デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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浅野風香編

 

 アイドルは私の憧れだった

 

 いつもキラキラと輝いていて

 

 ファンを笑顔にしていて

 

 だから私もなれたらいいなって思ってた

 

 そんな私を

 

 夢だけを語っていた私を

 

 本気でアイドルにしてくれた人に出会い

 

 私の夢は大きく前進した

 

 ―――――――――

 

「はい、今回のゲストは今や大人気のメガネっ娘アイドルユニット『ピュアリーツイン』のお二人でした!」

 

『ありがとうございましたー♪』

 

 今日のお仕事、バラエティ番組の収録が無事に終わった。

 ヒット曲を紹介する歌番バラエティで、私と沙織ちゃんは最後にデビュー曲を披露させてもらって、ちゃんと練習した通りに……そして笑顔で出来た。

 プロデューサーさんもカメラの後ろで笑顔で頷いててくれたし、今日は自分で自分を褒められる。

 

 ―――

 

 私と私の担当プロデューサーさんと沙織ちゃんと沙織ちゃん担当プロデューサーさんはディレクターさんたちや共演者の方々に挨拶をしたあと、私と沙織ちゃんだけは着替えとメイク落としで控室に戻った。

 

「お疲れ様でしたー。先にメイクを落とさせてもらいますね」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いしますぅ」

 

 メイクさんは一人だけど、テキパキと私たちのメイクを落としていく。

 こういうお仕事って私には無理だなぁ……絶対に失敗して相手の人を怒らせちゃいそうだもん。

 

 そんなことを考えながらいたら、あっという間にメイク落としが終わった。

 するとメイクさんに「あの……」と声をかけられた。

 

「は、はい?」

「私的なお願いで申し訳ないんですけど、お二人からサインを頂いてもよろしいでしょうか?」

 

 サイン……うわぁ、どうしよう。まるでアイドルみたい!

 

「わだすは全然いいですよぉ♪ 寧ろわだすなんかのサインをほしっがってくれてありがてーくらいだべ♪」

「わ、私も嬉しいです! 一生懸命書きますよ!」

 

 私たちがOKすると、メイクさんはお礼を言って紙袋から色紙とサインペンを取り出した。

 

「実は私には下に双子の弟たちがいまして……お二人の大ファンなんですよ。それで今度仕事で担当させてもらうかもって話したら『サインもらってきて!』って頼まれちゃったんです」

 

 苦笑いで説明するメイクさん。でもこうして弟さんたちのために私たちに頼んでて、いいお姉さんなんだなぁ。

 それから私と沙織ちゃんは左側に私のサイン、右側に沙織ちゃんのサインって形で書いてメイクさんに手渡した。ちゃんと弟さんたちのお名前も書いて。

 するとメイクさんは何度も何度も私たちにお礼を言ったあとで、控室をあとにしていく。

 私も沙織ちゃんもファンがいてくれることに喜びを感じながら笑い合った。

 

 ―――――――――

 

「へぇ、じゃあメイクさんだけじゃなくて衣装さんからもサインをお願いされたんだ」

「はい……アイドルみたいな出来事でした」

「現にアイドルなんだけどなぁ」

「はわ……そうでした。すみません」

「別に謝ることはないよ」

「はい……」

 

 今私は沙織ちゃんたちと別れてプロデューサーさんの運転で家に送ってもらってる最中。

 収録が予定よりも長引いてたみたいで、遅くなっちゃったから事務所には戻らずに現地解散になったんです。

 

 そして私はプロデューサーさんに控室であったことをお話ししてた。

 今日は本当に嬉しい驚きばっかり。

 さっきも話したけど、メイクさんだけじゃなくて、そのあとも衣装さんとかアシスタントの人とか、合計で5枚もサインを書いたの。中でもアシスタントディレクターの人には『Tシャツにオナシャス!』って言われたから、ちゃんと言われた通りに書いた。

 本当にアイドルになれたんだなぁ……って感動したのと同時に、プロデューサーさんのお陰だなぁってつくづく思える時間だった。

 

「……風香」

「え、あ、はい、なんですか?」

「いや……ずっとこっちを見てくるから、ちょっと恥ずかしくて」

「あわわわ、すすす、すみません!」

 

 しまった……気付かない内に私ったらプロデューサーさんのこと見つめてたみたい。恥ずかしくて顔から火が出そう……。

 

 でも仕方ないことかも。

 だって―――

 

「謝ることはないよ……確かに恥ずかしいけど、彼女に見つめられるのは嬉しいから」

 

 ―――プロデューサーさんは今では"私の恋人さん"だから。

 

 私がアイドルになれたのも未だ夢じゃないかって思っちゃうけど、その上でプロデューサーさんとこんな関係になれて……幸せ過ぎて怖いくらい。

 私とプロデューサーさんがお付き合いを始めたのは半年くらい前で、実は私から告白したの。そしたらまさかのOKをもらえた。

 

 アイドルとそのプロデューサーだから、決して楽しい恋愛なんて出来ないって予め言われたけど、これまでの私からしたら何もかもが新鮮で幸せで……本当にプロデューサーさんに出会えて良かったって思ってる。

 

「風香ってさ」

「は、はい?」

「実は結構積極的な子だよね」

「そうですか?」

 

 全然積極的じゃないと思うんだけど……。寧ろ幻滅されてないか毎日不安なんだけど!

 

「だって告白したのも風香からだし、手を繋ぐのも風香からで、キスもね……。さっきだってずっと俺のことを見てたし」

「あわわわわ……」

「これだけアピールされるのは男冥利に尽きるって思えばいいんだけど、なんか風香にばっかりドキドキさせられて悔しいんだよね、俺としては」

「そ、そんなこと……」

 

 そんなことない。私だって毎日プロデューサーさんにドキドキさせられてるもん。

 いつも私に勇気と自信を与えてくれるし、間違いは優しく指摘してくれるし、私というアイドルと私個人をちゃんと見ていてくれるし……その時その時で私はプロデューサーさんの行動にドキドキさせられてる。

 

「ほらまたそうやって見つめてきて……そんなに見つめてるとキスしちゃうよ?」

「はぅ……プ、プロデューサーさんがしたいなら、私は……♡」

「風香の意見を聞かせてほしいな」

「うぅ……言わなきゃダメですか?」

「聞きたいなぁ♪」

「……分かりました」

 

 プロデューサーさんってこういう時はちょっとイジワルになるんだよね。

 でも大好きな人から言われたらついそれに従っちゃう……♡

 恥ずかしいけど、ちゃんと言おう。

 

「あ、あの……」

「うん」

「わ、私はプロデューサーさんは酷いことしないって思ってます……だから……」

「…………」

「プロデューサーさんにされることなら、なんだって嬉しいんです! だからプロデューサーさんが思う通りに私に色んなことをしてくださいっ!」

 

 言っちゃった……。しかも勢いで催促まで……面倒くさい女だって思われてないかな?

 

「…………風香」

「は、はい」

「赤信号で止まったら、キスさせて。本当なら今すぐに路肩に車を停めてでもキスしたい」

「……はい♡」

「風香が可愛過ぎて泣きそう」

「な、泣かないでください♡」

「泣かない……」

「はい♡」

 

 それからすぐに赤信号になって、プロデューサーさんと私は誰もいないことを確認してそっとキスをした♡

 でも後ろの車の人には見られちゃってかも……たはは♡

 

 ―――

 

「風香」

「はい?♡」

 

「今更になるけど、何か食べてく? この通りならいくつかレストランあるけど?」

「あ、食べたいです♡」

 

 そうすればプロデューサーさんとの時間が増えるから。

 

「どこがいいとかある? ないなら俺の独断と偏見且つ適当な場所にしちゃうけど」

「あはは、面白そうだからそれでいきましょう♪」

「はいよ。んじゃ……あそこの"ホホス"にしよう」

「わぁ、ホホスってこの前ユニットでキャンペーンのお仕事をくれたところですよね♪ お母さんとかすっごく喜んでくれたんです♪」

「そりゃ良かった……頑張って仕事をもらってきた甲斐があるよ」

「ありがとうございました、プロデューサーさん♡」

「それが俺の役目だからな」

 

 こうして私とプロデューサーさんはちょっと寄り道することになった。

 あ、勿論ちゃんと家には『プロデューサーさんとご飯を食べてから帰る』って電話したよ。お母さんはなんか『上手くやんなさいよ〜?』って含み笑いしてたけど……もう。

 

 ―――――――――

 

 レストランに入った私たちだったけど、キャンペーンの影響で店員さんもお客さんたちも私のことを見て驚いてて、その店舗の社長さんとかまで挨拶にきてなんかの小さなイベントみたいになっちゃった。

 普段街とか歩いてても声をかけられることなんてないから、ちょっとビックリした。

 挨拶が終わると、プロデューサーさんがお店の人にお願いして、私たちは奥の一番人目につかない席にしてもらった……それでもチラホラと私のことを見に来るお客さんたちはいたけど。

 

「なはは、驚いたろ?」

「プロデューサーさん、こうなること知っててここにしたんですか?」

「そりゃあな。風香は自分のことを過小評価する癖があるから、こうすれば嫌でも自分の人気が分かるだろ?」

「それはそうですけどぉ……」

 

 ずるい。

 

「風香は可愛い。それに俺が全力でプロデュースしてるんだ。少しくらい自信持ってほしいんだよ」

「プロデューサーさん……♡」

 

 本当ずるい♡

 そんな風に言われたら、もう怒れないもん♡

 

「ほらほら、それより俺の奢りだ。早く料理を選ぼうぜ。キャンペーンが好評で風香たちが発案した"ピュアリーツインパンケーキ"なんてレギュラーメニュー化されてるんだぞ?」

「わぁ、本当だ……嬉しいなぁ♪」

 

 一生懸命考えた甲斐があったなぁ。

 こうして私たちのお仕事が評価されてるって感じると、もっともっと頑張ろうって思う。

 

「でも唯一残念なことがあるんだよなぁ」

「え、なんですか?」

 

 何か私失敗しちゃってた!?

 どうしよう!

 私が内心で大慌てしてるのに―――

 

「風香を俺の彼女だってみんなに宣言出来ないことだよ」

 

 ―――プロデューサーさんはそんなことを小声で言ってきた。

 嬉しい……恥ずかしい……照れちゃう……♡

 自分でも顔が赤くなってるのが分かる……でもプロデューサーさんの目と合ってる目を逸らせない。

 

「内緒って辛いな」

「私は幸せです……プロデューサーさんを独り占め出来てるみたいですから……♡」

「…………風香は魔性の女だな」

「えぇ!?」

「好きだよ、風香」

「っ……私も、です♡」

 

 それから私たちはお仕事のお話は抜きで楽しくお食事した♡―――

 

 浅野風香*完




浅野風香編終わりです!

控えめな子ですが、やる時はやる子なのでこんな感じに仕上げました!

お粗末様でした☆
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