デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


木村夏樹編

 

 アタシは歌手になりたかった

 

 でもアタシは間違えて

 

 アイドルのオーディションに出た

 

 すぐにその場を去ろうとしたが

 

 1人が熱い眼差しを

 

 アタシに向けてた

 

 だから一曲歌った

 

 気持ちを……心を込めて

 

 するとその人は更に目を輝かせた

 

 だからアタシは

 

 アイドルになろうと思ったんだ

 

 ―――――――――

 

『それじゃ、これが最後の曲だ! お前らのハートに響くように歌うから、最後までついてこいよーっ!』

 

 ワァァァァァッ‼‼

 

 アタシは今、事務所内の多目的室でこの前の大規模な野外ライブの映像を確認してる。今度この時のライブ映像を編集してインターネットで無料配信する予定なんだと。編集作業だののことは正直さっぱり分からないが、これでアタシの歌が多くの人たちに届くのかと思うと胸が熱くなるぜ。

 

「ここのカットを使いたいとか、ここのシーンは外せないってのがあったらこの用紙にその部分の分と秒数を書いてくれ」

「おう、分かった」

 

 コイツはアタシのパートナー。まあ専属のプロデューサーなんだけどさ、コイツのロック魂にプロデューサーなんて似合わないから、アタシはコイツのことを紹介する時はいつもパートナーって呼んでる。

 そんでもってアイドルとプロデューサーだが事務所には内緒で恋人同士なんだ。アタシのハートにバチバチ来るようなアツイ告白をしてくれたんでね……アタシもついホンキになっちまったってワケさ。

 

 コイツ、見た目はただのサラリーマンって感じだが、プロデューサーとしての手腕は確かでアイドルとは縁遠いアタシをここまで押し上げてくれたんだ。

 だからアタシはホンキでアイドルをやってるし、ホンキでコイツを愛してる。出来る事ならこのままどこまでもコイツと一緒に走って行きたい。

 

「にしても、このライブ映像が5、6分にまとまるなんて考えられないなぁ。毎度毎度良くやるよな、〇〇さんもさ」

「この俺が夏樹を一番熟知してるし、かっこよくもかわいくも見せられるからな」

 

 真っ直ぐな言葉は嬉しいが、そこまで言われると流石のアタシでも照れるぜ♡

 

 編集する動画はMAD動画?とか言うみたいなんだが、実際に編集してネットにアップするのは全部コイツなんだよな。動画についてのコメントも『カッコイイ!』『ロックだ!』『カワイイ!』『神動画!』なんてのがいくつもあって、本当にプロデューサーはすげぇと思う。

 

 プロデューサーの経歴って結構変わってて、高校を卒業したらずっとフリーターでその間は趣味でアニメとか特撮ヒーローのMAD動画を作っては動画投稿サイトにアップしてたみたいだ。

 そんである日に今は引退してるが、この事務所のアイドルのライブ映像のMAD動画を作ってアップしたら、その動画が爆発的な再生数になってそのアイドルは世界ツアーまでしたらしい。元々そのアイドルも人気だったが、投稿サイト界隈でそこそこ有名だったプロデューサーがそんな動画を作ったから相乗効果を生んだんだろうな。

 それがきっかけで事務所にスカウトされて、プロデューサー業をスタートさせて、これまで何人もアイドルを世に羽ばたかせ、今はアタシを担当してくれてるんだ。

 

 ここまでの変わり者だからアタシみたいなのをホンキでアイドルにしようとしたんだろうな。

 普段からノーパソは手放さないし、筋金入りのネットオタクって周りから言われてるが、アタシからすれば1つのことにそれだけ情熱を注げるのはすげぇと思うし、本当に尊敬出来る人間だと思ってる。

 でも、だからたまにふと不安になるんだ―――

 

 コイツはいつまでアタシの隣にいてくれるのかな?

 

 ―――っていう疑問が浮かんできてさ。

 

 まだ何も残せてないアタシが言うのもアレなんだけど、プロデューサーってもっとすげぇこと出来ると思うんだよな。いつも型破りなことしてるし、その気になれば自分で起業だって出来ると思う。

 もしその時になったら、アタシはコイツの隣にいれるのかなって変なこと考えちまうんだ。

 だから―――

 

「〇〇さん」

「ん?」

「……キスしてくれよ」

 

 ―――身体でコイツと自分を無理矢理にでも繋がろうなんてカッコ悪いことしちまう。

 

「…………最近夏樹を見てて思うことがある」

「え、な、なんだい?」

 

 キスしてくれないのか……。ちょっと寂しいぜ。

 

「どうして最近の夏樹はキスのおねだりをしてくる時……そんなに悲しそうな顔をしてるの?」

「っ!?」

 

 おいおいマジかよ……アタシそんな顔してたのか?

 というか、どこまでアタシのこと理解してんだよ……図星を突かれて焦ってんのに、喜んでる自分まで出て来ちまったじゃねぇか♡

 

「まあ、いつかは話さなきゃって思ってたし、丁度いいか」

「なんでも言ってくれ。二人で最善の策を考えよう」

 

 くそっ……ここまで来てもアンタはアタシとセットって考えてくれてんだな♡

 

 そう思うとアタシは胸につかえてた何かが取れたみたいに、素直にアタシ自身が抱えてた不安をプロデューサーに吐き出すことが出来たんだ。

 

 ―――――――――

 

「――ってな感じに時々不安になっちまってて……」

 

 全部……これまで感じた全ての不安をプロデューサーへ話すことが出来た。それだけで心も体もスッキリしたアタシは結構単純だなって心の中で笑ったが、

 

「なるほどねぇ……夏樹にそこまで評価されて喜ぶべきか、恋人をここまで不安にさせて申し訳ないと思うべきか……」

 

 プロデューサーはどこまでも真剣だった。こういうことでも真剣だから、またアタシはプロデューサーへの想いが募るんだろうな♡

 

「別にアタシが勝手に悪い風に考えただけだから、〇〇さんが謝る必要とかないと思うぜ?」

「それじゃ俺の気が済まないのは知ってるだろ?」

「ま、まあな……」

 

 くぅ、どこまでもアタシ想いで痺れるぜ!♡

 こんな幸せでいいのかアタシ?♡

 

「でもまあ、自分を責める前にやることがあるな」

「へ、なんだいそれ――」

 

 ちゅっ♡

 

「――!!!!??♡」

 

 いきなりプロデューサーに唇を奪われた。

 しかも今回のはいつもと全く違う。

 

 いつもならものすっごく優しいくせに、今回のはアタシに呼吸をさせないくらい激しいキスだ。

 苦しくて、でもそれで喜んでるアタシがいて……プロデューサーに許された時だけ呼吸が出来て、まるでアタシの全てがプロデューサーのモノになってるみたいだった。

 

「っはぁっ……はぁ〜はぁ〜……な、なんだよ、いきなりぃ♡」

 

 鼓動がうるせぇ……プロデューサーが好きって気持ちしか湧いてこねぇ♡

 

「夏樹は言葉よりも行動で示して欲しいタイプだろ? だから先に行動で示したんだ」

 

 ケロッとしてとんでもねぇこと言ってるなぁ……こっちは肩で息してて腰砕けになってるってのにぃ♡

 

「こ、言葉でも示して欲しいもんだな……♡」

「無論。俺はこの先起業するつもりはない。もしあったとしても夏樹と離れることは一切考えてない。だから安心して俺の隣にいればいい」

「〜っ♡」

 

 知ってた。そう言ってくれるって知ってたんだよ、アタシは。

 でも言われてみたら自分がどれだけ幸せなのか知りたかったんだ……♡

 

「これで満足かな、ワガママなお姫様?」

「お、おぉ♡」

「俺にここまで言わせるなんて夏樹も悪い子だなぁ」

「だ、だってさ……言われてみてぇじゃん? 普段のアタシのキャラからしたら違和感しかないかもしんねぇけどさ」

 

 アタシだってプロデューサーの前じゃただの女にしかなれないんだよ。心底惚れた人に求めて欲しいんだよ。

 

「何言ってるんだ? 夏樹は俺の前じゃ常に可愛い存在なんだが?」

「い、いいってそういうの……」

「いや、分かっていないようだから説明しなきゃいけないだろ?」

「いいって……」

「夏樹はファンには格好いい存在とされているが、俺にとっては可愛い存在でしかない……今までもこの先も。現に夏樹のこれまでの行動は可愛かった。バレンタインデーの時、クリスマスの時、デートの時、ベッドの上の時――」

「――だぁぁぁっもう! 止めろぉぉぉっ!」

 

 どこまでもアタシをお姫様扱いしてくるのマジで止めろよ……心臓がいくつあっても足りやしねぇ。

 

 そんなこんなでアタシはプロデューサーとまた理解を深めて、アタシはアタシなりにこれまで通りで……いや、これまで以上にプロデューサーへ好きって気持ちをアタシなりに伝えていければいいんだって思えた。

 

 ―――――――――

 

「な、なぁ、〇〇さん……?」

「何かな、夏樹?」

「この体勢はちょっと……ハズいんだが……」

「でも嫌じゃないだろ?」

「そ、そうなんだけど……♡」

 

 アタシとプロデューサーは打ち合わせを終えて事務所から引き上げてきた。んでアタシはそのままプロデューサーのマンションの部屋に来たワケだが……プロデューサーはアタシを自分の膝の上にお姫様抱っこするみたいに乗っけて、1時間もアタシの頬なり首筋なり耳なり……キスしてくるんだ。

 別にそれが鬱陶しいとか煩わしいとか……嫌な感じは一切ない。敢えて変な言い方をすれば幸せで胸が苦しいって感じだな。

 でもどうして今日に限ってこんなにお姫様扱いしてくるのかが分からなくて、アタシは素直に受け入れられないでいた……と言っても1時間もこの状態に甘んじてたワケだが。

 

「夏樹がもう不安な気持ちにならないように……不安より幸せしか感じられないようにしてあげてるんだ」

 

 ちゅっ♡

 

「んぁっ……くっ……も、もう大丈夫だからぁ♡」

「俺が大丈夫じゃないから却下」

 

 ちゅっ♡ ちゅっ♡

 

「んくっ……はんっ♡」

 

 くぅ……まるで自分じゃないような声が溢れちまう。ハズい……でも気持ちいいし、何より幸せだぁ♡

 

「大好きだ……夏樹、ちゅっ……ずっとずっと愛してるぞ……ちゅっ」

「ぁ……アタシもっ……あぁ♡ 〇〇さんのことぉ……あぁん、愛してるぅ♡」

 

 キスだけなのにどうしてこんなに気持ちいいんだよ……キスされる度に自分の体じゃないみたいに熱くなってきて、プロデューサーの声しか聞こえないし、プロデューサーのことしか考えられねぇ♡

 

「今夜は一晩中、キスマークが残らない程度に夏樹の色んなところにキスするからな」

「うわぁ……♡」

 

 そんなことされたら、アタシどうなっちまうんだよ……♡

 

「目が喜んでるね、可愛いよ夏樹」

「っ……〇〇さんのせいだ♡」

「光栄でしかないね」

「責任とれよな♡」

「無論」

 

 こうしてアタシは本当に一晩中、プロデューサーからキスされ続けて……それ以来これまで以上にプロデューサーとのキスがやめられなくなったんだ♡―――

 

 木村夏樹⦿完




木村夏樹編終わりです!

いつもカッコいいなつきちも惚れた相手にはにゃんにゃんしちゃうと思うんです(真顔)

お粗末様でした☆
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