デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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静岡から東京の事務所に通ってる設定です。


村松さくら

 

 頭が友達みたいに良くない

 

 友達みたいに取り柄もない

 

 あるとしたら

 

 にこにこー♪って出来るくらい

 

 アイドルも友達にやろうって

 

 言われたからだし

 

 友達が一緒ならやろうって

 

 軽い気持ちだった

 

 でも

 

 本気でアイドルをやってる今は

 

 最高の自分だと思います

 

 ―――――――――

 

 皆さん、こんにちは。わたし、松村さくらです。アイドルをやってます。地元から友達と新幹線で毎回東京の事務所へ通ってます。

 そんなわたしも友達の泉ちゃんと亜子ちゃんとの3人でアイドルユニット"ニューウェーブ"としてデビューして、最近では一人でのお仕事も頂いたりしてます。

 

 ところでわたし、どこにいるんでしょうか?

 

「……スマホの充電もなくなっちゃったし、お財布はプロデューサーさんに預けたままだし……」

 

 どうしよう。

 わたし、今日は一人でお仕事だったんです。小学高学年や中学生を対象とした女の子向けファッション雑誌で、わたしがオススメするピンクの可愛い小物を紹介するコラムを掲載してて、その撮影と編集に来ました。

 お仕事はちゃんと無事に終わって、今回は別のお仕事で同席出来なかったプロデューサーさんに報告のメールをしたところでスマホの充電は無くなりました。

 昨晩充電するの忘れちゃってて……えへへ。

 

 それでわたしは駅まで歩いて戻ってたんですけど、駅になかなか辿り着けなくて……今は公園みたいなところで一休みしてます。

 わたしの地元も人はたくさんいるけど、東京はお昼でもたくさんの人がいてすごい。最初の頃は目が回ってたけど、今は見慣れたのもあって暇な時は人間観察したりしてます。

 

 でも、今はそんなことしてる場合じゃないです。幸いわたしが座るベンチの側に地図があったので、わたしは現在地と駅の場所を確認しました。

 

 あれ、今わたしが向いてる方向ってどっち?

 あれれ、駅の方向ってどっちが正しいのかな?

 

 うーん。分かんない。こういう時亜子ちゃんが居ればなぁ。泉も居ればノートパソコンでもっと詳しく調べてもらえたのに……。

 

 交番の場所も書いてあるけど、駅と一緒でどっちに行けばいいのか分かんない。

 

「…………見つけた!」

 

 え?

 

 不意に肩を掴まれたわたしが振り返ると、そこには額を汗で濡らした背の高い藍色のスーツを着た男の人が息を切らせてました。

 

「プロデューサーさん?」

 

 この人こそ、わたしの専属プロデューサーさん。笑顔しか取り柄のないわたしをアイドルにしてくれて、ここまで一緒に頑張ってくれた人で、わたしの大好きな人。

 でもどうしてここに居るんだろう?ってわたしが首を傾げてると、プロデューサーさんの後ろから警察官さんが2人走ってきました。

 プロデューサーさんが捕まっちゃう!って思って、わたしは咄嗟にプロデューサーさんと警察官さんたちの間に割って入りました。

 すると―――

 

「見つかって何よりです」

 

 ―――1人の警察官さんが笑ってそう言いました。

 そのあともう1人の方がトランシーバーみたいので話して、警察官さんたちは敬礼して戻っていきます。

 わたし1人だけが首を傾げてると、プロデューサーさんに「とりあえずベンチに座れ」って言われたので、わたしは素直に座りました。

 

「今何時か分かるか?」

「分かりません」

「午後の4時過ぎだ」

 

 えぇ! 大変! 今日は3時からダンスレッスンあるのに!

 

「仕事が終わったとメールしてきたのは2時。現場から事務所までは電車と徒歩で30分も掛からない。なのにこれだ」

 

 うぅ、ごめんなさい。

 わたしって本当にダメだなぁ。またドジしちゃった。

 

 申し訳なくてわたしが俯いてると―――

 

「攫われたと本気で心配した。良かった、さくら」

 

 ―――プロデューサーさんに抱きしめられちゃいました。

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 わたしとプロデューサーさんは事務所に内緒でお付き合いをしてます。

 でも泉ちゃんも亜子ちゃんもわたしたちのことを知ってて、いつもフォローしてくれます。

 わたしがプロデューサーさんの前だととびきり可愛い笑顔になるから、2人はそんなわたしの笑顔を守りたいって言ってくれてます。

 

 プロデューサーさんもそうみたいで、17も離れてるのにプロデューサーさんから『君の笑顔を守りたい』って告白されちゃったんです。

 取り柄のないわたしなのに、こんなに素敵な大人の人と釣り合うのかなって思ったけど、プロデューサーさんは『俺の側で笑っててくれればいい』って言ってくれました。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 だからプロデューサーさんにぎゅってされて幸せです。でもプロデューサーさんに心配掛けちゃったから、今度からはお外でも使えるスマホの充電器を持ち歩くようにしないと!

 

「ごめんなさぁい」

「それは何に対しての謝罪?」

「プロデューサーさんに心配かけちゃったから」

「……その謝罪はいらない。大切な君を心配しない時間なんて寝てる時以外俺にはない。いや、寝てる間も心配してるかもしれない。夢でもたまに見るくらいだ」

「あう、本当にごめんなさぁい」

「その謝罪はいいと言ってる。ただ、俺が別件で一緒に行けない時は迎えに行くと言ってるのにどうして勝手に自力で帰ろうとするんだ」

「プロデューサーさんに早く会いたいから……」

 

 ぐっ!てプロデューサーさんが息を呑んで、目を見開きます。そんなに怒られせちゃったのかな。でも体が勝手にプロデューサーさんに会いたくて動いちゃうんだもん。

 

「出来るだけ急いで迎えに行くから、ちゃんと待っててくれ。君を失ったら、俺は後悔してもしきれない」

「はぁい……」

「本当に頼むぞ?」

「約束しますっ」

 

 大好きなプロデューサーさんにこれ以上呆れられたくないもん!

 

「……本当に困ったシンデレラだ」

 

 でもそう言って優しい笑顔を見せてくれるプロデューサーさんにつられて、わたしもついにこにこー♪ってしちゃいました。やっぱり笑顔が1番ですよね!

 

「さて、じゃあ駅まで送るよ。その前に事務所に連絡だけさせてくれな」

「はぁい♡」

 

 ―――――――――

 

 それからプロデューサーさんは事務所へ連絡を入れて、わたしを駅まで送ってくれました。

 車は今日のわたしのお仕事先近くにあるコインパーキングに停めてあるみたいです。

 ダンスレッスンもわたしのせいでそれどころじゃなったので、わたしはあとは帰るだけ。

 

「気をつけて帰れよ」

「…………」

「どうした?」

「……ワガママ言ってもいいですか?」

「なんだ?」

 

 プロデューサーさんの言葉にわたしは「まだ一緒にいたい」とワガママを言います。

 迷子になってしまったわたしが悪いんですけど、帰るだけならもう少し一緒にいたい。

 自分で言ってても今回は許してくれないだろうなって思ってた。

 でも―――

 

「…………なら近くにカップルシートがある漫画喫茶があるから、そこに行こう。あそこは確か完全個室があるから」

 

 ―――プロデューサーさんはワガママを許してくれた。

 どうしたんだろうと思いながら、優しい恋人さんの腕にわたしは抱きました。いつもならこんなことしたらダメだけど、プロデューサーさんは仕方ないなぁってこれも許してくれます。

 アイドルがこんなことしてはダメ? 大丈夫です! だってわたし、今はおさげじゃないし亜子ちゃんオススメの伊達メガネだって着けてますから!

 

 ―――――――――

 

「ぷ、プロデューサーさんっ♡」

 

 苦しい。

 

 プロデューサーさんと漫画喫茶に入ったわたしは、案内された個室に入るなりプロデューサーさんから強く抱きしめられちゃいました。

 いつもは優しいのに、今回のは強引。でも嫌じゃない。プロデューサーさんの匂いが近くて、ちょっと苦しいけどそれ以上に安心するから。

 

「この馬鹿さくら。俺がどんなに心配したと思ってるんだ」

「あう〜♡」

「なのになんだあのワガママは! ワガママというかおねだりじゃないか! しかもさくらをちゃんと見つけることが出来たから、俺までまだ離れたくないと思ってたのに!」

「ひゃぁ♡」

 

 嬉しい……嬉しいです。プロデューサーさんにそこまで想ってもらえてるなんて。幸せ過ぎて今日は絶対眠れないです。明日学校なのに〜。

 

「この1時間、存分にさくらを可愛がるから」

「えへへ、嬉しいですぅ♡」

「あぁ、もう可愛い。俺のさくらマジ天使。巡り合わせてくれたすべての神様に感謝したい気持ちだ」

「大袈裟ですよぅ♡」

「大袈裟なもんか。こんなに可愛いんだぞ? しかもそんな美少女アイドルが恋人なんだぞ? 喜ばない男はどうかしてる」

「はにゃあ〜♡」

 

 もう、プロデューサーさんはすぐにそうやってわたしを喜ばせるんですから。わたし、プロデューサーさんに褒められるとドキドキが止まらなくなっちゃうんですよ?

 

「はぁ、本当ならこのまま俺が攫ってしまいたいくらいだよ。でもさくらをトップアイドルにするのは俺に課せられた使命でもあるからな。本当に悩ましい!」

「わたしはプロデューサーさんや友達とアイドルやりたいです♡ とっても楽しいですから♡」

 

 プロデューサーさんに攫われちゃうのはわたしがお嫁さんになる時ですかね。

 

「あぁ、さくらの望みは俺の望みだ。必ずニューウェーブのみんなで全国ツアーが出来るくらいのアイドルにするぞ」

「はい♡」

 

 でも泉ちゃんや亜子ちゃんたちのプロデューサーさんのことをちょっとは気にかけてくださいね。毎回プロデューサーさんの無茶振りに応えてるんですから。それにその2人からも『アイツを止められるのさくらちゃんしかいないから頼むよ!』なんて言われてるんですからね。

 だから―――

 

「でも、そんなに急ぐ必要はないです♡ だってわたし、ずっとプロデューサーさんと一緒ですから♡」

 

 ―――もう少しのんびり行きましょうね。わたしはプロデューサーさんとならどんなことでも楽しいですから。

 

「さくら……」

「トップアイドルはわたしたちと友達との夢ですけど、わたしだけの夢はプロデューサーさんのお嫁さんです♡ ずっとずっと一緒に居ます♡」

 

 それに急ぐとわたしドジしちゃいますし……えへへ。

 

「もう無理」

「へ?」

「さっきの言葉で俺の脳は蕩けた。さくらとキスしないと治らない」

「えへへ、じゃあちゅうしましょ♡」

 

 それからわたしはプロデューサーさんといっぱいちゅうをして、家に帰りました。

 でも寝ようとしてもプロデューサーさんとのちゅうのことを思い出して、なかなか眠れなくて……次の日の朝は迎えに来てくれた泉ちゃんと亜子ちゃんに叩き起こされちゃいました。寝坊の理由を話したら、もっと呆れられちゃった。あとでプロデューサーさんに慰めてもらおーっと♡―――

 

 村松さくら*完




村松さくら編終わりです!

小動物的な可愛さを持つさくらちゃんの良さが伝われば幸いです♪

お粗末様でした☆
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