デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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家族揃って東京で暮らしてる設定です。


龍崎薫編

 

 アイドルってとっても楽しー!

 

 いっぱい歌って

 

 いっぱい踊って

 

 たまに演技して

 

 その度にみんな喜んでくれるの!

 

 だから

 

 これからもいっぱいいっぱい

 

 アイドルとして頑張るよ!

 

 でも

 

 将来の夢は魔法使いのお嫁さん!

 

 ―――――――――

 

 おはようございまー!!! 龍崎薫だよー!!!

 今日のかおるは学校もお仕事もお休みだけど、アイドル寮に来てるのー!

 なんでかって? 今日は響子お姉ちゃんにお料理を教えてもらうんだー!

 それにかおるだけじゃなくて、お仕事でもよく一緒になる小春ちゃんと千枝ちゃんも一緒に教わるんだ!

 

 ここにはかおると一緒でアイドルをやってるお友達とかお姉ちゃんがたくさん一緒に住んでて、いつも楽しそう! かおるも大きくなったらここに住みたいな!

 

「あ、薫ちゃん来た」

「おはよう、薫ちゃん」

「待ってたよ、薫ちゃん♪」

 

 寮のキッチンに入ると、もうみんな集まってた。ヒョウくんもいるけど、流石に今回はゲージの中に入ってる。

 かおるもしかして遅れちゃったのかな?

 

「時間はピッタリだから大丈夫だよ」

 

 でもかおるの表情で察してくれた響子お姉ちゃんがそう言って、優しく頭を撫でてくれた。

 

「じゃあ、三人ともエプロンして手を洗ってね」

『はーい!』

 

 ―――――――――

 

 響子お姉ちゃんが今回教えてくれるお料理はホットケーキ。これは千枝ちゃんのリクエスト。

 材料はみんなでお家から持ってきて、かおるは今回卵を持ってきた!

 

 3つのボールに小春ちゃんが持ってきたホットケーキミックスを開けてー、千枝が持ってきた牛乳を注いでー、かおるが持ってきた卵を落としてー、みんなでかき混ぜてくの。

 響子お姉ちゃんはそんなかおるたちを見ながら、時々こうした方がいいよって教えてくれるし、響子お姉ちゃんも手際よくホットケーキの生地を作ってた。

 

「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ♪」

「ふふ、薫ちゃんは今日もおまじない唱えてるんだね♪」

「うん! だっておいしくなってほしいもん! 大好きなせんせぇにいっぱい食べてほしいから!」

「きっとおいしいって言ってくれるよ」

 

 えへへ、響子お姉ちゃんからそう言われると、本当にそうなる気がするから嬉しい!

 

 せんせぇって言うのは、かおるの専属プロデューサー。いつもスーツだからせんせぇなの。

 それでせんせぇとかおるはねー、将来結婚するんだー! かおるのパパとママに頼んで、そうしてもらったの! でも事務所にはまだ内緒なんだ。せんせぇが28才でかおるよりいっぱい大人だから、かおるが大人になるまでは信頼出来る人にしか教えちゃダメなんだってー。

 

 でもここにいるみんなは知ってるよ! それでみんなかおるのこと応援してくれてるんだ! だからかおる、頑張って大人になってアイドルを引退したら、せんせぇのお嫁さんになるの!

 

「出来上がったら、またプロデューサーさんのところに持っていくの?」

 

 小春ちゃんの質問にかおるは笑って頷くと、千枝ちゃんから「お嫁さんみたい」って言われちゃった。

 

「えへへ、そうかなぁ?♡」

「そうだよ。瑞樹さんから聞いたけど、薫ちゃんみたいな子は押し掛け女房なんだって」

「えへへ〜、そんなことないよぉ♡」

 

 いつかはそうなる予定だけど〜、まだ早いよ〜。

 

「まあ、押し掛け女房云々は聞き流していいと思うよー。それじゃ、生地はこれくらいにして焼いちゃおうか。やけどしないようにね」

『はーい!』

 

 ―――――――――

 

「えへへ〜、ちょっと焦げちゃったけど、ちゃんとふっくら焼けたぞ〜!」

 

 響子お姉ちゃんのお料理教室はちゃんとみんなやけどしないで終わった。みんなはそのまま寮の談話室でホットケーキの試食会してるけど、かおるはホットケーキが温かいうちにせんせぇに食べてほしいから、みんなとお別れして事務所に来たの。

 今日、せんせぇに電話したら『オフィスにいるから、いつでもおいで』って言ってくれた。早く会いたいけど、転んでホットケーキ落としちゃったら嫌だからゆっくり行ってる。

 響子お姉ちゃんが入れ物に入れてくれたけど、急いだせいで転んで、もしも食べられなくしちゃったら大変だもん。食べ物を粗末にするのは良くないし、大好きなせんせぇに食べてもらえないのは嫌だもん。

 

「せんせぇ、かおるだよー! 開けてー!」

 

 せんせぇのお部屋に着いたかおるが中にいるせんせぇを呼ぶと、せんせぇがすぐにドアを開けてくれた。

 いつもみたいに優しい笑顔のせんせぇを見ると、それだけでかおるとっても嬉しくなっちゃった。

 

「いらっしゃい。中へどうぞ」

「お邪魔しまーす♡」

 

 せんせぇのお部屋はかおるの大っきなポスターが壁にデデーンって貼ってあって、パソコンからはかおるが歌った曲が流れてる。

 せんせぇはいつもかおるのことを考えてくれて、お仕事を頑張ってくれてるから嬉しい。でもいつも頑張ってくれてるから、かおるも何かお返ししたかった。

 それで前にかおるがお料理をご馳走したらとっても喜んでくれたの! だから今回も恩返しなんだ!

 

「今日は響子お姉ちゃんに教わって、ホットケーキ焼いたの!♡ ちょっと冷めちゃったけど、まだ温かいから食べて!♡」

 

 入れ物の蓋を取ってせんせぇに渡すと、せんせぇは「おぉっ」って驚いてた。喜んでもらえて嬉しいけど、早く食べて味の感想聞きたいな。

 でもせんせぇはなかなか食べてくれない。何枚も写真撮ったりしてるんだもん。かおるの次のインターネットのブログ(プロデューサーが代行)に載せるんだって。

 

「せんせぇ、冷めちゃう〜」

「あぁ、ごめんごめん。今頂くよ」

「一応、シロップとか借りてきたけど、掛ける?」

「いや、俺はそのままでいい」

「そっか。じゃあ……あーん♡」

 

 フォークでせんせぇが食べやすい大きさにして、かおるがせんせぇのお口に運んであげると、せんせぇは「いただきます」って食べてくれた。

 初めてあーんってした時はすごく逃げられちゃったけど、今は素直に食べてくれるから嬉しい。結婚したら毎日やってあげるんだ! それに出来ればせんせぇにはお外に出てほしくなぁ。せんせぇカッコイイから、他の女の子が来ちゃうもん。事務所のみんなはかおるたちのこと知ってるからいいけど、知らない人はせんせぇのこと好きになっちゃうもん。せんせぇカッコイイだけじゃなくて優しいから。

 だからお仕事でいっぱいお金稼いで、結婚したら毎日お家にいてもらうんだ。せんせぇ、たまに「もう疲れた。帰りたい」って言ってるもん。でもかおるのことを考えたら頑張れるんだって。嬉しいけど、嫌なことは大好きなせんせぇにさせたくないもん。早く大人になってせんせぇのためにいっぱい色んなことしてあげたいなぁ。

 

「おいしく出来てるかな?」

「うん、美味しいっ」

「やったー!♡」

「このまさに手作りですって感じの焦げつき具合がまたいいよな。初々しいっていうか」

「焦げちゃったのに?」

「それだけ俺のために頑張って作ってくれたってのが一番嬉しいんだよ」

「だってかおる、せんせぇの将来のお嫁さんだもん♡ 一生懸命作るに決まってるよ!♡」

「…………たまにかおるが9歳なのか疑いたくなるよ」

「え〜、かおるちゃんと9歳だよ〜。でも結婚する人がいる9歳って周りにいないから、珍しいかも!」

「珍しいってレベルじゃないと思うけどな」

「そうなんだ……。まあいいや! それよりまだあるから食べて食べて!♡」

 

 せんせぇの言うことはたまに分からないけど、かおるがせんせぇのこと大好きなのには変わらないからいい。

 

 ―――――――――

 

 それでそのあともせんせぇにあーんってしたんだけど、せんせぇからもかおるにあーんってして食べさせてくれた。

 でもそうしてたらあっという間にホットケーキが無くなっちゃった。今度はもっと作ろう。

 

「せんせぇ、今度のかおるのお仕事いつー?」

「一番近いのは平日の午後からある雑誌のインタビューだな」

 

 食べ終わったあと、かおるまだせんせぇと一緒にいたいから、せんせぇにお願いしてここにまだいさせてもらうことにしたの。

 今はせんせぇのお膝の上に座って、次のお仕事のこと聞いてる。せんせぇってかおるとお話しながらでも、手はパソコンのキーボードカチャカチャしてるからすごいんだよ。

 

「何曜日〜?」

「向こうからの変更がなければ水曜日かな。その時はお昼前に学校まで迎えに行って、インタビューが終わった時にまだ学校の授業がある時間帯だったらまた学校まで送っていくよ」

「分かったー! あ〜、でも水曜日っていつの水曜日〜?」

「ちょっと待ってな……えっと、〇〇社のインタビューは……」

 

 せんせぇはテキパキって感じで机の上に置いてあった手帳をパラパラって捲る。たったそれだけなのにとってもカッコイイから、かおるドキドキしちゃった。

 

「……再来週だね」

「再来週!?」

「何か行事があるのか?」

「ううん、違う。でもその日、給食でデザートにショートケーキ出るの……食べられないや」

「…………インタビューが終わったら、好きなだけケーキ食わせてやる」

「いいの!?」

「仕事を頑張ってる薫へのご褒美くらい、軽い軽い」

「かおる、もっとせんせぇのこと好きになっちゃうよ?♡」

「いいよ。寧ろ嬉しい」

「えへへ、せんせぇだぁい好き……ん〜、まっ♡」

 

 嬉しいからかおる、せんせぇのほっぺにちゅうしちゃった。ママもよくパパにやってるし、きっと夫婦ならそうするんだよね。

 

「おいおい、9歳でキスとか……」

「嫌だった?」

「いえ、嬉しいです。でもかおるのお父さんにちょっと怒られそうで……」

「大丈夫! そんなことしたらかおるがパパのこと怒ってあげるから!」

 

 せんせぇ、パパに何か弱みでも握られてるのかな? いつもパパのこと気にしてるもん。今はパパよりかおるのことだけ見て!

 

「んーまっ、んーまっ♡ かおるのことしか考えられなくなぁーれっ♡ んーまっ♡」

「………………」

 

 あれぇ? せんせぇが固まっちゃった。足りなかったのかな?

 

「んーまっ、んーまっ、ん〜〜〜まっ♡」

「薫、ちょっとストップ。溶ける」

「えー?」

「嬉し過ぎて溶けるから、ストップ」

「せんせぇになら、何回でもしてあげるよ?♡ かおるせんせぇこと大好きだもん♡ それにちゅうしてると気持ちいいんだー♡」

「うん、でも今日はやめようか。結婚したら毎日、何時間でもしててくれていいから」

「約束してくれるぅ?♡」

「あぁ、約束する」

「じゃあ、約束は指切りげんまんじゃなくてちゅうね!♡ んーまっ♡」

「…………尊い」

 

 そのあとかおるは我慢してちゅうはしなかったけど、せんせぇがストップって言うまでワンちゃんやネコちゃんみたいにほっぺにお顔スリスリしてた。

 早く結婚して毎日こうして過ごしたいな♡―――

 

 龍崎薫⦿完




龍崎薫編終わりです!

無自覚な尽くし押せ押せ系って感じにしてみました!
二次創作なのでセーフってことでお願いします。

お粗末様でした☆

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