デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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ご了承ください。


イヴ・サンタクロース編

 

 私はみんなにプレゼントを届ける

 

 サンタクロースです

 

 まだまだ未熟なサンタクロースで

 

 ある日私はソリもプレゼントも服も

 

 悪い人たちに盗まれてしまいました

 

 そんな私に優しく手を差し伸べてくれた

 

 優しい日本のサンタクロースがいました

 

 ーーーーーー

 

「それじゃあ、みんなでサンタさんを大きな声で呼びましょ〜! せーのっ」

 

 サンタさーーーん!!!

 

「はーい♪ サンタクロースですよー!」

 

 キャーキャー♪

 

 私は今サンタクロースとして、アイドルとしてデパートのイベント会場でクリスマスイベントのお仕事をしています。

 子どもたちだけじゃなくて、大人の方々もたくさん来てくれてて、ブリッツェンが引くソリで登場したらたくさんの拍手を頂きました♪

 アイドルのお仕事には慣れてきましたが、やっぱりサンタクロースとしての役目を全う出来るのは嬉しい限りです。

 これも全部プロデューサーさんのお陰ですね!

 

「はーい、みんなサンタさんからプレゼントはもらったかなー?」

 

 はーーーい!!!

 

「良かったねー♪ それじゃあ次はー、サンタさんへの質問タイムでーす! 質問のあるお友達は元気よく『はーい!』と言って真っ直ぐに手を挙げてくださいねー♪」

 

 はーい! はーい! はいはーい!

 

 ん〜、日本の子どもたちは今日も元気ですね♪

 これは私もちゃんとお答えしなくては!

 

「はい、じゃあ……一番前の列に座る赤い帽子の男の子!」

 

「やった!」

 

「サンタさんへの質問は何かなー?」

 

「僕の知ってるサンタさんはおじいちゃんなのに、なんでお姉ちゃんがサンタさんやってるのー?」

 

「ということですが、サンタさん?」

「それはですね〜。今年は私がおじいちゃんの代わりに日本へ来たからです。おじいちゃんももうお年寄りなので、私のパパやママも家族総出でクリスマスはお手伝いしてるんですよ」

「なるほど〜……ということみたいです、分かったかなー?」

 

「はーい! 頑張ってね!」

 

「ありがとうございます♪」

 

 こうして私は集まってくれたたくさんの方々からの質問に答え、最後は記念撮影をしてお仕事を終えました。

 でも子どもたちの人気は私よりブリッツェンの方がすごくて、私は主に大きなお友達たちに人気でした。日本ってやっぱり不思議な国ですね♪

 

 ―――――――――

 

 そして―――

 

「お〜お〜、ブリッツェン。だいぶワチャワチャ触られてたなぁ。でも子どもたちへのサービス精神は流石だったぞ?」

「ムフォフォー♪」

 

 ―――イベントが終わって控室に戻ってきた私とブリッツェンでしたが、プロデューサーさんまでブリッツェンに夢中です。

 ブリッツェンもプロデューサーさんからブラッシングしてもらって甘えた声を出してますが……

 

「プロデューサーさん! ブリッツェンばっかり構い過ぎですよ! 私という者がいるのに!」

 

 ……私だってプロデューサーさんに構ってほしいです!

 なんたって私はプロデューサーさんの恋人なんですから!

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 私の故郷は日本から遠く離れたグリーンランドです。

 グリーンランドから遥々日本にやってきた私とブリッツェン。

 さっきのイベントでの質問にもありましたが、私はおじいちゃんに代わって日本の子どもたちへプレゼントを届けに来たんです。

 ブリッツェンは本当ならおじいちゃんのトナカイなのですが、ブリッツェンがいないとソリで空を飛べないのでおじいちゃんが私にブリッツェンを貸してくれたんです。

 ブリッツェンの他にもダッシャー・ダンサー・プランサー・ヴィクセン・コメット・キューピッド・ドナー・ルドルフがいますけど、世界を回る訳ではないのでブリッツェンだけで十分だったんです。

 でも不幸なことに私とブリッツェンはクリスマスを台無しにしようとする悪い一味にいじめられて、プレゼントとソリ、そしてサンタクロースの服を奪われてしまいました。あとでパパたちが取り返してくれて無事にプレゼントは配れたんですけどね。

 

 見知らぬ土地で逃げ果せた私とブリッツェン。

 そしてそこでプロデューサーさんと出会い、彼は私に温かい洋服とスープを与えてくれ、更にはアイドルというお仕事も与えてくれたんです。

 プロデューサーさんのお陰で故郷のパパやママたちにも連絡がつき、貰ったご恩を返そうと日本に留まる許可を貰え、そこから私とプロデューサーさんの活動が始まりました。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 そんな奇跡といっても過言ではない出来事の連続で、私はいつしかプロデューサーさんだけのサンタクロースになりたいと思うようになり、ブリッツェンの助けもあって恋人同士になれたのです!

 勿論このことは誰にもナイショのことで、プロデューサーさんも私のためにわざわざ私専属のプロデューサーになってくれました♡

 だというのに―――

 

「え、イヴはブラッシングとか必要ないだろ? ブリッツェンは一人で出来ないんだぞ? 可哀想じゃないか。な?」

「フォホォー」

 

 ―――プロデューサーさんはブリッツェンブリッツェンしてます!

 ブリッツェンまでプロデューサーさんに同意するように頷いてますし、酷いです!

 ブリッツェンは男の子ですけど浮気です!

 

「プロデューサーさんは私よりもブリッツェンの方が好きなんですね」

「何ブリッツェンにヤキモチ焼いてるんだ? ブリッツェンは俺にとってはペットみたいな感覚で、イヴは恋人なんだぞ?」

「っ♡」

 

 そんなこと言われたらもう何も言えないですよ〜♡

 日本には"たわし"なんて言葉がありますが、プロデューサーさんはまさにそのたわしです!♡ ※たわし×、たらし○

 罪作りな方ですよ、まったく♡

 

 ―――――――――

 

「お昼はまだだよな?」

「はい。午前中だけのイベントですから、お弁当も出ないって言われたのを覚えてます!」

「イヴは弁当好きだもんな」

「色々なお弁当があって飽きませんからね!」

 

 プロデューサーが運転する帰りの車内で私たちはお昼ご飯のお話をしてました。

 勿論後部座席にはブリッツェンもいて、お腹を空かせて鳴いてます。

 

「んじゃ、無駄にならずに済むな」

「? 何がですか?」

「まだな〜いしょ」

「???」

 

 プロデューサーさんはそう返すだけで、いくら訊ねても教えてくれませんでした。

 そして車は事務所ではなく、事務所の近くにある大きな公園の駐車場に停まったんです。

 私もブリッツェンも公園で何をするのかと首を傾げていると、

 

「じゃーん♪ これはなーんだ?」

 

 プロデューサーさんがトランクから大きなバスケットを取り出してきました。

 まさかまさかのプロデューサーさんお手製のお弁当が用意されていたんです!

 これには流石の私も人目なんて気にせず、プロデューサーさんに抱きついて喜びを爆発させちゃいました♡

 

 ―――――――――

 

 公園内の各所に置かれたベンチのひとつに私たちは座り、バスケットを挟んで座りました。

 プロデューサーさんがバスケットを開くと、そこには色とりどりのサンドイッチや唐揚げ、フライドポテト、サラダとたくさんの食べ物が入ってて、眩しく輝いていました!

 

「お好きなのからどうぞ。ブリッツェンは特製のキノコソテーといつものペレットな」

 

 プロデューサーさんは本当にいい男です♡

 お弁当だけじゃなくて、私とブリッツェンのためにブランケットも用意してくれてました♡

 こんな方が私の恋人で私は本当に恵まれてますよ♡

 ブリッツェンのことも……ちょっと複雑な気分になる時もありますが、家族のように構ってくれますしね。

 

「いただきまーす☆」

「グフォー♪」

 

「はい、召し上がれ」

 

 ではでは早速、この美味しそうなツナサンドから♪

 

 ぱくっ☆

 

「〜〜〜ぅおいっしい〜☆」

 

 なんですかなんですかこのツナサンドは!?

 レタスとピクルスも絶妙なバランスでパンももちもちです!

 

 ブリッツェンの方はもう無我夢中で食べてますね♪

 

「早起きして作った甲斐があるよ……ん、我ながら上出来だな。ポタージュもあるからね」

「こんなに美味しい料理を作れるんですから、プロデューサーさんはいつプロデューサー業が廃業になっても大丈夫ですね♪」

「んな縁起でもないこと言うなよ。イヴは俺と仕事出来なくなってもいいのか?」

「イヤです! だからプロデューサーさんが辞めたら私もアイドルを引退して、プロデューサーさんのお店で働きます!♡」

「あぁ、そういう方針なのね」

「勿論です! プロデューサーさんあるところにこのイヴ・サンタクロースあり、です!♡」

 

 プロデューサーさんが泣いて頼んでも離れませんからね♡

 

 ―――――――――

 

「ほい、食後の紅茶」

「ありがとうございます♡」

「ブリッツェンは水な」

「フォフォー♪」

 

 楽しい食事も終わり、私たちは食後の一服を過ごしてます。

 当然、私はバスケットを退けてプロデューサーさんのすぐ隣に移動して、彼の左肩に頭を預けてます♡

 お外だから普段なら控えるとこですが、冬で周りにはちらほらとしか人がいないから大丈夫♡

 

 それにこうしてると夫婦になれたみたいで、冬なのに体がポカポカになります♡

 

「プロデューサーさ〜ん、私幸せです〜♡」

「さっきまではブリッツェンにすら嫉妬してたのにな。さっきはお腹空いてたから機嫌が悪かったのか?」

「むぅ、またそうやってイジワル言う〜……」

「事実だからなぁ」

 

 むむむぅ、プロデューサーさんずっとニヤニヤしてる。

 私が困ってるの知ってて言ってますね、これは。

 

「なら私にも考えがありますからね〜?」

「ん、なんだよ?」

「今夜のクリスマスはプロデューサーさんにプレゼントあげませーん。プロデューサーさんは悪い子ですからね」

 

 ふふーん。これならプロデューサーさんも反省して―――

 

「別にいいよ」

 

 ―――ないっ!!!?

 

「な、なんでですか!? 恋人サンタからの特別なプレゼントですよ!? いらないんですか!?」

「うん」

「即答!!!?」

「だってほしいものはもう手に入ってるからな」

 

 プロデューサーさんはそう言うと私の肩に手を回して、自分の方へ引き寄せました。

 

「わ、わわ、私なんですか?♡」

「他に何が手に入ってるんだよ?」

「あ……ぁ……あぅあぅあぅ……♡」

「お、そのリアクション新しいね、可愛いぞ♪」

「…………♡」

 

 もうプロデューサーさんには敵いません♡

 

 その後、私たちはもう少しお互いの温度を確かめ合い、事務所に戻りました。

 勿論、その日の夜は私から素敵なプレゼントをプロデューサーさんに贈りました♡―――

 

 イヴ・サンタクロース編⦿完




イヴ・サンタクロース編終わりです!

ビザとか入国審査とか日本語の勉強どうしたとかそういうツッコミどころ満載なんですが、ご勘弁を。
イヴちゃんって設定が未だに曖昧なので難しかったですが、出来るだけ甘くしました!

お粗末様でした☆

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