なーは相変わらず辛そうにしてて、自分のPにおんぶさせようとしてる。

 

「もう、なーは相変わらずだなぁ」

「俺からすると颯も相変わらずだと思うけどね」

「?」

「俺の前では人一倍甘えん坊になるとこ」

「うぅ……それは大好きなPちゃんにだけだもんっ♡」

「はは、嬉しい限りだね。ほらほら、凪ちゃんの迎えに行ってあげな」

「はーいっ! 帰りは送ってってね! あとまたねのちゅうも!♡」

「はいよー」

 

 えへへ、これからもPちゃんといっぱいラブラブして、なーとアイドル頑張ろ!―――

 

 久川颯♢完




久川颯編終わりです!

元気っ子だけど実は内心不安を持ってる。そんなはーちゃんは恋愛すればこうなるかなと!

お粗末様でした☆
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