デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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色々と設定が謎なので私の妄想多めです。
ご了承ください。


黒埼ちとせ編

 

 この世の全てが楽しい

 

 人々は喜怒哀楽の中で生き

 

 人々は喜怒哀楽の中で死ぬ

 

 それは人として当たり前であり

 

 私から見れば楽しいもの

 

 だからそれをもっと見たかった

 

 この目に焼き付けたかった

 

 そのために

 

 私はとある魔法使いと

 

 契約を結んだのよ

 

 ―――――――――

 

「お嬢様、お客様がご到着です」

「ええ、すぐに行くわ」

 

 自室で読書して暇を潰していた私を千夜ちゃんが呼びにやってきた。

 今日の私はアイドルの黒埼ちとせじゃない。今日はアイドルはお休み。だから私はお休みを使ってあることをしようと、我が屋敷に客を呼んだ。

 お父様たちは海外にいるし、家のことは全てメイドや執事がやってくれる。だから私は暇。だから私は遊ぶことにしたの。

 

 ―――

 

「いらっしゃい、あなた♡ お休みの日でもあなたに会えて嬉しいわ♡」

 

「お招きありがとう」

 

 遊ぶのは私専属のプロデューサーで遊ぶってことね。

 アイドルがどういうものなのか理解はしてるけど、その型に嵌められるのはまっぴら。だから敢えて私は茨の道を選んだの。

 

 どういうことかというと、こういうことよ―――

 

「んっ♡」

「んむっ!?」

 

 ―――私とプロデューサーはラブラブってこと。

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 私の一族は短命。どれくらい生きられるか分からない。

 だから私はその時その時を楽しみ、後悔しないと決めてる。

 

 日本に来たのもそれが理由。ルーマニアもいい所だけど、日本人のお祖父様から彼の故郷である日本のことは良く聞いていたし、いつか住んでみたいと思ってた。

 

 その願いが叶って、私はお父様が持つ日本の別荘に家族で移り住むことになった。日本人で言えば小学生になる前の年齢ね。

 日本人は誰もが優しくて、なのにやっぱり陰はあって、色んな出会いがあった。千夜ちゃんともその頃に出会ったわ。今では私付きのメイドをしてて、私に取り入ろうとする者は排除してくれる。

 

 プロデューサーも最初は千夜ちゃんの排除対象だった。

 けれど私が彼を気に入ったから、彼は排除しないように頼んだ。

 だって彼、絶対嘘を吐かないんだもの。これってなかなか出来る人いないのよ? 優しい嘘も何も吐かない。

 私が言う、『嘘を吐かない』は本当にそのまま。どんな些細な嘘も吐かないということ。

 人の嘘によって我が家は代々痛い目を見てきた。だから嘘を吐かない人を私は望んでた。

 

 そんな人はそういないと思いながら、夜の街を彷徨っていたら、彼を見つけたの。

 アイドルにスカウトする条件に『嘘を吐かない』ことを出すと、彼はすぐにより真剣な表情で誓ってくれた。

 

 その日から私の楽しかった日々が、より輝きを増したのを今でも鮮明に覚えてる。

 

 だから私は彼を欲した。

 アイドルとプロデューサーの関係なんて所詮は肩書き。

 そんな肩書きなんて捨ててでも、人は得たいことがあるのよ。

 

 家族を説得するより、人一倍警戒心の強い千夜ちゃんの説得が一番難しかったけど、それすらも楽しかったわ。

 流石にまだ事務所には内緒にしてるけど、私の千夜ちゃんがいれば何も問題ないわ。自分で嘘を吐かれるのを嫌ってるのに、自分で嘘を吐いてるのは矛盾してるって思うけど、そうしてでも彼を手元に置いて置きたかったの。

 まあ事務所で仲良くしてくれる仲間たちは、そもそも私たちの味方だし。私たちの関係が上にバレるなんてヘマしないんだけどね。

 

 短命だからって私は悲しまない。

 短命だからこそ、人より何倍も幸せになってみせる。

 そのために私は彼を欲したの。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

「今は何をしているの?♡」

「オファーを色々と整理してる。受けるオファーが決まったら報告するよ」

「分かったわ♡ 頑張ってね♡」

「あぁ」

 

 屋敷のサンルームに彼を案内すると、彼はソファーについてすぐにノートパソコンを開いて仕事を始めた。

 私はお休みでも彼はお休みじゃないからね。でも私が彼と遊ぶことを決めたし、彼も仕事でもデスクワークだから問題なく私の所に来れたの。そもそも彼自身、私に会いたがってる。『会いたいけど仕事で会えない』なんて大人な嘘すら吐かないから彼。

 まあ普通の人じゃ無理なんでしょうけど、私と彼だから成り立つお家デートね。会いたくても我慢してる人は沢山いるもの。

 

 そんな彼に私は背後から抱きついてる。

 千夜ちゃんはそれを澄まし顔で眺めてるけど、口元が緩んでる。あの顔は『お嬢様が幸せそうで嬉しい』って顔。あの子は何に置いても私至上主義だから、うんと私の幸せなところを見せてあげたいの。

 

「……あら、この前の所、薄くなっちゃったわね」

「俺の家系は自然治癒力が高いらしいから」

「ふーん、いいこと聞いた♡ じゃあ、また……いいわよね?♡」

「どうぞ、お好きに。愛する彼女に刻まれるなら本望だ」

「いい心掛けね♡ じゃあ、失礼して――かぷっ♡」

 

 私は躊躇いなく彼の首筋に噛み付いた。

 吸血鬼の性なのか、こうして噛み付きたくなるの。好きな人ならなおさらね。吸血鬼と言っても私はその末裔だから血なんて吸わないし、例えくれると言われても要らないけど。

 

 でもやっぱり好きな彼の首筋を見ると、噛み付きたくなるし吸い付きたくなる衝動に駆られる。彼はそれを無条件で受け入れてくれるけど、痛くないのかしら? 私、こういう性格だから容赦なく欲をぶつけてるのよね。まあ嘘を吐いてたら分かるから、彼が嫌々付き合ってる訳じゃないのは知ってるんだけど。

 

「くっ」

「痛かった?♡」

「痛みくらい感じるさ。でも血は出てないだろ?」

「内出血くらいってとこかしら♡」

「つまりキスマークになったってことか」

「嬉しい?♡」

「嬉しくない。最近このせいで同僚とかにからかわれてるんだ」

「その時はどうしてるの?♡」

「可愛い彼女がキス魔なんだって言ってる」

「ふふっ、楽しそう♡」

「当事者としては楽しくない」

 

 ふふふ、まああなたならそうでしょうね。あなたはどちらかと言えば攻めたい人だもの。

 でもそうやって自分の感情をコントロール出来るのは流石30歳の大人ね。30歳でも子どもは多いけど、あなたはちゃんとした大人だもの。

 だからこそ、私は甘えん坊な子どもでいられるのよ。

 

「ねぇ、あなた♡」

「ん?」

「今度は唇吸わせて?♡」

「キスしたいって言ってくれ」

「キスしたい♡」

「どうぞ」

 

 彼の許可を得た瞬間、私は彼の唇に吸い付いた。

 愛する彼の唇を甘噛みしたり、啄んだり……彼は私のしたいようにさせてくれる。

 たまにはしたなくよだれをこぼしちゃう時もあるけれど、それはそれで茶目っ気よね。

 

「ぷはぁ……ああ、幸せ♡」

「俺も幸せだよ」

「知ってる♡」

「そうだな」

 

 それだけ言葉を交わすと、私たちはまたキスをする。

 遊ぶなんて言ってたけど、結局は私がイチャイチャしたいだけなのよね、この人と。

 それを彼も快く受け入れてくれるから、余計に私は甘えん坊になるの。本当に私をダメにする天才よ。

 

 ―――――――――

 

「お嬢様、紅茶のお代わりをお淹れしました」

「ありがとう。彼には―――」

「―――既に珈琲をお出ししました」

「ありがとう」

 

 あれからずっとキスしたり、甘えたりですぐに時間が過ぎて今は昼下がり。

 遅めの昼食を三人で過ごし、また彼とキスしてて、もうこんな時間。なのに彼は仕事が進んでる。相変わらずこういうところは脱帽するわ。私なんてキスに夢中だったのに。今も私に抱きつかれてても手は止まってないもの。

 

「そういえば、あなた♡」

「どうした?」

「言い忘れてたのだけれど、今度お祖父様たちが遊びに来るから、その時にあなたを紹介したいの♡」

「いつだ?」

「丁度1か月後よ♡」

「分かった」

「その時にお母様のお姉様も一緒に来るけれど、綺麗だからって見惚れてはダメよ?」

「難しいな。ちとせがその美貌だ。お母さんもあれだけ綺麗な人なんだから、そのお姉さんもそうとうなんだろう?」

「むぅ、浮気者っ」

「見惚れてしまうくらい許してくれよ」

「まあいいけど……でもそのあとでいっぱいキスしてくれなきゃ嫌よ?」

「分かった。でも俺はちゃんとちとせだけを愛してるから」

「ふふっ、知ってる♡」

 

 知ってるけど、言葉にしてもらうとより嬉しい。だから私は嬉しいと伝えるように、彼によりギュッとしがみついた。

 ちょっとまた首筋に噛み付いたくなったけど、今は我慢。夜になったらいっぱいさせてもらえるから。

 

「ちょっと仕事の話をしてもいいか?」

「いいわよー♡」

「今悩んでるオファーがあってな」

「なになに?♡」

「週刊漫画雑誌の巻頭グラビア撮影のオファーだ」

「水着着るの?♡ いいわよ♡」

「いや、俺が嫌なんだよ。ちとせの水着姿を色んな人に見せるのは」

「公私混同はダメよ?♡」

 

 その気持ちはとっても嬉しいけどね。でも私は気にしないわ。ただの写真だもん。千夜ちゃんは多分少なくとも5冊ぐらい買うでしょうけど。

 

「プロデューサーとして失格なのは分かってる。でもちとせは俺の大切な女の子だから」

「もう、あなたは私に触れることが出来るのに、まだ足りないの?♡」

「足りないな。俺って欲張りだから」

「じゃあ断ったらいいんじゃない?♡」

「そうなんだけどな。でもちとせを見せびらかしたくもあるんだよ。こんなに可愛くて綺麗な恋人だから」

「困ったわねー♡」

 

 本当に困ったわ。そんなこと言われたら、我慢出来ないもの。

 だから私は欲望に負けて、彼の首筋に噛み付いた。

 

「うっ……」

「〜♡」

 

 大好きな彼が痛がってる。でもその痛みすら喜びに変えてる。それが私は嬉しくて堪らない。

 こんなにも私を受け入れてくれる人なんて、そういないもの。だからこそ私はこの人を離さない。絶対に。

 

「ぷはぁ♡」

「痛気持ち良かった……」

「ふふふ、夜はもっとハードにしてあげる♡」

「泊めさせるなら事前にそうだと言ってくれ」

「えー、ちとせちゃんわかんなぁい♡」

「嘘は良くないぞ、シンデレラ」

「はぁい♡ でも何にしても朝になるまで帰さないわよ♡」

「いつも申し訳無くなるんだよ」

「気にしない気にしない♡ 全部私の家の者が用意してあげるし、全部あげるから♡」

「だから申し訳無くなるんだよ」

「あなたは私の特別♡ だもの、早く慣れて♡」

「難しいな」

「難しく考えるからよ♡ あなたはただ、私みたいに愛の中で溺れればいいの♡」

「どっちかは正常じゃないとダメだ」

「もう、意地っ張り♡」

 

 でもあなたはそれくらいじゃないといけないかも。私はもう絶対に浮き上がることなんて出来やしないもの。それだけあなたとの愛に溺れてる。

 これからも、その時が来ても、永遠に♡―――

 

 黒埼ちとせ*完




黒埼ちとせ編終わりです!

何かと謎多きアイドルですが、こんな感じにしました!

お粗末様でした☆

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