デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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前から家族揃って東京に越してきてる設定です。


三好紗南編

 

 ゲームが好き

 

 色んな世界に行けるし

 

 そこでヒーローになれるし

 

 どんな強敵にも努力で勝てるから!

 

 そんなゲーマーのあたしの前に

 

 めっちゃ難易度の高い魔王……

 

 違った、魔法使いが現れた

 

 流石のあたしも負けたんだけど

 

 そいつは

 

 まさかのあたしの味方パーティだった!

 

 ―――――――――

 

「うおぉ!? すごっ、何これ! うわぁっ、食らった! それなら……これならどうだぁっ!」

 

 タターターン♪

 

「やった! ステージクリア!」

「おめでとうございます、三好さん! では会場の皆様、こうして三好さんがクリアしましたので、我が社から後日皆様のアカウントへ豪華アイテムを送らせて頂きます! これからも我が社のゲームをよろしくお願い致します!」

 

 パチパチパチパチパチパチ!

 

 やっほー、あたしは三好紗南、14歳! アイドルをしてるよ! そんで今はゲームイベントのゲストってことでお仕事に来てるんだけど、「ドラゴンハンター」っていうアクションゲームを会場でプレイしたんだ♪

 このゲームは名前の通りドラゴンを狩って遊ぶ大人気ゲームで、ソロはもちろんネット通信で仲間と一緒に出来るゲームでもあるんだ。あたしはこのシリーズは前からやってるけど、今回のイベントは難易度の高いドラゴンをソロで狩りに行って、クエスト成功か失敗かでイベントの報酬が変わるって内容だったんだよね。だから頑張った!

 あたしとしてはこのイベントの成功報酬に入ってるレア鉱物が欲しかったからイベントなのを忘れてガチでプレイした。だって目玉報酬の武器と防具が壊れ性能なんだもん。どっちも自然回復付きで武器に至っては自動迎撃システム付いてて、防具は状態異常無効化まであるんじゃ嫌でも無双する。まあソロで高難易度クエストをやらないといけない時は使うかもしれないけど、それ以外なら倉庫に眠っててもらうかな。ヌルゲーほど虚しいものはないし。

 というか、こんなアイテム配ったら次のアプデか近い内に更に鬼レベル地獄レベルのクエスト追加されるんだろうなぁ。

 

 ―――――――――

 

 そんなこんなであたしはお仕事だけど、楽しくゲームをしてきました。そしてサイン会とか握手会もして、ゲーム会社の人たちからもめっちゃ感謝されました。

 あとは―――

 

「プロデューサーさん、今夜泊まりに行くから朝まで狩りに行こうね!♡」

「はいはい、俺の双剣の出番って訳な」

「そそ、そうすればあたしはガンランスでぶっ放せるから!♡」

 

 ―――あたし専属のプロデューサーとの時間が待ってる♡

 

 あたし、プロデューサーさんと15歳も離れてるけど、これでも恋人なんだ。流石に事務所じゃ内緒にしてるけど、アイドル仲間とかには味方になってもらってる。

 趣味が合って、大人で落ち着いてて、一緒にいて楽しいから好きになっちゃったんだ。最初は断られたけど、何度も何度もコンティニューして攻略したんだよ。

 もちろん、あたしの両親の許可も得てる。両親はどっちも仕事が忙しくて、あたしがゲームにのめり込んでたから年の差はあったけどプロデューサーさんが常識人だったから二人して『離すんじゃない』って言われた。

 まあそもそも離す気なんて元からこれっぽっちもないんだけどね♡

 

「ねね、クエストクリアする度にご褒美のちゅう忘れるなよ?♡」

「はいはい……というか、キスなら言えばするんだが」

「だ、ダメだよ、そんなの。そうしたら、あたし……ゲーム出来ない。ずっとちゅうしてると思うから……♡」

「…………そういう可愛い反応するなよ」

「だ、だってぇ、プロデューサーさんが……♡」

「分かった分かった。じゃあいつも通りにな」

「うんっ、えへへ♡」

 

 いつでもちゅうしてくれるのは嬉しいけど、ちゅうばっかりになるのはやっぱダメだよね。結婚したあととか、二人の恋人時代を思い出す時にちゅうだけになっちゃうのはなんか味気ないもん。

 やっぱ好きな人との思い出はたくさんないと損だもんね♪

 

 ―――――――――

 

 それから事務所に1回戻って、上の人に報告して、プロデューサーさんのお仕事が終わるのを待って、あたしはプロデューサーさんの運転でプロデューサーさんのマンションのお部屋にやってきた!

 明日は学校もお仕事もお休みだし、プロデューサーさんもお休みだから存分にゲームして過ごすんだ!

 

「プロデューサーさん、お風呂借りるねー♡」

「あぁ、バスタオルはいつものとこにあるから。無かったら言って」

「はーい♡」

 

 でもゲームをする前にお風呂済ませないとね。イベントで汗掻いちゃったから、そのままプロデューサーさんに抱っこされたら恥ずかしいもん。好きな人に汗臭いとか思われたら嫌だからね。まあプロデューサーさんはそんなあたしも好きって平気で言う人だけど……。

 

 プロデューサーさんって渋ってた割には付き合うってなったらめっちゃ攻めてくるんだよね。今じゃあたしの方がドキドキさせられっ放しって感じで、攻守逆転してるんだ。やっぱ大人はすごいや。

 

 ―――

 

「上がったー♡」

「おう、じゃあ髪の毛乾かすからこっちに来て」

「お願いしまーす♡」

 

 まだスーツ姿のプロデューサーさんに言わるがまま、あたしはプロデューサーさんのお膝の上に座る。

 プロデューサーさんってすごく世話焼きみたいで、何から何までやってくれるんだよね。ダメ人間にされちゃう。まあそうなったら責任とってもらおう。

 

「紗南は若いから髪がつやつやで量も多くていいなぁ」

「プロデューサーさん、あたし、プロデューサーさんの髪の毛が無くなっても好きだよ?」

「何故今それを言う?」

「いや、気にしてるのか、もうその兆しが現れてるのかと……」

「ガキの頃患った水疱瘡のせいで髪がない箇所が三ヶ所あるが、小豆くらいの大きさだ。それ以外はまだ平気だ。変な勘違いしないでくれ」

「えへへ、ごめんなさい」

 

 んー、でも本当にプロデューサーさんがそうなってもあたしは変わらずプロデューサーさんのこと好きでいるんだけどなぁ。外見じゃなくて中身に惚れたんだもん。

 

「まあ分かってくれたならいいよ。あと乾かしてる間、どのピザを注文するか選んでくれ」

「はーい♪」

 

 プロデューサーさんに言われて、あたしはテーブルの上に置いてあったピザの出前表を手に取ってメニューを眺める。

 いつもは出前じゃなくてプロデューサーさんが作ってくれたりするんだけど、二人でゲームして夜更かしする時はピザの出前を取るんだ。東京のピザ屋って深夜でも宅配してくれるから本当に便利。しかもここのマンションの一階はコンビニだし、めっちゃ贅沢だよね! ただここ四階のお部屋だけど、お客さんたちの声は結構聞こえる。まあガラの悪い人が騒いでるってことはないし、本当にたまにだからメリットの方が大きいけどね。

 

「うーん、いつものでいいかなぁ。安くてボリュームあるし」

「そうなのか? 変に遠慮しなくていいんだぞ?」

「うん、それは分かってるんだけどね。ただ……」

「ただ?」

「このピザ、思い出のピザだから♡」

「思い出……」

「うん、初めて恋人になって夜更かししてゲームするってなった時に、プロデューサーさんと食べた思い出のピザなの♡ だからやっぱりこれがいい♡」

 

 あたしが素直に理由を話すと、プロデューサーさんが持ってたドライヤーを横に置いて、あたしを後ろから抱きしめてきた。

 

「ひゃっ、どうしたの、急に?♡」

 

 嬉しいけどね。

 

「紗南が可愛いことを言うから抱きしめたくなった」

「えー、何その理由ー?♡」

「可愛いものは抱きしめたくなるだろ?」

「それはそうだけど……あたし、プロデューサーさんのぬいぐるみじゃないよー?」

 

 プロデューサーさんって強面だけどぬいぐるみ好きなんだよね。あたしと初めてゲーセンで出会った時も、両手に大きなぬいぐるみ入ったゲーセンの袋持ってたし。この部屋の中の一室にこれまでプロデューサーさんが獲得した景品めっちゃいるし、寝室にはお気に入りのぬいぐるみが何体か置いてある。こういうギャップがあるとこも好きなんだよね♡

 

「紗南はぬいぐるみじゃない。俺の大切な恋人だ」

「うぅ、恥ずかしいよぉ♡」

「二人きりの時くらい彼氏面させてくれ」

「耳元で囁かないでぇ♡」

 

 ゾクゾクして力入らなくなるんだもん、それ。それにクエストも成功してないのにちゅうしたくなって切なくなっちゃうんだよぉ。

 

「ならこうする……ちゅっ」

「や、それは、んっ、もっとらめぇ♡」

 

 耳にちゅうされるの気持ちいいけどもっとへにゃへにゃになるからだめぇ。

 

「ならこの気持ちをどう解消しろと?」

「知らない……でも耳にちゅうするのも囁くのもダメ! プロデューサーさんのせいであたし、耳弱くなったんだよ?」

「いいことを聞いた。次から言うことを聞かなかったら耳攻めの刑に処す」

「うわ、卑怯だよそれ!」

「弱点は突いていかないと」

「そうだけどダメー! あたしがプロデューサーさん以外の人の前でへにゃへにゃになったらどうするの!?」

「…………確かに、そんな可愛い紗南は誰にも見せられないな。なら耳攻めの刑を執行する際は二人の時にしよう」

「どっちにしてもするのね……」

「大丈夫だ。優しくする」

「優しくされるからあたしへにゃへにゃになるんだけど!?」

「激しいのがお好み?」

「耳攻めから離れてー!」

 

 もうプロデューサーさんって絶対ドSさんだよね。あたしの弱いとこすぐ突いてきて、あたしが降参するまで攻めてくるもん。

 まあでも結局プロデューサーさんのことが好きで許しちゃうあたしもあたしなんだけどねぇ。

 

「そ、それより注文しようよ! あたしお腹減った!」

「そういうことにするよ。今夜は長いからな」

「〜〜〜っ♡」

「髪、まだ途中だから終わったら注文の電話する」

「あ、そういえばそうだったね」

「…………」

「? どうしたの?」

「髪にキスするのは大丈夫か?」

「し、知らない……」

「してみても?」

「ど、どうぞ♡」

 

 ちゅっ

 

 ゾクッ♡

 

「どうだ?」

「えっと、ゾクッとしました、はい♡」

「そうか」

 

 うわ、めっちゃ目が爛々になってる。

 でも髪にちゅうしてくれるプロデューサーさんがおとぎ話に出るような王子様みたいで、なんかドキドキするんだよね。大切にされてるって強く感じるっていうか。

 

「もう一度しても?」

「嫌って言ってもするくせに♡」

「紗南の声や表情が喜んでるからな」

「いじわるぅ♡」

「好きな子はつい弄りたくなる性分なんでな」

「気が済んだら乾かして、注文して、ゲームだからね?♡」

「あぁ、俺たちらしい思い出を作ろう」

「うんっ♡」

 

 それからいっぱい髪の毛にちゅうされてあたしは大変だったけど、とっても幸せだった。でも毎回こうだったら髪まで敏感になっちゃうかも。プロデューサーさんは本当に悪い魔法使いさんだなぁ。それでも大好きだけどね♡―――

 

 三好紗南⦿完




三好紗南編終わりです!

ゲームしないでそのままいちゃついてればよくね?ってツッコミを入れたくなるような感じにしました!

お粗末様でした☆

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