デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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地元埼玉から東京の事務所に通ってる設定です。




大槻唯編

 

 人生は長いようで短い

 

 どの季節も人生の内に

 何度も過ぎるけど

 

 大抵はどの季節も

 100回以上迎えることは難しい

 

 だからその時その時が大切で

 

 その時を楽しまなきゃ損だと思う

 

 だからアイドルになろうと思った

 

 そうすれば絶対に楽しいと思ったから

 

 そして

 

 今ではそうだったよって

 

 胸を張って言えるよ

 

 ―――――――――

 

「はいじゃあ、これで今日のレッスンは終わり! ちゃんとストレッチして、体を冷やさないように!」

 

『ありがとうございましたー!』

 

 やっと今日のレッスンが終わった。

 アイドルデビューしてゆいもCD出したり、色んなメディアに出たりしてるけど、レッスンはほぼ毎日してる。

 アイドルの養成所に入ってから考えると何万回って同じことしてる。

 正直最初はつまならないと思った。

 でも今はそんなこと思わない。

 

 毎日のレッスンがアイドルの大槻唯を作り、頑張れば頑張っただけ自分の糧になるから。

 まあそれもゆいのプロデューサーちゃんから教わったんだけどね。

 

「里奈ちゃ〜ん、ゆいの背中押してー」

「あいあーい、せ〜っのっ」

「んあ〜、いい感じ〜」

 

 里奈ちゃんはゆいより年上だけど、気さくで絡んでて楽しい。

 今日のレッスンは今度『セクシーギャルズ』でライブする予定だから、ゆいと里奈ちゃんと美嘉ちゃんの三人で徹底的に絞られたんだよ〜。

 

「唯おばさん臭いよ〜?」

「えぇ、美嘉ちゃん酷くなーい? ゆい、美嘉ちゃんとタメなんだけどー?」

「でもそれ、アタシも思ったw」

「里奈ちゃんまでー!?」

 

 美嘉ちゃんも里奈ちゃん同様、一緒にいて楽しい。

 ゆいより先に芸能界入ってたから色々と教えてもらったりしたし、マジ尊敬してる。

 

 ―――――――――

 

 みんなでのストレッチも終わったあとは、シャワールームで汗を流して、ロッカールームでお着替え。

 

「ゆいっちさぁ、飴持ってるー? 余ってたらちょーだい☆」

「うん、いいよー♪ 何味がいい?」

 

 ゆいはそう言って里奈ちゃんに持ってきた棒つきキャンディーをいくつか見せる。

 そんなゆいを見て、隣にいる美嘉ちゃんは「相変わらず色んな味を持ってきてんね〜」って苦笑いした。

 でもどれも美味しいんだしいいじゃん♪

 

「ならコーラ味もらうねー☆」

「いいよー♪ 美嘉ちゃんもいるー?」

「なら貰おっかな。あ、プリン味あるじゃん♪ いっただき〜♪」

「どーぞー♪」

 

 ゆいもたくさんレッスンしたから食べよ♪ 

 やっぱり疲れてる時は甘い物だよねー☆

 

 パクン

 

「んー、美味ひぃ♪」

 

 ―――――――――

 

 着替え終わったゆいたちは一緒に事務所へ戻ってきた。

 

「ただいま〜」

「戻ったよー♪」

「乙ぽよー☆」

 

 事務所に入ると、

 

「おぉ、レッスンお疲れ様」

 

 丁度入ってすぐのところにゆいのプロデューサーちゃんがいた。

 この人がゆい専属のプロデューサーちゃんで、ゆいをデビューさせてくれた人。

 ちょっと前までは美嘉ちゃんも里奈ちゃんもゆいのプロデューサーちゃんが担当してたんだけど、それぞれ一人でのお仕事も増えたから今じゃ一人に一人ずつ専属プロデューサーが付いたの。

 

 んで、

 

「あ、プロデューサーちゃーん、やっほー♡ プロデューサーちゃんのゆいちゃんが戻ってきたよー♡ 癒やせー♡」

 

 今のゆいはプロデューサーちゃんのカノジョなんだー♡

 アイドルとプロデューサーが恋人になるのは激ヤバかもだけど、ゆいだって恋人欲しーもん。

 それにプロデューサーちゃんのこと大好きだし、ゆいももう結婚出来る年齢だし何も問題ないもんねー!

 

「ちょ、ゆいっ」

「えへへー♡ 構って構って♡ 褒めて褒めて♡ ゆいレッスン頑張ったもん♡」

 

 プロデューサーちゃんにギューッてするの超好き♡

 プロデューサーちゃんってパッと見なよっちく見えるけど、結構ガッシリしてていい感じなんだよね♡

 お腹は……ちょっとぷよぷよしてるけど、それはそれで触り心地いいからオッケー♡

 

「唯〜、事務所内なんだからそれくらいにしときな〜。困るのはプロデューサーだよ?」

「でもさー、プロデューサーが働けなくなってもゆいっちが養える感じじゃなーい?」

 

 そう言う里奈ちゃんに美嘉ちゃんもプロデューサーちゃんも『そういう問題じゃない!』って返して、プロデューサーちゃんはゆいのことを手で退かした。

 

「むぅ」

「そんな顔しても今はダメだ……んじゃ、俺は自分の仕事があるからまたな。みんなはゆっくりするなり、帰るなりするといい。お疲れ様」

 

 あ、プロデューサーちゃん行っちゃう。

 

「プロデューサーちゃん」

「ん、どうした?」

「まだお仕事なんでしょー? 飴あげる♪」

「っ……また食べかけのを寄越すのか」

「恋人同士だしいいじゃん♡」

「へいへい……はむっ……んじゃな」

「頑張ってね〜♡」

 

 ゆいのプロデューサーちゃんが個室に戻ると、ゆいたちも帰り支度するのに事務所のロッカールームに向かった。

 

 ―――――――――

 

「唯ってさ、付き合う前からあんな感じだけど……恥ずくないの?」

 

 ロッカールームに入ってみんなで帰り支度してると、美嘉ちゃんがゆいにそんなこと訊いてくる。

 

「別に? だって飴じゃん」

「それでもさ……その、か、かか、間接キスとかさ……」

「ゆいもういっぱいプロデューサーちゃんとチュッチュしてるからヘーキ♡ それに付き合う前もそんなに恥ずくなかったよ? 間接とか気にしないし」

「ふ、ふーん……」

 

「間接キスとか中学生の発想じゃん。みかっちは純粋だねー☆ 流石処女ギャル☆」

「うるさーい! 気になるんだもん、仕方ないでしょー!」

 

 二人はそうやっていつもみたいに言い争ってた。まあ主に里奈ちゃんが美嘉ちゃんをからかって遊んでるだけなんだけど……。

 

 でもゆい、実は内心ドキドキしてた。

 

 ―――――――――

 

 ゆいとプロデューサーちゃんの間では二人だけの秘密のサインがある。

 それはゆいがプロデューサーちゃんにあげる飴の味で、ゆいがその日どんな気持ちかプロデューサーちゃんに教えてるの。

 さっきプロデューサーちゃんにゆいがあげた味はチョコバナナ。

 その意味は『ちゅぱちゅぱしたい♡』ってこと……どこをそうしたいかはヒミツね♡

 

 他にもストロベリー味は『ごっくんしたい♡』だったり、チェリー味は『ペロペロしたい♡』だったり、サイダー味は『おてて遊びしたい♡』とか、色んなサインがある。

 人前なのにゆいとプロデューサーちゃんだけが分かる秘密のサイン。

 バレるはずないのに、いけないことをみんなの前で教え合ってるのはとてもドキドキして……止められない♡

 

 ―――

 

「…………唯、ありがとう。すごく気持ち良かったよ」

「えへへ、ゆいも満足♡」

 

 みんなとロッカールームの前で別れてから、ゆいはすぐにプロデューサーちゃんの個室に入って、早速ちゅぱちゅぱさせてもらっちゃった♡

 プロデューサーちゃんてば出し過ぎでストロベリー味の気分でもないなのにごっくんするしかなかったんだよ、もう♡

 

「にしてもちひろさんが来た時は焦った……」

「でもこっちはガチガチだったよ?♡ 体はしょーじきだよねー♡」

「……うるさい」

 

 赤くなってる♡ 普段はお仕事出来てカッコイイ感じなのに、ゆいにだけ見せてくれるこういう表情を見ると胸の奥がきゅーんってなる♡

 

「プロデューサーちゃんっ♡」

「な、なんだよ?」

「大好き♡」

「…………俺も同じ気持ちだよ」

「間があった〜」

「照れたんだよ、察してくれ」

「しょーじきに言えたから許してあげるー♡ よしよし♡」

 

 ゆいがそう言ってプロデューサーちゃんの頭を撫でてあげると、プロデューサーちゃんは恥ずかしそうにしててもゆいの手から逃げようとしなかった。

 それがまたなんか可愛くて……プロデューサーちゃんがゆいの手を払い除けるまで撫でちゃってた♡

 

 ―――――――――

 

「よし、俺も仕事終わったぞ」

「お疲れー、プロデューサーちゃん♡」

 

 ゆいは当然プロデューサーちゃんのお仕事が終わるまで、ソファーでスマホ弄りながら待ってた。

 だって明日は二人してオフだから、ゆい今夜はプロデューサーちゃんのお部屋にお泊まりするんだもーん♡

 

「帰りに何か食べて帰るか?」

「いいね! ならゆいねー……パスタ食べたい!」

「ならイタリア料理の店か」

「えぇ、そんな本格的なとこじゃなくていいよ。プロデューサーちゃんのマンションの近くにあるサイドリアでいいよ」

「それでいいのか?」

「うん。一緒に食事するのは確かに好きだけど、今日のメインはお泊まりだもん♡」

「…………そうか」

「あ、プロデューサーちゃん照れてるー♡」

「うるさいうるさい!」

 

 ひひひっ、ムキなっててカワイイ♡

 あ、忘れない内に―――

 

「はい、プロデューサーちゃん♡ あーん♡」

「へ……あー?」

 

 ―――飴あげなきゃ。

 

「ほい♡」

「むぐっ…………コーラ味か」

「うん♡ ヨロシクー♡」

「優しくするよ」

 

 コーラ味の意味は『朝までして♡』って意味だよ♡ 何をしてほしいかは言わないけど♡

 

「あ、帰る前に話があったんだ」

「な〜に?」

「これ……唯に」

 

 プロデューサーちゃんがそう言って唯に渡したのは―――

 

「鍵?」

「そう……俺の部屋のやつ」

 

 ―――合鍵だった。

 

「え……えぇっ!?」

 

 前はどんなに言ってもダメだったのに、どうして?

 

「あ〜、ほら……今日は付き合って半年の記念日だろ?」

 

 記念日覚えててくれたんだ♡

 

「だからさ……もうそろそろ次の段階に進んでもいいかなって思ったんだ。唯も春には高校卒業するし」

「うん……でもゆい、春からはアイドル寮に入るの決まってるよ?」

「それは知ってるさ。でも一緒に仕事してたって甘えたい日とかあるだろ? だからそういう時は俺の部屋に来いよ……俺だって唯に甘えたい時とかあるし」

 

 ヤバイヤバイヤバイヤバイ!

 なんでこういう時に限って素直になるわけ!?

 そんなこと言われたら―――

 

「寮に入るの断って、プロデューサーちゃんの部屋に居座っちゃうよ?♡」

 

 ―――もっともっと一緒にいたくなっちゃうよ。

 

「同棲か……ルームシェアってことでなんとか誤魔化せるかな」

「えぇ、誤魔化す必要ないじゃん! もう言っちゃおうよ!」

「…………腹括るか」

「ホントっ!?♡」

「高校卒業したらだからな?」

「うん……うんっ♡」

 

 ヤバッ……涙出てきた……。

 

「好きだ、唯……」

「ゆいも……大好きっ♡」

 

 こうしてゆいはとっても嬉しい約束をして、プロデューサーちゃんとラブラブに過ごしたよ♡

 

 ―――それから数日後―――

 

「あれー、ゆいっちまたコーラ味系?」

「最近コーラしか持ってないね。前はあんだけ色んな味持ってきてたのに」

「えへへ、もう事務所ではコーラ味しか食べないって決めたんだー♡ この味すっごく気に入ったから♡」

 

 大槻唯⦿完




大槻唯編終わりです!

唯ちゃんならこんな感じのが合うかな?と思って書きました!

お粗末様でした☆

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