デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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現実の話と無関係です。ご了承ください。


楊菲菲編

 

 来日した時から

 

 アイドルになる気でいた

 

 ずっと憧れてたから

 

 香港にもアイドルはいるけど

 

 やっぱり日本のアイドルが1番

 

 いや、世界で1番ヨ

 

 だからなれるまで

 

 頑張ろうって思ってた

 

 そうしたら

 

 運命の人まで見つけたヨ!

 

 ―――――――――

 

「菲菲ちゃん、目線こっちに……そうそう、いい感じだよ」

「♪」

 

 ふぇいふぇいダヨー! ワタシは今、アイドルのお仕事をしてるヨ! 今度新宿駅の地下街で香港文化交流フェスティバルっていうイベントがあるから、そのイベントのキャンペーンガールと宣伝ガールにふぇいふぇいが選ばれたんダヨ!

 イベントの当日は香港からワタシの家族も来てくれる予定で、ふぇいふぇいの専属プロデューサーさんが飛行機のチケットとか用意してくれたの!

 家族に会ったら、いっぱいいっぱいお話したいことがあるんだけど、1番に伝えたいことは『プロデューサーさんと結婚するヨ!』ってこと!

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 ふぇいふぇい、ずっとアイドルになりたかった。

 可愛くて、綺麗で、キラキラと輝いてて……たくさんの人を笑顔に出来る存在だもん。

 香港にもアイドルの事務所はあるけど、ふぇいふぇいは日本のアイドルを見て育ったし、日本でアイドルになった香港人の子とかを応援してたから、自分もアイドルをやるなら日本がイイって思ってた。

 

 家族もワタシの夢を応援してくれた。だから15歳だけど日本に留学することが出来た。

 日本語の勉強は大変だけど、学校ではお友達も出来たし、みんな優しいヨ。勿論、事務所のアイドル仲間もお友達だし、みんな優しい!

 

 でも、ふぇいふぇい、最近はアイドルよりプロデューサーさんのことばっかり考えちゃうの。

 だってプロデューサーさんはふぇいふぇいをアイドルにするだけじゃなくて、トップアイドルにするっていう約束までしてくれたんダヨ。

 日本語の発音がまだ苦手なのにプロデューサーさんは根気よく、自分のお仕事を抱えてまで勉強に付き合ってくれた。お陰で歌う時だけだけど、発音はバッチリになったヨ。今も会話の時の発音のぎこちなさを直そうと頑張ってるけど、ファンの人はふぇいふぇいのカタコトにモエルんだって。だからそこはちょっと考え中。

 

 話が逸れちゃったネ。とにかく、ふぇいふぇいはプロデューサーさんのことが大好きなんダヨ!

 家族にもプロデューサーさんと付き合うってなった時に連絡して、『付き合うなら一生面倒見てもらえ』ってお父さんに言われたし、実はもう少ししたら帰化申請をしようかとも思ってるところヨ。でも流石に事務所にはまだ話してないけど、ワタシがトップアイドルになったらプロデューサーさんと報告するんダ!

 プロデューサーさんはいつも爽やかで、いっぱいお仕事して疲れてるはずなのにちっとも疲れを見せない人。でもふぇいふぇいと付き合ってから、たまに弱いところを見せてくれる。好きな人に甘えられるとふぇいふぇいも幸せな気分になるヨ。

 年齢こそ17歳も離れちゃってるけど、ふぇいふぇい甘えん坊だからプロデューサーさんみたいな立派な大人の人がタイプだった。だから無問題!

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 じゃなくて、ふぇいふぇいは今お仕事中だけどプロデューサーさんのことばっかり考えちゃってて、ふわふわした気分になっちゃうんダヨ!

 今はプロデューサーさんが電話でスタジオの外にいるけど、視界に入ってなくてもふぇいふぇいのこころはふわふわ〜なのに、視界に入ったらそれ以上なんだもん!

 

「菲菲ちゃん、オーケーだよ。じゃあ少し休憩して、次の衣装を着て来てね」

「分かりまシタ!」

「お願いします。菲菲さん休憩でーす!」

『はーいっ!』

 

 ―――

 

 一人のスタイリストさんに連れられてふぇいふぇいは控室に戻ってきた。

 他のスタイリストさんたちはプロデューサーさんと次の衣装についての話をしてるみたい。入る前にその話し声がしたもん。プロデューサーさんの声をふぇいふぇいが聞き間違えるはずないから、真剣なプロデューサーさんの声にワタシはドキドキしたヨ♡

 

「着替えはとりあえずこちらの準備が終わってからになるので、菲菲ちゃんはそれまでゆっくりしててね」

「分かりまシタ。ありがとうございマス」

「次の衣装でまたメイクを変えるから、今の内にメイク落とさせてね」

「お願いしマス♪」

 

 次の衣装は何になるのかな? 今はアイドルデビューした時みたいに黄色のチャイナ服だけど、着る服は事前に説明を受けてないからワクワクのドキドキなの。

 

「あ、メイク落とす前に写真だけイイですか? ブログに載せたいから」

「いいよいいよ。撮ってあげようか?」

「お願いしマス♪」

 

 それからスタイリストさんに今の状態のふぇいふぇいを撮ってもらってから、メイクを落とした。

 スタイリストさんが控室を出ると、それと入れ替わるようにプロデューサーさんが入ってくる。

 あぁ、ワタシだけにしか見せない優しい笑顔でふぇいふぇいに手を振ってこっちまで来るヨ。それだけでふぇいふぇいのこころは幸せでいっぱいになるヨ〜。

 

「とりあえずお疲れ菲菲。次の衣装が最後みたいだから、ラストもう少し頑張ってな」

「ハァイ、頑張るヨ♡」

「うん。ただ、あんまりソワソワするなよ? ただでさえ毎回俺の方見てくるから」

「あぅ……ゴメンナサイ」

「恋する乙女の視線はいいものだけど、こっちまでドキドキするからな」

 

 冗談っぽく笑ってプロデューサーさんは注意するけど、その大人の魅力的な仕草にふぇいふぇいはメロメロダヨ。

 

「次の衣装の話をするから座ってくれ」

「ハァイ♡」

 

 ちょこんとワタシが椅子に座ると、プロデューサーさんはスーツの内ポケットから手帳を出して説明をしてくれる。実はこの手帳、ふぇいふぇいがプロデューサーさんの誕生日にプレゼントしたんダヨ。ケイトとのあとメアリーに相談して贈ったんだんけど、こうして使ってくれてるとこを見ると嬉しくなるナ。

 

「次の衣装だけど、次の衣装は中国の伝統的な花嫁衣裳"裙掛(クワー)だそうだ」

「え!?」

「まあ驚くのも無理はない。俺も驚いた」

「あ、相手の人は!?」

「いや、相手の人は無しだ。だから挨拶しに行く必要はないよ」

「ほっ……」

 

 プロデューサーさんはそう言うけど、ふぇいふぇいは違う安堵ダヨ。お仕事だから花嫁姿になるのは分かるけど、お仕事でももし相手役があるならイヤだもん。ふぇいふぇいの相手はプロデューサーさんしかいないから、例え演技でもその場だけでもプロデューサーさん以外の人とは出来ないヨ。

 

「ホッとしてる場合じゃないぞ。将来、その隣は俺が立つんだから」

「うぇ……そ、そんなこと言っちゃ恥ずかしいヨ♡」

「うぇってなんだよ、うぇって。地味に傷つくんだが?」

「お、驚いただけダヨ!」

 

 それにハッキリと言ってもらえたから嬉しさから来る驚きダヨ。

 そんな話をしてると控室のドアがノックされて、プロデューサーさんがワタシの代わりに出てくれた。

 控室の外で何か話してるみたいだけど、プロデューサーさんがまた入ってきて―――

 

「……監督さんがやっぱり相手役もほしいと言い出したそうだ。それで男性スタッフより慣れてる俺に話が来たんだが……」

「イイヨ! 全然イイヨ! 寧ろプロデューサーさんがイイヨ!♡」

 

 ―――ふぇいふぇいは食い気味でお返事した。だってお仕事でもプロデューサーさんと結婚衣装着れるんだもん。ワタシがそんなチャンスを断るはずナイヨ!

 

「分かった。じゃあそういうことで返事をしてくる。俺も準備があるからスタジオで会おう」

「ハァイ♡」

 

 ―――――――――

 

 それからふぇいふぇいは正装したプロデューサーとお仕事とはいえ、結婚式の時の写真を撮ったヨ。

 プロデューサーさんはふぇいふぇいの花嫁衣装をとっても褒めてくれたけど、ワタシはプロデューサーさんの新郎姿にキュンキュンだったヨ♡

 お仕事は無事に終わったけど、最後の撮影のせいでふぇいふぇいのこころはプロデューサーさんに鷲掴みされてて、ずっとふわふわしてて―――

 

「いつまでその写真眺めてニヤニヤしてる気だ?」

 

 ―――プロデューサーさんから声をかけられるまで、夢の中だったヨ。

 

 気がついたらふぇいふぇい、プロデューサーさんの運転で事務所に帰ってるところだった。それくらい意識がプロデューサーさんのことにしか向いてなかったヨ。

 

「まあ撮影する前から意識がぶっ飛んでたのは分かったけどな。でも受け答えとか挨拶が出来てたのは流石だな」

「えへへ♡」

「別に褒めてない」

「あぅぅ……」

「まあ俺も仕事とはいえ浮ついた気持ちもあったから、これ以上は言わないけど。でも注意してくれよ? 俺たちの関係はバレちゃまずい」

「ハァイ……」

「でだ……」

「?」

「今夜、菲菲の炒飯食いたいんだけど作ってくれる?」

「も、勿論作るヨ!♡」

「ん、それならいい」

「ハァイ、えへへ♡」

 

 ―――――――――

 

 事務所に戻ったふぇいふぇいたちは上の人に報告をして、2人でアイドル寮に来た。

 基本男性はこの寮に入れないんだけど、事務所所属のプロデューサーは入ってもいいの。アイドルとプロデューサーのコミュニケーションも大切だからなんだって。

 だからプロデューサーさんは談話室で待っててもらって、ワタシはプロデューサーさんのために腕によりをかけて炒飯を作った。今回はエビもカニもイカもホタテも入れた海鮮炒飯ダヨ! それに中華スープ風味あんかけをかけてあんかけ海鮮炒飯ダヨ! 最後にふぇいふぇいの愛をそっと注入(投げキッス)すればカンペキ!

 

「美味い! もう定期的にふぇいふぇいの料理食べないと生きていけない体になったよ、俺は!」

「定期的なの? 毎日じゃないの?」

「それは結婚してからで……」

「ならイイヨ♡」

 

 いつもはこの時間、他の子たちもおしゃべりに談話室にいるけど、今回はみんなふぇいふぇいたちに気を遣ってくれたみたい。だから安心して2人きりダヨ。

 

「あの写真、香港のご家族に見せるのか?」

「当たり前ダヨ!♡ というか、もうメールに貼り付けて送っちゃったよ!♡」

「そうか。なんか会うのが余計に恥ずかしくなったな」

「大丈夫ダヨ。みんなふぇいふぇいたちのこと認めてくれてるヨ?」

「それは分かってるけど、俺だってこういうことは初めてだから緊張はする」

「1番に紹介するナ♡ ふぇいふぇいの旦那様ダヨって♡」

「心の準備しとくよ」

「遅いよプロデューサーさん♡」

「精進するよ」

 

 こうしてワタシとプロデューサーさんは今度会うワタシの家族の話をしながら、温かい時間を過ごした。

 でもそのイベントの当日、家族が結婚式をするものだと思ってやってきて(写真のメールにお仕事でって書くの忘れてて)、てんやわんやすることになるとはその時のワタシたちは知らなかったヨ―――。

 

 楊菲菲*完




楊菲菲編終わりです!

ボイスつくの楽しみにしてたりしてます。
国際結婚頑張れプロデューサー!ってことで!

お粗末様でした☆

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