デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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フレデリカちゃんの出身地はパリとなってますが、家族揃って東京に移り住んでいる体で書きます。


宮本フレデリカ編

 

 人生は楽しくなきゃ

 

 わざわざ辛く生きる意味なんて

 

 辛気臭くてやんなっちゃうもん

 

 でも流石に

 

 アイドルやるなんて思ってなかった

 

 まあでも

 

 乗りと勢いでなんとかなるもんで

 

 やっぱ天才だからかな?

 

 なんて嘘

 

 本当はすっごい魔法使いさんの

 

 オ・カ・ゲ♡

 

 ―――――――――

 

「フンフンフフーンフンフフー、フレデリカー♪」

 

 アタシはフランス人のパパと日本人のママから誕生した愛し子フレデリカ! アイドルやってる! デビューしてから色んなユニットに参加したり、ソロでCD出したり、色んなイベントに呼んでもらったりと引っ張りだこ! ハイスペックって恐ろしい! 何やっても上手に出来ちゃうんだもん♪

 

 そんなアタシが今何をしてるのかというと、事務所の撮影ルームでメイド服着てる!

 今度、事務所所属のアイドルのみんなで秋葉原にメイド喫茶を1週間限定で出店しちゃうアイドルメイドさんウィークっていう大きなイベントをやるから、その時に配るパンフレットに使う写真を撮ってるの!

 

 ただ、イベントの方に予算いっぱい使ったからパンフレット作りは各プロデューサーたちがやってて、アイドルの写真はそれぞれの担当プロデューサーが撮ってるよ。

 メニューの方は何ヶ月も前からアイドルのみんなで考えて、準備もバッチリ!

 

「随分ご機嫌だな。ただの写真撮影なのに」

 

 あ、忘れてたけど、この優しそうで厳しそうで甘そうでしょっぱそうな横にも縦にも大きな男の人が、アタシ専属のプロデューサーね。しかも彼氏です!

 

 え、アイドルなのにいいのかって? バレなきゃいいんだい! 忘れてたとか言ったけど、照れ隠しだから! プロデューサーじゃないとアタシ無理だから! それくらいメロメロなんだから!

 あ、因みにパパもママもプロデューサーならいいって言ってるよ。あとアイドル仲間にはめっちゃフォローしてもらってる! 持つべきものは友達だよね! うんうん!

 

「だってメイド服着れるのってなんか楽しいじゃん?」

「フレデリカは基本どんな衣装も楽しんで着るからな」

「フフフーン、どんな服でもアタシが着たら最高のモデルになるから、プロデューサーは得だね♪」

「はいはい、そうで御座んすね。でもさっきからフレデリカがじっとしてないから撮れるもんも撮れてないのが現状なんだよな」

「むぅ、可愛い彼女に言うのは文句なワケッ!?」

「可愛ければなんでも許される世界じゃないんでな。俺も自分のノルマあるし、さっさといつもの決め顔やって軽く30分くらいそのまま停止しててくれ」

「ひどっ! 彼氏なのにひどっ! フレちゃん泣いちゃうよ? 彼女に優しくしない人はダメなんだよ?」

「甘やかすのと優しくするのは違うんだよ。それよりさっさと決め顔しろやください」

「ムッカーッ! なんなのそれーっ! ちょっとは2人きりなのをいいことに、あーんなことやこーんなことしないフツー!? 目の前で彼女がメイド服着てるんだよ!? だったら『ぐふふ、ならご奉仕してもらおうか』ってくるくるあーれーするとこでしょ!?」

「お前は何を言ってるんだ? 知ってるか? 事務所内はほぼどの部屋にも防犯カメラはあるんだ。ここも例外じゃない。そんなことしたら1発アウトなんだよ。というか、俺はそんなに媚びへつらった太もも丸出し、胸元丸出しのメイド服なんかになんの魅力も感じないんだよ。メイド服はヴィクトリア朝風のクラシカルなモノの方がいいんだ。清楚で気品が溢れてて……まさにザ・メイドって感じ」

 

 ぐぬぬ、ああ言えばこう言って! ホントヒドい! 確かに今アタシが着てるのはエロさに極振りしたヤツだよ。この服を持ってきたスタイリストさんから聞いたけど「フレンチ」なメイド服なんだって。アタシが本場フランス人っぽい見た目で、ボンキュッボンだからこれになったらしい。そこにアタシの意思はないワケ。

 プロデューサーならそんなのことも把握してるのに、わざわざ辛辣なこと言う必要なくない? フレちゃんホントに泣いちゃうぞ?

 

「プロデューサー」

「今度はなんだ?」

「アタシのこと嫌い?」

「大好きだ」

「ならもっと優しくしてよ」

「俺の指示に従えば俺だってこんなに言葉に棘を組み込まない」

「うぅ〜……分かったよぅ。浮かれてすみませんでした。ちゃんとやるのでいつもの優しい彼氏さんに戻ってください」

「その手はもう通用しない。諦めてさっさと決め顔と決めポーズしろ」

 

 ガッデム! アタシの十八番『しおらしくしてからのわがままし放題作戦』が早くも破られた!

 むぅ、付き合う前はこれで翻弄出来たのに……悔しい。

 

「いつまでむくれててもただただ時間が無駄になるぞ〜。終わったら俺もノルマこなせるし、こなしたらディナーに連れってやれる時間も出来るかもしれないのに、残念だな〜」

「なんですとっ!? なぜそれを先に言わぬっ!」

「"アタシはサプライズが好きだからして!"って催促したのはどこのフレデリカさんでしたっけ?」

「ドコノダロウネー……」

「ほれ、分かったらいつも通りにやれ」

「はーい」

 

 なんかまんまとプロデューサーの口車に乗せらた気がするけどいいや! フレちゃんは細かいことを気にするような心の狭い彼女ではないのだ! 早く写真撮影を済ませてご褒美にディナーデートに連れてってもらうんだい!

 

 ―――――――――

 

 撮影が始まればそれは10分もせずに終わったんだけど―――

 

「うーん、やっぱ納得いかねー」

 

 ―――プロデューサーのお許しが出ませぬ。

 アタシとしてはとってもせくちーに決めたはずなんだけど、どうしてダメなんだろ。

 

「もっと胸強調してみる? ほら、胸のとこで腕組みして、前屈みになれば悩殺ポーズの出来上がりだよ?」

「そこらのAVの表紙みたいなポーズは却下だ。俺のフレデリカはアイドルなんだ」

「お、おおう♡」

 

 "俺の"とかナチュラルに言われてキュンと来た。えへへ、やっぱプロデューサーはアタシのこと大切に思ってくれてるんだなぁ。嬉しくなっちゃう。

 

「でへへ……♡」

「何を笑ってるんだ? ああ、それよりマジで撮影どうするかだな。可愛く撮れてはいるけど、こんなのフレデリカの魅力が出しきれてない」

「プロデューサーはカメラマンじゃないんだから少しは妥協した方がいいんじゃない?」

「ふざけんな。プロデューサーだからこそ最高の1枚を求めてるんだ。妥協なんてしてたらフレデリカの魅力を半減させちまう」

「にゃう……♡」

 

 くっそ、フレちゃんの胸キュンポイントをこれでもかと突いてきよる!

 これが大人の余裕というかテクなのか。伊達にアタシより14年早く生きてきただけのことはあるね。

 プロデューサーって色々と大っきいけど、ラグビー部だったらしいから太ってるというよりゴツいんだよね。スーツの上からでも胸の厚みがすごいの分かるもん。やべー、早く終わってハグされてー。

 

「やっぱ着替えるか。その衣装じゃ納得の行く写真は無理だ」

「それはいいけど何着ればいいのー?」

「そんなのヴィクトリア朝風の露出のないメイド服に決まってる」

「……それプロデューサーが着せたいだけじゃない? 職権乱用じゃん」

「俺はベストを尽くしてるだけだ。そもそもフレデリカは俺の案は嫌か? 嫌なら仕方ないからこのままで何かいい案を見つけるが……」

 

 むぅ、最終的にはアタシの意見が最優先とかズルいんだけど。プロデューサーがアタシを1番輝かせられるんだから、アタシはプロデューサーに従うに決まってるじゃん。

 

「いいよ、着替えてきてあげる。でも、ご褒美にプラスアルファ追加ね?♡」

「こいつ……」

「えへへ〜、じゃあ着替えてきまーすっ♡」

 

 ―――――――――

 

 それからスタイリストさんに事情を話して着替えさせてもらったんだけど―――

 

「最高だ、フレデリカ! もっとカメラを見つめて! そうだ、そのまま儚げに! お仕えする御主人様、または坊っちゃんを優しく見守るように、微笑むんだ!」

 

 ―――プロデューサーのテンションがすごくてフレちゃんは引いておりまする。いや、褒めてもらうのは嬉しいんだけどね。

 今のメイド服……えっと、ヴィクトリア朝風だっけ? ロングスカートでロング袖で、エプロンもVの字カットのシンプルなやつで、ヘッドドレスじゃなくてシンプルなキャップをしてるだけだよ?

 でもスタイリストさんもすごく褒めてくれたんだよね。「私もフレデリカちゃんのプロデューサーさんみたいにもっと勉強しないと」って意気込んでたし、それだけアタシに似合ってることなんだろうけど―――

 

「ほら、今度は腰に手をやって、おいたが過ぎた御主人様かお坊っちゃんを優しく叱るような心境で!」

 

 ―――指示がこんなに具体的だと流石にね〜。そっか〜、プロデューサーはこんな風なのが好みなのか〜。アタシと真逆じゃん。なんか凹む〜。フレちゃんしょぼぼんだよ〜。

 

「おぉ、その憂いに満ちた表情もいいな! 可愛い、可愛いぞフレデリカー!」

 

 まあでもプロデューサーが喜んでるからいっか! 今からアタシがどう頑張ったところでこの性格変えるの無理だし、そもそもプロデューサーは今のアタシと好きで付き合ってくれてるんだから!

 

 ―――

 

 ってなワケで撮影も順調に進んだんだけど、ちょっと問題が発生しました。

 それは―――

 

「どうして今まで完璧だったのにツンデレメイドさんにはなれないだ?」

 

 ―――これ。写真なのにツンデレってどうやりゃいいんだ!って感じなんです、はい。いや、やれって言われたらやるけどさ、アタシはプロデューサーにツンツン出来ないんだよね。好きな人にケンカもしてないのに睨むとか無理。

 

「ほら、両腕を組んで仁王立ちするなり、ゴミクズやガガンボを見るかのような視線を浴びせろ。ギャップを狙ってるんだから」

 

 プロデューサー実はそんな性癖が? だからローアングルで撮ろうと跪いてる? いや、そんなことないか。プロデューサードSだし。前にベッドの上でアタシのお尻叩いてた時、すごく楽しそうだったし。そして実はアタシもあれゾクゾクしていつもより感じちゃってたし……でへへ。

 

「うーん、やっぱ無理っ!」

「だからどうして―――」

「―――プロデューサーへの愛が溢れてしまう!♡」

「なら却下するしかないな。なら次は床に女の子座りして怯えた表情をしてくれ」

「こう?♡」

「それ怯えてるっていうか期待してる風なんだが?」

「だってプロデューサーだし……♡」

「まあ、この路線もありか……よし、いいのが撮れた! 俺は仕事に戻るが、終わるまで適当に待っててくれ」

「はぁい♡ 早く迎えに来てね?♡ じゃなきゃアタシからそっちに行っちゃうからね♡」

「善処する。それとフレデリカ、ちょっとこっち来て」

 

 プロデューサーに手を引かれてアタシは撮影ルームの隅に連れてかれると―――

 

「ここは防犯カメラから死角でな。これ、ちょっと早いご褒美な……ちゅっ」

「んんっ♡」

 

 ―――先払いのご褒美ちゅうをもらったー!

 

 それから仕事で待たせるからお詫びちゅうもしてもらったー! フレちゃん幸せー! こらからもプロデューサーらびゅだよー!

 

 そんな感じでプロデューサーも結局はアタシにメロメロなのでうんと甘やかしてくれるのでした♡―――

 

 宮本フレデリカ*完




宮本フレデリカ編終わりです!

押せ押せフレデリカですが、惚れた相手には弱いということで!

お粗末様でした☆
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