デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


浜川愛結奈編

 

 自分の魅せ方は

 

 自分が一番知ってる

 

 前からそう自負してた

 

 でも

 

 自分以外で

 

 ワタシのことを

 

 最っ高に魅せられる

 

 不思議な魔法使いに出会って

 

 ワタシは変わった

 

 ―――――――――

 

「……愛結奈……」

「ん、どうしたんだのさ、プロデューサー?」

「…………もっと普通にしててくれ」

「はぁ? ワタシはいつだって普通だぞ?」

 

 ワタシは今、事務所内にある簡易撮影スタジオに専属プロデューサーと一緒にいる。

 どうしてかというと、ワタシの写真集を発売するにあたって先着100人に限定特典のミニ冊子に使う『グラビア写真』を撮ってるから。

 これはプロデューサーが言い出したことで、コストをあまり掛けない簡単な写真。だから言い出しっぺのプロデューサーがカメラマンとしてワタシの水着姿を撮ってるんだ。

 ただ、さっきからプロデューサーは全く撮ってくれない。

 その理由は―――

 

「こんな風に俺に抱きついてるのが普通なのか?」

 

 ―――ワタシが二人きりなのをいいことに、プロデューサーにだけ見せる普段のワタシでいるから。

 

 ワタシはプロデューサーに魅せられてアイドルになった。

 そしてプロデューサーがワタシ以上にワタシを輝かせてくれたから、ワタシはプロデューサーを異性として好きになってた。

 

 心底惚れ込んだからこそ、ワタシは今のワタシになれたんだと思う。だってプロデューサーがいなかったら、ワタシはあれで満足してたんだからね。

 今じゃプロデューサーがいないと満足出来ないよ……何もかも。

 

 ワタシとプロデューサーの関係を知ってるのはアイドル仲間たちくらい。流石に上にはまだ秘密にしてるけど、ちひろさんにはよくフォローしてもらってる。

 

「えぇ〜、別にいいじゃん。このワタシとのガチ恋距離での写真っていうのも有りじゃない?」

「有りじゃない。ネットで『腕組んでる男役死すべし』とか叩かれるかもしれない」

「プロデューサー本人だとは誰も分からないから大丈夫だって♪」

「可能性は0じゃない」

「ったく、相変わらずお堅いなぁ」

「愛結奈のガードが緩過ぎるんだ」

 

 そんなことないんだけどなぁ。ワタシこう見えてめちゃめちゃガードは固いぞ? 変な男が寄ってきたら乗馬で鍛え抜いた脚で蹴散らすからな。

 そもそもプロデューサーだからこうしてんのに……この鈍感野郎、仕事人間。

 

「分かったよ。じゃあ、ここに仰向けで寝そべりゃいい?」

「はじめからそうしてくれって言ってる」

「はいよ〜」

 

 敷かれたシートの上で、ワタシはプロデューサーに言われた通りに仰向けで寝そべる。背景とかはあとでプロデューサーが合成加工をするらしい。

 

「いいね。キレイだよ、愛結奈」

「そんなキレイな愛結奈様にさっきまで引っ付かれてたんだぞ?」

「光栄でしたよ。ほら、決め顔決め顔」

「ったく……こんな感じ?」

「いいね!」

 

 仕事モードに入ってるプロデューサーは嫌いじゃないけど、なんか飼い慣らされてる感じがして悔しく思う。

 恋人モードだといつもワタシの好きなようにさせてくれるし、何をしてても許してくれるのに……。

 まあ、そんなとこも結局ワタシは好きで今の関係になってるんだけどね♡

 

 ―――――――――

 

 写真撮影も難なく終わり。結局はプロデューサーが言った通りにすると、ワタシも満足のいく写真を撮ってくれてるんだよね。

 ホント、この人には敵わないってつくづく思い知らされるよ。

 

「それじゃあ、俺は作業に入る」

「オッケー」

「愛結奈のやることはもう終わりだから、帰るなりなんなり好きに過ごしてくれ」

「オッケー♡」

 

 プロデューサーから言われた"好きに過ごしてくれ"というワード。これはプロデューサーからの『自由にしていい』という意味で、どんなにワタシがプロデューサーに何をしてもいいというお許し♡

 

 だからワタシは―――

 

「プロデューサーの背中、温か〜い♡」

 

 ―――プロデューサーのオフィスに一緒に戻って、この通り早速好きに過ごさせてもらってる♡

 

 プロデューサーが使うオフィスは狭いし、オフィスのドアにも外から中を覗かれるような小窓もない。まあ普通の窓はあるけど、ブラインドを閉じとけばオッケー♡

 だからワタシはうんと大好きなプロデューサーの背中に引っ付いて、好きに過ごしてる♡

 

「俺は愛結奈の息が背中に掛かって暑いよ」

「上着脱げば?♡」

「脱いだら今度はYシャツも脱げとか言い出すだろ。だから絶対に脱がない」

「恥ずかしがることないのに〜♡」

「そういう問題じゃないんだ」

「ふぅん♡」

 

 まあ確かにちひろさん以外の事務員さんが来たら、困るのはプロデューサーだからね。そこは我慢しよう。

 

 ワタシ、恋人っていうか……惚れたことってプロデューサーが初めてだから、自分がこんなに惚れた人にのめり込むタイプだとは思わなかったんだよね。

 恋人なんて自由じゃなくなるから、いても面倒くさいと思ってたけど……こんなに心が満たされるならいいと思う。

 結局、どんな事柄も人それぞれなんだろうけど、ワタシはプロデューサーに恋をして良かったって、毎日実感してるよ。

 

「匂いが近くて……興奮する♡ すんすん♡」

「鼻息が首筋にあたってめっちゃ暑いんだが?」

「いい匂いさせてるプロデューサーが悪い♡」

「いい匂いがするってのは、遺伝子レベルがそれだけお互い離れてる存在ってことだ。別に好きでこの匂いをしてる訳じゃない」

「またんなつまんないことを……もっと素直に喜べばいいのに。ワタシに気に入ってもらえて嬉しいって」

「嬉しくないとは言ってない。科学的な意見を述べてるだけだ」

「ふぅん、そっか♡」

 

 まあどんなに言い訳してもワタシは好きなようにしてるけどね♡ そもそもプロデューサーも文句は言ってても、全く逃げる素振り見せないし……素直じゃないんだから♡

 

「あ、そうだ」

「? どうしたの、プロデューサー?」

「ちょっと愛結奈(の写真)に試したいことがあったんだ」

「…………二人きりだからって、プロデューサーのえっち♡」

「そんなこと考えてないし、満更でもなさそうな顔してるなっ」

 

 んだよ〜、ちょっとした冗談なのに〜♡

 

「で、何を試すの?」

「この写真があるだろ?」

「うん」

「どうせ合成させるなら、芝生の上にいるみたいにしてみようかと」

「斬新だね〜」

 

 わざわざ水着姿で芝生の上で寝そべるなんてしないぞ、普通。いや普通じゃないからか?

 

「まあ試すだけ試したら?」

「では早速……」

 

 カタカタカタカタ

 

「……ないな」

「……ないわ」

 

 超絶不自然。これじゃワタシ、ただの痴女みたいになってるよ。ナシナシ

 

「やっぱ無難なのが一番だな。せっかくのキレイな愛結奈が台無しになる」

「まあ当然だね♡」

 

 ナチュラルに褒めてくれた♡ にやけるぅ♡

 

「あとは何枚を特典として付けるかだな」

「結構撮ったし、ドドーンと大盤振る舞いしたら?」

「まあそれが妥当かな。キレイだからついついシャッターを切りまくったから」

「ワタシは大好きなプロデューサーから、たくさん褒められて気分が良かったよ♡」

「キレイならキレイだと言わなきゃな」

「もう、プロデューサーはワタシをもてはやす天才だね♡」

「そりゃあ……こんなキレイな人が自分の彼女だから、仕方ないだろ」

「ふぅん、嬉しいこと言ってくれるじゃん♡」

 

 嬉し過ぎて胸がキュンキュンしちゃったよ♡ ダメだなぁ、ワタシ。もう前のワタシには戻れないよ。こんなに幸せな時間を味わっちゃったら、プロデューサーなんていらないなんて嘘でも言えないし、言いたくない。

 

「あ、ねね、プロデューサー♡」

「ん?」

「作業が終わったらさ、ディナー行こ、ディナー♡」

「いいぞ。これが終われば、それくらいの時間になってるからな」

「うん、いっぱいいっぱいイチャイチャしよ♡」

「それディナー関係なくないか?」

「細かいことは気にしない♡」

「はいはい」

「にひひ♡」

 

 ―――――――――

 

 プロデューサーの作業が終わると、ちょうどいい時間になった。だからワタシはプロデューサーの運転でとあるマンションに連れてってもらった。

 とあるマンションってのは―――

 

「ディナーなのに、どうして愛結奈のマンションに?」

 

 ―――ワタシが契約してるマンション♡

 だって外だと好きにイチャイチャ出来ないじゃん? だからワタシのマンションでディナーをすれば、うんとイチャイチャ出来るって寸法よ♡

 

「ほらほら、気にしない気にしない♡ 早く中入ろ♡」

「お、おぉ」

 

 戸惑ってるプロデューサーの手を引いて、ワタシは自分の部屋に向かう。

 実は今日は最初からそのつもりだった。午前中がオフだったのもあったけど、そのうちに下ごしらえはしてきちゃったんだよね♡

 

 ―――――――――

 

「……ディナーって、これ?」

「これとか言うなよ。立派なディナーでしょ?」

「いやまあ、お好み焼きは好きだけどね」

「材料はたっぷり仕入れておいたから、たくさん食べてね♡ ワタシが恋人のプロデューサーにだけご馳走するお好み焼きだから♡」

「ありがたくご馳走になるよ」

 

 お洒落なディナーなんてワタシたちには似合わない。ワタシたちは肩寄せ合って、こんな風に楽しいディナーを過ごすのが一番なの♡

 

 それに―――

 

「プロデューサー、ん〜……ちゅっ♡」

「おいおい……」

 

 ―――焼けるまでイチャイチャ出来るし♡

 

「いいじゃん、これくらい♡ さっきホットプレートに生地流し込んだばっかりだよ?♡」

「端からこれを狙ってお好み焼きにしたのか……」

「焼けるまでイチャイチャして〜、焼けたら食べさせ合って〜、次が出来るまでイチャイチャ出来るよ〜♡」

「永遠ループって怖いな」

「幸せなループって言えよ〜♡」

「はいはい、甘んじるよ」

 

 そう言うと、プロデューサーはワタシの肩を抱き寄せてキスをしてくれた。

 自分からキスするのも好きだけど、プロデューサーからされると全く違うキスの感じがして好き♡

 

「もうそろそろひっくり返す時間じゃないか?」

「え〜、あと1回♡」

「焦げたら嫌なんだけど?」

「なら早くして♡」

「全く……ちゅっ」

「んふふ〜♡」

 

 なんだかんだ言いながらも、ワタシをとことこん甘やかしてくれるプロデューサー好き♡

 

「プロデューサー♡」

「ん?」

「大好き♡」

「俺も好きだよ」

「うん♡」

「それより早くひっくり返せよ。なんなら俺がやるか?」

「ムード壊すなよ〜」

「愛結奈のお好み焼きが焦げたら嫌なだけだ」

「お、素直になってる♡ 良いぞ良いぞ♡」

「……早く」

「は〜い♡」

 

 こんな風にワタシはプロデューサーとイチャイチャしながらディナーを過ごした♡

 勿論、プロデューサーは問答無用で泊まらせて、プロデューサーのためだけのデザートも朝まで食べてもらったよ♡―――

 

 浜川愛結奈⦿完




浜川愛結奈編終わりです!

恋人にはベッタリな感じにしてみました!

お粗末様でした☆

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