デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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中野有香編

 

 アイドルは武術と同じ

 

 アイドル道も空手道も

 

 気合と根性が大切である

 

 しかし突き詰めれば

 

 どんな道も

 

 同じ目的があると思う

 

 日々の鍛練で己を磨き

 

 最高の自分を追い求めること

 

 そして人として成長出来る

 

 そのことを教えてくれたのは

 

 偉大な魔法使いさんです

 

 ―――――――――

 

「………………」

 

 押忍……じゃなくて、おはようございます! 自分は今、"メロウ・イエロー"のみんなで新潟県にやって来ています! 明日はここでライブイベントがあり、自分たちはそのイベントにゲストとして呼ばれたんです! この日のためにみんなで頑張って稽古……レッスンして、コンディションも完璧で現地にやって来たんですが……

 

「それじゃあ有香、早速デートに行こうか」

 

 ……現地に着いた途端、自分は専属プロデューサーとデートすることになってしまいました!

 

 自分はアイドルの身ではありますが、事務所に内緒でプロデューサーさんとお付き合いしています。事務所に対して隠し事をするのは大変後ろめたいのですが、流石にアイドルとプロデューサーで付き合いますなんて言えず、でもプロデューサーさんと付き合いたい自分の気持ちに抗えず、今の関係に至ります。

 最初はすごく悩みました。今まで空手一筋だったので恋なんてしたことなかったですし、まさかこうしてお付き合い出来るなんて思ってもいませんでした。

 これも自分の気持ちを受け止めてくれたプロデューサーさんと力になってくれたゆかりちゃんや法子ちゃんたちのお陰なんです。

 お陰なんですが―――

 

「あの……」

「うん、どうした?」

「何故いきなりデートに?」

「知らない。でも水本さんと椎名さんも自分の担当プロデューサーらとどっか行っちまったし、ホテルのチェックインまでは自由行動ってことでいいんじゃないか?」

「……そう、ですか」

 

 ―――こんなことになるなんて予想外でした。

 

 別にプロデューサーさんとデートするのが嫌な訳ではありません。寧ろ嬉しいです。

 嬉しいですけど、こんなに急に『現地に着いたらデートタイムね!』って言われて駅前で解散されたら、流石に思考が追いつきませんよ。

 ゆかりちゃんはあの見た目に反してアグレッシブなことありますし、法子ちゃんは法子ちゃんで我が道を行くタイプ。それに二人共それぞれ専属のプロデューサーさんとお付き合いしてるから、今回のお仕事はデートが出来るのチャンスだったんでしょう。

 

 自分に至ってはプロデューサーさんと一緒に過ごせる時間があればいいなぁ程度だったので、本当にあの二人の行動力には驚かされてばっかりです。

 

 でも―――

 

「せっかくのチャンスなんだし、恋人らしく過ごそう」

「……お、押忍っ!♡」

 

 ―――プロデューサーさんの言う通り、今の状況に甘えることにしました。

 

 ―――――――――

 

 とは言っても、自分たちはこれといってデートプランを決めて来なかったので、とりあえずタクシーで泊まる予定のホテル近くに行きました。

 

「あそこにあるのが泊まるホテル……オーシャンビューとはいかないが、手頃な値段で海が見える場所だな」

「せっかくですし、海にでも行きますか?」

「そうだな。んじゃあのんびりと散歩デートするか」

 

 そう言うと、プロデューサーさんは自分の手をそっと握ってきました。

 

「……あ……♡」

「これくらいはな。それに東京と違ってあまり人目も気にしなくて済むから」

「押忍……♡」

「でもマスクは外すなよ。喉やっちゃうとアレだから」

「押忍っ♡」

 

 今は髪も下ろしてるし、マスクしてれば自分をアイドルだと思う人はいないでしょう。

 なのに何故か自分の胸はドキドキとワクワクでいっぱいで、海に向かうまで何を話したのか、なんて受け答えしたのか曖昧になってしまいました。

 

 ―――――――――

 

「お〜」

「海ですね〜」

 

 季節も夏で海のシーズン。人もかなり集まってます。

 

「丁度向こうの方に明日ライブをするスタジアムが見えるな」

「ここからも見えるなんて、大っきいスタジアムですね」

「そんな大きなステージに立てるんだ。気合入るな」

「押忍!」

 

 今でもライブとなると緊張はします。しかしそれもいい緊張感です。

 

「にしても、明日はこの暑さの中で俺はスーツか〜」

「熱中症に気をつけてくださいね?」

 

 プロデューサーさんが倒れてしまったら自分、ライブどころではありませんから。

 

「大丈夫大丈夫。夜だし、慣れた」

「慢心はいけませんよ? プロデューサーさんはあたしと違って鍛えていないんですから」

「有香と一緒にトレーニングしてるのに?」

「あ、あれは……トレーニングというか……」

 

 イチャイチャしてるだけですよ……♡

 でも有酸素運動だし、それなりに効果もあったりして?♡

 

「ま、なんにしたって水分補給は小まめにするし、辛くなったら休むさ」

「そうしてください。プロデューサーさんが倒れでもしたら、あたし……」

「大丈夫。可愛い彼女に心配させない」

「押忍♡」

 

 それから自分たちは立ち話するだけにしないで、実際に波打ち際まで行くことにしました。

 

 ―――

 

「はい、右手をご覧くださ〜い」

「?」

「日本海です」

「そうですね」

「では、左手をご覧くださ〜い」

「???」

「日本海です」

「一面日本海が広がってますからね……ふふふっ」

 

 プロデューサーさん、面白い♪ 今度ライブのMCでやってみようかな。右手をご覧ください、ステージです。左手をご覧ください、ステージです……みたいに♪

 

「ウケたようで何よりだ♪」

「面白かったですよ♪」

 

 あぁ、楽しい。ただプロデューサーさんが冗談を言っただけなのに。やっぱり好きな人だから、こんな気持ちになるのかな。ドキドキして、ワクワクして、フワフワ〜って飛んで行けそうな、そんな気持ち。

 

「今年はグラビアの仕事取れなかったからなぁ。来年は頑張ってグラビア撮影の仕事取ってこないと」

「いいですよ、頑張らなくて〜。あたしがグラビア苦手なの知ってますよね?」

 

 プロデューサーさんはいつだってお仕事の話題が多いです。でもそんなプロデューサーさんも好きなので、それはそれでいいです♡

 しかしグラビアはいけません。そういうのはもっとセクシーな方がやった方が喜ばれますよ。自分なんて……

 

 ぺたん

 

 ……18なのにゆかりちゃんより無いんですから。法子ちゃんにもいずれは抜かれると思いますし……とほほ。

 

「え〜、有香のグラビア写真集欲しいのに〜」

「プロデューサーさんが欲しがってるってどうなんですか?」

 

 そんなことしなくたって―――

 

「いいじゃん、彼女のグラビア写真集とかめっちゃ最高じゃん」

「だったら、お仕事にしないで、個人的に撮影すればいいじゃないですか……♡」

「なん……だと!?」

 

 ―――プロデューサーさんのお願いなら、自分はどんな水着でも着てあげます。恥ずかしいですがどんなにえっちなやつでも、プロデューサーさんのためなら……♡

 

「……これまでお仕事で何度か水着姿を撮影されることはありましたが、未だに恥ずかしいです。体は鍛えてますが、女の子らしいプロポーションとは言えませんし……」

 

 でも―――

 

「大好きなプロデューサーさんの前だけでならあたし……いいですよ♡」

 

 ―――自分、プロデューサーさんの彼女ですから! なんでも来いって感じです! 押忍!

 

「有香が可愛すぎてヤバい……」

「あ、あたしだって恥ずかしいんですから、ね?」

「う、うん、そうだよな」

「それで……どうなんですか?」

「え、何が?」

「ですから、そのぉ……二人だけの……」

「あ、あ〜! うん、今度お願いするよ! うん!」

「わ、分かりました……♡」

 

 なんだかすごい約束しちゃったかもしれません。どんな水着着させられてしまうんでしょうか?

 

「そ、そういえばそろそろお昼時だな。海の家で何か食べるか? それとも散歩デートついでに他の場所探すか?」

「お、お散歩しましょう!」

 

 このまま海にいたら自分の心臓が大変なことになってしまいそうですから!

 

 ―――――――――

 

 海をあとにした自分たちはお散歩デートを再開し、いつもならなかなか過ごせない時間を過ごしました。

 それであとはホテルにチェックインしに戻るだけなのですが……

 

「んっ……んぁ……プロデューサーさ……ん〜っ♡」

 

 ……チェックインする前に休憩として立ち寄った海の見える公園でキスしちゃってます♡

 自分はそんなつもりなかったんですが、たまたま死角になってる場所を見つけて、『ここなら誰にも見えませんね』って言ったらキスされちゃいました。

 

 外なのにいいのかなとか、バレたら大変だよねとか最初は思ってましたが、大好きなプロデューサーさんから何度も何度もキスされてると嬉しさの方が勝ってしまった感じです。

 

「ぷはぁ……たまにはいいな、こういうのも」

「はぁはぁ……はい……♡」

 

 いつもは車の中や室内ですから、プロデューサーさんが言うようにたまにはいいかもしれません♡

 

「もし次があれば、俺たちもデートプラン考えて来ような」

「そうですね……♡」

 

 でも今回みたいにいきあたりばったりでも自分はいいです。プロデューサーさんが一緒ならどこでも……♡

 

「ふふふっ♡」

「どうした、急に笑い出したりなんかして?」

「あ、ごめんなさい……ただ、こういうのいいなって思ったら、つい♡」

「…………今度どこか旅行行こうか」

「え、本当ですか!?♡」

「うん。なんか仕事のついでとかじゃなくて、ちゃんと恋人同士で1日中デートしたい」

「い、1日中……♡」

 

 そんなことしたら自分、どうなってしまうんでしょうか。半日でもドキドキだったのに……1日中だったら、もっともっと一緒にいたくなってしまいそう♡

 

「責任とってくれますか?♡」

「? なんの責任?」

「あたしを今よりもっと夢中にさせてしまうという、責任です……♡」

「…………有香可愛い。愛してる」

「んぁ、苦しいですよ、プロデューサーさん♡」

「喜んでるようにしか聞こえない」

「褒められて、愛してるって言われて、更に抱きしめられてるのに……嬉しいに決まってます♡」

「あ〜、可愛い。有香可愛い〜」

「プロデューサーさんの前だけですよ♡ 彼女ですから♡」

 

 ファンの人たちには申し訳ないと思ってしまいますが、許してください。自分はこの人のことが大好きなんです。世界中の誰よりも。

 

「プロデューサーさん、もう一度キスしてください♡」

「一度だけで済まないかもしれない」

「ダメです♡ 今は一度だけで我慢してください♡」

「難しいなぁ」

「旅行中は好きなだけしていいですから♡」

「我慢する」

「押忍♡」

 

 そしてした今回最後のキスは、今回で一番長いキスになりました♡

 因みになんですが、その日の夜はゆかりちゃんや法子ちゃんたちと恋バナというもので盛り上がりました。

 あ、でもちゃんとライブは成功しました! 押忍!

 

 中野有香*完




中野有香編終わりです!

押忍にゃんは何事にも一直線。なので恋も一直線かと!

お粗末様でした☆
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