デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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明けましておめでとうございます!
今年も昨年同様、甘々を書いて行きますので、よろしくお願い致します♪

てことで、加奈ちゃんからです!
上京してる設定です。


今井加奈編

 

 平凡なわたし

 

 でも頑張って勉強して

 

 東京の高校に入学した

 

 都会は何もかもがキラキラで

 

 それが楽しい反面

 

 怖く感じた

 

 その日のわたしは友達とはぐれて

 

 メモ帳も友達に預けっぱなしで

 

 どうしようかと思ってた

 

 そこにわたしを助けてくれた

 

 すごい人と出会いました

 

 ―――――――――

 

「はい、ではこれで取材は終わりです。貴重なお時間を頂きありがとうございました。記事にしたら必ずお送りします」

 

「お疲れ様でした!」

 

 今日は事務所の応接室でアイドル雑誌の記者さんから取材を受けるお仕事をしました。

 事前に貰ってた質問表のお陰で特に何も問題なく終えることが出来たけど、ちょっと心配なところがあったんです。

 だからわたしは記者さんを見送ったあとに事務所内のとある部屋に向かいました。

 

 ―――

 

 トントントン

 

「はーい」

 

 ガチャ

 

「プロデューサーさん、取材終わりました〜」

 

 わたしが向かったのはわたしの専属プロデューサーさんの個室。

 この人と出会って、アイドルにスカウトされて、今のわたし……アイドルの今井加奈があります。

 わたしはアイドルになる代わりに、プロデューサーさんからは可愛くなる秘訣を教えてもらう約束だったんですけど、いざ教えてもらっても未だにその秘訣はイマイチ分からない。

 でも、平凡なわたしでも多くのファンの方々に支えられて、ユニットのみんなとも仲良しで、最高の時間を過ごせてます♪

 

 それに―――

 

「お疲れ様。側にいてあげられなくてごめんね……ちゅっ」

「んっ♡」

 

 ―――実はわたし、プロデューサーさんとお付き合いしてるんですよ、えへへ♡

 

 ファンの人たちや事務所の人たちには内緒なんですけど、二人きりになるとプロデューサーさんはわたしを恋人として接してくれます♡

 

「で、何かあったのか?」

「あ、やっぱり分かります?」

「声のトーンが『お話聞いて〜』って言ってるように聞こえたからな」

「そ、そんなに分かりやすかったですか?」

「これでも専属プロデューサーですから?」

「そ、そうですよね……えへ♡」

 

 わたしってそんなに分かりやすいのかなぁ?

 でも好きな人に伝わってるのは嬉しいな♡

 

「それで、一体何があった?」

「えっと……さっきの取材のことなんですけど」

「……なんか変な質問なんてあったか? 俺もチェックして問題はなさそうだったから、今回は加奈一人に任せちまったんだが……」

「へ、変な質問というか……ちょっと困った質問がありまして……」

「どこ?」

 

 プロデューサーさんの問いに私は質問表に書いてあるその質問を指で差して教えました。

 その質問とは―――

 

「……『今井加奈さんの将来の夢』?」

 

 ―――これです。

 

「はい……プロデューサーさんと打ち合わせした時も悩んだんですけど、結局本番でもまた悩んじゃって……」

「打ち合わせの時は『みんなを笑顔にするアイドルになる』だったじゃないか」

「そうなんですけど……実際に人から質問されて、その質問に色々と答えて行くうちに『わたしの本当の夢ってなんだろう?』ってなっちゃったんです」

「あぁ、いつもの悪い癖ね」

「ごめんなさ〜い……」

 

 ちゃんとメモ帳にメモしたのに。

 わたしってその時になると自分の気持ちの整理が難しくて、考えがグチャグチャになっちゃうんですよね。

 

「因みに実際はなんて答えたんだ?」

「えっと……『平凡でいいから普通に結婚して、好きな人と一緒に歳を重ねたいです』って」

「それで記者さんはなんて?」

「おぉ、女の子だねぇって言ってくれました」

「なら別に気にすることないだろ」

「予定と違うのにですか?」

「世の中そう簡単に予定通りには行かないものさ。予定通りじゃなくても、結果が良ければそれでいいんだよ」

「なるほど……」

 

 やっぱりプロデューサーさんは大人だなぁ。

 でもそんなプロデューサーさんの言葉だから、わたしの中にもストンと入って来るのかもしれない。

 

「でもそうなるとこれから大変だぞ?」

「へ、何がですか?」

「だって雑誌とは言え、将来の夢は『結婚したい』って答えたんだから、ファンレターとかで『自分と結婚してください!』なんて送られてくるだろう?」

「えぇ、わたしにですか〜?」

 

 そんなことないと思うんだけどなぁ。

 同じユニットの有香ちゃんとかゆかりちゃんとか法子ちゃんとか美里さんとかの方がわたしより全然可愛くて綺麗だもん。

 だから―――

 

「そんな方いませんよ〜」

 

 ―――わたしは素直に思ったことをプロデューサーさんに返しました。

 するとプロデューサーさんは何故か大きなため息を吐いたんです。

 

「ど、どうしてため息吐くんですかぁ?」

「ため息のひとつも吐きたくなる。今加奈の目の前に、加奈の魅力の虜になってる野郎がいるんだぞ? 分かってるか?」

 

 あ……言われてみれば。わたし……プロデューサーさんとお付き合いしてて、わたしはプロデューサーさんの彼女さんだった……。

 でも、"魅力の虜になってる"なんて言われると、嬉しいけど照れちゃうよぅ♡

 

「ご、ごご、ごめんなさい……♡」

「加奈はもっと自分が可愛い女の子だということを理解してもらいたいな」

「そ、そんな……プロデューサーさんくらいですよ♡」

「ファンレターとかプレゼントとか結構届いてるんだぞ? ファンは加奈が可愛いし輝いてるから加奈のファンになってるんだからな」

「う、嬉しい限りですね……♪」

 

 でも今まで普通、平凡だと思って生きて来たのにそんな急に変われないよぅ……。

 

「でもそういう控えめなところも加奈の魅力だからな。ずっとそのままでいてくれ。その都度俺が加奈は可愛い女の子だって教えてあげるから」

「プロデューサーさん……♡」

 

 ドキドキしてる胸の音がうるさい……。

 でもそれなのにちゃんとプロデューサーさんの声はわたしに聞こえてくるから不思議。

 

「ほら、今も可愛い顔してる。そんな可愛いアイドルが俺の彼女なんだもんな〜。人生何があるか分からないもんだ」

「プ、プロデューサーさんだって格好いいですよ?♡」

「加奈の周りにいる男からすれば、俺は大人過ぎるからな。そういうのも相まってそう見えてるだけだ」

 

 本当のことなのに……プロデューサーさんのバカ。

 

「じゃあ、プロデューサーさんはわたしが大人になって、周りの男の人たちも大人になったらわたしから離れちゃうんですか?」

 

 そんなのやだ。わたしはプロデューサーさんだから好きになったのに。わたしを置いて行かないで。

 

「そしたら俺はナイスミドルになって加奈を夢中にさせ続けられるように努力するよ。加奈みたいな女の子を諦める程、俺は物分りのいい人間じゃないんだ」

「…………っ♡」

 

 そんな言葉をかけられたらもっともっと離れたくなくなっちゃうじゃないですか!

 だからわたしはプロデューサーさんの胸に飛び込みました。

 

 ずっと離さないでって言うように。

 

「おっと……ここ個室だけど、事務所内なんだぞ?」

「親に甘える娘って言えば、見つかってもなんとかなります♡」

「俺はそこまで老けてないぞ? せめて兄に甘える妹だろ」

「お兄ちゃんなんていないから分かりません♡」

「さいですか……」

 

 それから暫く、わたしはプロデューサーさんに抱きしめてもらいました♡

 

 ―――――――――

 

 その日の夜―――

 

「あれ、加奈ちゃんまたメモ帳にメモしてるの?」

「うん、今日もメモすることがたくさんあったから」

 

 ―――わたしはアイドル寮の自分の部屋に戻って、今日のことをメモ帳にメモしてしました。

 内容は勿論―――

 

「またプロデューサーさんとのイチャイチャメモ?」

 

 ―――プロデューサーさんとのことです♡

 同じお部屋の美羽ちゃんにはプロデューサーさんとの関係をお話ししてる仲なので、何も問題ありません。

 

「そうだよ、今日もたくさんプロデューサーさんに良くしてもらっちゃったから、してもらったこととその時のわたしの気持ちをメモしてるの♪」

「いつも不思議に思ってたんだけど、それをメモしてどうするの?」

「え、どうするって……結婚した時にお返しするためだよ?」

「へ?」

「例えば、今日はプロデューサーさんに『加奈を夢中にさせ続けられるように努力する』って言ってもらったから、結婚したらずっとずっとプロデューサーさんのことだけを見てようって♡」

「……あ〜、なるほどね」

 

 他にもいっぱいいっぱいお返ししなきゃいけないことがあるんだよね。

 この83冊目のメモ帳ももうすぐ終わっちゃうし、次のメモ帳買って来なきゃ。

 

「加奈ちゃんってさー」

「?」

「結構ヤンデレ体質だよね」

「え、ヤンデレって何?」

「一言では説明出来ないけど……病的なまでに相手を好き過ぎてるってことかな」

「…………好きな人を好きでいちゃいけないの?」

「い、いやぁ、別にそういうことじゃないよ?」

「なら私はヤンデレさんじゃないよ?」

「う〜ん、なんて言えばいいのかな〜」

 

 美羽ちゃんすごく悩んでる。ヤンデレも用語用のメモ帳に書いとこ。

 

「じゃあ質問に答えて?」

「うん、いいよ」

「好きな人が自分以外の誰かと楽しそうにおしゃべりしてます。それを見たあなたはどうする?」

「楽しそうだなぁって思いながら見てるかな。プロデューサーさんが浮気するなんて思えないもん」

 

「じゃあ、好きな人が自分以外の異性に言い寄られてたら?」

「う〜ん、複雑な気持ちにはなるけど、その子が自分の思いを勇気を出して伝えようとしてるんだから応援しちゃうかも」

 

「なら最後の質問。好きな人が浮気してる現場を見たら――」

「――そんなことしないよ」

 

「いや、これはただの質問――」

「――しないから」

 

「質――」

「――だからしないって。プロデューサーさんは浮気なんてしない。分かった?」

 

「だ、だよね〜」

「うん……えへへ」

 

 もう美羽ちゃんたら、変な冗談は止めてよ。

 プロデューサーさんが浮気なんてするはずないもん♡

 プロデューサーさんはずっとわたしのことを好きでいてくれるって約束してくれたし、そのことも42冊目のメモ帳に書いてある。

 わたしはプロデューサーさんだからアイドルになれたし、その恩返しとしてもっともっとお仕事を頑張る。

 プロデューサーさんに愛されながら♡

 

 だってわたしにはプロデューサーさんしかいないもん。

 そしてプロデューサーさんも今はわたししか担当してるアイドルはいないもん。

 そのために頑張ったんだから……プロデューサーさんが浮気するなんてこれから先、絶対にないもん。

 どのメモ帳にもそう書いてあるから♡―――

 

 今井加奈*完




今井加奈編終わりです!

書いてくうちに後半はヤンデレっぽくなってしまいましたがご了承を。

お粗末様でした☆

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