秋田弁なので読み難い、また分かり難いかもしれませんがご了承ください。
わだすは小さがった頃がら
アイドルさなりだがった
アイドルさなりだぐで
その一心で東京さ来で
ある人さ出会って
わだすの夢は
二人の夢さ変わった
―――――――――
「んぁ〜……やっと着いたなぁ」
「…………だね」
「んだよ〜、テンション低いなぁ。そんなに今回の仕事嫌か?」
「嫌じゃねぁ。わだすも腹括って来だがら……でもそれどこれどは違うだよ!」
わだすは今、わだす専属のプロデューサーさんと一緒にわだすの生まれ育った村へやって来でます。
なしてがって? それは明日この村でお祭りがあって、村長さんに村一番の有名人どして参加してほしいってお願いされだがら。
わだすも上京してがら村のお祭りには参加してながったがら、久し振りに参加出来るは楽しみ。
んだども、村のみんなの前で改めでアイドルどしてステージさ立づどなるど、やっぱり色々ど複雑な気持ぢさなるだよ。
「大丈夫大丈夫。沙織はアイドルになって更に可愛くなった。寧ろ沙織にアイドルなんて無理だって言った地元の友達らを見返すチャンスだろう」
「それはそうだけど……」
「自信を持て。持てないなら俺の言うことを信じろ。いつもそうして来ただろ?」
「うん」
「よしっ、なら笑え。アイドルは笑顔! そんで俺が一番好きなのも沙織の笑顔だ!」
「もう……調子えんだがら♡」
そんたごど言われら笑うしかねぁでねぁ♡
「にしても前に沙織から聞いてたけど、実際に見るとすごいな……これは」
「あ、あぁ……だべ?」
何がすごいのが言うど、駅がら道路挟んで向がい側にちょっとした広場があるんだども、そごの出入りさ大ぎな幟立ってで―――
『アイドル*奥山沙織*生誕の地へようごそ!』
―――って書いであんだ。
別にそれが恥ずかしいどがは思わねぁ。寧ろごうして生まれ育った村さ何がの形で貢献出来でらのは嬉しい。
でもだがらごそ、明日にアイドルの奥山沙織どしてお祭りに参加するごどが不安になる。
わだすはプロデューサーさんのお陰でごうしてアイドルにはなれだんだども、まだまだ事務所の他のみんなに比べだらお仕事もそごまで多ぐねぁ。
それなのにこんた風さ村の人たぢがら応援されちまっては、妙さ重ぐ感じでしまう。
「ほらほら、また笑顔が消えてるぞ〜?」
「あ……わり。それどどうも♡」
「うんうん。不安な気持ちは遠慮せずに俺に吐き出すのはいいが、外では笑顔を忘れずにな」
「は〜い♡」
「うん、可愛い可愛い。流石俺の彼女だ!」
「えへへ♡」
そう言えばわだす、実はプロデューサーさんと二ヶ月前がらお付ぎ合いを始めだんだ。
きっかげはやっぱり、訛りの抜げでねぁ冴えねぁわだすのごどを信じでアイドルにしてぐれだがらで、毎日毎日お世辞でも『
アイドルの仲間のみんなにいっぱい相談さ乗ってもらって、みんながら背中を押してもらって駄目元で告白したら、まさがプロデューサーさんと両思いで……公にはしてねぁげど恋人どして今では付ぎ合ってんだ。
アイドルどプロデューサーだがら外では恋人らしくは振る舞えねぁんだども、プロデューサーさんは恋人さなってがらもわだすのこどをずっと支えでぐれる頼れる人。
この人さ出会っていながったら、今のわだすは存在しねぁ……だがらアイドルのお仕事を頑張って、少しでも恩返ししたいって思ってら。
だがらわだすはまだ改めでそう思ってプロデューサーさんの手を握って、歩ぎ始めだ。
―――――――――
わだすらはそれがら役場で待づ村長さんたぢど明日のステージにづいで打ぢ合わせをして、それが終わっだら今度はわだすの実家さ向がった。
アイドルさなる前さプロデューサーさんはわだすの家族にわざわざ挨拶しに来でぐれだんだども、それ以来会っていねぁのもあってごうして改めで挨拶さ来だんだ。
でもわだすとプロデューサーさんがお付ぎ合いを始めだのは家族のみんなには話してあるがら、お父っちゃに至ってはプロデューサーさんが来でがらずっと泣ぎっぱなしで、挨拶どごろでねぁ感じ。
「……順序が逆になってしまって申し訳ありません。大切な娘さんとお付き合いさせて頂いております」
「んなの知ってら……ぐすっ……娘をよろしく頼む!」
「お、お父っちゃ、わだすら何も今日は結婚の報告さ来だ訳でねぁんだよ?」
「今はそうでなぐでも付ぎ合ってればいずれはするべ!?」
「そ、そうだげど……まだわだすらは」
涙を拭ぎながらそう言うお父っちゃを前さ、わだすはどうしたらえが分がらねでプロデューサーさんの方さ視線を移した。
するど―――
「娘さんとは結婚する前に大切な約束があります。ですので、それを果たしてから……その時にまた改めてご挨拶に参ります」
―――プロデューサーさんはそう言ってお父っちゃたぢに頭を下げだ。
そんなプロデューサーさんさお母っちゃが「約束?」っで訊ぐど、プロデューサーさんは真っ直ぐにわだすの両親の顔さ見で―――
「彼女をトップアイドルにすることです。それが私が彼女と交わした約束です。必ずトップアイドルにしてみせます。私の全身全霊を掛けて彼女をプロデュースします」
―――ハッキリどそう告げだ。
そのすぐ隣で聞いでだわだすはその言葉が嬉しくて……胸の奥さ響いで、幸せな気持ぢになった。
対して両親はそんなプロデューサーさんの思いが伝わったのが、今度はお母っちゃまでお父っちゃと一緒になって涙を流してました。
そしてそんな両親を目の当だりさしたわだすも、いづの間にが涙を流してで……でも嬉しくて両親さ抱きづいで泣いでだ。
そんなわだすたぢ家族をプロデューサーさんは笑わずに、微笑んで見守ってぐれでだ。
―――――――――
一頻り泣いだあど、家はもう宴会騒ぎ。祖父っちゃも祖母っちゃも『孫が結婚すっぞ!』って大はしゃぎしてしまって、わだすもプロデューサーさんもてんやわんやしてだ。
そして夜も更げで、お父っちゃたぢも酔い潰れだあど……わだすとプロデューサーさんはなしてがお母っちゃや祖母っちゃに背中を押されで同じ部屋にいます。
わだすは久々に地元さ帰ったがら元々実家さ泊まる予定だったんだんだども、プロデューサーさんは村に唯一あるホテルさ泊まる予定だったのに、お母っちゃたぢに『何言ってら。家に泊まればえべ、邪魔はしねぁがら♪』って押し切られで今さ至ります。
「お母っちゃたぢが強引に……わり」
「別に沙織が謝ることじゃないよ。それにせっかくのご厚意をむげにするも良くないしな」
「でも……」
「ほらほら、俺の好きな沙織は?」
「ん……こうけ?♡」
ニコッ♡
「そうそう♪ 確かにこうなったのには驚いたけどさ……これはこれで沙織とゆっくり話しが出来るいい機会だと思うんだよ」
「プロデューサーさん……♡」
「俺の知らない沙織を教えてくれよ。沙織のことならなんだって知りたいんだ」
そう言ってプロデューサーさんはわだすの頬を優しく撫ででぐれだ。
本当にどごまでも優しくて……わだすの自慢の人。
だがらわだすは、今回だげはちょっと欲張るごどにしたんだ。
「教えるのはえんだけんど、今度プロデューサーさんのごどもわだすに教えでぐれる?」
「あぁ、勿論だ。俺だって沙織に自分のことを知ってほしいからな」
「約束してぐれる?」
「約束するよ」
「なら……ん♡」
わだすはそう言ってまぶだを閉じで、プロデューサーさんへ自分の唇を差し出すようにして、約束のキスを催促しただ。
でもちょっと薄目を開げでプロデューサーさんの反応を確かめるど、あのいつも余裕のあるプロデューサーさんが顔を真っ赤にしてました。
そんなプロデューサーさんがめごぐで……わだすは待ぢ切れずに自分がらプロデューサーさんを押し倒すようにして、彼の唇さ自分の唇を重ねでました。
「んむ……ちゅっ……ん〜っ……っ♡」
「っ……さお、り……んんっ」
普段のわだすだばこんなごど恥ずかしくて出来ねぁ。でも身体が勝手に動いでだ……プロデューサーさんを求めでだ。
「……っ……んはぁ、はぁ……プロデューサーさん♡」
「ふぅ……ふぅ……すごく熱烈だな、今夜の沙織は」
「なんでだべね。でもそんたの今はどうでもえ♡ わだすはただもっとプロデューサーさんのごどが好ぎになって、好ぎで好ぎでだまらねぐなったんだ♡」
「嬉しい限りだよ」
「明日は朝早えんだども、よがったら……このまま、な?♡」
「据え膳食わぬはなんとやらだな」
「優しくしてぐれねば泣ぎますからね?」
「どんなに優しくても沙織はよく鳴くだろ? ちゅっ」
「んぁ……もう、えっち……でもプロデューサーさんだがら好ぎ♡」
こうしてわだすだぢは気がづげば朝までお互いの名前を呼び合ってました。
そして二人で仕事さ行ぐ際、お母っちゃから笑顔で「よぐやった」って言われだ……あはは―――。
奥山沙織*完
奥山沙織編終わりです!
方言って難しいですね。でも頑張って沙織ちゃんの可愛さを書きました!
お粗末様でした☆