デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。
キャラ崩壊が深刻です。ご了承ください。


三船美優編

 

 流されることに慣れていた

 

 このままじゃ駄目だと思っても

 

 誰かの手を借りないと

 

 何も出来ない

 

 だからある日

 

 慣れないヒールで外を歩いた

 

 でも結果は散々

 

 なのに

 

 自分で行動したら

 

 魔法使いさんに出会えたんです

 

 ―――――――――

 

「プロデューサーさん、これ……預かっててもらえますか?」

「…………」

 

 ここは事務所内にある私専属のプロデューサーさんが使っている小さなオフィス。

 今日の私は平日ですがオフで、オフを利用して朝から出掛け、午後イチでプロデューサーさんの元へやって来て、大切なモノを入れた封筒を手渡しました。

 

 プロデューサーさんはそれを受け取るやいなや、中身を確認することもなく流れるような自然な動作で封筒をシュレッダーに入れてしまいます。

 

「…………酷いっ」

 

 私が小さくあげる声にプロデューサーさんは眉間の皺を深めました。

 

「酷いのはどちらですか。そしてこれで何度目ですか?」

「……60回目です。奇しくも私のウェストと同じ数字だなんて、これはもう運命―――」

「―――ちょっと黙ってはくれませんか。というか、もうそんな数字になっていることに自分は軽く目眩がしますよ」

「あら、大変。早く近くのホテルに私と―――」

「―――自分はまだ仕事がありますから」

「まあ、なら、私はプロデューサーさんのために机の下で―――」

「―――掃除はしなくて結構です。というか、限定的過ぎて身の危険すら感じます」

 

 私の言葉を次々と遮るプロデューサーさん。かっこいい。

 

「はぁ……美優さん」

「はい、なんですかプロデューサーさんっ♡」

「貴女はせっかくのオフなんです。こんなことしてないで自宅でゆっくりするなり、お気に入りのカフェでまったりするなり、アロマのお店巡りをするなり、オフを満喫してください」

「プロデューサーさんのいないオフだなんて、味噌の入っていないお味噌汁と同じです」

「どうして貴女は……いえ、前向きになったのは喜ばしいですが、もう少し考えて頂きたい」

 

 露骨に肩をすくませて私に苦言を言ってくるプロデューサーさん。いつもと違ってより眉間の皺が何重にも重なってて……かっこいい。

 

 私はアイドルですが、プロデューサーさんのことを愛しています。心から愛しています。

 もう半年前からお付き合いしてます。事務所には内緒ですが、ちひろさんや他のアイドル仲間の子たちには色々とフォローしてもらっています。皆さんには感謝ですね。

 

 そもそも、私はこんなに積極的な性格ではありませんでした。

 でもプロデューサーさんにたくさんアドバイスをされ、小さなことでくよくよしないようになったんです。

 そんな今の私を私は喜んでいますし、今の私にしてくれたプロデューサーさんには一生尽くして愛することを誓っているんです。当然ですよね? だってプロデューサーさんがいなかったら今の私はいないんですから。

 それに私が自分で決めたことなんですし、自分で決めてやってみると責任感が湧きます。だからプロデューサーさんを私は責任感を持って愛して生きます。

 

「とにかくです。もう婚姻届を渡してくるのはやめてください。婚姻届の費用はいつも通り私がお返しします」

「プロデューサーさん優しい、好き♡」

「ちょっとは黙ってください。そもそもこんなことになるのを分かっていて貰って来ないでください。というか、区役所の担当者が『またあの人来てるよ』とか噂になっていたらどうするんですか」

「なりませんよ。OL時代のお友達たちとかそのお友達たちとかに『知り合いの芸能人が婚姻届欲しがってるから貰ってきてくれないかな?』って頼んでるだけですから」

「芸能人はそうホイホイと結婚しません。たまにあるからニュースになるんです」

「プロデューサーさんは思慮深いですね、好き♡」

「だからことあるごとに好き好き言わないでください」

 

 プロデューサーさん照れちゃって、かっこいいのにかわいいだなんてズルイです。

 それに好き好き言ってるのはプロデューサーさんが照れ屋さんで滅多に言ってくれないから、私が言ってるんですからね。もう、ズルイ人。

 

「はぁ、この不毛な口論をいつまで続ければいいのやら……」

「ですね。プロデューサーさんがなかなか素直にならないから困っちゃいます。でも好き♡」

「本当に少し黙っててもらえませんか?」

 

 むぅ、本当に照れ屋さんですね。好きってだけでまた眉間の皺を増やして。

 プロデューサーさんは私と今日会って5回目となるため息を吐くと、どかっと自分のデスクの椅子に座り込みました。

 なので私はオフィスの鍵を閉めて、プロデューサーさんのお膝の上に座ります。

 

「……本当に貴女はいい性格になりましたね……」

「プロデューサーさんのお陰です。好き♡」

「はぁ……」

「そうやって幸せを逃がす必要はありませんよ? 人は幸せの過剰摂取で死にませんから」

「そういう意味でため息を吐いている訳ではありません、はぁ……」

 

 あからさまに肩を落とすプロデューサーさんはかわいい。けどその表情もかっこいい。

 私は少しでもプロデューサーさんの心が晴れるように、彼の頬や顎の下を労るように撫でました。ちょっとお髭の剃り残しがありますね。あとで私のほっぺたにジョリジョリしてもらいましょう。あれ痛気持ち良くて好きなんです。プロデューサーさんだから好きなんです。ああ、好き好き好き好き〜。

 

「…………美優さん」

「はい♡」

 

 返事をするとプロデューサーさんは私が彼を撫でている手を強引に掴まれました。その力強さに私の胸はドキドキと高鳴り、見つめられた吸い込まれるような黒い瞳から目が離せなくなります。

 

「何も自分は貴女と結婚しないと言ってません。そしてそれはまだまだ先の話です。貴女はアイドルだ。自分は貴女の能力やアイドルしての素質をもっと高め、トップアイドルにしたい」

「プロデューサーさんの夢、ですものね♡」

「そうです。そしてこの夢は自分と美優さんの二人の夢です。なのに今結婚云々の話になってしまうのは駄目なんですよ」

「はい、ですから預かっててほしいと言ってますよね?」

「預かるとかの話すら今は必要ないと言ってるんです。口約束だけで不安ならGPSなり盗聴器なりなんなりと、自分に取り付けてもらって結構です。それで貴女の不安がなくなら安いものです。そもそも自分は美優さん以外の女性と親しくしていませんし、話すとしてもどれも業務的な内容なのですから」

「え、好き♡」

「自分の話、ちゃんと聞いてました?」

「はい、もちろんです。好きです、プロデューサーさんっ♡」

 

 私が満面の笑みを浮かべて私の今の気持ちを伝えると、プロデューサーさんはまたため息を吐きました。もうかわいいですね。好き。

 

「とにかく、本当にもう婚姻届を渡してくるのはやめてください。渡してくるのをやめてくれれば、毎日自分が美優さんに好きだと言います。そうすれば少しは安心するでしょう?」

「でもそんなことをしたらプロデューサーさんに負担が……」

「毎回毎回婚姻届を受け取る方が心臓が悪いです」

「では、今すぐ言ってもらってもいいですか?♡」

「……ムードは無いんですか?」

「二人きりの最高の雰囲気ですよ?」

「事務所内なのですが?」

「この体勢なんですから今更感の方が強いですよ?」

「……………」

「早くぅ♡」

「……好きですよ、美優さん」

 

 ぶっきらぼうに、でも目はちゃんと合わせて囁いてくれた言葉……私はそれだけで幸せになって、全身に電気が走ったかのようにビリビリします。

 

「私もプロデューサーさんのことが好き、大好きですっ♡ いいえ、大好きなんかでは足りないくらい、プロデューサーさんのことを愛していますっ♡」

「こちらが好きと言えば倍以上の言葉が返って来ますね……前からですが」

「だってプロデューサーさんのことが大好きなんですもの♡」

「だっての意味が分かりません。はぁ、とりあえず、離れてくれませんか。そろそろ仕事に戻りたいので」

 

 プロデューサーさんはそう言うと私の腰を軽く叩いて退くように促してきます。なので私は素直にプロデューサーさんのお膝の上から退き、プロデューサーさんの背中にしがみつきました。椅子の背もたれが邪魔ですが、プロデューサーさんは背が高いのでちゃんと抱きつくことが出来ます。

 

「…………鍵、開けてきてください。そして居座るならソファーにしてください」

「分かりました♡」

 

 また照れちゃってかわいい。プロデューサーさんはお歳が35ですけど、こういうところはまだまだ子どもなのかも。未来のお嫁さんの前くらい素直になってもいいのに。でもそういうところも好き。

 

「ああ、丁度いいので次の仕事の話をしましょう」

「はい♡」

「次の仕事なんですが、桐生さん、和久井さん、美優さんの三人で高級マンション紹介という取材に行ってもらいます」

「将来的に住むかもしれませんからね♡」

「…………屋上庭園付きの部屋や豪華バルコニー付きの部屋、様々な物件を回って三人には素直な感想をもらいたいということです」

「そうですね。子どもが出来た際に安全な部屋でないといけませんものね」

「…………お願いですから結婚生活の観点から見るのはやめてください」

「あらやだ、私ったらつい……きゃっ♡」

「…………婚姻届は二人でその時に貰いに行き、物件は物件でその時が来たら二人で探しましょう。それでは駄目ですか?」

「そんなことないですっ! 大好きですっ♡」

「なら仕事の話に私情を持ち込まないでください」

 

 プロデューサーさんはその後もお仕事のお話をしていましたが、私は嬉し過ぎてそれどころではありませんでした。

 だってプロデューサーさんからプロポーズされてしまったんですから、当然ですよね。ああ、早くプロデューサーさんのためにトップアイドルになって、結婚記者会見を開いて、その場でキスしたりその場で指輪を披露したりしなくては。ああ、プロデューサーさん愛してます。

 

「…………聞いてますか、美優さん?」

「え、あ、はい。私はウェディングドレスで記者会見したいです」

「何を言ってるんです。仕事の話です」

「え、ああ、すみません。プロデューサーさんのことしか頭に無くて……好き♡」

「頼みますからしっかりしてください」

「プロデューサーさんのためならなんだって!♡」

「では今度こそちゃんと聞いててください」

「プロデューサーさんのお膝の上で聞いては駄目ですか?」

「その方がちゃんと聞けるなら、もうこちらもそれで構いません」

「わぁい♡」

 

 私は鍵をまた閉めてからプロデューサーさんのお膝の上に移り、幸せな中でお仕事のお話を聞きました。

 そのお仕事のあと、私の結婚生活の観点からの意見が大変評判良くて、そのマンション紹介はシリーズ化することが決まりました。

 本当にプロデューサーさんには感謝しかありません。早くあの人と結婚して、今よりもっと幸せな生活を送りたいです♡―――

 

 三船美優♢完




三船美優編終わりです!

押せ押せ美優さん! いけいけ美優さん! おーー!
って訳で、キャラ崩壊が半端なくなってしまいましたが、これくらい押せ押せの美優さんは可愛いなと思って書きました!

お粗末様でした☆
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