デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。
そらちゃんの家族構成など、私の妄想がかなり多めですのでご了承ください。


野々村そら編

 

 先ずは笑ってみよう

 

 たとえ楽しくなくても

 

 笑ってみれば

 

 自然と楽しくなるから

 

 だって笑おうともしないと

 

 ずっと楽しくない

 

 ずっとはっぴーにはなれない

 

 だからはっぴーを届ける

 

 アイドルになりたかった

 

 そして

 

 アイドルにしてくれた

 

 魔法使いさんは

 

 あたしをはっぴーにする

 

 最高の魔法を掛けてくれるの

 

 ―――――――――

 

「はろ〜、良い子のみんな〜☆ アイドルの野々村そらだよ〜ん☆ 今日もいっぱいそらちんのすまいるではっぴーになってね〜☆」

 

 はろはろ〜☆ あたしは今、お仕事で大きな車工場に来てるよ〜! 今日はここの広場で日頃お仕事を頑張ってる人たちにサプライズライブのするの〜!

 

 このサプライズライブはあたしが専属のプロデューサーに頼んで企画してもらってるライブ。

 どうしてこの企画をあたしが推したのか……それはこういう普段は見えないところで頑張ってる人たちをはっぴーにしてあげたいからなの。

 

 あたしの両親も車じゃないけど工場に勤めてて、毎日毎日暑い夏も寒い冬も工場内で頑張ってお仕事してる。

 だからあたしは小さい頃からおじいちゃんとおばあちゃんに預けられてて、夜になってやっと両親が帰ってきて一家が揃ってた。

 おじいちゃんもおばあちゃんも大好きだけど、あたしは寂しくていつも泣いてた。するとね、おばあちゃんがお歌を歌ってくれたの。おじいちゃんも手拍子したりなんかして、あたしはそれで楽しくなって最後は笑ってた。

 そこからなんだよね。あたしがアイドルになりたいって思ったのは。

 おじいちゃんもおばあちゃんも『そらは可愛いからきっとアイドルになれるなぁ』って言ってくれてたし、あたしも歌うの好きだったし、歌ってると周りも明るくなったから。

 

 だからなの。だからアイドルになってお茶の間だけじゃなくて、日本中……世界中をはっぴーにしたいって思ってプロデューサーにお願いした。

 そしてプロデューサーはあたしが考えた企画をもっと現実の物にしてくれて、こうして実現出来た。

 

 今度は事務所のみんなで全国各地の工場でサプライズライブを計画してて、いくつもの工場とかからオファーが殺到してるんだから☆

 

 ―――――――――

 

「いやはや、今回はありがとうございました。まさかこんなにみんな喜んでくれるとは思ってもいませんでした」

「こちらとしては喜んでもらえて何よりです。機会がありましたら、是非ともまたオファーをください」

「えぇ、勿論ですとも。野々村さん、ありがとうございました」

「いえいえー、そらちんは頑張る人の味方ですから☆ これからも頑張ってください☆ そらちんも頑張って応援しまーす☆」

 

 サプライズライブも大成功で、工場長さんもとっても喜んでくれた! やっぱり歌って……アイドルって最高ね☆ 工場で働いてる人たちも眩しいすまいるで、そらちんまですまいるになっちゃった☆

 

 ―――――――――

 

 事務所に帰ってきたあたしたちは、偉い人に報告を終えてプロデューサーのオフィスに戻ってきた。

 

「プロデューサー、もういいかな?」

「あぁ、いいぞ」

 

 プロデューサーの言葉を聞いて、あたしはプロデューサーのお胸の中に顔を埋める。

 どうしてかというと、泣くから。

 

 別に悲しいから泣いてる訳じゃない。今日のあたしのライブであれだけの人たちがすまいるになってくれたのがとっても嬉しいから、だからあたしは泣いてるの。

 

 でもアイドルのあたしは絶対にみんなの前では泣かない。そう心に決めてる。だからプロデューサーの前でだけ、泣き虫な野々村そらをさらけ出す。

 

 だってプロデューサーはそんなあたしのことも受け入れてくれる、大切な彼氏さんだから♡

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 プロデューサーとあたしが今みたいな関係になったのは三ヶ月前。あ、勿論事務所には内緒だよ? じゃないとプロデューサーが逮捕されちゃうから!

 

 話を戻して、それはあたしがアイドルデビューしてすぐの頃で、初めてのお仕事を控えてた時だった。

 いつものようにあたしは控室で笑顔の練習をしてたんだけど、入ってきたプロデューサーにふと言われたの。

 

『大丈夫か?』

 

 って。

 

 勿論、あたしは大丈夫って答えた。でもね、プロデューサーはあたしにこう言ったの―――

 

『今日は笑顔が泣いてる』

 

 ―――って。

 

 意味が分からないまま、あたしは鏡を見ると、本当に大粒の涙を流してた。流したまま笑ってた。

 

 そんなあたしにね、プロデューサーはこう言ってくれた―――

 

『君が笑顔をみんなに届けたいなら、君が笑顔になれるように手助けをするのが俺の役目だ。たくさん泣いて、そしていつものムカつくくらいの笑顔を見せてくれ』

 

 ―――って。正直、女の子に向かってムカつくとか言うなしって感じだけど、その言葉でそらちんはプロデューサーにほの字になっちゃったんだよね〜。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 それからあたしはプロデューサーの前でだけ、泣くことにしたし、プロデューサーにもい〜っぱいそらちんのらぶを伝えて告白してもらったの♡

 だからかな。今もあたしがすまいるでアイドルを続けていられるのは♡

 

「えへへ……また泣いちゃった……」

「そらは泣き虫だからな。ほら、鼻チーン」

 

 恋人に鼻をかんでもらう彼女って変だけど、これがあたしたちなの♡ もうプロデューサーにあたしはめろめろきゅん♡だから、何をしてもされても恥ずかしくないよ〜♡ すごいでしょ?♡

 

「鼻をかんだら?」

「そらちんすまいる……イェーイ♡」

「ん、可愛い可愛い」

「じゃあじゃあ、そらちんすまいるを見たあとは〜?♡」

「はいよ」

 

 ちゅっ♡

 

 えへへ〜、らぶらぶきすの時間〜♡ 事務所内だけど、オフィスの外から中は見えないからきすくらいなら出来るんだぞ〜?♡

 でもプロデューサーとのきすはあたしをダメにする魔性のきす。プロデューサーにきすされちゃうと、そらちんヘナヘナになって、プロデューサーのことしか目に入らなくなっちゃうんだもん♡

 

「んむぅ……ぢゅるっ、れ〜……ちゅっちゅっ……ぢゅちゅるるる〜っ♡」

 

 アイドルが出しちゃいけない音を出してる。それは分かってる。でもね、プロデューサーときすしたくて、プロデューサーのことが好き好き過ぎて、やめられないの♡

 

「んんっ……そ、ら……ぁむ……っ」

「ぁ……にげちゃ、やぁ……もっろ……はむっ……ちゅっ♡ れろ〜っ、ちゅぴっ……は〜……むぅっ♡」

 

 何度も何度もあたしはプロデューサーの唇を求めて顔を近づける。だってプロデューサーったら逃げようとするんだもん。だからね、あたしはプロデューサーの頭を両手でガッチリと捕まえて、いっぱいいっぱいきすするの。するとプロデューサーも観念してあたしの腰に手を回してくれるから♡

 

「……ぷはぁ、相変わらず……そらのキスは、長いな……」

「ふへへ……だってプロデューサーとのきすだもん♡ 何時間だって出来るよ?♡」

 

 お互いに肩で息をしてるけど、絶対に目線は外さない。だって目を逸らしたら、またあたしがきすしちゃうから♡

 

「ほら、もうハッピータイムは休憩」

「は〜い」

「帰り支度が終わったら、またしてやる」

「は〜い♡」

 

 やっぱりプロデューサーは優しい♡ だからもっともっと好きになっちゃう♡

 

 ―――――――――

 

「夕方だったのにもう夜じゃんか……寮の門限大丈夫なのか?」

「それは大丈夫! 朝にお仕事で遅くなるってちゃんと届け書いて来たから!」

「そうか。んじゃ、晩飯食べてから送るよ」

「うん♡」

 

 いっぱいきすしちゃったから、もうお外は真っ暗。でもあとはプロデューサーも帰るだけだし、きすをした瞬間からあたしたちは恋人同士の時間なの♡

 と言っても、流石にお外では恋人らしく出来ないし、あたしも変装とかしないといけないんだけどね。だから今は車の中だけど、ちゃんと髪を下ろして、マスクしてる。本当なら今この瞬間もプロデューサーとちゅっちゅしてたい〜。

 

「何かリクエストとかある?」

「プロデューサーのきす〜♡」

「魚という解釈でオーケー?」

「え、プロデューサーキス飼ってるの?」

「飼ってねぇよ。てか飼ってるのに彼女にペット食わせるのかよ」

「あはは、だよね〜♪」

 

 こういう冗談を言い合える時間も好き♡ なんかなんでもない会話でも、『あ、あたしこの人と付き合えて幸せ♡』って感じちゃうから♡

 

「それで、結局のところ何が食べたいんだ?」

「ん〜、プロデューサーで♡」

「だから……」

「実は外泊届け出して来たって言ったら?」

「…………マジで?」

「バッグにちゃんとお泊まりセット入ってるよ?♡」

「…………完璧だな」

「えへへ〜♡」

 

 ―――――――――

 

 こうしてあたしはプロデューサーのマンションのお部屋にお邪魔することになった。まあぶっちゃけ、こういうことは付き合ってから多々ありまして……やることもやっちゃってます♡ でも愛があるからいいよね! 大声では言えないけど☆

 

「ごちそうさま〜!」

「お粗末さん。簡単な物で悪かったな」

「ううん、とっても美味しかったよ!」

「そっか」

「うん♡」

 

 プロデューサーはお料理が上手。ありあわせの物で肉野菜炒めとかお味噌汁とかササッと作れちゃうんだもん。あたしも今度何か作ってお返ししよ♡ これでも小学生の頃からおばあちゃんと一緒にお料理して、お魚の煮付けとか得意なんだから!

 

 それで今は二人して食休み中。お茶の湯呑を持って〜、肩と肩をくっつけて〜、床にお座りしてるだけなんだけど〜、もうとってもはっぴーたいむ♡

 

「退屈とかだったりしないか?」

「うん、寧ろどきどきではっぴーだよ♡」

「そっか。俺の部屋って何も暇潰しになる物ないからさ。そう思ってもらえてるなら良かったよ」

「ん〜、じゃあにらめっことかする?」

「なんでだよ」

「なんとなく?」

「そらいつも笑ってるから不利じゃん」

「おっと、それは聞き捨てならないなぁ」

 

 そらちんこう見えてにらめっこは強いんだぞ〜?

 

「じゃあ、やってみるか」

「いいよ〜。にらめっこしましょ、笑うと負けよ♪」

『あっぷっぷ♪』

 

「はははっ」

「ほら〜、プロデューサーの負け〜♪ というかプロデューサーよわよわ〜♪」

「はは、だってな……くふふ」

「あれ、あたしそんなに変な顔した?」

「いや、そうじゃないよ。ただ……」

「ただ?」

「この子が自分の彼女なんだって思ったら、嬉しくて笑っちまったんだ」

「………………」

 

 おいおいおいおいおいおい、あたしが勝ったのに完全なる敗北を味わってるんだが?♡ にやにやするじゃんか〜!♡ プロデューサーのばかー! 大好きー!♡♡

 

「……なんか悔しい♡」

「そのわりには嬉しそうじゃん」

「でも悔しいの〜!♡」

「そらは可愛いな〜」

「うぅ〜、いいもん。ベッドでいっぱいめろめろにしちゃうんだから!♡」

「え、それは……」

「覚悟してよね〜♡ 朝まで寝かせないぞ♡」

「お、お手柔らかにな」

 

 それから一緒にシャワー浴びて、ベッドの上でプロデューサーはあたしにめろめろになったの♡ 女の子みたいな声出して喜んでたんだから♡―――

 

 野々村そら⦿完




野々村そら編終わりです!

あの笑顔の裏には何かあると思ってこんな感じにしました。

そしてな行も終わりました!
次回からは行です!

お粗末様でした☆

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