デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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キャシーちゃんは公式でニューヨーク生まれ浅草育ちですので、東京に住んでる設定で書きます。


キャシー・グラハム編

 

 あたしは日本が好き

 

 人の心が温かくて

 

 優しくて

 

 豊かだから

 

 そんな日本のお茶の間の

 

 人気者になりたくて

 

 アイドルを目指した

 

 そこであたしは

 

 掛け替えのない人と

 

 出会ったの

 

 ―――――――――

 

「はい、ということでね。今回の『アニメ大好き芸能人』でゲストに来てもらったのはリアクション芸人のキャシー・グラハムちゃんでーす!」

「キャシーはリアクション芸人じゃないよ!?」

「あ、ごめんごめん。ブシドーのキャシー・グラハムちゃんでしたね」

「興が乗らんっ! 敢えて言わせてもらおう! アイドルのキャシー・グラハムであるとっ!」

 

 ドッ!

 

 あたしは今、深夜番組のアニメについて語るバラエティの収録に来てるよ! この番組はMCとゲストの対談形式の番組で、そこそこ視聴率も高いんだって!

 ショージキなところ、あたしはアニメってあんまり詳しくないんだけど、せっかくもらった大切なお仕事だから頑張るんだ!

 比奈とか杏とか奈緒とかから収録前に色々とオススメを教えてもらって、ちゃんと予習してきたんだから♪

 だからMCをしてる芸人さんのさっきのボケにも対応出来たのだ!

 

「今回のテーマはまさに『ガ〇ダム』なんだけど、キャシーちゃんは『ガ〇ダム』って興味あるの?」

「同じ事務所に所属してるアイドル仲間にオススメされたのしか知りません!」

「おぉ、潔いね! 因みにオススメされた中で見てみたってのは?」

「えっと……00ってのとWってのを見ました!」

「あぁ、だからネタにもちゃんとついて来れた訳だ!」

「イエスイエスイエス!」

 

 こんな感じでその後も問題なくあたしらしく収録に臨めて、スタジオをあとにする時には「また来てね!」「また呼ぶから!」って言ってもらえたんだ♪

 

 ―――――――――

 

「さて……挨拶も済んだし、あとは事務所に帰るだけだな」

「サーイエッサー!」

 

 この人があたしをアイドルにしてくれたプロデューサーさん。少し前まで何人もアイドルを担当してたんだけど、今じゃあたし専属で頑張ってくれてるの。

 んでもって―――

 

「事務所に着いたらご褒美ちょーだいねダーリン♡」

「おう、任せとけ♪」

 

 ―――あたしの恋人なんだぁ♡

 

 アイドルとプロデューサーが付き合ってていいのかって思われるかもしれないけど、あたしのために全力で頑張ってくれる人を好きにならないなんてあり得ないでしょ?

 流石に事務所の人たちには秘密だけどね。

 

 ショージキあたしもプロデューサーさんとこんな関係になるなんて思ってなかったし、あたしも恋をしたらここまで積極的になるなんて思わなかった。

 でも仕方ないよね。色々と考えたってプロデューサーさんのことが好きで好きでどうしようもないんだもん。好きな人だからこそ、心が求めてたっていうか……そんな感じ!

 あれこれ考えるのはあと回しで、とりあえずプロデューサーさんとラブラブになるのがあたしのプライベートでの目標だよ♪

 

 ―――――――――

 

 事務所に着いて、上の人たちへの報告が終わると、あたしはプロデューサーさんと一緒にプロデューサーさんがお仕事で使ってる個室に向かう。

 さっき言った『ご褒美』をもらうために♡

 

 そのご褒美は―――

 

「はい、キャシー……ぎゅ〜っ♪」

「ギュ〜ッ♡」

 

 ―――プロデューサーさんからのラブラブハグだよ♡

 流石に個室といえど、事務所内でキスなんて危ないからね! その点ハグなら個室外で良くあたしが色んな子にしてるから、事務所の人が急に来ても『仲いいね』くらいで済むもん。

 でもプロデューサーさんとのハグはみんなとするハグとは全く違うの。

 

 最初はお互い相手の頬にギュッと押し当てて、二人の間には何もないほど密閉されているハグ。

 暫くすると今度は顔を離してお互いに見つめ合うようにして、また暫くすると最後はあたしがプロデューサーさんの首に手を回して、プロデューサーさんはあたしの腰に手を回すスタイルって感じでハグする。

 お互いこの時は滅多に喋ったりしないけど、言葉なんてなくたってプロデューサーさんのあたしへの愛がい〜っぱい伝わってくるから、これだけであたしはメロメロで顔がにやけちゃうんだぁ♡

 

「今日もキャシーはハグでこんな蕩けた顔して……可愛いなぁ」

「んにゃあ……ほっへむにむにすゆのやめへ〜♡」

 

 すぐにあたしのほっぺにイタズラするんだから♡ でも"やめて"とか自分で言ってるけど、ホントは"やめないで"って思ってる。だってプロデューサーさんに構ってもらえるのは嬉しいもん♡

 

 プロデューサーさんはお仕事が大変だから、このラブラブタイムが終わったらお仕事に戻っちゃう。それは仕方ないって思ってるし、それもあたしのためだって知ってる……だからこの時間を今のうちに目一杯堪能しとくんだ♡

 

 でも―――

 

「あ、キャシーに言い忘れてた」

「え、何?」

「俺、これから暇なんだよ」

 

 ―――今日はこのあとずっとラブラブ出来るみたい!♡ やったぞ、コンニャロメー!♡

 

「それは嬉しいけどぉ、どうして暇なのぉ?♡」

「それはね、ハニー。相手の都合で打ち合わせが延期になったからなんだ」

「まあ、それは災難ね、ダーリン!♡」

「それでね、ハニー。実はご機嫌な提案があるんだ」

「まあ、何かしら?♡ ダーリンの提案でご機嫌じゃないことなんてないから、今から聞くのが楽しみだわ!♡」

 

 お互い変なテンションかもしれないけど、こんな風にあたしたちは即興コントをいつもする。いわゆるアメリカの通販番組的なノリのコントなんだけど、これはこれでやってて楽しい♪

 

「君さえ良ければ、これから街へウィンドウショッピングに行かないか? 日頃のご褒美に欲しいのがあれば買ってあげるよ?」

「まあ、なんて素敵な提案なの!♡ 信じられないわ!♡」

 

 デートは嬉しいけど、どうしていきなりそんな提案したんだろう?

 だからあたしは思ったままをプロデューサーさんに訊いてみたんだけど……

 

「HAHAHA、日頃のご褒美にって言ったばっかだろ? ハニーは疑い深いな!」

 

 ……あ、まだコントは継続してるみたい。

 

「嬉しいわ、ダーリン!♡ それじゃあ、あたしは先にロビーで待ってるから、すぐに迎えに来てね!♡」

「もちろんさ、マイハニー♪」

 

 ―――――――――

 

 というわけで、急遽あたしはプロデューサーさんに連れられて事務所から車で繁華街に来たんだけど、今日は祝日だから人がたくさんいる。

 あたしは伊達メガネしてるけど、実際外人の人もたくさんいるからあたしがアイドルだなんて誰も思わないよね。だから保険として掛けてるって感じ。

 でもこれだけ人がたくさんいれば、プロデューサーさんと腕を組んでても怪しまれないから、あたしとしては好都合だったりして♡

 

「〇〇さん、あれ見てよ♡ トルコアイスだって!♡」

「超伸びてるなぁ。食べるか?」

「いらなーい♡ 面白いから言っただけー♡」

「そっか♪」

 

 前もって欲しいのがあったら買ってやるって言われたけど、別にあたしは何か欲しいとかはない。こうして二人っきりで普通の恋人みたいに街を歩けるってだけで大満足だもん♡

 ロケ地でちょっとお土産屋さんを二人で回るとかはしてるけど、東京ではこんな風に過ごすの滅多にないから、すっごく特別なことしてる気分♡

 

「あ、この前キャシーがキャンペーンガールやった化粧品ポスターだ」

「おー、ホントだ!」

「そういやキャシーさ、このブランドからお礼にマスカラとかリップとか貰ってたけど、使ってるのか?」

「あたし普段からお化粧とかしないから、ママにあげちゃった!」

「なーる。でもキャシーはそもそも元がいいから、化粧なんてしなくたって可愛いよな」

「そーかなー? それは多分あたしの外見が外人だからだよー」

 

 あたしはそう思うけど、プロデューサーさんに可愛いって言ってもらえるのは嬉しい。やっぱり好きな人には可愛いって思われてたいし、言って欲しいもん♡

 

「人種なんてなんだっていいよ。俺はキャシーだから好きになったんだから」

「んへへぇ、知ってるぅ♡」

「なら言わすなっ」

「えぇ〜、だってぇ、言われたいじゃ〜ん?♡」

「くっそ、可愛いから許すしかないっ!」

「やった♪♡」

 

 ―――――――――

 

 それからもあたしたちは色んなお店を特に目的もなく見て回ってたら、あっという間に夕方になっちゃった。楽しい時間ってどうしてこんなに早く感じるんだろう……ずっと続けばいいのに。

 まあもしそうなったらそうなったであたしの心臓がドキドキしっぱなしで保たないんだけどね!

 んで、あたしたちはディナーってことで、繁華街にあった雰囲気のいいオープンカフェに入ったの。

 でも―――

 

「あの、アイドルのキャシーさんですよね? 良かったら一緒に写真撮ってもいいですか?」

「私はこの定期入れにサインしてほしいです!」

 

 ―――流石にお店でまったりしてたらアイドルだってバレちゃった。というか、こうしてファンの人にサインとか求められるのって今じゃ慣れちゃってるけど、こういうのも全部プロデューサーさんのお陰なんだよね。

 握手やサイン、写真……どれもすごく嬉しそうに求めてくれるから、あたしは絶対に拒まない。プロデューサーさんもニコニコしてくれるし♪

 

「ありがとうございました!」

「た、宝物にします!」

 

「えへへ、ありがとっ☆ これからも応援してね!」

 

『はいっ♪』

 

 ファンの子たちが元の席に戻る。すると今度はお店の店長さんも来て、写真とサインを頼まれて、お店に飾るのもお願いされたからもちろんオッケーしたよ♪ プロデューサーさんもニコニコしてたし♪

 

「いやぁ、キャシーがみんなから愛されてて嬉しいなぁ」

「あはは、これも全部プロデューサーさんのお陰だよ♡」

「俺はただのアシスト役さ。俺じゃなくてもキャシーは十分人気になれる素質を持ってたんだから」

「そーかなー? あたしはプロデューサーさんだから、ここまで頑張ってこれたんだよ?」

「ありがとう。そう言ってもらえると、またやる気が湧いてくるよ」

「これからもよろしくね、あたしのプロデューサーさん♡」

「おう、任せとけ♪」

 

 こうしてあたしたちは最後はアイドルとプロデューサーとして過ごしたけど、とっても楽しい時間を共有出来た。

 それにあたしを家まで送ってくれた際に車の中で恋人同士のキスもしてくれたから、その日の夜は幸せでいっぱいだったよ♡―――

 

 キャシー・グラハム⦿完




キャシー・グラハム編終わりです!

アメリカ人だけど江戸っ子キャシーちゃん。まあノリは気さくな外国人とそう変わらないですが、そんな彼女の可愛さが伝われば幸いです♪

お粗末様でした☆

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