デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


日下部若葉編

 

 小さいことはいいこと

 

 でも私はそうは思わない

 

 世の中は平均が基本だから

 

 小さいとやれることが限られる

 

 その逆で大きくても限られる

 

 だからいつも不便だと思ってた

 

 個人差なんて都合のいい

 

 社会が生んだ言い訳だ

 

 でも私は今の自分に感謝してる

 

 ―――――――――

 

「えっと……あ、これはここのピースかな?」

 

 パチッ

 

「やった♪」

 

 私は久々のオフをアイドル寮の部屋で趣味のジグソーパズルをして満喫してます。同部屋の子たち(3人部屋)はレッスンでいないので、こうして静かに過ごしてるんです。

 アイドルになって色んなお仕事をして来ましたが、こうしてたまにもらえるお休みの日にパズルをするのも楽しみの一つです。

 

 トントントン

 

「? はーい」

 

 不意にドアをノックされたので、私は返事をしてドアへ向かいました。

 

 ガチャ

 

「よっ、若葉♪」

「え、プロデューサーさん?」

 

 ドアを開けると、そこには私専属のプロデューサーさんが立ってました。

 

「仕事が思ったよりも早く終わってさ……もし暇だったら、これからちょっとデートでもどうだ?」

「っ……はいっ♡ 今準備してきます!♡」

「慌てて転けるなよ?」

「転けませんっ!」

 

 まさかのデートのお誘いに私はときめきながら、急いで準備を始める。

 

 私はアイドルですが、プライベートではプロデューサーさんとお付き合いをしてます。アイドルなのにとか、プロデューサーなのにとか思われてしまうかもしれません。でもこれは私が望んだ関係なんです。

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 私とプロデューサーさんが出会ったのは、私が上京してきたばかりで人混みの中で困っていた時です。

 初めての都会の人の多さに圧倒され、目的の所へ行くどころか人の波に押されて困ってました。

 そこにたまたま外回りをしていたプロデューサーさんに手を差し伸べてもらったんです。

 

『大丈夫か?』

『は、はい……ありがとうございました』

『お母さんとかお父さんの特徴は?』

『へ?』

『君、親と逸れちゃったんだろ?』

『ち、違います! 私これでも20歳です! 免許証だって……ほらっ!』

『あぁ……ごめん』

 

 子どもに間違われることは私にとっては日常茶飯事。でもやっぱりコンプレックスでもあるから、内心ではガックリ来ていた。

 すると―――

 

『20歳でこの見た目なら、いい素質を持ってるね。どうかな、君。ちょっと俺の話を聞いてくれないか?』

 

 ―――プロデューサーさんは私をスカウトしました。

 

 いきなり会った人にアイドルにならないかなんて言われたら、普通の人なら断るでしょう。でも私はあの時手を差し伸べてくれたこの人の優しさが嘘だと思えなくて、アイドルのお話をするこの人の目の輝きに魅了されて、アイドルになることを決意しました。

 

 どちらかと言えばインドア派の私にとってアイドルのレッスンはとても過酷なものでした。

 でもどんなに辛くてもプロデューサーさんが励ましてくれたし、一歩一歩進歩していく自分に自信が持てた。

 そしていつの間にか私はプロデューサーさんと一緒にいるのが当たり前になってて、プロデューサーさんのことを特別な人だと思うようになっていたんです。

 

 プロデューサーさんは、男の人の中でも小柄で身長も161センチしかありません。それでも私より全然大きいんですけど……プロデューサーさんは私と違って背が小さいことをコンプレックスに思ったことはないみたい。

 

 背なんて大きいも小さいもただの個性だろ

 小さくたって出来ることはたくさんある

 

 そんなことを堂々言えるプロデューサーさんがとてもかっこよくて……素敵な人だと思えました。

 だから私はこの人に惚れてしまったんだと思います。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 告白は私からで、プロデューサーさんは最初こそ驚いてましたが、私が何度も何度もめげずに告白したら受け入れてくれました♡

 普通の恋人のようには過ごせない……でもそんなのは些細なことだと私は思います。だって普通というのはその人その人で定義が違うんですから。

 私たちにとってはお忍びだろうとなんだろうと、幸せなことに変わりはありませんからね♡

 

「お、お待たせしました……♡」

「そんなに急がなくても良かったのに……」

「だ、だってせっかくのデートの時間が無駄になっちゃいますから……」

「ありがとな。んじゃ、行こうぜ……あ、ちゃんと変装しとけよ?」

「バッチリです!♡」

 

 変装用に帽子とマスクはバッグの中にちゃんと入れてます! それに私としてはバレちゃっても……えへへ♡

 

 ―――――――――

 

 私はプロデューサーさんの運転でとあるデパートに来ました。

 

「〇〇さん、デパートで何かお買い物ですか?」

 

 デートでお外にいる時、私はプロデューサーさんを下のお名前で呼ぶようにしてます。呼び方がプロデューサーさんだとバレちゃいますからね。

 

「ちょっとな」

「何を買うんですか?」

「まだ内緒♪」

「???」

 

 ―――

 

 そしてプロデューサーさんが入ったのはおもちゃ屋さん。おもちゃ屋さんと言ってもただのおもちゃ屋さんではなく、ジグソーパズル専門店でした。

 

「はわぁ……ジグソーパズルがたくさん……!」

「実は俺も若葉みたいにジグソーパズルでもやろうと思ってな〜。んで、初心者向けのを選んでもらおうと思って」

「なるほど……それなら私に任せてください!」

 

 こういう風にプロデューサーさんから頼られるのって新鮮だから、とても嬉しい♡

 頑張ってプロデューサーさんが気に入るパズルを探してあげなきゃ♡

 

「初心者向けは500ピース以下がいいですね。いきなり難しいのやっても挫折しちゃいますから」

「なるほどねぇ。因みに若葉は今やってるの何ピースのやつなんだ?」

「2000ピースです♪ さっきやっと縁が全部揃ったんですよ♪」

「2000……すごい数だなぁ」

「慣れれば普通になりますよ。世界には4万ピースなんてパズルを組み立てた人もいますからね」

「へぇ……よくやるなぁ」

「それだけ好きってことですよ……あ、ここら辺が500ピース以下みたいですよ♪」

「ん、そうか」

 

 専門店だけあって結構な品揃えです。有名キャラクターのから有名絵画までなんでも揃ってて、私が見ててもやってみたいのがたくさんありました。

 そして何よりプロデューサーさんが目を輝かせながら選んでる姿がとても新鮮で、私は後半はプロデューサーさんのことばっかり見てました♡

 

「ん〜……」

「随分悩んでますね。どれとどれで悩んでるんですか?」

「いや……どうせなら若葉の写真のやつやりたいなぁとか思って」

「っ……そ、それはお店に頼めば出来ますけど……♡」

 

 それはそれで恥ずかしい♡ だってそれが完成したら、プロデューサーさんのお家に私が写ってるジグソーパズルが飾られるってことだもん♡

 

「そうなんだけどさぁ、一回でもなんでも若葉がバラバラにされる訳じゃん? それはそれで複雑なんだよ」

「あはは、プロデューサーさんは変なとこ細かいですね」

「だってそれだけ好きな人のことだからな」

「っ……もう、馬鹿♡」

 

 突然そんなこと言うの反則ですよぉ。また胸がキュンキュンしたじゃないですかぁ♡

 

「仕方ない。この絵画シリーズにするか。若葉は本物で我慢しよう」

「どういう理屈なんですか……」

「まあまあいいじゃん♪ それより若葉は買わないのか? 気に入ったのあれば買ってやるぞ?」

「私は今やってるのがありますから。今やってるのがあるのに次のを買うってしたくないので」

「そっか。んじゃそれが完成したら、また一緒にここに来ようぜ」

「っ……はいっ♡」

 

 それから私はプロデューサーさんにフレームのこととかも教えて、プロデューサーさんはジグソーパズル一式を無事に購入しました。

 

 ―――――――――

 

 デパートをあとにした私たちは、今度はプロデューサーさん行きつけの喫茶店に入りました。

 ここは打ち合わせとかでも使ってるお店で、私もたまに一人で来たりする。ここのオススメはブレンドコーヒーなんですが、ブレンド以外も美味しい飲み物が多くていつも悩んでしまいます。

 

「俺はブレンドとハムトースト」

「私はえっと……ホットココアとチョコレートパフェをください」

「あ、飲み物先で」

 

 店員さんに注文すると、店員さんは丁寧にお辞儀してその場をあとにする。

 

「今度ああいう衣装の若葉も見たいなぁ」

「えぇ……私に似合うかなぁ?」

 

 白い長袖シャツに黒い長ズボン。そして黒いロングエプロンに黒い革靴。シンプルだけどとても大人っぽくていいと思うけど、私には多分合わないと思う。

 

「小さな子が一生懸命背伸びしてるみたいで絶対可愛いよ」

「それ褒めてます?」

「めっちゃ褒めてる。だって若葉はどんな格好をさせても可愛いからな」

「……馬鹿♡」

 

 そう言ってもらえるのは嬉しいけど、堂々と言われると照れてしまう。でもそれがどこか心地良いと感じてる自分もいます♡

 

「お待たせしました。お先にブレンドコーヒーとホットココアになります」

 

 いいタイミングで飲み物が運ばれてくると、私もプロデューサーさんも自分たちの飲み物に舌鼓を打ちます。

 

「ん〜、やっぱりここのココアは美味しいです♪ どうやったらこんな風に出来るんですかねぇ」

「そりゃ企業秘密だろ」

「ですよね〜。自分でココアを入れる時に色々と想像してやってみてるんですが、なかなかこの味にはなりません」

「出来たら飲ませてくれよな」

「はいっ♡ その時はうんと甘めでご馳走しますね♡」

 

 プロデューサーさんは大の甘党。それを隠そうともしないから、すごいと思う。私なんて子どもっぽいって思われたくないから無理にでもブラックで飲んでた時期があったから、プロデューサーさんの潔さというか、何も隠さないところって尊敬しちゃう。

 

「このあとはどうする?」

「どこか行くにも中途半端な時間ですしね。寮の門限もありますし……」

「門限って何時だっけ?」

「20時です」

「…………なら、俺の部屋にでも行くか?」

「いいですよ♡」

「実は若葉に着て欲しい衣装があってな♪」

「…………〇〇さんのえっち」

「えっちじゃない。ロマンだ」

 

 もう、こういうところは隠してほしいですねぇ。お客さんが少なくてもお店の中なのに。

 この前だって婦警服とか巫女服とか着せて色々させられたのに……あと裸リボンとかも♡

 

「本当、〇〇さんは私のことが大好きで仕方ないんですねぇ♡」

「当然。というか若葉が本気にさせたんだろ?」

「こんなにえっちな人だとは思ってませんでしたー」

「だって若葉はどんな衣装着ても可愛いからな」

「もう……今回だけですからね?♡」

「おう!」

 

 前もそう言って今ですからね。多分この先も私はプロデューサーさんが望む衣装を着ることになると思ってます。

 でもそれだけ私に夢中になってくれるプロデューサーさんが私はこれからも大好きです♡―――

 

 日下部若葉*完




日下部若葉編終わりです!

合法ロリなお姉さん、若葉ちゃんはこんな感じにしました!

お粗末様でした☆

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