アイドルのお仕事は楽しい!
養成所に入って良かった!
お友達も
お仕事も
たーっくさん増えて
学校のみんなからも
いっぱいいっぱい応援してもらってるの!
でも
それ以上に楽しいことが見つかったんだ!
―――――――――
『ず〜っと見ていたいMr. boy friend〜♪ Oh Oh♪ I love you♪』
ワァァァァァッ!!
「また私たちのステージを見に来てねー!」
「みおちゃんも待ってるよー!」
「寧ろ来なきゃ怒るからねー!」
「莉嘉たちの歌また聴きに来てねー!」
「みんなで今日みたいにハピハピになろうにぃ☆」
ワァァァァァァァァァァッ!!!!
―――
トロピカル☆スターのみんなとのドーム単独ライブを終えて、私たちはスタッフさんたちに挨拶をしながら楽屋に戻る。
今回はアンコールも貰って、みんなと相談してから私たちのユニットのデビュー曲をファンのみんなにまた聴いてもらったんだ!
そして私が楽屋に入って最初にすることは―――
「プロデューサー! ライブ頑張ったよ! 褒めて褒めてー!」
―――私の専属プロデューサーに褒めてもらうこと。
アイドルが自分を担当するプロデューサーのところに行くのは普通だけど、私とプロデューサーはアイドルと担当プロデューサーって関係だけじゃないんだよ!
ファンのみんなには悪いけど私……プロデューサーの彼女なの!♡
私を一人前のアイドルにしてくれて、ずっとずっとずーっと私を支えてくれた人だから、好きになっちゃったんだ!♡
莉嘉ちゃんとか美嘉ちゃんとか……他のアイドルのお友達にもいっぱい相談して、みんなから背中を押してもらって恋人になったんだから!♡
アイドルとプロデューサーは恋愛禁止
年の差があり過ぎる
言葉は分かるけど
どうして好きな人に好きって伝えちゃダメなの?
どうして好きなのに隠さなきゃダメなの?
どうして好きな人と結ばれたらダメなの?
まだまだ私には分からない大人のじじょー?って言うのがあるんだけど、プロデューサーのことはアイドルと同じくらい諦めたくない!
だからプロデューサーが困らないように、私は頑張っていい恋人さんになるんだ!
「はい、お疲れ……アンコールまで応えて、最後まで良くやったな」
プロデューサーは優しい笑顔で私の頭を何度もなでなでしてくれる。
やっぱり大好きな人からのご褒美があるとなんだって頑張れちゃうよね!♡
「えへへ、プロデューサー……好き〜♡」
「ちょ、みりあ……」
あ、思ってたこと口に出ちゃってた……反省反省。
「楽屋なら事情知ってる私らしかいないんだし、別にお構いなく〜」
「そうだよー! 変なことしなきゃ、通報はしないし〜……にししっ♪」
美嘉ちゃんと莉嘉ちゃんが笑って言うと、プロデューサーは「からかわないでくれ」って恥ずかしそうに言ってて、いつもと違ってなんかかわいい♡
「あーあ、莉嘉もPくんとリア充になりたーい……莉嘉ならぁ、毎日Pくんとラブラブしてあげるのにぃ」
「はいはい、あんたはプロデューサーのことを少しは考えてあげようね」
莉嘉ちゃんも自分の担当プロデューサーさんのことが好きみたい。私も莉嘉ちゃんがお付き合い出来るといいなぁっていつも思ってるんだけど、やっぱり難しいんだって。
そう考えるとプロデューサーの恋人になれた私ってラッキーなのかも♡
そんなことを考えてると、
「いやぁ、今の若者は進んでますなぁ、きらりんさんや」
「だねぇ……でもでもぉ、二人がハピハピならぁ、きらりはいいと思うにぃ〜☆」
未央ちゃんときらりちゃんも私のプロデューサーをからかってくる。
助けてあげた方がいいのかなぁ?
「ほらほら、同じ事務所のプロデューサーをからかってないでお偉いさんたちに挨拶しに行くぞ。それから打ち上げだ」
良かった。未央ちゃんのプロデューサーさんが助けてくれた。
こうして私たちは偉い人たちと挨拶をして、私たちだけの打ち上げのために事務所に戻ったの。
―――――――――
私たちはみんな未成年だから、偉い人たちの打ち上げは夜遅くなるから参加しちゃいけないんだって。それにプロデューサーたちも私たちの送り迎えがあるから、お酒は飲めないみたい。大人って大変なんだなぁ。
でも私は早く大人になりたいなぁ……そうすれば楽しいことももっと増えると思うし、プロデューサーとも結婚出来るもん。
でも焦ってたって仕方ないし、私たちだけの打ち上げもとっても楽しいから全然嫌じゃない!
事務所での打ち上げにはわざわざ事務所に残って私たちのためにお料理を作って待っててくれた子たちもいた。
夕美ちゃんにかな子ちゃんにキャシーちゃんに小梅ちゃんにフレデリカちゃんにメアリーちゃんにこずえちゃんに……みんなみんな待っててくれて、打ち上げはとっても楽しかった!
―――
「それじゃあ、みんな悪いけど後片付けよろしくな。俺たちはみんなを送ってくるから」
『はーい♪』
打ち上げも終わって帰る時間。
終わっちゃうのはちょっと寂しいけど、いつもより遅い時間でもお外にいれるのって特別なことしてるみたいでちょっとわくわくする!
それにそれに、ここからはみりあとプロデューサーだけだからやっと恋人同士の時間になるんだ!♡
「……はい、これからお嬢さんをお送りします……はい。はい、分かりました。ありがとうございます、では失礼します」
事務所を出てみんなとお別れすると、私たちより先に来てたプロデューサーは私のお家に電話してた。
こうしてちゃんと私の家族にまで気配り出来ててすごいなぁ。
「お、来たか。忘れ物はないか?」
「大丈夫ー! それにもし忘れ物してても明日また取りに来れるもん!」
「まぁそうかもしれないが、忘れ物チェックは必ずな。遠いロケ地とかで忘れ物なんてしたら大変だから」
「はーい! プロデューサーの言いつけはちゃんと守りまーす!」
「ん、よろしい。じゃあ、みりあは先に車のとこに行ってて。鍵は開けてある」
「プロデューサーは?」
私が質問すると、プロデューサーはちょっと困ったみたいな顔をした。
もしかして―――
「俺はスモーキングタイム」
―――やっぱり……タバコは身体に悪いって小学校で習ったから、プロデューサーの身体が心配だよぉ。
「またタバコ〜?」
「またって程じゃないだろ……」
「でもぉ、打ち上げの時も何度か吸いに行ってたもん……せっかくの打ち上げなのに」
「俺だけが喫煙室に行ってた訳じゃないだろ……」
「それでもプロデューサーが一番多く行ってたよ?」
「うぐっ……良く見てるなぁ」
「だって大好きな人のことだもん!♡ だから見ちゃうのはトーゼンでしょ!?♡」
「くぅ……真っ直ぐなみりあラブパワーはおっさんには眩し過ぎるぅ」
おっさんだって……みりあのお父さんより年下なのに、おっさんな訳ないじゃん!
「プロデューサーはまだまだ若いお兄さんだもん! カッコよくて優しい私の自慢の彼氏だもん!」
「わーわー! んなことこんなとこで叫ぶな!」
「んむぅ!?」
プロデューサーにお口チャックされちゃった……プロデューサーの手は大きくて安心する♡
「んむふぅん♡」
「なんで口を押さられてニヤけてんだよ……」
「ぷぁ……だって、プロデューサーの手って大きくて素敵なんだもん!♡」
「っ……可愛い彼女が俺を殺しに掛かっているぅ」
「えぇ、私プロデューサーのこと殺さないもん! こんなにこんなに大好きなのに!」
「だから声! 声を抑えてくだしゃ!」
あ、またやっちゃった……反省反省。
でもプロデューサーが変なことばっかり言うのが悪いんだよ……私の大好きな気持ちがまだまだ足りないのかなぁ?
「とにかく、車に早く乗ってくれ。吸ったら送ってくから」
「は〜い」
私は返事をしてプロデューサーの車の後部座席に乗り込んだ。
事務所の前だけどちゃんと中から鍵を閉めてから、外にいるプロデューサーを目で追う。
事務所があるビルの出入り口から少し右に移動すると、タバコを吸える小屋みたいなのがあってプロデューサーはこういう時はいつも私に見える位置にいてくれるんだ♡
タバコは身体に悪いって教わったけど、ちゃんとお金を出したら買えるから不思議。お父さんも吸ってるけど、ちょっと前からピカピカ光る機械のタバコにしてる。そっちの方が普通のより身体に悪いのが少ないんだって……よく分かんないけど。
それにそれに、お父さんがタバコを吸ったあとの匂いって変な感じだけど、プロデューサーがタバコを吸ったあとってタバコの匂いもあるのに甘い匂いがしてるんだよね。本当に不思議なことばっかり。
私はタバコは身体に悪いって分かってるけど、プロデューサーがタバコを吸ってるところを見るのって結構好きなんだよね。
大人だなぁって思えて、同級生の男の子たちとは全然違う魅力があるもん♡
それだけ私はプロデューサーのことが大好きってことだよね……えへへ♡
―――――――――
プロデューサーの運転でお家に向かう途中。
私はプロデューサーと二人きりになれるのが嬉しくて、いつもこの時間を楽しみにしてるの!
でもいつも以上に時間が過ぎるのが早くて、いつも最後は寂しくなっちゃう……。
「みりあ、着いたよ?」
「えぇ、もう!?」
「それなりに時間も遅いしな。最短ルートで来たんだよ」
「むぅ……」
「なんだよ、膨れて?」
「プロデューサー……私とおしゃべりする時間が減ってもいいんだ?」
「は?」
「だってそういうことでしょう? 私はプロデューサーと少しでもいっぱい一緒にいたいのに、プロデューサーったら……」
するとプロデューサーは小さくため息を吐いた。
怒らせちゃったかなってちょっと不安になったけど、
「俺だって彼女との時間は大切にしたいよ。でも今日はみりあも疲れてるし、いつもなら休んでる時間だろ? 彼女の身体を心配して急いだんだよ」
プロデューサーはやっぱり私のことを思っててくれた♡
どうしよう……好きって気持ちが溢れちゃう。
「プロデューサー、こっち向いて?」
「ん、どうし――」
「――っ♡」
ちゅっ♡
「〜〜!!!?」
「えへへ、チュウしちゃった♡」
「み、みりあ……」
「それじゃプロデューサー、また明日ね!♡ いつもの時間に校門で!♡ 約束だからね!♡ 破ったらチュウの刑で、守ってくれたらお礼にチュウしてあげるから!♡」
「お、おう……おやすみ……」
「うん、おやすみなさーい!♡ ちゅっちゅっちゅっちゅ〜っ♡」
私は今日の最後にプロデューサーのお口に4回……"だ・い・す・き"って気持ちでチュウをしちゃった!♡
プロデューサーはお顔を真っ赤っかにしてたけど、これで明日まで私のことで頭をいっぱいにしてくれるよね?♡
明日もまたプロデューサーと素敵な思い出が出来ますように……♡―――
赤城みりあ⦿完
赤城みりあ編終わりです!
真っ直ぐな好意と真っ直ぐな言葉は彼女の最大の武器ですよね!
お粗末様でした☆