デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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白菊ほたる編

 

 ずっとアイドルになりたかった

 

 小さい頃から何をやっても

 

 何ひとつ上手くいかなくて

 

 泣いてばかりいた私を

 

 テレビに映るアイドルが

 

 笑顔にしてくれたから

 

 だからずっとアイドルになりたかった

 

 私も誰かを笑顔にする

 

 そんな素敵な存在になりたかった

 

 でもこの夢は不幸な私じゃ

 

 叶わないと思った

 

 なのに

 

 今アイドルをしてる私がいます

 

 ―――――――――

 

「いやぁ、まさかこんな大荒れになるとはなぁ」

「ごめんなさい、プロデューサーさん……」

 

 私、白菊ほたるは今、専属プロデューサーさんと一緒にハワイへやって来てます。

 本当なら、今日は今いるホテルの目の前にあるビーチで今度発売予定のソロでのニューシングルのプロモーションビデオを撮影するはずだったんですが、ハリケーン直撃によってホテルに缶詰め状態です。

 きっと私がこれまで幸せ過ぎたから、そのつけが回ってきたのかも……。

 

「別にほたるが謝ることはないさ。幸い収録が長引いても大丈夫なように日程調整しておいたしな」

「ありがとう、ございます……」

 

 プロデューサーさんは本当に優しい。前私がいたプロダクションが倒産して途方に暮れていた私を拾ってくれただけじゃなく、綺麗なレッスンスタジオ、プロのトレーナーにコーチ、そしてお仕事と……数々の幸せを与えてくれました。

 それに前までは多くのアイドルを担当していたのに、今では私専属になってくれて……どんなアクシデントが起こってもいいように常に備えていてくれます。

 本当、私にはもったいないくらいのプロデューサーさんです。

 

 それなのに―――

 

「ほらほら、いつまでも俯かない。ほたるは笑ってる方が可愛いぞ」

「またそんなこと言って……」

「だって大切な恋人にはいつだって笑顔でいてほしいものだろ?」

「…………もう、ふふっ♡」

 

 ―――プロデューサーさんは今では私の恋人さんなんです♡

 

 私たちは事務所には内緒で秘密恋愛をしてます。そもそも私はプロデューサーさんと一緒にアイドルのお仕事が出来ればそれで良かったのに、プロデューサーさんから『もっとほたるを幸せにしたい』って言ってもらえて……私もプロデューサーさんのことが大好きだったから、ついそのお言葉に甘えちゃったんです。

 前の私なら、この人を不幸にするから断っていたと思います。でもこの人とお仕事をしていく内に、私の考えは少しずつですが前向きに変わっていきました。

 だからこそ、私は自分の気持ちに素直になって、12コも年上のプロデューサーさんの告白を受け入れられたんだと思います。

 

「まあ、実際時差ボケとかで本調子じゃないから今日はハリケーンで良かったかもな。ホテルも新しいからこれくらいのハリケーンじゃビクともしないだろうし」

「でも、もし竜巻とかが発生しちゃったら……」

「その時はホテルの地下へ逃げればいいだけさ。それよりほたる」

「は、はい?」

 

 プロデューサーさんのお顔を見ると、プロデューサーさんは優しく笑っていました。これは笑顔がなくなってるという合図なので、私は一生懸命笑顔を返します。

 

「そ、笑顔を忘れずに」

「はい」

「ほたるはやっぱり、このハリケーンも自分の不幸が招いたことだと思ってる?」

「…………はい」

 

 間違いなく今日のこの天候は私のせい。私がソロでニューシングルを出す予定で、更には海外でプロモーションビデオの撮影となって、しかもプロデューサーさんと一緒に来れたことで浮かれ過ぎていたからです。

 私だけが不幸になるならまだしも、今回はプロデューサーさんや撮影スタッフさんたちにまで迷惑をかけて……本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

「さっきスタッフたちと今日の確認をしに行った時のことなんだけどさ……」

「?」

「みんなハワイのホテルでゆっくり休暇を過ごせて嬉しいって言ってたぞ」

「え?」

「経費的にはプロダクションに迷惑をかけてしまってるけど、その分みんなして最高のPVを作ろうってかなり張り切ってた」

「…………」

「だから良かったんだよ、今日がハリケーンで。誰もほたるのせいだなんて思ってない」

「…………はいっ」

 

 あぁ、私こんなに幸せでいいのでしょうか?

 幸せ過ぎて怖い……なのに嬉しくて自然と涙が溢れてきます。

 

「ほら、泣かない泣かない。泣くより〜?」

「くすん……はい、にぃ〜♡」

「そう、笑顔だ!」

「はい♡」

 

 本当、この人に出会えてから私の人生は幸せに溢れてる。もしかしたら私が不幸だったのはこの人に出会うから運が尽きてしまっていたのではないか……なんて思えてしまうくらい。

 

「あ、一応言っとくけど、俺だってほたるのせいで最悪だとか思ってないからな?」

「はい、分かってます……ふふっ♡」

「寧ろ――」

 

 ヒョイッ

 

 急にプロデューサーさんは私のことをお姫様みたいに抱きかかえました。急過ぎて思わず私は「きゃっ」て小さく声を出してしまいました。

 

「――恋人と二人きりでホテルでゆっくり過ごせるなんて、最高じゃないか?」

「…………もう、そんなこと言っちゃ、恥ずかしいですぅ♡」

「でもそう考えればハリケーンで良かったと思うだろ?」

「はい♡」

 

 プロデューサーさんは私を甘やかす天才ですね♡

 そんなプロデューサーさんだから、私はいつも調子に乗って甘えちゃうんです♡

 

「急にスタッフがこの部屋に訪ねてきても、打ち合わせだって言えばなんとかなるしな♪」

「え、えっちなことはダメですよ?♡」

「してほしいってほたるの顔には書いてあるけど?♪」

「そ、そんなこと書いてませんっ!♡」

「ど〜かな〜? ほたるは自分で自分の顔見えないだろ〜?」

「イジワルしちゃ嫌ですぅ〜!♡」

 

 あの頃の私が今の私を見たらどう思うんだろう。きっと刺激的過ぎて気絶しちゃうかな? だってイジワルされてるのに、こんなにこんなに幸せで胸が満たされてるんだもん♡

 

「とまあ、冗談はさて置き……ゆっくり過ごそう」

「え」

「え?」

『………………』

 

 ボンッ

 

「あ、あわわわっ、な、ななな、なんでもないんです! 違うんです!」

 

 恥ずかしい〜! これだとまるで私がえっちなことを期待してたみたいに思われちゃう!

 

「ははは、嫌よ嫌よも好きの内ってやつか〜♪ 可愛いなぁ、ほたるは〜♪」

「ぁぅぁぅぁぅぁぅ〜……」

 

 プロデューサーさん、笑って私の頭ナデナデしてくれてますけど、幻滅してないかな? プロデューサーさんに嫌われたら今度こそ私、立ち直れないよぉ……。

 

「はぁ……可愛い。ほたる可愛いマジで」

「ぷ、プロデューサーさん?」

 

 ベッドに連れて来られちゃいました……嫌われてないって思っていいんですよね?

 

「ほたる〜」

「きゃっ……」

 

 プロデューサーさんが私の名前を呼びながら、私の上に覆い被さるようにして抱きしめてきます。ちょっと苦しいけど、プロデューサーさんの匂いとか鼓動が近くに感じられて私までドキドキしてきちゃいました。

 

「プロデューサー、さん?」

「ほたるが可愛過ぎてヤバい」

「え?」

 

 これは喜んでいいんでしょうか?

 

「ほたる、好きだ」

「わ、私もプロデューサーさんのことが大好き……です」

「名前で呼んで言って」

「…………〇〇さんのことが大好きです♡」

 

 あ、プロデューサーさんのお顔へにゃってなりました。可愛い♡

 

「ほたるは今、幸せ?」

「はい、とっても幸せです♡」

「俺もすごく幸せだ。でもこれからもっと一緒に幸せになろう」

「っ……はい♡ 優しくしてくださいね?♡」

「いつだって優しいはずだ」

「ふふっ、そうでした♡」

「寧ろ、俺は優しくしてるのにほたるの方がもっともっとってなるんだよな?」

「〜〜っ、そんなこと言っちゃダメですぅ♡」

 

 だって大好きなプロデューサーさんと繋がってると、もっとその繋がりを強く感じたくなってしまうんです。

 やっぱり私ってえっちな子なのかな?

 

「ははは、ごめんごめん。でもそんなほたるも可愛いよ」

「…………♡」

 

 良かった……そんな私のことも愛してくれて♡

 

「ほたる……」

 

 プロデューサーさんが優しく私の頬を撫でてくれる。

 ただ撫でられてるだけなのに、プロデューサーさんに触れられた所がじんわりと温かくなって……彼の瞳から眼が離せなくなる。そしてこれはキスの合図。

 

「〇〇さ……んぅ♡」

 

 唇が重なり合うと、私は自然と両手をプロデューサーさんの背中に回す。

 

 離れたくない

 苦しいのにもっともっとと

 彼からのキスを求めてしまう

 

「ほ、んんっ、ほた……るっ……っ」

「ちゅっ……ぁ……あむっ……んむぅっ♡」

 

 お互いの歯が軽くカチカチと当たってしまうくらいに求め合う私たち。決して綺麗なキスでないのは分かってます……でも、綺麗なキスだけじゃ足りないんです。もっともっと強く相手をより近くに感じたいんです。

 

「ぷはぁ……はぁはぁ……」

「はぁはぁ、はぁはぁ……っ♡」

 

 互いに息を切らせながら、今度はただ小さくキスをする。するとプロデューサーさんは私の上着に手を掛けました。抵抗せずにそのまま上着を脱がせてもらおうとしましたが―――

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」

 

 ―――私はあることを思い出して、プロデューサーさんの手を止めました。

 

「? 本当に嫌だった?」

「そ、そんなことないです」

「じゃあ、どうして?」

「…………笑いませんか?」

「うん」

「えっと……今の私、着けてる下着が可愛くなくて……」

 

 死ぬ程恥ずかしい……。今日は本当なら撮影の予定だったので、目立たないシンプルな下着を着けてたんです。それにプロモーションビデオは水着メインですし、撮影後にシャワーを浴びて可愛い下着を着ける予定だったのに……。

 

「俺は例えほたるがふんどしをしてても気にしないぞ?」

「そ、それはそれでどうかと……気持ちは嬉しいですが……」

「でもほたるってあんまり下着とか気にしなかったよな?」

「そ、それは……〇〇さんと付き合ってから、気にするようになったんです。少しでも可愛い下着の方が飽きられないかなって思って……」

「……バカだなぁ。俺はいつまでもほたると一緒だ」

「嬉しい、です♡」

「てな訳でオープン♪」

「だ、ダメですぅ!」

「え〜、初めての時みたいにシンプルなのだろ?」

「そ、そうですけど……」

 

 出来れば忘れていてほしかったです。

 

「シンプルイズベストって言うし、いいじゃん」

「わ、私の気分が萎えちゃいます……」

「なるほどなるほど。じゃあ萎える暇がないくらい愛せば問題ないね」

「だ、だだ、ダメです! それはもっとダメですぅ!」

 

 そんなことされたら明日の撮影中、ずっとプロデューサーさんのお顔見ちゃいますから!

 

「ワガママ言ってても可愛いなぁ、ほたるは〜。じゃあ、これからちょっくら衣装さんのとこ行ってくるよ」

「へ?」

「明日撮影で着る水着でしちゃおう。いくつも水着持ってきてるし、明らかにこれは着せられないってのも中にはあるだろうから、ほたるに確認してもらってくるって言って預かってくる」

「そ、それなら……」

 

 あれ? そうなると、普段私が絶対に着ない水着を着せられちゃうの!!?

 

「〇、〇〇さん……今日はどうしてそんなにえっちなんですか?♡」

「…………今日はどうせ俺がほたるを独占するから。とびきりえっろいの選んでくるから覚悟しとけよ!」

「〇〇さんのえっち〜!♡」

 

 結局、プロデューサーさんはそれから、えっちな水着を何枚も預かってきて……いっぱい愛されちゃいました♡―――。

 

 白菊ほたる*完




白菊ほたる編終わりです!

ほたるちゃんってあの見た目で13歳なんですよね。そう見えないからかなり危ない内容になってしまった……。
でも二次創作だから許してください!

お粗末様でした☆

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