デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


水木聖來編

 

 ダンスが好き

 

 高校の頃からやってて

 

 いつかステージに立つのが

 

 夢だった

 

 大人になって

 

 その夢は諦めかけてたけど

 

 そこに現れた

 

 一見普通そうな人のお陰で

 

 もう一度頑張ろうと思えたの

 

 ―――――――――

 

「お疲れ、聖來〜」

「うん、お疲れ、沙理奈。疲れたけど楽しかったね♪」

「楽しかったね〜♪ ファンも私のボディにメロメロだったし♪」

「あはは、相変わらずね〜」

 

 アタシとユニットを組む沙理奈はライブを終えて控室に戻ってきた。今日はいつもより広いライブハウスだったから最初は緊張したけど、始まっちゃえば楽しくやることが出来た。アタシの見せ場だったソロのブレイクダンスのとこもかなり盛り上げることが出来たし、アンコールも貰って本当に楽しかった。

 

「聖來はこれから専属プロデューサーと打ち上げ?」

 

 着替えながら沙理奈に訊かれたアタシは、いきなりのことで肩を震わせる。

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 アタシはアタシをステージに立たせてくれた、アタシがダンスをするステージを用意してくれた、自分のプロデューサーさんと付き合ってる。事務所には内緒ね。

 アイドルとその専属プロデューサーがなっちゃいけない関係なのかもしれないけど、プロデューサーさんはアタシにとって恩人だし、彼がいなかったらアタシは多分実家に帰るか、興味もない仕事をしてたと思う。

 

 プロデューサーさんは自分のことを『平凡なサラリーマンだ』って言うけど、23歳のダンスが人よりちょっと踊れる程度の子をアイドルにしたんだから平凡なんて当て嵌まらない。

 現にここまでなったのも、彼の手腕によるものだし、誇っていいと思う。

 

 プロデューサーさんはアタシが抱える漠然とした不安を簡単に振り払ってくれたの。

 

 大人なのに夢見ていいのか

 もっと堅実に生きなくていいのか

 本当にこのままでいいのか

 

 色んな不安がデビュー前からアタシにはあった。

 でもプロデューサーさんはハッキリとアタシに言ってくれた―――

 

『その不安を晴らすのがプロデューサーだ。俺だって人生を懸けてプロデュースしてる。だから信じてほしい』

 

 ―――こんなこと言われて、惚れるなって言う方が難しくない?

 だからアタシはアイドルをやって行けてて、プロデューサーさんともいい関係を築けてるんだと思うの。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 ただまあ、アタシって表情に出やすいから沙理奈には前からバレバレだったんだよね。よくそれでからかわれてたっけ。

 でも付き合うことになったのは沙理奈が背中を押してくれたからってのもあるから、感謝はしてる。未だにプロデューサーさんのことをネタにアタシをからかってくるのは止めてほしいところだけどね。

 

「おっ、その反応……今夜はイチャイチャするのかな?」

 

 にやにやしてアタシを見る沙理奈。そうですよ。どうせ打ち上げという名目でアタシはこれからプロデューサーさんのマンションに行って、恋人らしくイチャイチャして来ますよ。明日はアタシもプロデューサーさんもオフだし、満喫して来ますよ。

 

「うるさいなぁ……ダメなの?」

「別に〜? ただあんだけ恋煩いしてたのに、くっついちゃえば展開が早いな〜って思って♪」

「だ、だって好きなんだもん……ずっとこうなるのが夢だったんだもん」

「あはは、聖來可愛い〜♪ こりゃ聖來のプロデューサーも我慢出来ない訳だわ♪」

 

 おかしそうに笑って言う沙理奈だけど、本当に彼女にはお世話になったし、本当に友達として支えてもらってきたから睨みつけることしか出来ない。

 

「そういえば前々から気になってたんだけど、二人が揃ってるとわんこはどうしてるの?」

「え、普通にアタシとプロデューサーさんの間に座ってるよ?」

「……それ、もう恋人って言うか夫婦の域じゃん」

「そ、そんなことないよ! それにわんこだってずっといる訳じゃなくて、アタシたちがいい雰囲気だと空気読んでくれるもん!」

「何ムキになってるの? 別に悪いだなんて言ってないでしょ? 夫婦みたいに寄り添ってる仲なんだねって言ってるだけじゃん」

「だ、だからそんなこと……」

 

 恥ずかしい。顔が熱くて、自分でも真っ赤になってるのが分かる。

 というか、わんこってプロデューサーさんにめっちゃ懐いてて、アタシのマンションに彼を呼ぶとずっと彼の膝の上に頭乗っけてリラックスしてるんだよね。アタシはそれが羨ましくて、ちょっとだけ嫉妬してたりする。

 

「はいはい、分かった分かった。とりあえず着替え終わったならメイク落として出ましょ。プロデューサーたち待ってるだろうし」

「え、あ、うん」

 

 沙理奈のせいでアタシは着替えどころじゃなかったから、ちょっといつもより時間掛かっちゃった。

 でもアタシと沙理奈が各プロデューサーさんたちが待ってるライブハウスの裏口に行くと、いつもの優しい笑顔で出迎えてくれて、アタシはそれだけでとても嬉しい気持ちになった。

 

 ―――――――――

 

 それからアタシは予定通りプロデューサーさんのマンションにやってきた。あ、もちろんわんこはペットホテルに預けてる。ロケでアタシが帰れない時とか今回みたいにアタシがプロデューサーさんと恋人らしく過ごしたい時は預けてるの。

 でもだからってわんこのことを蔑ろにしてる訳じゃない。プロデューサーさんだってわんこのことを気にかけてくれて、わざわざわんこと一緒にってドライブデートとかピクニックに連れてってくれる。だからわんこもプロデューサーさんにとても懐いてるんだと思う。接し方が分かってるって言うのかな? まあプロデューサーさんって犬好きだからそういうのも伝わってるのかも。

 とまあ、そんな具合でアタシは何も心配せずにプロデューサーさんと過ごせるって訳。

 

「プロデューサーさ〜ん♡」

「どうした?」

「えへへ〜、やっと二人っきりだね♡」

「はは、なんだよ、可愛いこと言いやがって」

 

 アタシの言葉にプロデューサーさんは笑ってそう言うと、手の甲をアタシの頬に持ってきて軽く撫でてくる。わんこにもこうやって触るんだけど、こうするのが癖なのかも。

 でもアタシはこうされるの好き。だからアタシはその手を取って、今度は自分から彼の手の甲に頬を擦り付ける。するとプロデューサーさんの目は更に細くなるの。

 

「可愛いよ、聖來。愛してる」

「アタシもプロデューサーさんのこと愛してる♡」

 

 "愛してる"なんてプロデューサーさんと付き合うまで、言ったことも言われたこともなかった。けど、言ってみると幸せになるし、言われても幸せになる。これを教えてくれたのもプロデューサーさん。

 プロデューサーさんはアタシより10歳上だから言い慣れてるのかとも思ったりしたけど、実はアタシが初めての相手なんだって。それを聞いた日の夜はずっとにやにやしてた。

 

「そういえば、この日のためにメロン買っておいた。もう食べるか?」

「ホント? 食べる食べる!」

 

 アタシが即答すると、プロデューサーさんはアタシの頬をもう一度優しく撫でてキッチンに向かった。

 

 アタシは茨城県が地元。最近では有名だけど、茨城県はメロンを一番作ってるとこなの。北海道のメロンも有名だけど、茨城県のメロンだって負けてないんだから♪

 

「ん〜、美味しい〜♪」

「取り寄せた甲斐があるよ」

「今年はロケでメロン狩りもしたし、プロデューサーさんも茨城県のメロンの虜ね♪」

「俺は……聖來のせいでメロンの虜なんだと思う。聖來と付き合うまでメロンって買わなかったし」

「っ……も、もう、何言ってるの!」

「事実を述べたまでだよ」

「…………バカ♡」

 

 ひぃん、プロデューサーさんがアタシの脳を甘い言葉で溶かしに来てるよぅ。幸せ過ぎてメロンじゃなくてプロデューサーさんの言葉でほっぺが落ちちゃうよぅ。

 

 ―――――――――

 

 メロンのあとは二人で料理をして、ささやかな打ち上げをした。

 アタシもプロデューサーさんもそんなに料理はしないけど、二人で協力して何かを作るのって楽しくて、料理してるだけでも幸せだった。

 

 でも今は―――

 

「ちゅっ、んっ、遠慮は、なし♡」

「聖來……ちゅっ」

 

 ―――プロデューサーさんのベッドの上でイチャイチャしてるとこ。

 プロデューサーさんと触れ合ってると、切なくて……でも幸せで、自分の体なのに自分の体じゃないみたいに熱くなって不思議な感覚。

 

「アタシ、プロデューサーさんのものだよ……だからもっとプロデューサーさんの好きにしてほしいの♡ えへへ……ちゅっ、ちゅっ♡」

「傍から見たら俺の方が好きにされてる風たけどな」

「そんなのいいの。プロデューサーさん、もっとキスして♡」

 

 アタシがおねだりすると、プロデューサーさんは覆い被さるアタシをもっと抱き寄せて、何度も何度も応えてくれた。

 

「んぅっ、はぁ、あぁ、好き好き、プロデューサーさん、好きぃ♡」

「俺も聖來のことが好きだ……ちゅっ」

「んぁっ、全部、もらってぇ、アタシのこともらってぇ♡ んぅっ、あむっ、ちゅっ、んむぅぅぅ!♡」

 

 キスだけでビクビクって痙攣するアタシを、彼は楽しむように撫でる。その目はいつもの優しい目だけど、アタシとしてはちょっといたずらっぽく見えた。だってそういう人なんだもん。そんなとこも好きなんだけどね。

 

「プロデューサーさん、ずっと、いっしょぉ♡ はぁ、これからも、んぁっ、ずっとずっと、いっしょにいてぇ!♡」

 

 プロデューサーさんの頭に両手を回して、何度も何度もアタシがアタシらしくないおねだりをすると、プロデューサーさんは目だけで『当然だ』って返してくれる。

 アタシはそれがまた嬉しくて、とても幸せで、またおねだりをしちゃう。

 だって応えてくれるのは分かってる。彼はそういう人。でも応えてくれると分かってても、この甘い誘惑に誘われてしまう。

 

「はぁ、はぁ、んはぁ……♡」

「相変わらず、聖來はキスだけでとろとろになるな」

「プロデューサーさん、だからぁ♡」

「嬉しいよ。こんなに思ってもらえる人が恋人で」

「えへへ、アタシも嬉しいよぉ♡ ううん、プロデューサーさんと出会ってから、毎日が嬉しいの♡」

「またそんな可愛いことを……」

「じゃあ、もっと可愛がってぇ♡」

「言われなくてもそうする」

「えへへ、幸せぇ♡」

 

 こうしてアタシとプロデューサーさんの夜は更けていった。

 次の日は二人して昼過ぎまで寝ちゃったけど、それもまた幸せだった。

 それでその日はわんこも引き取って、二人と一匹で仲良く公園でお散歩して、また幸せな時間を過ごしたの―――。

 

 水木聖來♢完




水木聖來編終わりです!

もう結婚すれば?って言いたくなるようなお話にしました!

お粗末様でした☆
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