デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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千葉から東京の事務所に通ってる設定です。

プロデューサーの経歴にちょっと盛りがあります。ご了承ください。


矢口美羽編

 

 それは本当に偶然だった

 

 たまたま友達に誘われて行った

 

 LIVEフェスで

 

 アイドルを生で見て

 

 その輝きに惹き込まれた

 

 それでオーディションを受けて

 

 めっちゃくちゃに失敗したのに

 

 まさかの合格だった

 

 わたしを合格にしてくれたのは

 

 わたしだけの魔法使いさんです

 

 ―――――――――

 

「ねぇねぇ、美羽〜、良かったらでいいんだけどさ、今度渋谷凜ちゃんのサイン貰ってきてくれない?」

「あ、なら私も! 私は卯月ちゃんと未央ちゃんの!」

「え〜、あんたら普通ここはウサミンのでしょ! てな訳でいいよね、美羽!」

 

「あ〜ん! 分かったから落ち着いて〜!」

 

 どうも皆さん、アイドルの矢口美羽です。わたしは今学校に居ます。アイドルとはいえ学校はちゃんと出席しないといけませんから。

 

 アイドルデビューして早半年。メディア露出も段々と増えてきたわたしですが、学校の友達は変わらず接してくれます。というよりお目当てのアイドルと同じ事務所だから、このようなことが多々あります。最初の子なんてこの前は奈緒ちゃんのサインと加蓮ちゃんのサインをおねだりしてきたのに、今回は凜ちゃんですよ。あ、もしかして凜ちゃんでトライアドプリムスコンプだからかな? 凜ちゃん『2人のはほしくて、私のはいいんだ? ふーん』って言ってたし、喜んでサインしてくれるかな?

 

「でも美羽がアイドルか〜」

「なれるとは思ってたけど、実際になられるとはね〜」

「今まで美羽のこと見向きもしてなかった男子とか、めっちゃ美羽のこと見てるよね〜」

「そ、そうかな? 芸能人が身近にいるからじゃない?」

「そんなことないよ」

「そうそう」

「てかこの前、美羽ラブレター三通も貰ってたじゃん」

「貰ったけど全部断りました」

「アイドルだもんね〜」

「恋愛禁止ってマジなんだね」

「でもアイドルも楽しいし、美羽も可愛いからきっともっとモテるようになるよ!」

 

 あはは、わたしがモテるとかどうかな〜? まあファンってことならわたしも穏やかに過ごせるんだけどね。

 

 友達のみんなはこう言ってるけど、実はわたし事務所には内緒だけど、恋人が居たりします。

 お相手はもちろん……って言うのも変だけど、わたし専属のプロデューサーさんです。

 その人はわたしが最終オーディションの面接でわたしのことを面接してくれた人。一発芸を披露してスベって、なのにわたしを合格させてくれて、しかも専属のプロデューサーになってくれた人。

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 わたしが初めてアイドルを知ったのはさっきの友達たちと行ったLIVEフェスだった。

 そのアイドルグループの名前は……竜宮小町。

 

 そして実はそのグループの元プロデューサーが、わたしのプロデューサーさんだったことを知った時のわたしの衝撃は凄まじかったです。

 デビューしてすぐにまだまだ人気絶好の竜宮小町さんのラジオ番組にも出演させてもらったし、デビュー前の時なんて一緒に同じレッスンを経験させてくれたし、今じゃ大先輩の竜宮小町の三人共にわたしは妹みたいに接してくれます。今でもよくラジオ番組に呼んでくださいますし、うちの事務所と竜宮小町さんのとこの事務所が仲良しなのもあって公式ホームページの竜宮小町さんのとこには、妹分ってことでわたしの名前があります。

 もちろんわたしも事務所でもたくさんのアイドル仲間が出来ましたし、色んなコラボをさせてもらってます。

 

 本当にわたしがアイドルになれたんだなって毎回実感しますし、その度にプロデューサーさんには感謝してます。プロデューサーさんには足を向けて寝られません!

 

 そんなわたしがプロデューサーさんに恋をして、今みたいな関係になれたのも奇跡ですよ、本当に。

 相談に乗ってくれたアイドル仲間のみんなに感謝してるし、背中を押してくれた竜宮小町の皆さんにも本当に感謝です。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

「美羽? 美羽〜? 聞いてる〜?」

「はっ、ごめん! 何?」

「だからさ〜、美羽のプロデューサーって何歳?」

「え? えっと、今年で33歳だよ?」

「33であの若さか〜♪」

 

 物思いにふけってたわたしは話の流れがちょっと分からない。

 

「大人ってだけでポイント高いのに、芸能関係の仕事だもんね〜。背も結構あるし、笑顔も爽やかで、きっとモテるよね〜」

「分かる〜! あたしらにも丁寧に話してくれるし、気さくなのもいいよね!」

 

 どうやら話題はアイドルからわたしのプロデューサーさんのことになったらしい。

 プロデューサーさんが褒められてるのは嬉しいけど、ちょっと複雑。だってその人はわたしの彼氏だよって言えないんだもん。

 

「美羽はいいよね〜。あんな格好いい大人の人がいつも一緒で〜」

「いつもじゃないよ。プロデューサーさんだって自分のお仕事あるから、別行動は多いよ?」

 

 嘘です。わたしが一緒に居たいからレッスンとか以外はいつもプロデューサーさんの側に入り浸ってます。

 

「でも結構凄いプロデューサーさんなんでしょ?」

「あの竜宮小町の元プロデューサーなんだもんね!」

「う、うん。それで今の事務所に移籍したみたい」

「でも成功してたのにもったいないね」

「プロデューサーさんから聞いたけど、今の事務所の社長さんがプロデューサーさんが新米だった頃の恩師なんだって。だからお給料とかじゃなくてやり甲斐を選んだって話だよ」

「わ〜! ますますイケメン!」

 

 余計なこと話しちゃったかなぁ。でもこの話は業界では有名な話だし、いいよね。竜宮小町さんのドキュメンタリー番組でもプロデューサーさんのことは紹介されてたもん。

 そのあともわたしは友達たちとプロデューサーさんの話題で盛り上がりました。ちょっとプロデューサーさんモテ過ぎて不安です。

 

 ―――――――――

 

「…………これはどういう状況なんだ?」

「…………暫くこうしててください」

 

 学校も終わってわたしは急いで急行電車に乗って、走って事務所まで来ました。

 そして今はプロデューサーさんが個人で使う事務所内のオフィスに突撃して、プロデューサーさんのお腹に引っ付いてます。

 もっと正確に言うと、椅子に座ってるプロデューサーさんにわたしがすがりつくように引っ付いてます。

 だって不安になったんだもん。

 

「学校でなんかあったのか? テストが赤点だったとか、小テストが赤点だったとか」

「それどっちも同じ意味です。というか、赤点なんて取ったことないです」

「そりゃ、ちゃんと学業に費やす時間も考えてスケジュール調整してるからな。おバカキャラならまだしも、頭の悪いのは人間として損することになる」

「何度も聞きました〜」

 

 知識は積んでおいて損はない。知恵があるのないのとでは全く違う選択肢になる。プロデューサーさんから教わったことです。

 

「じゃあどうした? ストーカーとか痴漢とか? それだったらこれから送り迎えもするが……」

「そんなことありません。でもしてくれると正直嬉しいです。その間恋人らしく過ごせるから」

「素直で結構。じゃあ来月からはそうしような」

「はいっ♡」

 

 うぅ、やっぱりプロデューサーさんって大人だなぁ。わたしなんて小さな嫉妬で今に至るのに。

 

「で?」

「はい?」

「こうなった訳を聞かせてくれないか?」

「…………笑いません?」

「内容による」

「じゃあ言いません」

「そうか。じゃあ仕事したいから離れてくれない?」

 

 ぐぬぬっ。プロデューサーさんは手強いです。普通ならここで折れるはずなのに。

 

 ―――

 

 結局、わたしの方がプロデューサーさんに引っ付いていたいがために、学校でのことを話しました。

 すると案の定、プロデューサーさんは大笑いしました。大笑いし過ぎてちひろさんまで「どうしたんですか?」って様子を見に来ちゃいましたよ。

 

 ちひろさんにはプロデューサーさんが「俺のアイドルがバカなことを言うので」とか言ってやり過ごしてくれました。わたしまだプロデューサーさんのお腹に引っ付いてましたが、ちひろさんは怪しく思う素振りもなく「あ、そうなんですね〜♪」なんて言って行っちゃいました。なんなんですか、2人して。確かにわたし芸人アイドルに片足突っ込んでますけど、そこまで納得されるほどおバカなんですか?

 

「…………酷いよ、プロデューサーさん」

「悪い悪い……まさかここまで可愛い嫉妬をされるなんて初めてだったからな。ぷくくっ」

「……褒められてるのに嬉しくない件」

「心配するなってことさ。それに美羽も知ってるだろ? 俺が美羽の友達らと話してる時の営業スマイルを」

「まあ」

「それが美羽にはどうだ?」

「……素ですね」

「ほら、心配する必要ない」

「でもプロデューサーさんはわたしの友達たちからモテるんだも〜ん」

「でも俺が付き合ってるのは美羽だ。しかも美羽の友達にしても付き合うのはアウトだし、なのにアイドルでもっとアウトな美羽と俺は付き合ってる。それだけ俺も覚悟決めて付き合ってるのに、不安に思われるのは心外だな」

「うっ……それは……」

 

 確かに。バレたら大変なのにプロデューサーさんはわたしと付き合ってるんだもんね。

 

「ま、今の職を失っても美羽を養う算段は何通りか用意してあるけどな」

「な、なるほど……」

「だから安心してくれ。俺はそれより美羽がこの先も俺のことを好きでいてくれるかの方が心配だ。美羽はこれからももっと可愛くなるのに、俺は老いていくだけだからな」

「そんな……わたし、プロデューサーさんじゃないと嫌ですっ!」

「可愛い彼女持つと言葉だけでは不安は簡単に拭えないんだよ」

「うぅ〜、じゃあどうしたらいいんですか〜?」

 

 分からなくて泣き言をたれるわたしに、プロデューサーさんはそっとわたしの唇を指で突いてきました。

 

「シンデレラからのキスなら安心するな」

「え、えー! こ、ここ、事務所の中!」

「ちゅっとするくらいじゃバレないよ。防犯カメラもなにも仕込まれてないし」

「そ、そうじゃなくて……♡」

 

 だ、だって、ついこの前に初ちゅうしたばっかだもん! まだ恥ずかしいもん!

 

「駄目かな?」

「……そんな顔するのズルい♡」

「彼女にしか見せないし、しない顔だからね」

「うぅ……1回だけですからね?♡」

「あぁ、頼むよ」

 

 ちゅっ♡

 

「はぅ……恥ずかしい……♡」

「俺は嬉しい」

「プロデューサーさんは大人だからですよぉ」

「俺はキス好きだからな」

「経験豊富ですもんね〜」

「豊富って訳じゃない。でもキスしまくったせいで別れた経験は2度ある」

「それはどうなんでしょう」

「だからこれからも俺の不安を解消するようにキスしてくれ」

「が、頑張ります……♡」

「うん。じゃあさっきのお礼に今度は俺からキスしよう」

「え〜!♡」

 

 そのあとわたしは事務所の中なのにプロデューサーさんから何度もキスされちゃいました。いや、正直めちゃくちゃ嬉しかったんですけどね。でもいっぱいキスしたから、その日の夜はなかなか眠れなくて、親からも「ニヤニヤしてて変だ」なんて言われちゃいました―――。

 

 矢口美羽⦿完




矢口美羽編終わりです!

元気な子がしおらしくなるのってグッと来ますよね!

お粗末様でした☆
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