デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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海老原菜帆編

 

 私は小さい頃から鈍くさかった

 

 何をしても人よりワンテンポ遅くて

 

 親にも学校の先生たちにも

 

 大丈夫なのかってよく言われてた

 

 でもそれを気にしたことはない

 

 だって私は私なんだし

 

 私は私以外になれないもん

 

 中にはこの考えを否定されて

 

 悩んでたこともあったけど

 

 そんな私のことを真っ直ぐに

 

 いいねって言ってくれた人がいたの

 

 ―――――――――

 

「今日は来てくれてありがとうございます〜」

「大ファンです! これからも応援してます!」

「はい〜、頑張ります〜」

 

 私の今日のお仕事は大型ショッピングモール内にある書店さんの前で、グラビア写真集発売記念イベントをしてる。

 イベントの内容は私の写真集を買って頂いた方に対して握手会とサイン会。

 最初は先着200人の方ってことだったんけど、書店さんに予想以上の人数がいらしてくれたそうで、書店さんの提案で先着400人の方になりました。

 私をアイドルにしてくれて、今では私専属になってくれたプロデューサーさんからは「無理しないように」って言われたけど、全然疲れないのよね〜。

 だってファンの皆さんとこうして直接お話出来るのは楽しいもの。

 

 それに―――

 

「あ、これ俺の地元で美味しいって評判の饅頭です! どうぞ!」

「わぁ〜、ありがとうございます〜♪」

 

 ―――皆さん優しい方ばかりで、こうして差し入れも頂けるんだも〜ん♪

 

 最初の頃はファンの皆さんから差し入れを受け取るのって悪いな〜って抵抗があったんだけど、プロデューサーさんから「人の善意は素直に受け取れ」って言われてからはちゃんと受け取るようにしたの〜。

 でも今思うと受け取るようにしてよかったって私は思ってる。

 だって―――

 

「〜〜〜!」

「これからも応援してくださいね〜。私も頑張りますから〜」

「はい! めっちゃ応援しますっ!」

 

 ―――私が受け取ってお礼を言うと、ファンの皆さんはとても嬉しそうにしてくれるから。

 

 ―――――――――

 

「いやぁ、もう大盛況でしたよ! ありがとうございました! 次があるならば、また是非とも当書店に連絡してください!」

「こちらこそ、この度はありがとうございました。その際はまた何卒よろしくお願いします」

「ありがとうございました〜♪」

 

 イベントも無事に終わってから、控室で書店さんの店長さんとの挨拶。

 最後は店長さんと一緒にツーショット写真を撮ったわ。後日店頭に飾るみたい。

 

「では、お着替えとか終わりましたらお声掛けください。失礼します」

 

 パタン

 

「ふぅ、今回は大成功ってことで……おめでとう菜帆」

「ありがとうございます〜♪ でもでも〜、イベントを企画したプロデューサーさんのお陰ですよ〜?」

「はは、ありがとな。でも企画が成功したのは他ならぬ菜帆の魅力あってこそだ」

「えへへ〜、褒めてもお菓子しか出ませんよ〜?♡」

「それは帰りにな。んじゃ、俺は控室の外で待ってるから、着替えが終わったら出て来てくれ」

「えぇ〜、今日は見ないんですか〜?」

「いつも見てるような言い方をするな……」

「ふふふ、ごめんなさ〜い♡」

 

 私が謝るとプロデューサーさんは苦笑いして控室の外に出ていく。

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 プロデューサーさんと私はアイドルとプロデューサーなのに、半年前から事務所の人たちには内緒で恋人関係になってる。

 それは私がプロデューサーさんを好きになっちゃって、頑張ってアプローチしたから。

 

 最初、私は自分がプロデューサーさんに恋をしてるとは思ってなかった。

 一緒にいると楽しいな〜とか、プロデューサーさんから褒められるのが一番嬉しいな〜とかはよく思ってたけどね。

 それを前に東京でのお仕事でユニットを組んだかな子ちゃんとか瑛梨華ちゃんとか風香ちゃんとかにお話したら、『それ恋してるんだよ』って言われて気づいちゃったの。

 みんなから言われてみるとしっくりきて、そこから私はプロデューサーさんに頑張ってアプローチした。アイドルだけじゃない、私のことも好きになってほしかったから。

 

 でもなかなか上手くいかなくて、これも東京のお仕事でユニットを組んだ時に仲良くなった早苗さんとか沙理奈さんにアドバイスしてもらって、恥ずかしかったけど頑張ったんだ〜。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 そしてその努力が実ってプロデューサーさんから告白されちゃった♡

 公には出来ない関係だからデートとかは出来ないだろうな〜って思ってたけど、そこはプロデューサーさんが工夫してくれて、現場の下見とかご褒美とか理由をつけてデート出来てるよ〜♡

 実はこのあともプロデューサーさんにご褒美としてモール内にある、美味しいって有名な和菓子屋さんに行くの♡

 今からとても楽しみ〜……

 

 ブチンッ

 

 …………?

 

 あっ、ブラジャーのホックが壊れちゃった……。

 うぅ、これ可愛くてお気に入りだったのにな〜。

 大きいから可愛いの探すの大変なのに〜。

 

 でもこれも慣れっ子だから、ちゃんと換えのブラジャーはいつもバッグに入れてあるから大丈夫。

 

 ―――――――――

 

「着替え終わりました〜」

 

 とりあえず換えのブラジャーを着けてプロデューサーさんに声をかけたけど、実は換えのブラジャーが少しキツくてアンダーのところが痛い〜……。

 

「お、そうか。ファンから貰った差し入れとかはちひろさんが事務所へ運んでいってくれるそうだから、早速和菓子屋に行くか?」

「そうしたいんですけど〜」

「どうした、体調でも悪いのか?」

「違います〜……ちょっとお耳貸してください〜」

「?」

 

 ゴニョゴニョ

 

「……なるほど。それじゃあ和菓子屋どころじゃないな」

「はい〜」

「ならモール内に下着売場とかあるだろ。そこで今のサイズに合う物を選んだらどうだ?」

「そうします〜」

「時間はたっぷりあるんだから、そう落ち込むな……ほら、よしよし」

「は〜い♡」

 

 プロデューサーさんにナデナデされちゃった〜♡

 出会った時からプロデューサーさんは優しいから好き〜♡

 

 ―――――――――

 

 そして私たちはモールの案内を見て、下着専門店に来ました。

 私のサイズだと、こういうところに来ないと揃ってないの〜。

 あ、勿論アイドルだってバレないようにマスクしてるよ〜。風邪の予防にもなるから一石二鳥だってプロデューサーさんから教わったの〜。

 

「…………なぁ、菜帆」

「はい〜?」

「…………何故俺まで店内に入る必要がある?」

「ん〜?」

 

 男の人ってそんなに恥ずかしいのかな〜?

 確かに女の子のお店だけど、学校のお友達とか彼氏さんと行くって聞いたのに〜。

 

「なんで菜帆が首を傾げる?」

「恥ずかしいのかな〜って思って」

「あぁ、恥ずかしいさ。こんなパステルカラーの店なんて来ないからな。それに明らかに援交関係に見られそうで嫌だ」

「そんなことないですよ〜。プロデューサーさんは私と7つしか離れてませんし、私は年上に見られがちですから〜」

「そういうのじゃなくてだなぁ」

「それに〜、男の人が一緒だと店員さんも気を遣って来ないんですよ〜」

「店員さんにおすすめ聞いた方が早く済むだろ」

「下着は拘ってるんです〜」

「なるほど……」

 

 それに出来るだけ可愛い下着を着けた方がプロデューサーさんだって喜んでくれるも〜ん。

 あ、いいこと考えた〜♡

 

「〇〇さん」

「な、なんだよ急に下の名前なんか呼んで」

「プライベートですから♡」

「そ、そうか……で、なんだ?」

「ちょっとサイズ測ってもらうので待っててください。あ、荷物持ってもらってもいいですか?」

「Oh……まあでも付いていく訳にもいかないしな。分かったよ」

「お願いします〜♡」

 

 私がお願いすると、プロデューサーさんは「ちゃんと測ってきてもらえ」って待っててくれることを約束してくれました。やっぱり優しい♡

 

 ―――――――――

 

「ただいま〜です〜」

「あぁ、おかえり……長く感じたよ」

「そんなに私のことを心待ちにしてくれて嬉しいです〜♡」

「…………まあいい。それでどうだったんだ? こっちも衣装のこととかあるし、把握しておかなきゃいけないんだが?」

「アンダーが増えてました〜」

「……そうか、ならあとで数字の方変更するから忘れないように」

「はい〜」

 

 そしてここからが本番♡

 

「ここら辺のが私のサイズに合うのが揃ってるそうですよ〜」

「そうなのか。専門店だけあって色々あるじゃないか」

「はい〜♡ それで〜、〇〇さんにお願いがあるんです〜♡」

「今度はなんだ?」

「どんなのがいいですか〜?♡」

「なん……だと……!?」

 

 えへへ、訊いちゃった♡

 ちょっと恥ずかしいけど、やっぱりプロデューサーさん好みの下着くらい持ってたいし、好みを知ってればこれからの下着選びの参考になるもんね〜♡

 

「ほらほら〜、教えてください〜♡ 〇〇さんなら色んな女の子見てきてるから、これくらい朝飯前じゃないですか〜?♡」

「人を遊び人みたいに言うな! それに(事実だけど)水着姿とかしか見て来てないぞ!」

 

 ひそひそ……ひそひそ……

 

「ぐっ……」

「んふふ〜、私はそんなの気にしないですよ〜♡ それよりもちゃんと選んでください〜♡」

「…………菜帆が着けるんだから、自分の好きなのを買えばいいじゃないか」

「でも〜、その下着を()()()のも〜、()()()()のも〜、〇〇さんですよ〜?♡」

「!!!!?」

 

「ラブラブ〜……」「バカップルがいる〜……」

 

(ど、どうしてこんなことに!)

「〇〇さ〜ん……だから好きなの選んでください〜♡」

「…………」

 

 ふふふっ、プロデューサーさんのお顔真っ赤っか……可愛い♡

 それにそうしてる間は私のことで頭をいっぱいにしてくれてるから嬉しい♡

 

「〇〇さ〜ん?♡」

「…………この、ノンワイヤーの淡いピンクのやつ。中心に白いリボン付いたの……」

「わぁ〜、可愛い♡」

「こ、これでいいか?」

 

 あ、まだ選んでくれそう。沙理奈さんにこういう時は押せ押せでって言われてたっけ。

 

「ん〜、他には〜?♡」

「まだなのか……なら、こっちにある1/2カップのピンクと黒の花柄のがいい」

「こっちのも可愛い♡ これだけ〜?♡」

「ぐっ……このピンクでフリフリが付いてるやつ」

「ノンワイヤーのですね〜、これも可愛いです〜♡ 流石〇〇さん♡」

 

 プロデューサーさんはピンク系のが好みなんだ。

 それにちゃんと私のことを考えて着けてる間に負担のないやつ選んでくれてるから、また好きになっちゃう〜♡

 

「じゃあ、言われたのにしますね〜♡」

「あ、あぁ……でも買う前に試着はしとけ」

「は〜い♡ 着けたら見ます〜?♡」

「見れるか!!」

「ふふふ、は〜い♡」

 

 こうして私はプロデューサーさんが選んでくれた下着を試着。どれも私にピッタリだったりし、つけ心地も大丈夫だった。流石はプロデューサーさん♡

 買ったうちの1つ(最初に選んでくれたやつ)は早速キツかったブラジャーと換えて、当初の予定通り和菓子屋さんに行きました。

 今日はお菓子も食べられて、大好きなプロデューサーさんの好みも知れて最高の一日になりした〜♡

 

「今度どれか着けてお泊まりに行きますね〜♡」

「…………分かった」

 

 海老原菜帆⦿完




海老原菜帆編終わりです!

おっとりしててもグイグイくる感じにしました!

お粗末様でした☆
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