デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


小日向美穂編

 

 ことあるごとに緊張してた

 

 入学式や卒業式……なんでも

 

 そんな自分を変えたくて

 

 思い切って上京して

 

 アイドルの静養所に入った

 

 少しでもこのあがり症を治したくて

 

 もしかしたらアイドルにだって

 

 なれるかもしれないなんて思った

 

 そんなある日

 

 一人の魔法使いさんが

 

 私をシンデレラにしてくれたんです

 

 ―――――――――

 

「わ、私……もう一人はイヤ! だから、あなたに嫌われてもいいから……絶対絶対ついて行くんだからー!」

 

 こ、こんな感じでいい、のかな?

 

 私は今事務所近くのレッスンスタジオに自主トレしにきています。今度事務所に所属しているアイドルのみんなとミュージカル公演をするので、その練習です。

 このミュージカルは色んなお話をアイドルのみんなで演じて、一つの演目は約30分くらいの短編ミュージカル。小説で言えば短編集みたいなものかな。

 それで私はこのミュージカルでピンクチェックスクールの一員として、彼女さん役をやります。因みに相手役は卯月ちゃんで、響子ちゃんはヒロインを励ましてくれる親友の女の子役。

 これまで何度かお仕事でドラマとかお芝居はやってきたけど、やっぱりまだまだ不安で仕方ない。寧ろアイドルになれたことすら、今でも夢なんじゃないかって思えてならないもん。

 

「…………いたっ」

 

 レッスンスタジオの鏡に映る自分を見つめながら、頬を軽くつねってみると痛かった。だからこれは夢じゃない……よね?

 

 ガチャ

 

「お〜っす、やってるか〜?」

 

「あ、プロデューサーさんっ♡」

 

 するとそこに私専属のプロデューサーさんが来ました。

 この人が私のプロデューサーさん。前までは何人ものアイドルを担当していましたが、私だけをプロデュースするために専属になってくれたんです。

 それだけでも幸せなことなのに―――

 

「おっと、美穂は相変わらず甘えん坊だな」

「プロデューサーさんの前だけですぅ♡」

 

 ―――プロデューサーさんとは恋人同士なんです♡

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 私がプロデューサーさんと秘密恋愛を始めたのは今から半年前。

 それよりも前から……ううん、この人が私を担当してくれて初めてレッスンをした時から、私はプロデューサーさんを好きになってました。

 

 私は熊本出身で高校卒業までにアイドルになれなかったら熊本に帰らなくちゃいけなかった。もしかしたらもっと早くに帰ってたかも。養成所のお金も両親がずっと払っててくれてたし、その上で学費の支払いや仕送りまでしてくれた。

 

 でもあがり症なのもあって、アイドルなんて夢のまた夢だと思ってた。

 そこにプロデューサーさんが手を差し伸べてくれたんです。

 

『熊本に帰られたら困る』

 

 私を必要としてくれた……私はその言葉だけで頑張ろうと思えた。この時、運命なんて都合のいいだけの言葉だと思ってた自分を恥じた。

 

 そしてプロデューサーさんのことを知るに連れ、彼に大切にされる度、好きって気持ちが大きくなっていった。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 それでずっとプロデューサーさんのことが好きで好きでどうしようもなくて、卯月ちゃんや響子ちゃんにいっぱい相談して……そうしたら、プロデューサーさんに告白してもらっちゃった♡

 なんでも私がウジウジしてたから卯月ちゃんと響子ちゃんがプロデューサーさんに『両想いだからいっちゃえ!』って背中を押したんだって。

 まさか両想いだったなんて思わなかった。だってプロデューサーさんは素敵な人だから、私なんかじゃ釣り合わないし、私みたいな子に好意を寄せられても迷惑だと思ってたから。

 でも違った……プロデューサーさん、実は私に一目惚れして職権乱用だと分かってても私をプロデュースしたかったんだって。初めてそれを聞いた時は驚いたけど、結果良ければいいよね?♡

 

「一人で自主トレしててお利口な美穂にご褒美を持ってきたぞ!」

「え、なんですか?♡」

 

 キスしてくれるのかな?♡ それともぎゅうってしたままクルクルしてくれるのかな?♡ プロデューサーさんにされることはどんなことでも全部ご褒美だから楽しみ♡

 

「前に美穂が大絶賛してたあの洋菓子店のシュークリームだ♪」

「え」

「え?」

 

 シーン……

 

「あれ、シュークリームの気分じゃなかった?」

「あ、あぁ、いえいえ! そんなことないです! すっごく嬉しいです、はい!」

 

 私ったら……なんてことを! 二人きりとは言え、そんなことダメに決まってるのに!

 

「顔めっちゃ赤いけど、本当に大丈夫か?」

「だだだだ、大丈夫です……全然っ」

「とてもそうには見えないが……まあ、シュークリーム食べて落ち着こう」

「はひ……」

 

 ―――

 

「頂きま〜す……はむっ、ん〜♪ 美味しい♪」

「並んで買ってきた甲斐があるよ」

「ありがとうございます、プロデューサーさん♡」

 

 はぁ、幸せ♡ 昔の私が今の私を見たらきっと卒倒しちゃうだろうなぁ♡

 

「このあとは俺も時間があるから自主トレ付き合うよ。台本読むくらいなら出来るしさ」

「わぁ、ありがとうございます♪ それなら通しで一通りお願いします!」

「あぁ、クリームが溢れてる」

「はわっ、はぐはぐっ」

「時間はあるんだから落ち着こうな」

「ふぁ〜い……むぐむぐ」

 

 ―――――――――

 

「ど、どど、どうして? どうして今まで、だま黙ってたの?」

「…………流石にそれはどもり過ぎだろう」

 

 おやつ休憩も終わりにして自主トレを再開した私でしたが、ここまで来るだけでも何度も何度もプロデューサーさんに注意されちゃいました。

 

「うぅ〜、やっぱり難しいですぅ」

「まあ赤の他人を演じるって難しいよな」

「そうなんですよぉ。それにヒロインなんて大役やったこともないですし、そもそもこのヒロインの気持ちを演じるってのがハードル高過ぎるんですよぉ」

「でも美穂ならやれるよ。これまでそう言ってて最後にはちゃんとやれてきたじゃないか」

「プロデューサーさん……」

「俺は美穂を信じてる」

 

 そんな力強い眼差しで見つめないでください……♡

 でもプロデューサーさんの期待に応えなきゃ!♡

 

「頑張ります!」

「あぁ、一緒に頑張ろう」

「でも、本当にどうすればいいんでしょうか?」

「ん〜、なら相手が俺だと思ってやってみるとかどうだ?」

「プロデューサーさんだと思って、ですか?」

「そう。本番は卯月ちゃんだけど、今は俺しかいないし、実際に恋人だしさ。そう考えた方が掴みやすいんじゃないか?」

「なるほど……」

 

 ―――

 

 気を取り直して私はまた頭から通し稽古に挑んだ。

 卯月ちゃんが演じるはずの主人公をプロデューサーさんだと思ってやってみると、私は全然どもらずにスラスラとセリフを言うことが出来た。

 

「どうして? どうして今まで黙ってたの!?」

「お前だって受験控えてたし、余計な心配させたくなかったんだ」

「だからって……そんなのあんまりだよ!」

「お前のことが好きだから言い出せなかったんだ!」

「何よそれ!? それじゃまるで私があなたのお荷物みたいじゃない!」

「そんなこと誰も言ってない!」

 

 良かった……苦手だったシーンもプロデューサーさんのことを考えながらだとちゃんと自然に言えた。

 プロデューサーさんも役になりきってくれてるから、余計に感情移入出来てる。

 

 でも本当に私がこのヒロインの立場だったら、どうしちゃうんだろう。プロデューサーさんってこの男の子みたいな性格じゃないし、どんな展開になるのかな?

 

「美穂、次のセリフ」

「あ、ごめんなさい。えっと……私、プロデューサーさんと離れ離れになんてなりたくないっ!」

 

 あ、ついプロデューサーさんのことにしちゃった。

 

「何こっ恥ずかしいこと言ってんだよ……」

「ご、ごめんなさ〜い」

 

 ひゃあ、恥ずかしいっ。穴があったら入りたいよぉ。

 

「まあ、でももし俺だったら――」

 

 え?

 

「――俺も美穂と離れ離れになるのは嫌だから、連れて行っちまうな。駆け落ちしてでも」

 

 ボンッ♡

 

「うわっ、大丈夫か!?」

「は、はひ……♡」

「美穂が本当に俺のこと出すから、俺までマジで答えちまった。今の忘れてくれ……そもそも俺が急に美穂の前からいなくなるなんてあり得ないしな」

 

 忘れるなんて無理ですよ……さっきから言われた言葉が頭から離れないのに。もっともっとプロデューサーさんとずっと一緒にいたいって私の心が叫んでるのに。

 

「……プロデューサーさん♡」

「な、何かな?」

「さっきの言葉……本当だって信じさせてください♡」

「え、だからそれは……」

「忘れたくないんです!」

 

 プロデューサーさんは私の運命の人だもん! 絶対絶対離れたくないんだもん!

 

「…………美穂」

「………………」

 

 ギュッ♡

 

「これから先もずっと一緒だ。そして必ず俺が美穂をトップアイドルにしてみせる。そうしたら、結婚しよう」

「〜……はいっ♡ ふちゅちゅきゃもにょでふが、よろひくおにぇがいしましゅ♡」

「大事なセリフ噛み倒したな」

「ふぇ〜、だってぇ♡」

 

 まさかプロポーズになるなんて予想外過ぎますよぉ。

 

「……いいかな?」

「はい……んっ♡」

 

 ちゅっ♡

 

 プロポーズのあとのキス……いつもみたいに優しいのに、まるで全然違うキス。

 プロデューサーさんの舌でなぞられるところ全部が、ジワッと熱くなってきて、もっともっとっておねだりしちゃう♡

 これまでプロデューサーさんから何度も幸せなキスをしてもらってきたけど、これまでのどのキスよりも今のキスが幸せを感じてる♡

 プロポーズでこれなのに実際に結婚式でキスをしたら、どうなっちゃうのかな?♡ 私立っていられるのかな?♡

 

「んはぁ……プロデューサーさん♡」

「とろけた顔も可愛いよ」

「えへぇ♡」

「お、おい、そんなに体を押し付けたら……!」

「私、プロデューサーさんが欲しいです♡」

「み、美穂……」

「プロデューサーさん♡」

 

 ガチャ

 

「はいはいはい、そこまで〜!」

「レッスンスタジオはそういうことをする場所じゃないですよ〜!」

 

「ぴっ!?」

「うわっ……卯月ちゃんに響子ちゃん!?」

 

 二人の乱入で私はやっと我に返りました。それと同時にプロデューサーさんにおねだりしちゃった自分が恥ずかし過ぎて、私はしゃがみ込んでしまいます。

 

「ふぎゅ〜〜」

 

「お仕事も終わったし、美穂ちゃんが自主トレするって言ってたから響子ちゃんと飲み物とか買って参加しに来たら……」

「二人がイチャイチャしてて入るタイミングなかなかなかったんですよ〜?」

 

「す、すまん」

 

「ラブラブなのはいいですけど、そういうのはプライベートな所でお願いしますね?」

「私たちじゃなかったら一大事でしたよ?」

 

「気をつけます」

「気をつけま〜す……」

 

 結局、卯月ちゃんたちに私たちは暫くお説教されちゃいました。

 そのあとでみんなで通し稽古して、プロデューサーさんのお陰でスムーズに出来ました。

 

 そして解散したあとで、プロデューサーさんに改めておねだりしちゃいました♡―――

 

 小日向美穂*完




小日向美穂編終わりです!

熊のぬいぐるみにプロデューサーと名前を付けるくらいの子ですから、きっと恋人になったらこんな風になるな〜と思って書きました!

お粗末様でした☆
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