デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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埼玉から東京の事務所に通ってる設定です。


岸部彩華編

 

 女に生まれたからには

 

 とことん可愛くなりたい

 

 だからスカウトされた時

 

 とても嬉しかった

 

 でも

 

 モデルと違って

 

 アイドルはかなりハード

 

 歌もダンスも笑顔も

 

 全部が自分次第

 

 だけど

 

 ある人がいてくれたから

 

 アイドルを頑張って来れた

 

 ―――――――――

 

「はぁい、今回のあやかラジオはこれでおしまーい♪ 夜更かししないように早く寝るんだぞー? また来週〜、バイバ〜イ♪」

 

 あやかは今ぁ、あやかだけのラジオ番組の生放送を終えたとこぉ。

 いつもは同じ事務所のアイドル仲間とかゲストに呼ぶんだけどぉ、今回はリスナーの何人かに「たまには彩華ちゃんだけのがいい」、「前みたいに彩華ちゃん一人のも聴きたい」ってリクされからぁ、あやか専属のプロデューサーさんと打ち合わせしてぇ、久々に一人でやった系。

 でもでもゲストの子が喋る配分とか気にしなくていいから結構気楽に出来たって感じで、あやか的にはまた一人でやってもいいなって思ったよぉ。

 

「お疲れ様でぇす♪ また来週もよろしくお願いしまぁす♪」

 

「彩華ちゃん、お疲れちゃーん」

「お疲れ様です♪」

 

 スタッフさんたちと挨拶して、あやかは一足先にスタジオをあとにする。いつもならラジオの仕事のあとってスタッフの女の子たちとお喋りしたりするんだけどぉ、今回はマジでそれどころじゃない系。

 今のあやかには1分1秒も無駄に出来ないの。

 

 だってさ―――

 

 ―――――――――

 

 ガチャ

 

「プロデューサーさん、お仕事終わったよぉ? 大丈夫?」

 

 ―――あやかのプロデューサーさんが熱で苦しんでるから。

 

 プロデューサーさんっていっつも自分のことは後回しにする系だから、今回の熱もギリギリまであやかに黙ってて隠してた系。

 まあそれだけあやかのためにって感じでお仕事取って来てくれてるのは分かるんだけどさぁ、こういうのぶっちゃけ嬉しくない。

 朝から顔赤かったから無理やり体温計で測ったら39℃超えてて、マジ焦った。だから無理やりプロデューサーさんを早退させて、あやかはあやかのお仕事を頑張って来たって訳。

 

「………………」

 

 プロデューサーさんは爆睡中っぽい。ぶっちゃけ寝ててくれて良かった。あやかがいないのをいいことにマンションの部屋でまでお仕事してたらマジでグーパンする系だったかんね。

 あやかがどうしてここまでプロデューサーさんを心配してるのかって言うと、あやかの大切な専属プロデューサーってこともあるんだけど、実はあやかの大切なカレシだったりするからなんだよぉ♡ 事務所の人たちに内緒でね♡

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 あやかがプロデューサーさんに落とされたのはあやかがデビューする前に宣材写真を撮った時なんだぁ。

 宣材写真ってその名の通りでモデル写真とかじゃないからガッツリ盛れないんだよね。

 あやかは盛れなきゃフツーの女の子だし、特別可愛いって訳じゃないから宣材写真って苦手だった。

 でもそんなあやかにプロデューサーさんは―――

 

 宣材写真だって彩華は可愛いさ

 盛ってなくても彩りもあるし、華もある

 名前の通り、素敵な女の子だよ

 

 ―――そう言ってあやかを褒めてくれたの。しかもマジな顔で。

 

 あやか、こう見えてちゃんと人の目を見てお話聞くから、あの時のプロデューサーさんの目がマジ過ぎて、今まで言われてきた中で一番あやかの心に響いた。

 それからあやかはプロデューサーさんのために頑張ろうって思うようになったし、プロデューサーさんに可愛いって思ってもらえるようにマジでアピールしたんだぁ。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 んで、1か月前にやっと告白してもらったって感じ♡

 マジ長い片思いだったけど、だからこそ告白された時の嬉しさってパなくて……これからも頑張ってプロデューサーさんをあやかの虜に出来るように頑張る系♡

 

 さて、プロデューサーさんは寝てる系だし、あやかはどうしようかなぁ。今夜はプロデューサーさんのとこに泊まって看病する気満々だったから、ママやパパには『お仕事長引いたから東京のアパートに泊まるね☆』って連絡しちゃった。

 でもいざ看病するって言っても、プロデューサーさんが寝てるならあやかに出来ることないしぃ、どうしようかなぁ。

 

「んん……」

 

 あれ、起きちゃった系?

 

「プロデューサーさん?」

 

「…………俺の彩華がいる」

 

 あ、これ寝惚けてる系。プロデューサーさん普段なら絶対に"俺の"とか言わないもん。

 

「まだ寝てていいよぉ? まだ顔赤いからゆっくり休んで?」

 

 だからあやかはプロデューサーさんの頭を優しくナデナデして、また寝るように言ったの。

 そしたら―――

 

「手……繋いでてほしい」

 

 ―――プロデューサーさんはそう言ってあやかの手を握ってきた。あやかはそんなプロデューサーさんが可愛くて、マジで胸がキュンキュンってしてパなかった♡ 普段はクール系のくせして、こういう時に甘えん坊系になるのってちょーズルい〜♡

 

「ん、いいよぉ♡ あやか、今夜はプロデューサーさんの側にずっと居てあげるから♡」

「ありがとう、彩華……」

「あやかこそ、いつもありがと♡ プロデューサーさんのお陰であやか毎日楽しいよ♡」

「そっか……」

 

 熱で弱っててもプロデューサーさんはあやかにニッコリと笑顔を浮かべて、眠りに就く。もう、どうしてあやかの胸キュンポイントをここぞとばかりに攻めてくる系なの。普段は普段で男らしくてキュンキュンすんのに、今は今で甘えん坊系だからギャップ萌がヤバい♡

 

「大好きだよ、プロデューサーさん♡」

 

 ちゅっ♡

 

 だから我慢出来なくてあやかからこっそり、眠ってるプロデューサーさんのほっぺにチュウしちゃった♡

 

 ―――――――――

 

 それから時間も過ぎて、日付けも跨いだ。

 それでもあやかはプロデューサーさんの手を離さないように、ずっと握ってた。

 ホントどんだけ握ってるのってあやかたちの関係を知ってる美紗希ちゃんとか雅ちゃんに言われるかもしんないけど、ホントいつまでだってこうしていられるよ。

 だってプロデューサーさんが心配だし、眠ってるのを確認出来るからあやかもそれで安心出来るんだもん。

 お互い元気なら抱っこ(プロデューサーの膝の上に乗ってる状態)されて雑誌読んだり、スマホいじったり、イチャイチャしたりするけど、こういう時あやかって相手のことが心配で何も手につかなくなる系なんだよね。

 

 だから―――

 

「早くいつものプロデューサーさんに戻って?」

 

 ―――早く回復してほしい。

 プロデューサーさんが辛いとあやかだってめっちゃ辛い。代われるもんなら代わってあげたいもん。何ならいっそのことあやかに風邪を伝染してほしいよ。あやかはどうなったっていいもん。

 プロデューサーさんにそう言ったら怒られるんだろうけど、それくらいあやかはプロデューサーさんを想ってるんだからね?

 それに―――

 

「お熱が引かないと、このあやかちゃんとのラブラブはいつまでもお預けだぞぉ?」

 

 ―――プロデューサーさんが元気にならないとイチャラブ出来ない系なんだよ。

 ホントのとこは添い寝とかしてあげたい系だけどぉ、プロデューサーさんは自分が担当してるアイドルが自分の風邪のせいで寝込んだりしたらダメだって言って、させてくれない系。そのくせあやかが先に風邪を引いたら『俺に伝染せ』とかマジで言うし……ホント自分のこと二の次で困るぅ。

 でもそんなプロデューサーさんだから、あやかは惚れちゃったんだろうけどね♡

 

 だから早く回復してほしい。

 あやかね、愛とか運命とか語れるくらい立派な人生歩んでないけどさぁ……プロデューサーさんに出会えたのはホント運命感じてるから。アイドルを辞めたとしても、プロデューサーさんのことを好きでいるのは絶対に辞めないから。

 そんな風に考えてると、あやかも眠くなってプロデューサーさんと手を繋いだまま寝ちゃった系。

 

 ―――――――――

 

 トントントン

 

「…………?」

 

 何この音?

 あれ? てかここどこ?

 あやか、プロデューサーさんの隣で寝ちゃったはずなのに、お布団の中にいるんだけど? しかもプロデューサーさんのベッドじゃなくてソファーベッドで……どうして?

 

 てかプロデューサーさんは?

 

「……いない」

 

 ベッドで寝てるはずなのに、そこには誰もいない。

 てか、外めっちゃ明るい系。朝なのぉ?

 時間を見ようとしてスマホを手にすると、

 

「おはよう、彩華」

 

 それより先にプロデューサーさんがあやかに朝を知らせてきた。顔色は良くなってるっぽいから熱も下がった系かな?

 てか、エプロン姿ときめくんだけど♡

 

「…………おは〜♡」

 

 だからあやか、自分でもキモいくらいニヤけた感じで挨拶返してた。

 

「朝食作ったから、顔を洗って歯磨きして居間へ来てくれ」

「りょ〜か〜い……えへへ♡」

「なんだよ、そんなにニコニコして?」

「ん〜ん、なんもな〜い♡」

 

 だってプロデューサーさんの風邪治った系だもん♡ 好きな人が元気になったら恋人としては嬉しくなるっしょ、フツー♡

 

 ―――――――――

 

 朝の支度して居間に行くと、プロデューサーさんはちゃんと朝食を盛り付けて待っててくれた。こういうのホントヤバい♡ 実はあやかより女子力高い系なのかも?

 

「プロデューサーさん、隣座っていい?♡」

「俺は病み上がりだからダメだ。伝染るかもしれない」

「うわぁ、やっぱそうくる系?」

「当たり前だ。あ、もちろん食器とかはちゃんと消毒してある」

 

 昨晩のデレデレモードがちょい恋しい。でもこれはこれでいつものプロデューサーさんだから、ぶっちゃけどっちも好きだしあやか的にはオッケー♡

 だからあやかはフツーにプロデューサーさんの正面に座ったの。

 

「いただきます」

「いただきまぁす♪」

 

 あ、今朝のお味噌汁お豆腐とワカメじゃん♪ あやかこれ好きぃ♪ 多分プロデューサーさんの手作りってのもあるけどね♡

 

「…………心配掛けてごめんな」

「んーん。もう治ったし、いいよぉ♡ そもそも謝る必要ない系だしぃ、あやかがそうしたかっただけぇ♡」

「……ありがとう。嬉しかった」

「っ♡」

 

 うわぁ、ヤバい♡ 胸の奥がドクンてした♡ はにかんで言うとか落としに来てるっしょ♡ まあもう落ちてるんだけどねぇ♡

 

「どーいたしまして♡ お礼はあやかへの愛た〜っぷりのチュウでいいよ?♡」

「完全に風邪が治ったらな。それまではダメだ」

「ぶぅ、プロデューサーさん頭カッチカチ〜」

「だから――」

「?」

 

 ちゅっ♡

 

「――今はこれで我慢してくれ」

 

 プロデューサーさんにキスされた♡

 しかもほっぺとかじゃなくて、あやかの目元に♡

 目元ってかあやかの泣きぼくろにされちゃった♡

 

「えへっ……えへへへ♡ あやかぁ、今ちょー幸せー♡」

「に、ニヤけてないで飯食え飯っ。今日はレッスンだろ」

「はぁい♡ プロデューサーさんの愛マシマシでもらったからぁ、あやかぁ今日も頑張るよぉ♡」

 

 こんな感じで朝からあやかはプロデューサーさんとイチャラブ出来ました♡

 やっぱ元気なのが一番だよねぇ♡―――

 

 岸部彩華♢完




岸部彩華編終わりです!

パッと見キャバ嬢っぽい彩華ちゃんですが、こういう子ほど芯はしっかりしてると思ってこんな感じにしました!
因みにクール勢ではお気に入りランク上位に入ってます←

お粗末様でした☆

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