デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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サンフランシスコから家族と日本へ移り住んでることになってますので、東京に住んでるということで書きます。


メアリー・コクラン編

 

 アイドルはジャパンのスター

 

 アメリカの学校では

 

 アタシもスターだったから

 

 ジャパンでもスターになれるわ!

 

 なのにこっちでのお友達は

 

 みんなして笑うの!

 

 失礼しちゃうわ!

 

 でも

 

 そんなアタシをスターに出来る

 

 偉大なウィザードがいたのよ!

 

 ―――――――――

 

「メアリーちゃんバイバーイ!」

「また明日ねー!」

「お仕事頑張ってねー!」

 

「えぇ、またね!」

 

 アタシはアメリカ人で今をときめくアイドルのメアリー・コクランよ!

 ジャパンに来てからもアタシの魅力にみんなメロメロだったけど、アイドルデビューしてからはもっとお友達が増えたわ! 光栄なことだけど人気者も大変ね!

 

 今日もアタシはヴィジュアルレッスンがあるんだけど、その前に雑誌のインタビューがあるのよ! なんでもアタシ専属のプロデューサーによれば、アタシの記事の見出しは『今サイコーにイケてるジュニアアイドル☆』ってなるみたいなの! あぁ、自分のセクシーさが怖いわ!

 

 そんなことを思いながら校門の前に立ってると、1台の車が止まったの。

 そこから降りてきたスーツ姿の男性はアタシの前までやってくると―――

 

「おう、おはよう、メアリー」

 

 ―――爽やかな笑顔でアタシに声をかけてきたわ。

 これがアタシのプロデューサー。歳はアタシより20も上だけど、その分落ち着いてて安心するし、とっても紳士なのよ! だからプライベートではパパもママも公認でステディな関係なの!

 これもアタシのセクシーさが招いてしまった結果なのよね……現に―――

 

「さ、送るよ。座って」

 

 ―――プロデューサーは率先してアタシを車の座席までエスコートしてくれるもの。こんなのアタシを大切にしてる証拠よね。それにアタシ以外の子にはここまで優しくしてるとこ見たことないもん。あぁ、幸せ!

 

 あ、でもね、もちろん事務所にはナイショよ! なんでもアイドルとプロデューサーが付き合うのはゴハットなんだって。ヘンな話よね。好き同士で付き合ってるし、アタシたちはとても健全で清くてピュアな関係なのに。

 でもプロデューサーがアタシの年齢が18になるまではヒミツにしたいんだって。ならアタシはそれを受け入れるしかないじゃない? アタシの気持ちばかり優先させてるのはフェアじゃないもの。

 

「サンキュー、ご褒美にあとでアタシの頭を撫でる権利をあげるわ!♡」

「ありがと。シートベルト忘れずにな」

「はーい♡」

 

 ―――――――――

 

 事務所に着いたら、すぐにスタイリストさんに連れられてメイクしてドレスを着る。

 今回のインタビューでは写真撮影もするし、プロデューサーがアタシの瞳の色と同じ色のフェアリードレスを用意してくれたのよ。全体に花の刺繍がされてて、とってもゴージャスなのに清楚なの! そこに雫のような形の赤いイヤリング! そして赤いシルクのリボンでトレードマークのツインテールにしたら絶世の美少女の出来上がりよ!

 

「どう、プロデューサー!」

「あぁ、今回もとても可愛いな。妖精界のお姫様のようだ」

「フフン、そーでしょそーでしょ!♡」

 

 やっぱりプロデューサーはアタシのことをよく分かってるわね! それにこんなに素敵なアタシがフィアンセなんだもの、締まりなくニヤけるのも仕方ないわ!

 

 ―――

 

「△□社の〇〇です。今回は宜しくお願いします」

「カメラマンの〇〇です。撮影はインタビューの最中に自然なままを予定してます。目線が欲しい時はこちらから声をかけますので」

 

「うちのメアリーをよろしくお願いします」

「こんにちは! 今回はよろしくお願いするわ!」

 

 こうしてインタビューが始まった。

 事前にこんな質問しますよって質問内容の紙をプロデューサーから渡されてたし、簡単な質問が多かったからアタシとしては物足りないわね。

 でもそれならアタシから楽しい答えを出せばいいだけじゃない!

 

「では次の質問ですが、ご趣味の女磨きというのは主にどういうことをなさってますか? きっとファンの皆さんも興味があると思います」

「そうねー、色々してるわよ。入浴後にストレッチしたり、ママとヨガ教室に通ったり、あとは家族に愛の言葉を囁いてもらうとか!」

「ほうほう、ストレッチやヨガはよく聞きますが、家族に愛の言葉を言ってもらうというのは日本ではあまり耳にしませんね。具体的にはどんな効果が?」

「効果はそのまま美容にいいのよ! それにアタシのパパとママはお互いにそうして愛を育んでいるから、どっちも若々しいし、結婚して何年経ってもラブラブなんだから! この前だってアタシがお仕事なのをいいことに2人してデートに行ってきたのよ!」

 

 本当のところは1週間のバカンスだったけどね。でもそれを言ったらその間アタシがプロデューサーのところにいたのがバレちゃうから、流石にそこまでは言えないわ。

 

「流石アメリカ人ということですかね〜。自分、恋人がいても毎日愛の言葉を囁くなんて出来ませんよ」

「それはいけないわ。女はいつだって好きな人からお姫様扱いされたいものよ。もちろん、その人の性格にも寄るでしょうけど、好きな人から愛の言葉を貰って嬉しくない人はいないと思うの」

「なるほど」

「それにそうすると嬉しくなって笑顔になるでしょ? いつも笑顔なのと、いつも無表情なのと、どっちが魅力的な人だと思う?」

「笑顔、ですね」

「そういうこと! だからアタシは家でパパからもママからもプロ……んんっ、インコのプーロからも愛の言葉を囁いてもらってるわ!」

 

 危ない危ない。うっかりプロデューサーって言いそうになっちゃった。インコなんか飼ってないけど、なんとか誤魔化せたと思う。最悪今度パパにインコ飼ってもいいか相談しよ。

 

 ―――

 

「目線ください」

「はーい♪」

「いいですねー。この背伸びしてます感。最後はいつもの投げキッスポーズお願いします」

「もちろんヨ!」

 

 背伸びしてます感っていうは気になるところだけど、褒めてもらってるからツッコミはしないであげるわ。アタシはオトナでカンダイだから!

 

 こうして難なくインタビューも終わって、雑誌の人たちは満足そうに帰って行ったわ。それにいい記事になると思うの。平凡な答えだけじゃくて、アタシにしかない答えも出来たことだしね!

 ただ盛り上げ過ぎたせいでヴィジュアルレッスンの時間がなくなっちゃったわ。

 

「プロデューサー、ソーリー。レッスンの時間が……」

「いや、もし早めに終わった場合に備えて入れておいただけだから。トレーナーさんの方にも最初からその旨を伝えてあるし、既に連絡して他のアイドルたちとレッスンを開始してる」

「まあ、やっぱりアンタはデキる男ね!♡ 愛してるわ!♡」

「ありがと。それじゃメアリーはメイクを落として着替えてきて。俺は上に報告してくる」

「はーい♡」

 

 うーん、やっぱりプロデューサーは素敵な紳士だわ。ますます好きになっちゃう。

 でもヴィジュアルレッスンしたかったなぁ。あの男性トレーナー個性的で楽しいから、あの人のレッスン好きなのよね。日本ではおネエって言うんだったかしら? 身体は男でも中身は女……その気持ちは分かってあげたいけど、元ボディビルダーだったからギャップがスゴイのよ、あの人。

 ただ馴れ馴れしくアタシのプロデューサーにベタベタするのは気に食わないわね。アタシのプロデューサーって偏見の目を持ってないから、一緒にいて心地いいんでしょうけど。

 

 ―――――――――

 

 着替え終わったアタシはスタイリストさんにお礼を言って、プロデューサー専用のオフィスに来た。

 オフィスと言っても個人用だから狭いわ。中もデスクと上着掛けと資料を入れとく本棚と小さなテーブルとソファーがあるだけ。あ、あとアタシのポスターがところ狭しと飾ってあるわ! それだけで華やかよね! あ、あとあと、アタシがプレゼントしたサボテンもデスクにあるわ! 大切にしてくれてて嬉しい!

 

「っと、来てたのか」

「今来たところよ。何か言われた?」

「特には何も……あぁ、条件が合えば今度"セクシーパンサーズ"でライブイベントのオファーが来るとか言ってたな」

「まあ、素敵じゃない! 莉嘉も梨沙もきっとやるわよ!」

「でもあの2人もメアリーと同じく今は忙しいからな。他のと被ってたら他の子にお鉢が回るだろう」

「そうなの? なら仕方ないわね……」

「そういうこと。じゃあ家まで送ってくよ」

「あら、そっちの仕事は?」

「送ってからでも出来るよ」

「…………待っててあげてもいいのよ?♡」

 

 それにプロデューサーだってアタシともっと一緒にいたいハズでしょ! いいのよ、もっとアタシとの時間を望んでも!

 

「じゃあちょっと待っててくれるか?」

「えぇ、もちろん♡」

 

 プロデューサーはアタシの笑顔を見て、つられたように笑顔になった。

 それからデスクのイスに座ったから、アタシもプロデューサーの膝の上に座ったの。これがアタシたちのデフォルトよ。アタシたち仲良しだし、今のアタシなら誰かに見られてもみんな微笑んでくれるだけだもの。

 

「フフフ、ダーリンの匂いが近くて幸せ♡ それに鼓動も聞こえるわ♡」

「メアリーがこんなに近くにいるからだね」

「もう、ダーリン。今はメアリーはノー! 完全な2人きりなんだから、愛称で呼んで!」

「分かったよ、メイ」

「アアン♡ 痺れるぅ♡」

 

 大好きなダーリンの落ち着く低音ボイスで呼ばれるとゾクゾクしちゃう。それだけアタシへの愛が詰まってる証拠よね! はぁ、幸せなのにため息がこぼれちゃうわ。

 

「ねぇねぇ、ダーリン」

「ん?」

「今年の冬にね、家族でパパとママの実家にそれぞれお泊まりに行く予定なの」

「へぇ、ならスケジュール調節するから具体的な日程が決まったら早めに教えてくれ」

「なんか他人事ね」

「そりゃ、メイの家族旅行の話だからな」

「ダーリンも行くのよ?」

「は?」

 

 アタシの言葉にダーリンが固まっちゃった。もう、そんなに喜ぶなんて、カワイイ♡

 

「なんで?」

「だってダーリンはアタシのフィアンセでしょ? 早い内にみんなに紹介しとかなきゃ!」

「いやでも年齢が……」

「パパとママもアタシたちと同じ年の差よ? みんなそんなこと気にしないわ。それにダーリンがアタシを心から大切にしてくれてるのは態度を見ればすぐ理解してくれるもの」

「そうなのか?」

「えぇ。それにあっちに行って家族だけのホームパーティをするだけだし、街中で堂々と恋人らしく過ごす必要もないわ。ただし、家の中ではいつもみたいにイチャイチャしてくれなきゃダメよ! みんなにアタシたちがどれだけ愛し合ってるか見せつけるために行くんだから!」

「それはそれでどうなんだ……」

「いいの! 誰も文句なんて言わないし、グランマたちもグランパたちもパパたちからダーリンのことを聞いてて会いたがってるもの!」

「…………スーツ持ってこ」

「いいわね♡ あ、でも、イトコの女の子たちに甘い顔しちゃダメだからね!」

「俺はメイしか興味ないよ」

「えへへ、ならいいわ♡」

 

 これからもダーリンと色んな思い出が増えるといいなぁ。そしていつかアタシたちの間に子どもが出来たら、アタシたちのとっても素敵なラブストーリーを毎晩寝る前に語り聞かせてあげるの!―――

 

 メアリー 完




メアリー・コクラン編終わりです!

おマセだけど憎めないメアリーちゃん。
そんな彼女の可愛さを伝えることが出来ていれば幸いです!

お粗末様でした☆

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