デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。
舞妓さんや芸者さん口調が強めです。
ご了承ください。


小早川紗枝編

 

 京の女は京だけで通用すればええ

 

 うちは両親から言われた

 

 その言葉が許せへんかった

 

 そやさかい京都を出て

 

 『あいどる』になろう思た

 

 京の女は世界に通用するんやって

 

 両親に見せたかった

 

 そないなうちん思いを実現させてくれた

 

 一人の魔法使いさんがいてはった

 

 ―――――――――

 

「今日はなんものうてのんびり出来る日どすなぁ♪」

「いや、一応写真集の撮影があるんだけど?」

「せやけど、プロデューサーはんが全部やってくれるんやさかい、のんびり出来る日で間違うてまへんよね?」

「まあ、撮るのは全部俺だからね……」

「けったいなとこは撮らんといとくれやっしゃ? もしけったいなとこ撮られてもうたら、うち……泣く」

 

 今日のうちんお仕事は今度発売予定の写真集に付けるおまけの『すなっぷ写真』をいくつか撮影すること。

 せやけどその撮影は全部専属のプロデューサーはんがしてくれるさかい、うちは気楽にいつものように過ごしとったら問題あらへんそうどす。

 

「いつも通りにしてれば変なところなんてないだろ」

「まあ、プロデューサーはんはお上手どすなぁ。そう言われたら普段からうちは可愛いってことどすか?♡」

「そりゃあ……まあ、可愛いよ、うん」

「そないな風に言われたら、うち照れてまいますぅ♡」

「自分から訊いといて照れるなよ……」

「二人してお顔真っ赤にして、おかしいどすなぁ♡」

 

 うちは『あいどる』どすが、実は事務所の皆はんには内緒でプロデューサーはんとお付き合いさせてもろうてます。

 『あいどる』とプロデューサーが付き合うのはいけへん事やとは知ってます。

 やけど、女一人でなんも知らへん東京へ来て、今のうちをこれまでずっと支えてきてくれた殿方をお慕いしいひん女はいーひん思うんどす。

 

 プロデューサーはんのお陰でうちも『あいどる』としてそこそこ有名になれたし、様々な『あいどる』仲間の方々とたくさんの『ゆにっと』も組んできたし、喧嘩別れした両親とも今では仲直り出来て、ほんま順風満帆どす。

 その事柄は全てうちがプロデューサーはんに出会うてからどすさかい、もしかしたらうちはプロデューサーはんと出会うために東京にきたのかもしれまへん。

 えらい不思議なことや思いますが、うちにとっては幸せなことや思てます。

 だって今がえらい幸せで怖いくらいどすさかい♡

 

「ふふふっ♡」

「お、その表情いいね。頂き♪」

 

 パシャ

 

「あっ……早速けったいなとこを撮られてまいました」

「そんなことない。すっごく可愛い笑顔だぞ、ほら」

「プロデューサーはんにそう言うてもらえるのんは嬉しおすけど、今のは消しとぉくれやす……」

「えぇ〜、せっかくいい表情だったのに〜」

「せやけど――」

「?」

「――せやけど、今のはプロデューサーはんにしか見せたないうちん素顔どすさかい」

「っ!?」

 

 こんなんを言うてもうては『あいどる』失格かもしれまへん。

 ほんでもファンの方々へ見せるうちん笑顔とプロデューサーはんにだけ見せるうちん笑顔はちゃうんどす。

 うちがこないな風に笑うのも、照れるのも……全部全部、プロデューサーはんにしか見せたない、素のうちなんどす。

 

「せやから消してほしい……」

「そ、そう言われたら消すしかないな」

 

 良かった……。

 

「でも確かにこの笑顔は独り占めしたくなるな。ファンに知られたら殺されるかもしれないけど」

「〜♡」

 

 そんなん言われたら、またうちん顔緩んでまう。なんでプロデューサーはんはそないまでにうちを喜ばす天才なんどすか?

 

「……えへへへぇ♡」

「すっごく顔がにやけてるぞ」

「プロデューサーはんのせいどす」

「人のせいにするなよ〜」

「だってそうなんやさかい……プロデューサーはんのせいなんやさかい♡」

「そっか〜」

「そうどすぅ♡」

 

 は〜、なんて幸せなんやろ。今でもこないに幸せなのに、これから先もっと幸せが待ってるなんて……うちどうなってまうやろ♡

 

「……プロデューサーはん♡」

「どうした?」

「責任とっとくれやっしゃ?♡」

「ん、どういうこと?」

「うちをこないに幸せにして、もうプロデューサーはんなしの生活になんて戻れまへん。せやから、この責任はちゃんともらえなあきまへん♡」

「あ、あ〜、そういうね……頑張るよ」

「ふふふ、楽しみにしてますなぁ♡」

 

 ―――――――――

 

 それから暫くして、プロデューサーはんは別件で上の方へ報告をしに行き、うちだけはプロデューサーはんが使うてる個室で彼の帰りを待ってます。

 今日はほんまにやることがのうてゆっくり出来てます。それも大好きなプロデューサーはんと。

 

 せやけど事務所内やさかいあんまり二人きりの時みたいに、くっついたり、手ぇ繋いだり出来ひんのは辛い。

 それにどないプロデューサーはんとええ雰囲気になったとしても、口づけの一つも出来ひんのやさかい。

 

 うち、自分でも知らへんうちに欲張りさんになってもうたんかな?

 せやけど心がプロデューサーはんを求めてまう。

 恋は盲目とはよう言うたものどすなぁ。いつ撮影されても、撮影してくれるのがプロデューサーはんやさかい『あいどる』の小早川紗枝やなしに、あの人だけの小早川紗枝になってまうんやさかい♡

 

 ほんまにうちはせんななんぼい、プロデューサーはんに首ったけな女どす♡

 

 ガチャ

 

「お待たせ〜」

 

「お帰りなさい♡」

 

「急で悪いけど、これから外行くから準備してくれ」

「なんか急なお仕事でも?」

「いや、そういうのじゃない。でもスナップ写真の方が全く撮れてないから、外で気分転換がてらに撮ろうかと思ってね」

「かんにんな。うちが浮かれているばっかりに……」

「俺だって久々に紗枝と二人きりでテンション上がってる。そんなのお互い様だよ」

「そんなん言われたら、なんも言えまへん♡」

 

 ほんまにどこまでも優しおして、ずっこい人どすなぁ♡ せやけどそないなあんたがうちは大好きどす♡

 

 ―――――――――

 

 こうしてうちはプロデューサーはんに連れられて、事務所近くの商店街にやってきました。

 ここは東京なのに古き良き昭和の時代がそのまま残ってるみたいな所。まあそんなん言うても、うちは平成生まれなんやけどなぁ。

 

 せやけどここは東京とは思えへんほど、お店の人たちも行き交う人たちも温かい感じがする。

 

「お、いい顔。頂き♪」

 

 パシャ

 

「あっ、もう、急に撮られたらビックリしてまうで?」

「ごめんごめん。でも本当にいい顔だったから許して♪」

「もう、いけず♡」

 

 お仕事中なのにやっぱしうちん心は浮かれてもうている。

 だってこらお仕事言うてもデートとそないに変わりまへんもん♡

 

「はぐれへんように手ぇ繋いでもええどすか?」

「ん〜、まあ多分やましい関係には見られないと思うから、いいだろう」

「えへへ、やった♡」

 

 傍から見たら、せいぜいうちらは仲のええ兄妹やろなぁ。プロデューサーはんはうちより12歳も年上でも、若う見えるさかいね。

 せやけどうちはこの人の恋人。今はそれ大声には出来ひんけど、いつかそう言える日来たらええなぁ。

 

「それで、これからどこに行くんどすか?」

「さっき同僚のやつに新しく出来た団子屋があるって聞いたから、そこにしようと思う。お持ち帰りだけじゃなくて、店の中で食べられるんだってさ」

「まあ、楽しみどす♪」

「食べ過ぎて太らないようにな?」

「もう、またそないないけずなこと言うてぇ。怒るで?」

「あはは、ごめんごめん。でも一応な?」

「むぅ♡」

 

 ―――

 

 それから目的のお店に着いたうちら。そのお店は2階建てになっとって、2階がお食事スペースになってました。

 外見は狭そうなのに、中はそんなんを思わせへんほどのぼちぼちした空間で、うちらは当たりのお店や思た。

 

「あはは、良かったな、紗枝♪」

「その目ぇはうちのことあほにしてるように見えるぅ……」

「んなことないさ。誇らしく思ってる」

「むぅ〜♡」

 

 一体何があったのかちゅうと、お店に入るなりうちが『あいどる』やと分かって、お店にサインを書いたさかいどす。

 なんでも丁度お店に立っとったアルバイトのお兄さんがうちのファンで、その方が店長はんも呼んでちょい大事になってもうたんどす。

 これだけ有名になったのもプロデューサーはんの手腕どすしうちとしては嬉しい限りやけど、プロデューサーはんったらずっとニコニコしてるだけでうちは気恥ずかしなってました。

 

「お、お待たせしました! 当店自慢のお団子セット2つですすすす!」

「どうも」

「おおきに♪」

 

 注文の品を運んでくれたんはうちのファンの方。声が上擦ってて手ぇも震えて……せやけど最後に握手したら、えらい喜んでくれはりました。

 ほんでこれからも応援してますって言うてくれたさかい、うちももっと頑張ってその気持ちに応えたい思いました。

 

「うんうん、外に来て正解だったな。いい写真が撮れる撮れる」

「抜かりへんお人どすなぁ」

「可愛い紗枝を逃さないのがプロデューサーだからね」

「その言い方は……ずっこい」

「ずるで結構。そしてその表情もまた可愛いだけだぞ?」

「なんでこないな時に限っていけずするん?」

「なんでかな〜? 可愛いからかな?」

「そないなの嬉しない〜」

 

 でもプロデューサーはんがうちんことを構うてくれるのんは嬉しい。あかんね、惚れた弱みにとことんつけ込まれてるわぁ。

 

「それよりほら、団子団子。温かいうちに食べよう」

「せやね」

 

 磯辺焼き、みたらし、つぶあん……どれも美味しそう。

 中でもこの磯辺焼きは不思議。海苔で巻かんといて刻み海苔を掛けてはる……どないな味なんやろう?

 

 パクッ

 

「んっ……おいひぃ♪」

 

 お団子自体程よう甘おして、そこにお醤油と海苔の風味……こらええお団子どすなぁ。

 

 パシャ

 

「紗枝可愛いよ紗枝……」

 

 パシャパシャ

 

「可愛い……超可愛い……スーパーデラックス可愛いぞ!」

「ちょ、プロデューサーはん!」

 

 そないに可愛い可愛い連呼してうちを撮らへんどぉくれやす。顔から火ぃ出るくらい恥ずかしいさかい……♡

 せやけどなんかこのままされたい放題なのは悔しいなぁ。

 あ、そうや。

 

「そないにいけずするなら、あとで仕返ししても文句言わんといてや?♡」

「え……何する気なんだよ?」

「さぁ、何されるんやろうね?♡」

 

 うちだって『あいどる』になって強い女になったんやもん。プロデューサーはんの弱いとこも知り尽くしてるんやさかいね?

 

「怖いなぁ……変なことはしないでくれよ?」

「写真なんか撮ってられへんほど、うちがプロデューサーはんにいけずするさかい覚悟しといてや?♡」

「えぇ〜」

「ふふふ、その顔、そそるわぁ♡」

 

 ほんでその場では美味しゅうお団子を一緒に食べて、当初の目的の写真も撮り終えた。

 でも事務所に帰ったら、プロデューサーはんはうちのイタズラに可愛い顔で「参った」ってしたの。

 またうちはプロデューサーはんの弱いとこ見つけてもうた……これからも色々見つけてまお♡―――

 

 小早川紗枝*完




小早川紗枝編終わりです!

大好きなプロデューサーの前では弱い紗枝ちゃんかと思いきや……ってな感じで!

お粗末様でした☆
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