デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


藤居朋編

 

 いつからか

 

 占いが好きだった

 

 だって

 

 書いてある通りになるんだもん

 

 でも

 

 そんな自分にも

 

 今は占い以上に信じてる

 

 頼もしい存在がいるの

 

 きっとその人は

 

 運命の人なんだと思う

 

 ―――――――――

 

「うん、こんな感じかな♪ 今日のラッキーアイテムはハンカチで、ラッキーカラーは青! だから青いハンカチを持ってればオッケー!」

 

 あたしは早起きして、今日のために念入りに準備をしてる。日課のテレビの占いコーナーもちゃんとチェック済み♪

 だって今日は―――

 

「やっぱデートってなると気合入るんだねぇ」

「メイクもバッチリよ♪ 楽しんで来てね♪」

 

 ―――アイドル寮で同室の海ちゃんと雪那ちゃんが言うようにデートなの!♡

 

 もちろん、相手はあたし専属のプロデューサー! 因みに事務所に内緒でお付き合いして三ヶ月!

 あたしをアイドルにしてくれて、あたしをとっても幸せにしてくれる大好きな人♡ あんまりデートとか出来ないし、恋人らしくも過ごせないけど、プロデューサーのこと大好きだから全然辛くないよ!♡

 今日は久々に二人してオフだから、前からデートの予定を立ててたんだから♡

 

 当然、同室の二人はあたしとプロデューサーの関係を知ってて、いつもフォローしてくれてる。ユニットも同じだし、とても心強い味方なんだ♪

 

「えへへ、うんと楽しんでくるよ! なんかいいのあったらお土産買ってくるね!」

「別にいらないよ。というか、運気アップグッズ貰い過ぎて困ってるくらいなんだから」

「え〜、いいじゃん! その分運気アップするんだし!」

「でも〜、なんか"数撃ちゃ当たる"みたいな感じがするわよね〜」

「雪菜ちゃんまで!?」

 

 二人してひど〜い。二人のために毎回プロデューサーと一生懸命選んでるのに〜。

 

「ウチはそれよりお菓子がいい。美味しそうなのあったらそれにして♪」

「私もそれがいいなぁ♪」

「は〜い。分かりました〜。じゃあ行ってくるね〜」

 

 二人の要望を聞いてあたしが寮室を出ようとすると、海ちゃんに「あ、ちょっと」って呼び止められた。

 まだ何かあるのかなって思って振り返ると、

 

「これ、書いて提出していきなよ。どうせまだ書いてないんだろ?」

 

 外泊届を渡された。

 そういえば書いてなかった。

 って―――

 

「お泊まりする予定ないんだけど!?」

 

 ―――今日はデートだって言ってたじゃん!

 

「でもさ、毎回なんだかんだ言って泊まってくるじゃんか」

「書いておくことに越したことないから、書いて行きなよ♪ そうすれば門限なんか気にせずに、プロデューサーさんとイチャイチャ出来るでしょ?」

 

 くぅ、返す言葉がない! でもそうだよね。毎回結局プロデューサーと離れたくなくてお泊まりしちゃって、二人には迷惑掛けてるもん。素直に書いてこ。そんでもってお土産に色をつけよう。いつもこの二人にはお世話になりっぱなしだもん。あたしが一番年上なんだし、こういう時くらいお姉さんらしくないとね!

 

 ―――――――――

 

「それで遅くなったのか」

「う、うん……ごめんなさい」

 

 外泊届を書いてきたのはいいんだけど、実のところこういう時に書くのが初めてで、結局二人に手伝ってもらって時間掛かっちゃった。

 それで今は運転中のプロデューサーに謝ってるとこ。

 でも、

 

「僕は別に怒ってないよ。ただまた占いでラッキーアイテムとか気にして遅くなってるのかなって、そう思ってただけ」

「いつもすみません」

「大丈夫大丈夫。待つのもデートの醍醐味」

「ありがと♡」

「うん」

 

 プロデューサーはいつもこう。あたしがどんなに遅れてもプライベートでは怒らない。流石にお仕事やレッスンの時の遅刻とかはめっちゃ注意される。まあでも普通、遅刻厳禁だしあたしもしないようにしてるけどね。

 でもこういう風に仕事とプライベートのオンオフが出来るプロデューサーは尊敬するし、だから好きなのかも♡

 それにあたしと8つ歳が離れてるからなのか、いつも落ち着いてて安心するし♡

 

「それで今日のラッキーアイテムは?」

「えっとね〜、ラッキーアイテムがハンカチでラッキーカラーが青! だから青いハンカチ持ってきたの!」

「そうなんだ。青は朋ちゃんのイメージカラーでもあるし、ピッタリだね」

「えへへ、ありがと♡ 因みにプロデューサーのラッキーアイテムはオレンジで〜、ラッキーカラーは赤だよ〜♪」

「オレンジって持ち歩くものなの?」

「分かんない♪」

「ラッキーアイテムとかラッキーカラーとか、結局その占い師次第じゃないか。前なんて餃子とか言われたし」

「あはは〜、まあそれも占いの醍醐味ってやつだよ!」

 

 プロデューサーが言うように、確かに普通そんなの持ち歩かないよってやつとか、どの色なのってのもあるけどさ。そこも含めて占いはいいんだよ。プロデューサーは絶対に占い信じないけどね。この幸運体質め。

 

「まあなんだっていいよ、僕は。僕は朋ちゃんと出会えたことが最高の幸運だから」

「っ……そういうこと、マジで言うのやめてよ。恥ずい……」

「だって本当のことだからね〜。朋ちゃんのお陰で仕事も絶好調だし、朋ちゃんも朋ちゃんでトップアイドルの階段を駆け上ってるしね〜」

「そ、それはプロデューサーが優秀、だからでしょ? あたしだけだったら今みたいになれなかったよ」

「なら僕たちは出会うべくして出会えたって訳だ。これ以上の幸せはないね♪」

「うが〜! だからそういうこと言わないでよ! めっちゃ恥ずかしくて顔から火が出る!」

「え、見たい見たい。顔から火が出るなんて超常現象だもん」

「例え話って辞書で引け〜!」

 

 こんな感じでプロデューサーにめちゃくちゃからかわれつつ、あたしたちは目的地に到着した。

 

 ―――――――――

 

 プロデューサーとデートで来たのは、都内にあるパワースポットとして有名なお稲荷さんを祀ってる神社。

 実はもう何度も来てて、あたしは本気でここの力を信じてる。

 だってアイドルとして頑張ろうと決めてお参りしたのもここだし、プロデューサーの恋人になりたいってお願いしたのもここだもん。

 だから毎日は無理だけど毎月ここにお参りに来て、いつもありがとうございますって伝えてるの。

 

「………………」

「………………」

 

 お稲荷さん、今月は遅くなっちゃってごめんなさい。

 でも毎日幸せです。ありがとうございます。

 

 報告?を終えてあたしが目を開けると、隣にいるプロデューサーはまだ何かをお願いしてた。

 プロデューサーって占いは信じないけど、スピリチュアル系は信じてる方なんだよね。

 それは何年もの間人々に祀られてきたから、それだけ信じられるんだって。なら占いも信じてくれればいいのに。

 

「………………行こうか」

「うん♡」

 

 お願い事が終わったプロデューサーに手を引かれて、あたしたちは境内を散歩することにした。

 

 ―――

 

 都内でも結構境内は広いし、人も多い。まあちゃんと変装してるからあたしがアイドルだって気付く人もいないはず。

 そもそも今はプロデューサーと恋人繋ぎしてるし、こんなに堂々と手を繋いでるアイドルはいないもんね。

 

「えへへ、〇〇と神社デート〜♡ 幸せ〜♡」

「神様の前でイチャイチャしてたら罰が当たるかもよ?」

「え〜、浮かれるくらいいいじゃん。キスとかしてないもん」

「そうかな〜。あ、七福神」

「手を合わせないと!」

 

 あたしとプロデューサーは七福神の石像の前で手を合わせた。

 

「七福神って純国産なのは恵比寿様だけで、あとはヒンズー教や中国の道教から来てる神様なんだよね」

「へぇ〜、詳しいね」

「ほんの雑学程度だよ。因みに布袋尊様だけは実在した人物だよ」

「え、実在してたの!?」

「そうだよ。元は中国の戦国時代に諸国を放浪してた禅僧なんだ」

「ふぇ〜、すご〜いっ!」

「因みに因みにお地蔵様は菩薩様だからここいる七福神より地位が上なんだよ」

「すごいね〜……っていうか、どこでそういうの習うの?」

「ただ気になって調べただけ〜」

「そうなんだ……」

 

 プロデューサーって物知りだなぁ。あ、だからプロデューサー業出来るのか。頭良くないとプロデュースなんて出来ないもんね。それにプロデューサーみたいに好奇心旺盛じゃないとあたしみたいなのアイドルに出来ないし。やっぱり尊敬しちゃう。

 

「そろそろおみくじ引きに行く?」

「行く!」

 

 神社に来たらおみくじだよね♪ 今日は運勢も上の方だったし、ラッキーアイテムとラッキーカラーも準備してるし、いい結果なはずだもん!

 

 ―――――――――

 

「…………末吉」

 

 ぐはぁ〜っ、何故!? どうしてよ!? 今日の運勢はバッチリだったはずなのに!

 プロデューサーは―――

 

「末吉か〜」

 

 ―――あれ、珍しい。プロデューサーなら大吉かと思ったのにな。

 

「あはは、一緒だね。なんか嬉しいね」

「うぅ、そうだね……♡」

 

 そんなに真っ直ぐに言わると照れるんだけど……ていうか、末吉引いたのにあたしまで嬉しくなっちゃったじゃん!♡ やっぱりプロデューサーってあたしを幸せにしてくれる天才なのかも♡

 

「待ち人"既にあり"……恋愛"このままで良し"……だって! 朋ちゃんは?」

「え〜と……待ち人"近くにあり"……恋愛"素直になるが吉"……だって」

「悪くないね♪」

「う、うん……♡」

 

 他の項目も特に悪くはないから良かった。今月はこのおみくじ通りに生活を心掛けよう。プロデューサーから教えてもらったけど、おみくじってどんな結果だったにせよ、結んでも持って帰ってもいいんだって。

 だからあたしはそれを聞いてからは持って帰ることにしてる。

 

「それじゃあ、早速」

「? 何が早速なの?」

「朋ちゃんの素直なお返事が僕は聞きたいなぁ」

「だから何の?」

「今夜、僕の部屋に泊まってくれる?」

「っ」

 

 そうきたか……プロデューサーめ!

 

「睨まないでよ〜」

「睨んでないもんっ」

 

 むぅ、別にそんなこと言わなくたって分かれし! というか、分かってて訊いたパターンだよね、これ!

 でもあたしはプロデューサーからキラキラ目で見つめられたら、答えは1つしかない。

 

「……泊めてくれなきゃ、泣いて寮に帰るから……♡」

「それは嫌だなぁ。ならこれまで通り、ご招待するね♪」

「うん……〇〇、好き♡」

「僕も朋ちゃんが好き」

 

 結局いつものパターンだったあたしたちだけど、これでいいと思う。だって幸せなのは変わらないもん♡

 このあとはプロデューサーと海ちゃんたちのお土産を近くのケーキ屋さんで買って(あたしたちが食べる分もね)、そのままプロデューサーのマンションにお泊まりして、いっぱいラブラブした♡―――

 

 藤居朋♢完




藤居朋編終わりです!

今回はシンプルに神社でのデートにしました!

お粗末様でした☆

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