デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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城ヶ崎莉嘉編

 

 アタシには自慢の姉がいる

 

 カリスマギャルで

 

 めっちゃカワイイ!

 

 めっちゃカッコイイ!

 

 そんなお姉ちゃんに

 

 アタシもなりたくて

 

 アイドルを始めた

 

 そこでアタシは

 

 サイコーの人と出会ったの!

 

 ―――――――――

 

「〜♪ 〜〜♪」

 

 今日のアタシは完全オフ! んで、今からアタシ専属のPくんと恋人になっての初デートなの!

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 アタシがアイドルになった理由……それはお姉ちゃんの影響が大きい。

 小さい頃からアタシはお姉ちゃんの背中を追ってて、モデルをやってるお姉ちゃんは自慢だった。

 そんなお姉ちゃんがアイドルになったことで、もっと大きな存在になって……置いてかれちゃうっていう気持ちが日に日にアタシの中で募っていった。

 

 そこでアタシはお姉ちゃんを担当してたプロデューサーにお願いして、半ば強引にアイドルになったの。

 その時にアタシの担当になったのが、今のPくん。

 

 最初はお姉ちゃんと同じプロデューサーにプロデュースしてほしかったけど、今はPくんにプロデュースしてもらってよかったって思ってる。

 お姉ちゃんに置いてかれちゃうって思って……でもそれを隠してレッスンして、レッスンが終わったあとも一人で居残りレッスンしてた。アタシのお姉ちゃんはこんなレッスンなんて軽々とクリアしてるんだもん。

 

 そんなアタシにPくんがある日言ったの―――

 

 姉と同じことをしてれば気が済むのか?

 

 ―――って。

 

 その言葉は当時のアタシの胸にグサッてきた。

 だってアタシが今までしてきたのは全部お姉ちゃんをお手本にしてきたことだったから。

 

 どうしたらいいのか分からなかった

 何をすればいいんだろうってなった

 

 アタシが俯いたまま黙ってると、Pくんはご褒美でもないのにアタシの頭を優しくナデナデしてくれた。

 そして―――

 

 どうせやるなら莉嘉ちゃんの好きなお姉ちゃんも超えちゃおうぜ♪

 

 ―――って、笑って言われたんだ。

 その時、アタシは思ったの。

 この人は運命の人だ!って!

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 それからアタシはPくんのお陰でお姉ちゃんよりも早くCDデビュー出来たし、ユニットもお姉ちゃんより早く組めた。

 今はお姉ちゃんとも同じステージに立つこともあるし、同じお仕事することもあるし、大好きなお姉ちゃんの隣に立っていられることがすっごく嬉しい!

 だからPくんにすっごく感謝してるし、だからこそPくんのカノジョになりたくてすっごいアタックしたの!

 

 それがようやく実って〜、一週間前にOKもらって〜、事務所にはナイショで今日は初デートしちゃうんだ〜♡

 あ、もちろんお姉ちゃんには教えてるよ! 一番に報告したもん! でもお姉ちゃんったら『アンタお転婆だから、Pに愛想尽かされないようにね〜』って言われた……。お姉ちゃんなんてまだ誰とも付き合ったこともないし、お姉ちゃん専属のプロデューサーのこと好きなのに何も出来ないヘタれのくせに!

 まあ、アタシはアタシでお姉ちゃんよりも先にイッちゃうもんねー☆ 変装もバッチリだし、何よりPくん好みにカワイク変装してきたもーん☆

 

「…………?」

 

 待ち合わせ場所に着いたアタシだけど、Pくんの姿がない。

 Pくんのことだからお仕事のこととかでちょっと遅くなるのかな? Pくんお仕事一筋ってカンジだし。

 でもアタシはメンドーなカノジョじゃないから、

 

『アタシと仕事どっちがダイジなの!?』

 

 なんて言わない☆ だってアタシには特別な愛情を注いでて、お仕事には情熱を注いでるんだもん。そんなのどっちもダイジじゃんね。アタシだってアイドルやるようになって大人のジジョーも少しは理解してきたし、理解あるカノジョの方が断然いいもんね☆

 

「お兄さん、今一人〜?」

「よかったらあたしらとお茶しな〜い?」

「女の子三人に男一人って最高だと思うよ〜?」

 

「?」

 

 逆ナンしてる。アタシはしたことないけど、Pくんをデートに誘うのに参考になるようなテクあるかな?

 そんな好奇心でアタシが声のした方に視線を移すと―――

 

「すみません、ちょっと待ち合わせしてるんで……」

 

 ―――逆ナンされてるのPくんだった。

 

 いやまあ、Pくんってめっちゃカッコイイってカンジじゃないけど、高身長で優しい顔だから仕方ないかぁ。

 それとアタシのPくんに目を付けた女の子たちは評価してあげる。

 でもその人はアタシのカレシだから!

 

「お兄ちゃんおっそーい! 今日はアタシに付き合ってくれる約束でしょー!? なのに女の子たちから声かけられてデレデレして……信じらんない!」

 

 アタシはそう言ってPくんの左腕に抱きついた。変にカノジョ面するより、兄妹ってカンジにした方が自然に諦めさせられるからね☆

 その証拠に女の子たちは「ごめんね」って言って離れてった。

 

「サンキュ、莉嘉。助かった」

「……うん♡」

 

 えへへ、ナチュラルに呼び捨てされちゃった♡

 Pくん前までアタシのことちゃん付けで呼んでたのに♡ アタシの胸キュンポイントを知ってるなぁ♡ そういうとこ大好き♡

 

「それじゃ、このまま動物園デートに行くか」

「うん……レッツゴー!♡」

 

 ―――――――――

 

 アタシとPくんの初デートは上野にある有名な動物園。アタシもPくんも動物とか好きだし、人が多い方がかえってバレにくいからここにしたんだ☆ 結構カップルも来てるし、最低でも仲良しな兄妹ってカンジに見えるし!☆

 

「莉嘉は何から見たい?」

「アタシ? アタシは……うーん」

「やっぱり定番のパンダ?」

「パンダなんて見飽きた! ライオン! ライオンがいい!」

 

 やっぱアタシならライオンでしょ☆ パワフルライオンっていう衣装でデビューしたんだから☆

 

「それじゃ、ライオンな……手繋ぐ?」

「ん〜、このまま〇〇くんの腕にくっついてる〜♡」

「了解」

「うん……えへへ♡」

 

 こうしてアタシはPくんの腕にくっついたまま、ライオンのところまで歩くことにした。

 小さい頃から親に連れてきてもらったり、遠足とか学校の友達とかともう何度もこの動物園には来てる。でもデートできた今日はまるで初めてきた時みたいにドキドキとワクワクがいっぱいで……なんかフワフワ〜ってカンジ♡

 

「そういえば、莉嘉さ」

「ん、なあに?♡」

「今日は意外と普通な服装なんだな。てっきりめちゃくちゃ短いスカートとか履いてくるのかと思ってた」

「え〜、そっちの方がよかった〜?♡ 〇〇くんってばえっちなんだから〜♡」

 

 やっと服装にツッコんでくれた♡ Pくんが短いスカートを望んでるなんてこれっぽっちも思ってない。だってPくんは清楚系の方が好みだもん。だから今日はマイクロミニスカじゃなくて、白のチュールミディスカにしたし、上だってそれに合う紺色のオフショルダーニットにしたんだから。

 

「それとも、こういうのアタシには似合わない?」

 

 もしそうだったらショックなんだけど……。

 

「いや、すごく可愛いよ。いつもと違う莉嘉を見れて、得した気分」

「っ……えへへ、そっか♡」

 

 よかった……♡ でもこういうのちょっと恥ずかしい。でもでも『ああ、アタシホントに今この人とデートしてるんだ♡』って感じて余計にフワフワしちゃった♡

 

 ―――

 

「おぉ〜☆」

「ライオンはやっぱり迫力あるなぁ」

 

 ライオンチョーカッコイイ!☆ あ、あくびした! 牙すっごーい!☆

 

「……ライオンって〇〇くんみたい」

「どうして?」

「だってライオンってハーレムじゃん。〇〇くんだってアタシ専属になる前はいっぱいアイドル担当してたんでしょ?」

「それはそうだけど、ハーレムなんて作ってないぞ」

「そ〜かな〜?」

 

 Pくんが知らないだけで、Pくんのこと好きな子は結構いたんだよ? みんなカワイイし、セクシーだから、アタシだけを見てほしくて頑張ったんだから。

 

「俺は一人の子と末永く一緒にいる方がいいよ」

「……それって今みたいな?♡」

「当然♪」

「んへへへへ、顔ニヤける〜♡」

 

 も〜、ホントPくんってアタシのこと好き好きなんだからぁ♡ でも頑張って恋人になれた甲斐があるなぁ♡ じゃなきゃこんなにラブラブデート出来なかったもん♡

 

「今度は〇〇くんの好きな動物見よ!♡ 何がいい?♡」

「俺はカワウソ」

「あっはは、〇〇くんって動物の好みはカワイイ系だよね〜☆」

「カワウソ可愛いだろ?」

「そーだねー☆ ふひひ、それじゃ見に行こ♡」

「あぁ」

 

 Pくんってホントカワイイ♡ 

 

「ねぇねぇ、カワウソ以外で〇〇くんが好きな動物って何?」

「カワウソ以外? うーん……ビーバーとかウォンバットとか? あとはシンプルに犬や猫」

「カピバラは?」

「好き!」

「あはは、〇〇くんっておじさん顔が好みなの〜?」

「失敬な。俺は莉嘉が好きに決まってるだろ」

「っ…………そういうのズルいと思う……♡」

「ライクとラブの違いを教えたまでだ」

「もう♡」

 

 でも実はそう言ってくれるのを待ってたアタシもいたり……実際に言ってもらえるとヤバイくらいキュンキュンする♡ まあおじさん顔に負けたらショックで立ち直れないと思うけど……。

 

 ―――

 

「うわぁ、可愛いな〜! あんなに一生懸命お魚アグアグしてる〜!」

「ホントだ〜♪」

 

 アタシたちが行くとちょうど餌やりの時間だったみたいで、カワウソたちが飼育員から餌をもらって食べてた。

 正直なとこ、アタシはカワウソよりPくん見てる方がぎゃんかわな件♡

 Pくんって大人だけど、こういう時ってすっごく子どもっぽくなるんだよね。普段とのギャップがあり過ぎてキュンキュンする♡

 そもそも"アグアグ"って何? そう言ってるPくんの方がめっちゃカワイイから!

 

「俺もいつか仕事が落ち着いたらペットでも飼おうかな〜」

「え〜、アタシがいるからいいじゃん☆」

「まあ、莉嘉も犬っぽいとこあるしなぁ」

「そうそう、ナデナデしてくれればすぐゴキゲンになっちゃうよ♡」

「はいはい」

 

 ナデナデ

 

 ふひひ……Pくんからナデナデされるの好き♡ お姉ちゃんとかにされるのも好きだけど、やっぱりカレシからのナデナデって特別だよね〜♡

 

「次は莉嘉の見たいとこに行こう」

「それじゃあ……オオカミ!」

「おう♪」

 

 こんな感じで今日はい〜っぱい動物園デートを満喫した♡

 

 ―――――――――

 

 そして最後はやっぱり……

 

「んっ……〇〇くん……しゅき……んぁ♡」

「ちゅっ……俺も、莉嘉が好きだ……んっ」

 

 ……Pくんに送ってもらった車の中で初ちゅう♡

 

 最初は緊張したけど、一度始めたらなんか離れたくなくなっちゃった♡

 

「っ……っ……ぷはぁ……〇〇くんと初ちゅうだね♡ もちろんアタシの人生で初ちゅうだよ?♡」

「嬉しいよ」

「〇〇くんの初ちゅうの相手になれなかったのはちょっと悔しいけど、代わりにアタシの色んなハジメテ、あげるね?♡」

「大切にするよ」

「たまには強引にしてね?♡」

「分かった……それより莉嘉」

「んぅ?♡」

「どうしてキスしてる間中、俺を見てたんだ?」

「え?」

 

 見たいからに決まってるじゃん。変なPくん。

 

「キスする時は目を閉じような」

「どうして?」

「どうしてって言われても……」

「だって好きな人のキス顔だもん。見てたいじゃん。そっちの方がドキドキするし♡」

「……まあ莉嘉がそうしたいならいいか」

「うん♡ ねぇ、〇〇く〜ん♡」

「?」

「お別れする前にもう一回……ちゅう♡」

「何度でも」

「それじゃあ帰れないよ〜♡」

 

 チュッ♡

 

 ホント、Pくんと恋人になれてよかった♡

 正直なとこ、お泊まりコースになってもいいようにカワイイ下着にしたんだけどね。でも焦ることないよね……だってアタシとPくんはずっと一緒だもん♡―――

 

 城ヶ崎莉嘉⦿完




城ヶ崎莉嘉編終わりです!

妹はやはり強い……なので押せ押せ莉嘉ちゃんの甘いお話にしました!

お粗末様でした☆

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