デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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一部顔文字が入ります。
転校して上京してる設定で書きます。


一ノ瀬志希編

 

 最初はただの気まぐれだった

 

 退屈な授業をサボって

 

 宛もなく適当に街歩きして

 

 そこで気になるニオイがした

 

 私の勘が

 

 第六感が

 

 逃がすなって言ってた

 

 それが私の運命の出会いだった

 

 ―――――――――

 

「うぁ〜ん、疲れた〜」

「地獄だった〜」

「私も流石に今回のレッスンは疲れたわ〜」

「美嘉がそれだけ言うなら、志希ちゃんがへばってるのも頷けるわね」

「………………」

 

 私、一ノ瀬志希は死んだ。

 LiPPSの単独ライブを明後日に控え、今日は本番前の最終レッスンで鬼トレーナーのヘルコースだった。

 志希にゃんは体力のない、か弱い子なんだぞ?

 あ〜、マイオアシスは何処へ〜……。

 

 ガチャ

 

「レッスン終わったみたいだな。お疲れ、これ差し入れのアイスだぞ」

 

 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 マイオアシス発見! レッツゴー!

 

「キミ〜、遅いよ〜! カワイイカノジョを放っておいて何処行ってたの〜!」

 

 ハスハス……ん〜、やっぱりキミのニオイはサイコー!♡

 

 あ、この人は一年前くらいから私の専属プロデューサーになったプロデューサー。

 出会ったのはもっと前なんだけど、私はこの人のニオイにビビッと来てアイドル活動するようになったの。

 放浪癖とかあるから最初の頃は色々と迷惑掛けてたけど、どんなに離れてても私はまたこの人のニオイを嗅ぎたくなって戻って来ちゃうんだよね〜♪

 

 そんでそんで、アイドルとプロデューサーだけど彼氏彼女ってことで半年前から付き合ってま〜す♡

 まあ最初は手っ取り早く惚れ薬とかで私のモノにしようとしたんだけど、これがなかなか上手くいかなくってね〜。

 だから私としては初めて小細工なしで頑張った!

 

 ……本当にこの人から愛されたかったから

 

 私もここまで人を好きになったことってなかったから、自分でも驚いてる。

 でもアイドルという分子がプロデューサーという原子と結合することでそこに化学反応が起きて輝き出すように、私もこの人だから反応したんだと思うんだよね。

 だから私はこの人が大好き……理論も方程式も何もかもすっ飛ばして、大好きなの♡

 

「ちょ、志希! 何してるんだ!?」

「恋人に抱きついてハスハスしてる!♡ 何も問題ない!♡」

「人前だろうが!?」

「みんな私たちの関係は知ってるからヘーキヘーキ♡」

 

 今ここにいるみんなにはこの人を私のモノにする時に協力してもらったからね。

 だから気兼ねなくハスハス出来るってワケ!♡

 

 むはぁ、このニオイよ、このニオイ♡

 私の鼻孔をこれでもかって刺激して、全身にバチバチと電気を走らせて、なんとも言えない快楽を与えてくれる♡

 もうダメ、嗅いでるだけで私の瞳孔が開いて、もっともっととこの人を求めちゃう♡

 

「キミ……ねぇ、キミ〜♡」

「な、なんだy――」

「――しゅき〜……はむっ♡」

「んむぅ!?」

 

 だから私はこの人の唇と舌を貪る。

 味覚から伝わる好きな人の味……そして唾液のニオイと私のと絡まった濃厚なニオイ。

 あぁ、好き……好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き♡

 

「んが〜! イチャつくならよそでやれ〜!」

 

「うわぁ!?」

「はきゅんっ」

 

 チッ……美嘉に止められた。私のサイコーの補給時間を……。

 

「コロスッ」

「ひっ!?」

 

「友達をそう簡単に殺すなっ」

「あてっ」

 

 むぅ、チョップされた〜。

 私との時間を邪魔されたのに、どうして美嘉の方を庇うのワケ〜?

 

「ふふっ、相変わらず今日も二人のキスは情熱的ね」

「今はあたしらしかいないから別にいいけどさ〜、外では程々にしてよね〜」

「でもシッキーなら記憶とか消しちゃう薬作ってなかったことに出来ちゃいそー」

 

 ん、その手があったか!

 流石はフレちゃん!

 

「おい、絶対やるなよ? 絶対にだ」

「それはフリってやつ? ダーリン?♡」

「フリでもなんでもない!」

「きゃうっ」

 

 うぇーん、またチョップされたー!

 私の脳ミソは繊細なのにー!

 

「ほらほら、夫婦漫才はそろそろにしてアイス食べようよ〜」

「そうそう、これまでのくだりでいい具合に溶けて食べ頃だし☆」

 

 シューコとフレちゃんがそう言うと、みんなでアイスに群がる。

 むぅ、なんかいい具合に流された感があるけど、私もアイス食べたいからやめてあげよう。

 

 ―――――――――

 

 レッスン後のアイスタイムも終わって、シャワールームへ行ってみんなでシャワー浴びて、元の服に着替えた私たち。

 私以外のみんなは明後日に備えて好きなことしにそれぞれの担当プロデューサーたちとレッスンスタジオをあとにしていく。

 そして私はというと―――

 

「これで誰にも邪魔されずにイチャイチャ出来るね、ダーリン♡」

 

 ―――誰もいないレッスンスタジオの更衣室で待ちに待ったプロデューサーとのイチャイチャタイムに突入!♡

 だってこれから私だってオフだもんね〜♡

 オフはもうアイドルなんてやんなくていいから、好きなだけハスハス出来るもんね〜♡

 

「悪い、俺はこれからライブ会場に行って打ち合わせなんだ」

 

 ガーーーンッ

 

「私とお仕事どっちが大切なの!?」

「両方だ。俺は志希が大切だから仕事をしてる」

「…………そういう答え方ズルくな〜い?」

「そう思うならズルいかもな。でも俺は欲しいものは無理してでも手に入れる主義なんだ」

「っ♡」

 

 ズルい……ホントにズルい……♡

 何も言い返せないじゃんか♡

 あとで好きなだけハスハスさせてもらお♡

 

「俺は打ち合わせだけど、志希は下見ってことで付いてくるか?」

「え?」

「一緒に行きたいって志希の体がそう言ってるからな」

 

 そう言うとプロデューサーは下の方へ目配せする。

 私もそこを見ると、私の手が彼のスーツの上着の裾を掴んでた。

 どうしてこういうとこの観察眼は鋭いんだろうなぁ……ますます好きになっちゃう♡

 

「じゃあ、私も連れてって♡」

 

 だから私は素直に彼の左腕に抱きついておねだりした。

 するとプロデューサーは私の頭を軽くポンポンって叩くように撫でて応えて、そのまま連れてってくれた♡

 ホントそういうとこ好き♡

 

 ―――――――――

 

「おや、一ノ瀬さんもお連れしたんですか?」

「はい、彼女には下見させようと思いまして」

 

 ライブ会場に着くと、ディレクターとかアシさんとかたくさんの人がプロデューサーを待ってた。

 

「なるほど、良い心掛けですな。今回はあなたがプロデュースするライブですし、メインとなる人物が参加するのも大切ですしね」

「ありがとうございます」

 

 このディレクターってプロデューサーとはまた違うニオイがするんだよね。いい意味で。

 プロデューサーと結構一緒に仕事してきてるらしいし、お互いに仕事しやすいのかも。

 てか次のライブってLiPPSでのライブなのに私メインなんだ……恋人補正ってやつかな?♡

 なら私も頑張ってその期待に応えてあげますか……勿論それ相応のご褒美ももらうし♡

 

「ここがメインとなる特殊ステージです」

「いいですね……五方向に伸びたランウェイも」

「それぞれが向こうのポップアップから登場し、歌いながら中央へ集まるという形ですね」

「理想の形です」

「いえいえ、元々はあなたの発案ですしね。私はそれを実現したまでです」

 

 うわぁ、なんかド派手なライブになりそ〜♪

 

「一ノ瀬、良かったらちょっとポップアップテストして、こっちに走ってきてくれないか?」

「オッケー♪」

「スタッフの方でのテストは十分にしましたが、お気をつけて」

「は〜い、ありがとうございま〜す♪」

 

 まさかテストさせてくれるなんてね♪

 楽しみ〜♪

 

 ―――――――――

 

「カウント始めまーす! 5、4、3……、……」

 

 ドーンッ

 

「よっと♪」

 

 思ったより飛ばないな〜。

 まあステージ衣装はスカートだし、ブーツ履くし、これくらいが丁度いいのかな〜?

 でも、みんなドバーンって感じに登場したいと思うんだよね〜。

 ちょっと言ってみよ。

 

「プロデュ〜サ〜」

 

「ん、どうした?」

 

「もう少し勢い良く飛ばした方がいいと思うよ?」

「やっぱり一ノ瀬もそう思うか?」

 

 おりょ? もしかして同意見?

 さっすが私のダーリン♡ 

 ア・イ・シ・テ・ルー♡

 

「しかし、ブーツにミニスカートではあれくらいしか……」

「ちょっと待ってください」

 

 ディレクターにそう言うと、プロデューサーは何処かに電話をし始めた。

 このタイミングなら衣装変更かな?

 

「……はい……はい、そういうことでお願いします」

 

 電話が終わると、

 

「衣装さんの方と話がつきました。ブーツはブーツでもローファーに変更し、ミニスカートは膝上丈にして、それに合うスパッツを着用してもらいます」

 

 変更点を伝える。

 

「了解しました。では今、パワー調整しましょう」

「お願いします」

 

 こんな感じでプロデューサーとディレクターは私の意見も取り入れながら打ち合わせしていった。

 私もいろんなを事前に見れて楽しかったよ♪

 

 ―――――――――

 

 そしてその帰り。

 私はプロデューサーの運転でアイドル寮に戻ってる。

 

「ねぇねぇ、ダーリン」

「なんだ?」

「このまま私を寮に帰しちゃうの?」

「そのつもりだが?」

「帰りたくないって言っても?」

「そうだ」

 

 即答っ!?

 

「むぅ、彼女のお願いなのに〜?」

「そうだ」

 

 またも即答っ!?

 

「明日オフだよ?」

「そうだな。でも俺は仕事だ」

「なら私が朝まで癒やして―――」

「―――もらう必要はない。心遣いありがとう」

 

 ぐぬぬ……今まで色んな実験して来ちゃってるからこういう時のガードはかなり硬い。

 というか、ダーリン真面目過ぎ……まあ、それだけ真剣に私とお付き合いしてくれてるんだろうけど、やっぱり寂しいよぅ。

 

「明日な」

「え?」

「だから、明日……午後に寮まで迎えに行くから、それから癒やしてくれ」

「デートのお誘い?♡」

「どうとでも取れ」

「にしし、相変わらずダーリンは不器用だねぇ♡ 素直にデートしたいって言えばいいのに〜♡」

「彼女が欲望に忠実過ぎるから、俺の方はこれくらいでいいんだよ」

「じゃあ、そういうことにしてあげる♡」

 

 もう、ダーリンてば♡

 やっぱり私のこと好き好きで仕方ないんだから♡

 

「明日はいっぱいイチャラブしようね、ダーリン♡」

「嫌って言ったって無理だろ?」

「にしし〜、どうかにゃ〜ん?♡」

「…………楽しみにしてる」

 

 ドクンッ♡

 

 なんでそこでそんな嬉しそうに言うかなぁ。

 明日まで我慢出来なくなっちゃうじゃん!

 

「ね、ねぇダーリン?♡」

「はい、到着。んじゃ、明日な?」

「雰囲気壊さないでよ!」

「……ほら、これ」

「ダーリンの上着?」

「明日まで貸しとく……だから、今日は本当にこれで勘弁してくれ。打ち合わせだってあんなに付き合ってくれたんだ。今日はゆっくり休め」

「ダーリン……♡」

 

 そこまで考えてくれてたんだ……どうしよう、嬉しい……幸せ♡

 

「じゃあ、最後にキスして?♡」

「長くな」

「うん♡」

 

 そのあと、私は暫くの間プロデューサーとキスして、その日は大人しくバイバイした。

 でも次の日の午後からはプロデューサーのマンションでたくさんたくさんイチャイチャラブラブハスハスしたっ!♡―――

 

 一ノ瀬志希*完




一ノ瀬志希編終わりです!

恋人になってもしきにゃんは押せ押せだと思うのでこんな感じにしました♪

お粗末様でした☆

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