デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


間中美里編

 

 決めるのは苦手

 

 あれもこれも

 

 どんなことも

 

 いい感じに思えるんだもん

 

 だから

 

 これって決められない

 

 そんな時に

 

 声をかけてくれたのは

 

 胡散臭いナンパさんじゃなくて

 

 頼もしい魔法使いさんだったの

 

 ―――――――――

 

『魅惑のリップでときめく唇を―――』

 

「あ、美里だ」

 

 朝起きて、私はソファーに座ってふとテレビをつけた。すると私がこの前撮影したCMが流れてて、私の隣に座ってる私専属のプロデューサーはそれを観ながら「やっぱこの仕事受けて良かった」って満足げに微笑んだ。

 

 ここは私が新しく契約したマンション。アイドルとしてもそこそこ有名になってきたから、短大生の頃から借りてたアパートを解約して、セキュリティの高いここに引っ越してきたの。

 それで、昨日は引っ越しのお祝いで恋人のプロデューサーと一晩を過ごした。更に今日はオフだからこれから明日の朝までまったりお家デートの予定。

 

 アイドルだけど、プロデューサーと付き合ってる私。世間一般としては外れちゃってるんだろうけど、今の私はこれでいいと思ってる。

 だってプロデューサーがいなかったら今の私はないし、プロデューサーだから私はアイドルとしてここまで知名度を上げられたんだから。

 まあ流石に事務所には内緒にしてるけどね。でもいつかその時が来たら、二人で乗り越えようって思ってる。今までだって二人で乗り越えて来れたんだもん。プロデューサーと私なら大丈夫。

 

「大手の化粧品ブランドだから広告も派手。そしてそのモデルが美里なんだから、売上もいいだろう」

「あはは、プロデューサーは相変わらずだねぇ」

「何が?」

「私贔屓のとこぉ♡」

「恋人贔屓で何が悪い?」

「悪いとは言ってないでしょ〜?♡ ただプロデューサーは相変わらず私のこと好き好きだなぁって、そう思っただけぇ♡」

 

 私がそう言えば、プロデューサーは「好きだから今の関係なんだ」って返して、優しく目を細めて私の頬をその手で撫でてくれる。

 お互い両思いだったのもあって、私たちの関係は良好そのもの。私たちの関係を知ってる仲良しのアイドル仲間のみんなからは、"砂糖吐く"なんて言われるけどぉ……それだけ私たちがラブラブってことだよねぇ? 嬉しい♪

 

 でも上の人の前ではバレないように頑張ってる。と言っても、緊張でそれどころじゃないけどねぇ。やっぱりアイドル事務所の偉い人ってオーラすごいもん。

 

「そういえば……」

「なぁに?」

「朝食はどうする?」

「どうしよっかぁ?」

 

 確かに何も用意してないもんね。私はどっちでもいいけど、プロデューサーは朝ごはんは食べた方がいいって人だから。

 

「昨晩は俺がご馳走になったし、朝は俺が作ろうか?」

「いいのぉ?」

「いいから提案してる」

「ならぁ、お言葉に甘えちゃおうかなぁ♡」

「あぁ、甘えてくれ。それじゃ、キッチン借りるな」

 

 プロデューサーは実は私よりお料理上手だったりするんだよぉ。初めてプロデューサーが私に作ってくれたのはアイデア料理だったけど、それがとっても美味しくて、今でもたまにおねだりするの。

 私より9歳も年上だし、一人暮らしが長いから、そういう知恵もあるんだろうなぁ。

 ますます私にはもったいない彼氏だよぉ♡

 

「…………なぁ、美里」

「なぁに?♡」

「…………ずっとそうしてるのか?」

「だめぇ?♡」

「…………駄目って言ったら離れてくれる?」

「やぁだぁ♡」

「…………だろ?」

 

 えへへ、だってせっかく同じ時間を過ごせるのに離れてる時間があるなんてもったいないもん。流石にお手洗いとかなら我慢出来るけど、それ以外ならくっついててもいいよねぇ♡

 だから私は大好きなプロデューサーの背中にひっついたままぁ♡

 

「何作ってくれるのぉ?♡」

「豆腐とわかめの味噌汁とほうれん草のおひたしと玉子焼きかな。玉子焼きは何かリクエストあるか? 目玉焼きにしてとかスクランブルエッグにしてとか」

「ん〜、その献立なら目玉焼きがいいなぁ」

「了解」

 

 プロデューサーはそう返事をすると、テキパキって感じにお料理を作ってく。

 私はその邪魔にならないように、プロデューサーの動きに合わせてた。

 傍から見たら私って邪魔でしかないけど、私とプロデューサーは相性抜群だから大丈夫なのぉ♡

 

「火傷しないようにねぇ?」

「キッチンは広いし、使いやすいから大丈夫さ」

「それでもぉ」

「美里が悲しむのは嫌だから、注意してるよ」

「指も切っちゃだめだからぁ」

「大丈夫大丈夫」

「ちゃんとわかってるぅ?」

 

 プロデューサーは私の大切な大切な人なんだよ? そんな人が怪我したら嫌だもん。ちゃんとわかって行動してよねぇ?

 

「美里は心配し過ぎだよ」

「だぁってぇ……」

「料理してるだけだ」

「…………」

「ほら、終わった」

「怪我してなぁい?」

 

 私を安心させるようにプロデューサーは自分の両手を私の目の前まで持ってきて、開いたり閉じたりしてくる。

 それでも私は心配で、プロデューサーがどこも怪我してないか確認する。

 

「何もなってないだろ?」

「…………うん。なってないぃ」

「だろ?」

 

 プロデューサーはにっこりと笑って言うと、今度は私にキスをした。

 

「ぁん……♡」

「ありがとうのキス」

「えへへぇ、どういたしましてぇ♡」

 

 ―――――――――

 

 それからちょっと遅い朝食を二人で食べて、一緒に洗い物して、また私たちはリビングのソファーに戻ってきた。

 でも今度はテレビもつけない。だってあとはプロデューサーとイチャイチャして過ごすんだもぉん♡

 

「ねぇねぇ♡」

「ん?」

「ちゅうしてぇ?♡」

「いいよ」

 

 ちゅって軽くキスをしてもらう。すると私は嬉しくてにやけちゃって、プロデューサーはそんな私を見てより笑みを深くする。

 幸せってこういうことを言うんだと思うなぁ。

 

「私ぃ、プロデューサーと出会えて幸せだよぉ?♡ あの時声をかけてくれて本当にありがとう♡」

「それ毎回言うよな」

「だって毎回思うんだもぉん♡」

 

 あの時、声をかけたのがプロデューサーじゃなかったら、今の私はないんだもん。

 もしあの時、プロデューサーと出会ってなかったら、私は今もふわふわフラフラと今後の人生を歩んでいたはず。

 そうならなかったのはプロデューサーが声をかけてくれたからだもん。何回お礼を言っても足りないよ。

 だから私は何回でもお礼を言うの。

 

「俺はただ、スカウトしただけだよ。それで話してみたら余計にプロデュースしたくなっただけ」

「信じて良かったぁ♡」

「信じてもらえて良かったよ」

「私ぃ、こんなだけど誰にでもついてく子じゃないからねぇ?」

「ちゃんと知ってるよ」

「プロデューサーだから信じたんだよぉ?」

「それも知ってる」

「これからも信じてるから♡」

「あぁ、俺も美里を信じてるよ」

 

 ここまで話すと、今度は言葉以上の気持ちを確かめ合う。

 キスしてり、頬を擦り合わせたり、ぎゅ〜ってしたり……いっぱい言葉以上の気持ちを確かめ合った。

 

 ―――――――――

 

「美里、大丈夫か?」

「無理ぃ……♡」

 

 プロデューサーの愛が激しくて、私立ち上がれないよぉ♡ あ、何をしたかは察してねぇ♡

 

「それより……んっ♡」

「あぁ……ちゅっ」

「んふふ、激しいキスも好きだけどぉ、やっぱり優しいキスの方が好きぃ♡」

「でも激しくキスすると、美里は全身で喜ぶよな?」

「それはぁ……プロデューサーだからぁ♡」

 

 そんなこと言わないでぇ。恥ずかしくてお顔が熱くなっちゃうぅ。

 

「美里可愛い」

「今褒められてもちょっとしか嬉しくないぃ♡」

「でも嬉しいもあるんだ?」

「だぁってぇ、好きな人から"可愛い"って言われたら、嬉しいでしょう?♡」

「俺は男だからその辺は分からないなぁ」

「なら今わかってぇ♡」

「あはは、照れてる美里もまた可愛いな」

「意地悪ぅ♡」

 

 私が嬉しくなることばっかりして困らせて、ズルいぃ♡

 ますますプロデューサーのことが好きになっちゃって、幸せなのに辛いよぅ。幸せの過剰摂取だよぅ。

 

「ごめんごめん。これで許して」

 

 プロデューサーはそう言うと、私を抱きかかえるようにして持ち上げて、自分の膝の上に乗せた。早い話がお姫様抱っこなんだけど、更にプロデューサーは自分から私の頬に何度もキスしてくれた。

 こんなの許すしかないよぅ♡

 

「……私からもしていい?♡」

「どうぞ」

「えへへぇ♡」

 

 プロデューサーにされたみたいに私もプロデューサーの頬に何度もキスをお返しする。

 でもそれだけじゃなくて、私はプロデューサーの目元にもおでこにもお鼻にも……首筋にも、たくさんキスをお返ししたの♡

 だってそれくらい大好きなんだもん♡

 それで今度は―――

 

「相変わらず、美里のキスは熱烈だなぁ」

「〜〜〜っ♡」

 

 ―――プロデューサーの胸元にキスマークをつけるの♡

 プロデューサーって無自覚だけど、実は事務所の事務員さんたちに人気なの。この前だって合コンに誘われてたし、大胆な人からは『〇〇さんって恋人いるんですか?』って質問されてたの聞いちゃった。流石にその時はちひろさんが間に入ってくれたし、私もプロデューサーを信じてるけど……不安にはなるもん。

 プロデューサーは平然と『あぁ、いますよ』って返してたけど、ちひろさんの話だとみんな信じてないみたいなんだよね。

 だからそれから私ぃ、定期的にプロデューサーの胸元にキスマークつけてるんだぁ。そうするようにしたらかなりそういう話減ったもん。まあそれもプロデューサーがキスマークを自慢してるからなんだけどねぇ。

 

「ぷはぁ……これでプロデューサーは私のモノって証拠がまた出来たねぇ♡」

「ありがとう」

「彼氏を守るのも彼女の役目ですからぁ♡」

 

 それにプロデューサーが私にキスマークを残せない代わりに、私がプロデューサーに残してるってことでもあるからいいんだぁ♡

 

「まあ美里が心配しなくても俺は美里一筋なんだけどな」

「保険ですぅ♡」

「分かってる。というか、つけ終わったなら、もういいかな?」

「あっ♡」

 

 不意に強く抱きしめられて、声がもれちゃった。でも対するプロデューサーはじっと私の目を見て、求めてくる。

 そんな風に見つめられたら、頷くしかないよぅ♡

 

「美里、大好きだ」

「私もぉ、私もプロデューサーのこと大大大大だぁい好きぃ♡」

 

 こんな感じでぇ、私とプロデューサーはラブラブなオフを過ごしたよぉ♡―――

 

 間中美里*完




間中美里編終わりです!

おっとり系だけど、イチャイチャはがっつく系にしました!

お粗末様でした☆

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