デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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小関麗奈編

 

 正義あるところに悪あり

 

 悪あるところに正義あり

 

 正義と悪は光と闇

 

 誰が正義をいいことだと決めた?

 

 誰が悪を悪いことだと決めた?

 

 正義の解釈は人それぞれ

 

 悪の解釈もまた同じ

 

 2つの内どちらかを選ぶなら

 

 アタシは悪を選ぶ

 

 何故ならこの世の中は

 

 正義好きが多過ぎてつまならないから

 

 そしてアタシの野望は

 

 一人の有能な手下によって

 

 躍進していくのよ!

 

 ―――――――――

 

「アーッハッハッハッ……ゲホゲホッ! んんっ、今宵もがん首揃えてのこのことこのレイナサマの宴にやってきたのね、無能な愚民共ー!」

 

 ワァァァァァッ!!!!!

 

「今宵もアタシが満足する悲鳴を腹の底からあげるのよッ! でないと即死刑だからッ!」

 

 レイナサマァァァァァッ!!!!!

 カワイイィィィィィィッ!!!!!

 

「か、カワイイ言うなッ! アタシがカワイイのなんて全世界共通でしょ、この、えっと……バカァァァァァッ!」

 

 ワァァァァァッ!!!!!

 

 自覚の足りない愚民共を相手にするのは疲れるわ。でも今回のライブはアタシとしては初めてのソロでのライブ。キャパは少し不満だけど、ぎゅうぎゅうに愚民共がひしめき合う姿をステージの上から見物出来るのは気分がいいわね。このライブをセッティングしたアタシ専属の手下(プロデューサー)にはあとでご褒美をあげないと♪

 

「さっさと初めの曲に行くわよーッ! アタシが歌うんだから、愚民共は心して聞き、感謝し、むせび泣きなさーいッ!」

 

 ワァァァァァッ!!!!!

 

 ―――――――――

 

「お疲れ様でーす♪」

 

「お疲れ様でした〜」

「麗奈さん、お疲れ様です」

「楽屋にはもう既にメイクさんとか準備してるんで」

 

「ありがとうございまーす♪」

 

 ふぅ、我ながら今夜のライブは最高の出来だったわ。まあ世界的な人気を誇るレイナサマならこれくらいは朝飯前なんだけど。

 

 ガチャ

 

「お疲れ様でーす♪」

 

「あ、麗奈さんお疲れ様で〜す」

「メイク先に落とします? それとも着替えが先ですか?」

 

「着替えを先にお願いします♪」

 

 たくさん汗掻いちゃったし、まずは着替えよね。今回の衣装は前開きのだから、メイクが付いちゃうこともないし。

 

 ―――――――――

 

 着替えもメイクも終えたアタシ。手荷物を持って楽屋を出ると、

 

「本日はありがとうございました。またよろしくお願いします」

「いやいや、こちらこそ。お陰で大盛況でしたから、是非ともまたうちを使ってください♪」

 

 ライブハウスのお偉いさんとアタシのプロデューサーが角で話をしてた。

 お偉いさんならイチオウこのレイナサマも挨拶しとくべきよね。

 

「お疲れ様でーす♪ 今回はありがとうございましたー♪」

「あぁ、麗奈ちゃん。こっちこそありがとうね〜。またうちでライブやってね」

「はい、勿論です〜♪」

「楽しみにしてるよ〜。それじゃ、僕はそろそろ……」

 

 この場をあとにしていくお偉いさんにアタシとプロデューサーは頭を下げる。こうした地道な行動が後に効いてくるのよ。

 

「お疲れでした、麗奈さん」

「別に疲れてないけど?」

「あぁ、世界的アイドル麗奈さんならこれくらい朝飯前でしたね」

「そうよ♪」

「ではファンの方もまだライブハウス内で余韻に浸ってますし、もう2、3曲やりますか」

「え」

「レイナサマなら出来ますよね? 出来ないとか吐かしやがりませんよね?」

「ぐぬぬ……」

 

 手下のくせに調子に乗って! アタシの足腰が震えてんの分かんないワケ!? アタシは疲れてるのよ! それだけ全力でやってきたんだから!

 

「しかし残念なことにライブハウスの都合もありますからね。今回は大人しく帰りましょうか」

「…………そうね。んっ」

「? その手はなんですか?」

「ハァ? 見て分からないワケ? アタシは一応疲れてるの。自分の足で歩くのもイヤなの。だからアンタがアタシを運びなさい」

「今台車借りてきますね」

「アタシを荷物にするなッ! お姫様抱っこッ! それくらい言われなくても察しなさいよッ!」

「えぇ〜、レイナサマ重たいですし〜、私めは非力な手下ですし〜」

「ヤダヤダヤダ〜ッ! もう歩けないッ! お姫様抱っこ〜ッ! じゃなきゃ泣くからねッ!」

「レイナサマの泣きっ面はきっと画になりますね。動画撮影するので存分にお泣きください」

「にゃぁぁぁぁぁっ!」

 

 本当にコイツはアタシを小馬鹿にする悪いヤツだわ……でもまあアタシの手下なんだから、これくらいワルじゃないと。なんだかんだいつも抱っこしてくれるし……♡

 

 ―――――――――

 

 アタシはプロデューサーを優秀な手下として認めてるし、その手腕を評価してる。だからアタシ専属の手下となった半年前にこのアタシと付き合う権利を与えたの。アイドルとプロデューサーが付き合うなんて普通じゃあり得ないけど、アタシたちは悪。常識になんて縛られない。

 アタシのキャラの魅力もあってお姫様抱っこで運ばれてるところを激写されてもスキャンダルになんてならないし、寧ろデフォであると知らしめることが出来る。

 

 ただ、このプロデューサーはホントに食えない男なのよね。このアタシの高度なイタズラにもことごとく耐え、平然としていんるだもの。

 でもいつか必ず弱点を見つけてやるんだからッ!

 

「では私は上の方へ今回のライブの件を報告をしに行きます。麗奈さんはそれからご帰宅になりますので、休憩室でお待ちください」

「ハイハイ。いつものように大成功だったとうんと色つけて報告してきなさい」

 

 事務所に着いてプロデューサーはアタシを残して自分のやるべき仕事へ向かう。

 あの広い背中がアタシのことを支えてくれていると思うと、胸の奥が熱くなってくる。

 

「さてと……」

 

 アタシが大人しく待ってるはずがない。イタズラの準備に取り掛かるのよ。

 

「この前は塩水にして失敗して、その前は砂糖水で失敗したから、今回はもっとエグいのにしてやるわ!」

 

 今回はなんとコーヒーだと言って全部麺つゆにしてるわ! 我ながら悪だわ。最高のイタズラじゃないの。

 最初は醤油にしようかと思ったけど、醤油だと流石にアイツも辛くて泣いちゃうかもしれない。だからアタシのお情けで麺つゆにしてあげたのよ! なんて優しいのかしら、アタシって!

 

「アーッハッハッハッゴホッ……ゲホッ!」

 

 ―――

 

「戻りました。麗奈さん、送って行きますよ」

「ん、その前にコーヒー淹れといたから、飲んだら?」

「レイナサマ直々にですか?」

「そうよ? だからありがたく飲みなさい!」

「私コーヒーはホット派なんですが……」

「アイスだっていいでしょ!? いいから飲みなさいよ!」

「分かりました……ゴクッ」

 

 シャッ! 引っかかった! さぁ、盛大に麺つゆのしょっぱさに吹き出―――

 

「いい味ですね」

 

 ―――さぬぇぇぇぇぇっ!

 

 え、なんで!? どうしてよ!? アタシちゃんと麺つゆ入れたわよね!? 味だって確かめたもの!

 

「これは何かレイナサマのこだわりのコーヒーなんですか? ゴクッ」

「え、ま、まあそうね……」

 

 あれれ? ホントにしょっぱくないの? このアタシが知らないだけで、実はコーヒー味の麺つゆなんて物があったり?

 

「レイナサマは飲まないんですか?」

「アンタの分しか用意してなかったから……」

「なら飲みます? もれなく私との間接チッスも味わえますよ?」

「チッスじゃなくてキッスでしょ……ま、まあアンタがどうしてもいうなら、いいわよ?♡」

 

 このアタシと間接キスを望むだなんて……悪いヤツだわ。こっちまでゾクゾクしてくるじゃない♡

 

 ゴクッ

 

「っ……ゔぁ〜」

 

 ボタボタッ

 

「手下との間接チッスは麺つゆの味、イエイ」

 

 真顔でダブルピースして何言ってんのコイツ。というか、また失敗した。騙された。てかコイツこんなしょっぱいのに涼しい顔して飲んでたなんて……。

 

「はいはい、床にこぼした麺つゆはキレイキレイしましょうね、レイナサマ」

「…………はぁい」

 

 まあ、こぼしたのはアタシだしね。

 

 フキフキ

 

「良く出来ました〜。いい子いい子」

 

 なでりなでり

 

「ふぐぅ……悔しい、こんなので……!♡」

 

 コイツの手は悪魔の手よ。アタシをだらしなくさせるね。アタシの撫でられて気持ちいいツボをカンペキに抑えて、且つ髪型が崩れないように返す手で髪を整えるという高度な技……気持ちいい♡

 

「それとお口直し……ちゅっ」

「んむぅ♡」

 

 来た♡ アタシにとどめを刺すコイツの口づけ♡

 制圧されないように必死に口を閉じてるのに、唇を舌先で優しく攻め、油断してアタシが口を開けると怒涛のようにコイツの舌がアタシの中になだれ込んでくる♡

 瞬く間にアタシの中を制圧し、反撃しようとアタシも舌をコイツの中に入れても、アタシの舌はコイツの歯に優しく甘噛みされて戦意を失ってしまう♡

 そして最後にはこのアタシが手下にいいように中を蹂躙され、

 

「ぷはぁ……可愛いよ、麗奈」

「ふ、ふみゅぅ♡」

 

 悩殺ボイスを悩殺スマイルと共に放ち、勝利宣言をする♡ 悔しい……悔しいのに気持ち良くて、両足が震えて、アタシはアタシじゃないみたいになる♡

 

「ひ、ひむひょれこんなころひて……ばかぁ♡」

《じ、事務所でこんなことして》

「ここには監視カメラもないし、今は二人きりだからね」

「ばかぁ……ばかばかばかぁ♡」

 

 アタシをこんな気持ちにさせて! なんて悪いヤツなの! 絶対にただじゃ済まさないんだから!

 

「さて、じゃあ送っていきますね。またお姫様抱っこですか?」

「う、うん……♡」

「足腰プルプルで生まれたての子鹿ですもんね」

「う、うるひゃい……♡」

「…………帰る前に、麺つゆを飲ませてくれたお礼もちゃんとしていきましょうか」

「ふぇ?♡」

 

 それってお仕置き?♡ お仕置きされちゃうの?♡

 

「今回のは流石の私も平静を装うのが大変でしたので、いつもより厳しいお礼ですからね」

「や、やらぁ……おひおきしゃれるの、やらぁ♡」

 

 して♡ いっぱいいっぱいして♡ プロデューサーのお仕置きアタシ大好きなの♡

 

「そんな嬉しそうな顔で言っていては全然嫌そうに見えませんよ?」

「いやらもん……♡」

「身体をさっきから私の方に押し付けているのに?」

「しらないもん♡」

「みんなには内緒ですからね?」

「いわないもん♡ ぷろりゅ〜しゃ〜と離れるのいやらもん♡」

 

 そもそもアンタは死ぬまでアタシの手下なんだからね!♡

 

 こうしてアタシは家に帰る前にプロデューサーと恋人限定の大人のホテルに行って、さんざんお仕置きされたわ……♡

 悔しいからいつか絶対にアタシがアイツをヒィヒィ言わせてやるんだから!♡―――

 

 小関麗奈⦿完




小関麗奈編終わりです!

レイナサマって13才なんですね……妄想のままに書いて、書き終わってから気づいた←
でもラブラブだから大丈夫ですね!←

お粗末様でした☆

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