デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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北条加蓮編

 

 小さい頃から体が弱くて

 

 病院にいることが多かった

 

 友達も出来なくて

 

 生きててつまらなかった

 

 そんな私でも

 

 今は大きな夢を

 

 これでもかってくらい

 

 頑張って追い掛けてる

 

 私をそうさせたのは

 

 不思議な魔法使いさんのせい

 

 ―――――――――

 

『みんなー! 来てくれてありがとー!』

『あたしたちのこのライブは次の曲でホントに最後だけど!』

『またライブやイベントで会えるの待ってるから!』

 

 ワァァァァァッ!

 

『『『鮮やかな色纏う波紋は〜♪』』』

 

 ワァァァァァッ!!!!

 

 ―――――――――

 

「お疲れ、加蓮。肩貸すよ」

「ありがと、凛」

「ほら、しっかり掴まれ」

「奈緒もありがとね」

 

 私はこの二人と組むユニット"Triad Primus"で単独のドームライブを成功させた。

 前の私ならこんなのすぐにへばってただろうけど、私もこの二人と成長してきたし、今回はアンコールにも応えることが出来た。

 流石にもうガス欠。二人の肩に支えられてないと歩けないや。

 でも―――

 

「三人ともお疲れさん。加蓮は俺が運ぶよ」

 

 ―――こういう時は必ず私専属の大好きなプロデューサーさんが駆け付けてくれるの♡

 

「プロデューサーさん……ありがと♡」

「おぉ、よく頑張ったな」

 

 プロデューサーさんはニカッて感じに笑ってそう言うと、私をお姫様抱っこして控室まで運んでくれた。

 

 ―――

 

 言い方が悪いかもしれないけど、私をアイドルにした大バカ者がこのプロデューサーさん。

 これまで何をやっても最後まで出来なくて、その現状に甘んじてた私。

 そんな私を本気でアイドルにしようと努力して、私を焚き付けた人。

 

 でも今はとても感謝してるし、本当に大好きな人。

 だからこの大きなライブの2日前に告白して、オーケーもらって、最高の気分でライブ出来たし、最高の気分でプロデューサーに身を委ねてる。

 

 まあアイドルとプロデューサーだからさ、公には出来ないんだ。でも凛や奈緒、他にもアイドル仲間の子たちには味方になってもらってる。

 

「プロデューサーさん……」

「ん、どうした?」

「コーラ飲みたい」

「控室に着いたらな」

「ポテトもある?」

「デリバリーしてもらってたからあるぞ」

「えへへ、やった♪」

 

 いつもならジャンクフードは止せって注意してくるのに、こういう時は甘やかしてくれる。プロデューサーさん的には頑張った私へのご褒美ってことなんだろうけど、今の私は余計に浮かれちゃう。

 だって恋人同士になったばっかだもん。彼氏からのご褒美ってことじゃん? そんなの嬉しくて、幸せで……最高じゃん♡

 

 ―――――――――

 

「ほら」

「あ〜……んっ♡」

 

 ん〜、このライブ後に食べるポテトって最高♪ しかもプロデューサーさんが甲斐甲斐しく食べさせてくれるから、更に美味しい♡

 

 普通ならこんなこと出来ないし、してくれないけど、今は特別だもんね♪

 

「なんか壁殴りたくなってきた……」

「私は加蓮が幸せならいいと思うけど?」

 

 奈緒の顔が引きつってる気がするけど、なんでだろう? というかシャドーボクシング?みたいなことしてるし、やっぱ奈緒は体力あるんだなぁ。

 

「プロデューサーさん、あ〜♡」

「ほいほい」

「あむあむ♡」

 

「うにゃらうにゃ〜!」

「奈緒、落ち着きなよ」

 

 なんか奈緒、すっごい叫んでる。ライブ終わったあとでまだ興奮気味みたい。

 てか、凛は珍しくブラックコーヒー飲んでるし。

 やっぱ大きなライブを成功させたからかな?

 

「あ〜♡」

「ほいほい」

「あむあむ♡」

 

「なぁ、お前らさ〜」

 

 奈緒に声をかけられた私とプロデューサーさん。

 なんか怒ってる?

 

「どうしたの、奈緒?」

「どうしたのじゃねぇよ! なんなんだよ! 控室に入って先ずすることが『あ〜ん』って! ここあたしと凛もいるんだからな! 二人の世界じゃないからな!」

「え、だってポテト食べたいもん」

「一人で食えるだろ!」

「腕上がんなくて……」

「だからって食わせてもらうな! 見てるこっちが場違いみたいになるじゃんか!」

「何言ってるの、ここ私たちの控室だよ?」

「んなの知ってるんだよぉぉぉぉぉっ!」

 

 変な奈緒。いつもは優しいのに、テンションがおかしい。

 

「奈緒、今の加蓮に何を言っても無駄だよ。幸せの絶頂にいるんだから」

「ぐぬぬ……」

 

 すると控室のドアがノックされて、凛と奈緒のプロデューサーさんたちが入ってきた。

 本当なら私とプロデューサーさんも行かなきゃいけないんだけど、私が動けないから四人でスタッフさんたちやスポンサーの人たちのところに挨拶しに行ってくれた。

 

「どうだ、体の具合は?」

「うん、ちょっとは楽になったよ」

「でもまだ顔が赤いな」

 

 プロデューサーさんは心配そうに私の額に手をあてる。ライブで体が火照ったせいなのか、具合が悪いからなのかは分からないけど、プロデューサーさんの手はひんやりしてて気持ちいい。

 

「プロデューサーさんの手……冷たくていい感じ♪」

「恋人がこの調子だからな。こっちは血の気が引いてるんだ」

「あはは、相変わらず心配症だね」

「なんとでも言え」

「でも心配してくれて嬉しいよ……ありがと♡」

「ふんっ」

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 プロデューサーさんは私より12歳年上の人。

 だからいつも私なんかより冷静だし、頼りになる人。

 

 でもプロデューサーさんは小さい頃に母親を難病で亡くしてる経験があるの。

 そのせいなのか、私が初めて倒れた時は必死に看病してくれたし、迅速に救急車も呼んで自分に出来る処置も施してくれた。

 結果すぐに退院出来たんだけど、その時に言われた言葉は今でも鮮明に覚えてる―――

 

『大切な人が亡くなる経験なんて、出来ることならもうしたくない。加蓮には長生きしてもらわないと嫌だ』

 

 ―――って。

 多分、そのせいで私は「あぁ、この人を悲しませたくないなぁ」って思って、何事にも無理せずにひたむきに取り組むことが出来たんだと思う。私って意地っ張りだし♪

 

 だからなんだと思う。私がここまでプロデューサーさんと歩めて来れたのは。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

「プロデューサーさ〜ん、私、帰りたくない〜」

「何わがまま言ってんだ。早く帰って休むんだよ」

「それが嫌だから言ってるの〜!」

 

 私が自分の脚で立てるくらいになってから、メイク落としとか済ませて現地解散して、今はプロデューサーさんに家まで車で送ってもらってるとこ。

 あ、もちろん私たちの分まで挨拶してくれたみんなにはお礼言ったし、凛と奈緒には今度ポテト奢る約束したよ。

 でも私はもう回復しちゃったからさ、このまま帰るのは嫌だなぁってなってるの。

 まあ、私の体のことを心配してくれてるプロデューサーさんの気持ちも嬉しいんだけどね。

 

「私〜、今、気分がいいの〜。だからもっとプロデューサーさんと一緒にいたいの〜」

「それはダメって言ってんの。今は回復したからそうなってるだけで、少ししたらまた疲れが出る」

「だ〜か〜ら〜、その疲れをプロデューサーさんが癒やして♡」

「ポテト食わせてやったろ」

「い〜や〜! ちゃんと甘えたい〜!」

 

 だってプロデューサーさんは私の恋人なんだよ? だったら疲れてる彼女を癒やすのって当然じゃん。

 

「ったく……人の気持ちも知らないで」

「ちゃんと知ってるもん。プロデューサーさんが私のこと大大だ〜い好きだって」

「んな小っ恥ずかしいこと言うな。それとこれとは今は違うんだよ」

「むぅ……プロデューサーさんの意地悪」

「意地悪で結構。こっちは彼女の体を心配してるだけだからな」

「む、むぅ……♡」

 

 なんか負けた気がする。不覚にもドキッとした。

 でもさ、本当にこのまま帰るのは嫌なの。

 せっかくドームでのライブが成功したのに、プロデューサーさんのために頑張ったのに……。

 

「…………はぁ、ちょっと寄り道する」

「え?」

「すぐそこのワクドナルドにドライブスルーあるから、そこでポテトと飲み物買うって言ってんの」

「ホントっ!?」

「ただし車の中で食えよ?」

「うんっ♡ プロデューサーさん、大好き!♡」

「ふんっ」

 

 ―――――――――

 

 商品を受け取ったあと、プロデューサーさんは近くのデパートの地下駐車場に移動して、そこで車を停めた。

 ここのデパートの地下駐車場はただ停めるだけでも安く済むんだって。

 

「ほい」

「あむあむ♡」

「本当、美味そうに食うな」

「んぅ?♡」

「っ……ポテトだよポテト」

(上目遣いすんなよ……ドキッとすんだろ)

 

「ごくん……だって好きだもん♪ それにプロデューサーさんが食べさせてくれるし、恋人らしいから♡」

「もう30目前のオッサンには、こういう甘酸っぱいのキツイんだよ……」

「大丈夫だよ♪ プロデューサーさん若く見えるから♪」

「そういう問題じゃなくてよ……」

「そういう問題なの。それに私が好きでプロデューサーさんの彼女にしてもらったんだからいいじゃん♡」

「うぐっ」

(恋人が眩しい……)

 

 プロデューサーさんは変なとこ気にするよね。私には『変なとこ気にすんな。気にしたら身体に毒だ』っていつも言うくせに。

 それとも私が彼女だから気にしてるのかなぁ。だったらショックかも……。

 

「加蓮はさ」

「?」

「本当に俺にはもったいないくらい、可愛い彼女なんだよ。眩しいくらい輝いてて、いつもキラキラした笑顔を俺に向けくれてて」

「だってプロデューサーさんのこと大好きだもん……」

「それ、そういうストレートなのがさ……なんつうか、むず痒いんだよ」

「嫌?」

「嫌とかじゃなくて……あ〜、だからさ! 年甲斐もなくドキドキしてる自分がアホみたいに思えるんだよっ!」

 

 ? それの何がいけないの? 私はプロデューサーさんが私でドキドキしてくれてるの嬉しいんだけど?

 

「アホでいいじゃん。私しかそんなアホなプロデューサーさん知らないんだもん」

「っ!?」

「みんなが知らないプロデューサーさんのこと、私しか知らないって特別ってことでしょ? そんなの嬉しいだけじゃん♡」

 

 私が感じてるままを言葉にすると、突然プロデューサーさんに抱き締められちゃった。初めてこんなに力強くギュッてされちゃった♡ 嬉しくて、心臓の音が煩くて、プロデューサーさんに聞かれるかもって思うとなんか照れちゃうな♡

 

「どうしたの、プロデューサーさん?♡」

「……るせぇ」

「プロデューサーさんなりの大好きって表現?♡」

「うるせぇって」

「私もプロデューサーさんのこと―――」

 

 ―――大好きって言いたかったのに、プロデューサーさんが言わせてくれなかった。

 だって、

 

「―――ん、ふぅ……ちゅっ、ん……ちゅぷ、ふ、ぁ……♡」

 

 プロデューサーさんにキスで口封じされちゃっから。

 

「……プロデューサーさん♡」

 

 目と目が合うと、なんだか言葉以上の何かが伝わった気がして、私は体中にビリビリと甘い衝撃が走った。

 

「少し黙れ」

「や♡」

「黙れって」

「ん、ふぅ……ちゅっ、ちゅぅ……やらぁ♡」

「はむっ……ん、ちゅっ……だはれお」

「んむぅっ!♡ ん、ちゅぷ……やらぁ、もっと……むふぅっ、ちゅっ、ぢゅるる……、してぇ♡」

 

 黙りたくない。だってそうすればプロデューサーさんはキスしてくれるんだもん。絶対に黙ってなんかあげない。

 

「調子乗んな」

「ぁ……むぅ」

「これ以上はまた今度な」

「それっていつ?」

「いつか」

「五日は来月なんだけど?」

「ならそう思ってろ」

「じゃあそれまで期待してるぅ♡」

 

 今回はこれで終わりだった。残念だけど、車の中だしね。やっぱ初めてはちゃんとした場所かプロデューサーさんのお部屋とかがいいし♡

 でも来月の五日までただ大人しくしてないよ、私は。

 だってプロデューサーさんのこと大好きだもん♡―――

 

 北条加蓮♢完




北条加蓮編終わりです!

私の中で加蓮ちゃんは上位に入るアイドルなので、たくさん妄想を垂れ流しました!

お粗末様でした☆
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