デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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北川真尋編

 

 アイドルは楽しい!

 

 ライブはまるで短距離走みたい!

 

 それだけ過ぎるのが早くて

 

 終わったあとの達成感

 

 ファンとの一体感

 

 本当にアイドルになって良かった!

 

 だから

 

 私をアイドルにしてくれた

 

 あの人のために

 

 これからも全力疾走するよ!

 

 ―――――――――

 

「お疲れ様でしたー! ありがとうございましたー!」

 

「お疲れ様でーす」

「またよろしくお願いしまーす」

 

 私の今日の仕事は新しいスポーツドリンクの宣伝用と販促用ポスターの写真撮影。部活でも今後お世話になるスポーツドリンクかもしれないから、こういう仕事は大歓迎!

 でも―――

 

「流石にちょっと恥ずかしかったなぁ」

 

 ―――水着姿は流石に恥ずかしかった。

 水着だってスクール水着とか競泳水着ならいいんだけど、今回のはリボンフリルでオレンジ色のビキニだったもん。

 アイドルだからこれまで水着で撮影したことは何度かあるけど、やっぱり未だに水着撮影は慣れない。

 だって学校で部活仲間とかクラスメートとか必ず『だいたーん♪』、『まぶしいーん♪』ってからかわれるんだもん。まあバカにされたりしてる訳じゃないからそこまで嫌じゃないんだけど。

 

「そんなに恥ずかしかったか? どれも可愛く撮れてるけど?」

 

 そんな私に声をかけてきたのは、私専属のプロデューサーさん。

 この人が私をアイドルにしてくれて、今ではえっと……わ、私の彼氏さんだったりする♡

 

 プロデューサーさんと彼氏彼女の関係になったのはほんの数日前。プロデューサーさんが同僚の人たちとお酒飲んで、酔った勢いで私に電話してきて告白されたのを私が受け入れたって感じ。当然事務所のお偉いさんたちにはナイショにしてるけど、東京の事務所にいる仲良しのアイドル仲間とかには嬉し過ぎて報告しちゃった♡

 自分の担当……しかも専属プロデューサーと良く付き合おうと思ったねって愛梨や亜季さんに言われたけど、私としては大歓迎って感じだった。

 私がデビューする前からずっと一緒に頑張ってきて、それでいていつも側で応援してくれて……私もいつかはこんな素敵な人と恋してみたいなって思ってたらこうなったんだもん♡

 だからナイショにしてるのはちょっと難しいけど、精一杯プロデューサーさんと幸せになりたいって思ってる。

 

「プロデューサーさん……♡」

 

 ただ褒めてもらえただけなのに私の心臓は短距離走を走り終えたあとみたいに、ドクドクと鳴り響く。でもプロデューサーさんだから私はその言葉だけで幸せになってるんだよね♡

 

「…………そんなジッと見つめないでくれ。恥ずかしい」

「あっ、ごめんね……でも、もう少しだけ♡」

「うぅ」

 

 まるでプロデューサーさんの方が女の子みたいな反応してる。いつもと違って可愛いなぁ♡

 それから私は控室前の廊下なのに衣装さんに呼ばれるまでプロデューサーさんのことを見つめてた。

 

 ―――――――――

 

 撮影後の話し合い(どの写真を使うかとか何種類のポスターにするかとか)が終わると、私の今日の仕事はお終い。特に事務所へ戻る必要もないみたいで、私はプロデューサーさんの運転で家まで送ってもらってる途中。

 

「プロデューサーさんってこのあとも仕事、だよね?」

「まあな。前みたいに複数のアイドルを担当してないから移動時間は減ったけど、その分デスクワークはうんとあるからな」

 

 本当ならこのままプロデューサーさんと少しだけでいいから一緒にいたい。でもプロデューサーさんは私のために頑張ってくれてるのに、ここでわがままを言うのは間違ってる。

 

 でも―――

 

 せっかく恋人になれたのに

 これじゃいつもと変わんない

 

 ―――このままでいいのかなって思っちゃう。

 

 プロデューサーさんは大人で私なんかよりもたくさんの経験をしてきてるから平気かもだけど、私はプロデューサーさんが何もかも初めて。流石に初恋は違うけど……。

 でも初めて付き合った異性も初めて手を繋いだ異性(父親を除いて)も、全部全部プロデューサーさんなんだよ?

 

「…………そんなに見つめてどうした?」

「ううん、好きだから見てるだけ♡」

 

 わがままは言わないよ。プロデューサーさんを困らせるのだけはしたくないから。

 

「そっか……なぁ、真尋は腹減ってるか?」

「へ……お腹?」

「そ、お腹。撮影は案外早く終わったし、弁当も出てないだろ?」

「あ、確かに……お昼もまだだしね」

「……よかったら、一緒に昼飯食いに行くか?」

「え?」

 

 いいの? プロデューサーさん、仕事あるんじゃないの? それなのに私とお昼ご飯食べに行ってもいいの?

 

「行きたい!♡」

「ん、なら行こうか」

(尻尾があればブンブンに振ってる勢いのキラキラした目だなぁ……可愛い)

 

「何かリクエストはあるか?」

「んー……肉!」

「肉……ならバイキングでも行くか」

「やったー!♡ プロデューサーさんとバイキングデートだー!♡」

 

 やったやったやったー♡ 人生初のデートで恋人とバイキングだー!♡

 

「そ、そんなにはしゃぐようなことか?」

「いいでしょ、別に!♡ 私にとってはとっても嬉しいことなの!♡」

「そうなのか……」

(真尋は純粋過ぎて尊いぜ……)

 

 こうして私はプロデューサーさんと一緒にバイキングへ向かったよ!

 

 ―――――――――

 

 プロデューサーさんと一緒に入ったお店はバイキングのチェーン店。ここは部活仲間と何度も来てるお店だけど、恋人と一緒にってなるとまるで初めて来たお店みたいで、変な感じ……でもちっとも嫌じゃない♡

 人目があるからそんなに恋人らしくは過ごせないけど、それでも私としては十分過ぎるくらいのデートだよ♡

 

「えっと……牛カルビのタレと塩をどっちも二人前と上ロース二人前とウィンナー盛り二人前と野菜盛り二人前! それとご飯メガ盛り二人前!」

「あ、烏龍茶ください」

 

 店員さんへ注文が終わると、私はメニューが来る前に他の料理を取りに行って、いつものようにお皿にてんこ盛りにしてくる。

 

「プロデューサーさんも食べていいよ?」

「いや、俺はしっかり食べると眠くなるから、いつも昼間はそんなに食べないんだよ」

「あ、そっか……ごめんね。何も考えずに私が勝手に注文しちゃって」

「いいよいいよ。でもちょっとは食べて助けてくれると嬉しいな」

「まっかせて!」

 

 女の子なのに恋人の前でも大食いってどうかなって思われるかもだけど、私とプロデューサーさんの仲ならこれが普通。でも今回はデート気分で舞い上がっちゃって、プロデューサーさんのこと考えてなかったのは反省しなきゃ。

 

「お待たせしましたー。牛カルビのタレと塩でございまーす」

「待ってました!」

「んじゃ、早速焼くか〜」

「ごゆっくりどうぞー」

 

 こういう時、プロデューサーさんって率先して焼いてくれるんだよね。

 

「プロデューサーさん、いつもプロデューサーさんに焼いてもらってるし、今回は私が焼こうか?」

「え、俺の楽しみを奪うのか?」

 

 楽しみだったの!?

 

「そ、それならいいけど……焼いてて楽しいの?」

「うん、凄く楽しい!」

 

 うわ、まるで少年のような目の輝き……こんな顔するプロデューサーさんって新鮮だなぁ♡

 

「どうしてそんなに楽しいって思うの?」

「ん〜……俺が焼いたのを真尋が美味しそうに食べてるのが可愛いから?」

「ペットへ餌付けしてる感じってこと〜?」

 

 私ペットじゃなくて彼女なんですけど〜?

 まあ可愛いって思ってもらえるのは素直に喜べるけど♡

 

「あ〜、確かにそれに近いかも。真尋って犬っぽいところあるし」

「え〜、犬〜?」

 

 犬は嫌いじゃないけどそういう風に言われると複雑。

 

「どういうところが犬っぽい?」

「う〜ん……散歩が好きなとことか?」

「うぐっ」

 

 確かに好き……というか、プロデューサーさんと気分転換にジョギングするのが好きなんだよ!?

 

「あとは待てって言ったらちゃんと待ってるとこか……」

「ぐぬぬ」

 

 普通待ってって言われたら待つものじゃない!?

 まあ半分以上はプロデューサーさんの言うことだから素直に従ってるだけだよ!?

 

「あと好きな物を目の前にすると目が爛々に輝くとこ!」

「ぎにゃーっ! もうやめて! 恥ずかしいっ!」

 

 私そんなに分かりやすい表情してる!?

 

「自意識過剰かもしんないけど、真尋が俺を見つめてる時って犬が尻尾ブンブン振ってるような……そんな雰囲気なんだよなぁ」

「えぇ、そうかな〜?」

 

 だって好きな人のことって見ちゃうじゃん?

 好きだからずっと見ていられるし、見てて飽きないんだよ。

 それに―――

 

「プロデューサーさんがずっと私のことを見ててくれたから、その真似してるのかも?♡」

 

 ―――私はちゃんとプロデューサーさんからされて嬉しかったことをお返ししてるだけなんだよ?♡

 

「っ……バレてたのか……」

「そりゃあね〜♡」

「恥ずかしい……」

「そうかな〜?♡ 私は嬉しかったよ〜?♡ 毎回『あ、今日も私のことちゃんと見ててくれてる♡』って思ってたから♡」

「な、なるほど……」

 

 あ、そう思うと私ってその頃からプロデューサーさんのこと好きだったのかな?

 見られるのがアイドルだけど、その中でもちゃんと中の私も見てくれて理解してくれてるって分かってたから。

 そっか……私ってずっと前からプロデューサーさんのことが好きだったんだ……♡

 

「えへへ♡」

「な、笑うことないだろ〜?」

「ごめんね……えへへへ♡」

「ったく……ほら、焼けたぞ?」

「あ、いただきま〜す!」

 

 こうして私はプロデューサーさんと楽しいひと時を過ごした。

 

 ―――――――――

 

 食事も終わると、今度こそ私たちはお別れ。

 また明日事務所で会えるのに、いつも通りなのに、なんかちょっぴり寂しい。

 

「プロデューサーさん」

「ん〜?」

「またデートしようね?」

 

 あ、ついわがまま言っちゃった。

 でも―――

 

「そうだな。せっかく恋人同士になれたんだから、俺も真尋とこれから色んなデートしたいよ」

 

 ―――プロデューサーさんも同じ気持ちだった。

 私はそれがもう嬉しくて嬉しくて……仕方なくて……この人と出会えて良かったって心から思った。

 

「こういうデートじゃなくて、もっとちゃんとしたデートに真尋を誘うから、それまで待っててくれ」

「うん……楽しみにしてる♡」

 

 そんな約束をしてこの日、私たちはお別れしました。

 でも後日……プロデューサーさんから遊園地へデートに誘ってもらって、観覧車で夕日を見ながら初めてのキスをしました♡―――

 

 北川真尋⦿完




北川真尋編終わりです!

初々しい感じにしました!

お粗末様でした☆
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