デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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独自設定多めです。


佐城雪美編

 

 とある黒い猫が

 

 ある日

 

 灰色の猫に

 

 恋をした

 

 灰色なのに

 

 その猫の毛色は

 

 キラキラしてて

 

 それが銀色に見えて

 

 吸い込まれる程に綺麗な

 

 黒い瞳を持つ

 

 息をするのを

 

 忘れてしまうくらい

 

 素敵な猫でした

 

 ―――――――――

 

「さぁ、着いたぞ、雪美。ペロをちゃんと抱っこしとけよ?」

「………(こくり)………♡」

 

 今日はアイドルのお仕事はお休み。

 だから私は、専属プロデューサーの車で北野天満宮に来たの。

 明後日にはアイドルにとって大きな祭典『アイドルマスター・シンデレラガールズ・スターライトステージ』が開催され、私はその祭典に出場する。

 人と喋るのも、愛想を振りまくもの苦手な私がその大舞台で最終ステージに立てるのは全部、プロデューサーのお陰。

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 プロデューサーと私がちゃんと目を合わせて知り合ったのは、アイドルオーディションの時。

 でも本当はもっと前から私は彼のことを知ってた。

 

 ペロは今でこそ私の家族として過ごしてるけど、ペロは私と出会った頃は橋の下にダンボールと一緒に捨てられてた捨て猫だった。

 人と喋ることが苦手な私は学校で友達も出来なくて、いつも帰り道にその橋の下でどうすれば友達が出来るのか考えてて……そこでペロに出会った。

 

 私の家で猫は飼えない。だからいつもペロとは放課後に暗くなるまで過ごしてた。

 ペロと出会って一週間が過ぎた頃、私はペロの毛並みがいつもキレイなことに気がついた。そしていつもお水と餌があることも。

 私みたいに飼いたいけど飼えない人がペロに優しくしてくれているんだと思った。

 

 そんなある日、いつものように私がペロへ会いに行くと、同じ学校の男の子たちがペロをいじめてた。

 助けたいけど、どうしたらいいのか分からずに隠れていた私。

 するとそこへ灰色のスーツ姿の男の人が現れた。

 

『動物を虐待して何が楽しいんだ! 人として恥ずかしいと思わないのか!』

 

 怒鳴るように言うと男の子たちは逃げるように去っていった。

 そしてその男の人はペロを抱えると、

 

『どこも怪我はしてないな……良かった。出来ることなら俺が引き取ってやりたいが、俺のマンションはペット禁止なんだ……ごめんな』

 

 そう言って、ペロにお水と餌を与えて帰っていった。

 

 私は思った……この人だったんだって。

 ペロに優しくしてくれてた人はあの人だったんだって。

 

 男の人が去ってから私がペロのところに行くと、

 

『〇〇プロダクション――』

 

 あの人の名刺が落ちてた。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 だから私はこの人を追ってアイドルになったし、親に一生懸命お願いしてペロを家族にしてもらった。

 今の私があるのは全部プロデューサーのお陰。

 ペロとの出会いが運命なら、プロデューサーとの出会いも運命。

 だから次のステージを私は全力で頑張る。

 

 それに優勝したら将来結婚してくれるって言ってくれたもん♡

 

 私はプロデューサーと事務所に内緒でお付き合いしてる。

 言葉ではなかなか言えないけど、たくさんプロデューサーへ私の『好き』を伝えたの。それをプロデューサーが受け入れてくれた。

 でも結婚はまだ約束してくれない。私が大きくなったらもっと素敵な人が現れるからって言って。

 そんな人現れないし、私は望んでないのに。

 

 予定なら優勝出来るようにこうして神社へお願いしに来たんだけど、私はずっとプロデューサーと一緒でいられるようにお願いした。

 

「よし、神様へのお願いもしたし、これからどうするかな? 雪美は何かしたいことあるか?」

「…………プロデューサーと……一緒に…………いられれば、それで…………いい♡」

「たまにはわがまま言ってもいいんだぞ?」

「……もう…………言ってる♡」

 

 あなたと一緒にいたい。これ以上の望みは私にはない。

 

「まあとにかく、西陣の方でも見て回るか」

「………………うん♡」

「にゃーん♪」

 

 ペロもそうしたいって。

 

 ―――――――――

 

 北野天満宮やその付近は幼稚園の頃から何度も来たことがある。

 でも今日は大好きな人とペロが一緒だから、いつもより景色がキラキラして見えた。

 

「この和ろうそくいいなぁ」

「…………綺麗」

 

 花柄が施された赤いろうそくに白いろうそく。それだけじゃなくて花の形をしたろうそくがあってどれも綺麗。

 

「でも職人技だからどれも結構なお値段だなぁ」

「………………」

「……まあ、記念ってことで買うか」

「!……(こくこく)……♡」

 

 私が赤でプロデューサーが白。願い事を込めて今度火を灯そうって約束した♡

 

 ―――

 

「あ、あの、佐城雪美ちゃんですよね!? わ、私ファンなんです! 一緒に写真撮ってもいいですか!?」

「………(こくり)………」

「わぁっ、ありがとうございますっ!」

 

 お店を出て歩いてると、私のファンの人に写真を求められた。

 どうしたらいいか分からない私にプロデューサーは笑顔で背中を押してくれたけど、やっぱり知らない人だからちょっと緊張しちゃった。

 

「ありがとうございました! これからも応援してます!」

「…………ありがとう、ございます………………頑張り……ます…………」

 

 一人の人と別れると、次の人が来る。

 前まではこんなことなかったし、怖いと思っちゃってたはずだけど、今はちょっと緊張するくらい。

 アイドルになれて色んな人と出会って、みんな笑顔で……頑張ってきて良かったって思える。

 

 でもプロデューサーとの時間が減っちゃう。

 

「……プロデューサー……」

「ん、あぁ、そろそろ行こうか。すみません。予定があるのでこれくらいで」

 

 プロデューサーのお陰でファンの人たちも納得してくれた。良かった。

 

 ―――――――――

 

「いやぁ、流石「I・S・S」のファイナルに名を連ねるだけあるなぁ。プロデューサーとして鼻が高いよ」

「…………そう」

 

 私たちは仕方なく車に戻ってきた。あのままだとまたファンの人たちが集まって来ちゃうから。

 ファンがたくさんいるのも、プロデューサーが喜んでくれるのも嬉しい。

 でもこれまでみたいにのんびりお散歩出来ないのは、寂しい。

 

「でもそろそろ雪美も変装とか考えた方がいいかもな。お店や通行人の邪魔になってしまうのは避けた方がいいし」

「…………変装……?」

「そう。まあ変装って言っても派手なのじゃなくて、帽子を被ったり髪型を変えたりって感じでいいと思う。あとはペロには悪いがケースやバッグに入ってもらうとかな」

「………………」

「雪美のブログでペロのこともファンには知られてるからね」

「……………………」

「出掛ける時だけだよ。ペロだってそれくらい我慢出来るよな?」

「にゃ〜♪」

「…………分かった…………」

 

 プロデューサーもペロもそう言うならわがまま言わない。

 

「それじゃ、これからどうする?」

「…………お家、帰る…………」

「了解」

「……プロデューサーも…………お家来る……ううん、来て?」

「はは、了解」

「♡」

 

 ―――――――――

 

 私のお家はお父さんもお母さんも遅くまで帰ってこない。私がアイドルになってからプロデューサーが私の送り迎えもしてくれるし、お仕事が忙しくない時はお家で一緒にお留守番してくれる。

 だからお父さんもお母さんも私のことを安心してプロデューサーに任せてる。もし私が優勝してプロデューサーと結婚することを伝えたら驚くかな? 祝福してくれたら嬉しいな。

 

「ほ〜れ、ほれっ♪」

「うにゃにゃにゃっ、にゃうっ♪」

 

 でも私のお家に来ると、またプロデューサーの悪い癖が始まった。

 プロデューサーは猫が大好きだから私のお家に来るとすぐにペロと遊び始めちゃう。ペロもあの頃からプロデューサーにとても懐いてるし、大好きだからすごく楽しそう。

 でも―――

 

「………………」

「? 雪美?」

「にゃぁ?」

 

 ―――いくらペロでもプロデューサーは私のだから。

 

「なんだよ、急に抱きついてきて?」

「………………」

「な、なんで睨むんだよ?」

「…………………………」

 

 むぎゅぎゅ〜っ

 

「ちょ、雪美、苦しいっ」

「…………だもん」

「え?」

「プロデューサーは…………私の、だもん……」

「っ……あぁ、俺は雪美のだよ」

「んっ♡」

 

 プロデューサーの優しくて大きな手……大好き♡

 その手で頭を撫でられると、とても気持ち良くて胸の奥がドキドキする♡

 

「にゃあ……」

「? ペロもナデナデか? よしよし♪」

「ふみゃあ〜♪」

 

 むっ……ペロの意地悪。プロデューサーは私だけなんだからね。

 

「…………ん〜、ん〜……!」

「そんなに押し付けなくても、雪美のこともちゃんと撫でるよ。よしよし」

「………………♡」

 

 ―――

 

 あれから少しして、ペロは自分のクッション(フワモコ)でお昼寝中。

 対して私は大好きなプロデューサーのお膝の上でペロみたいに丸くなってる。

 

「今日の雪美は特に甘えん坊だな」

「……だって……ペロが……」

 

 なかなか私にプロデューサーのお膝を譲ってくれなかったんだもん。

 

「ペロは猫ちゃんだからなぁ。仕方ない」

「…………プロデューサーも悪い…………」

 

 ペロのこといっぱい構ってた。

 

「ごめんごめん」

「…………ヤ……」

「えぇ〜、頼むよ〜、許してくれよ〜。お詫びにこうしてナデナデしてるだろ〜?」

「………………ヤ……」

 

 ウソ……本当はもう許してる。でも寂しかったもん。ちょっとくらい私のことで頭をいっぱいにしてほしい。

 

「雪美〜、許してくれよ〜」

「…………」

 

 そろそろ可哀相かも……。

 

「……じゃあ、んっ……」

「ん?」

「…………ちゅう…………して♡」

 

 そうしたら許してあげる♡

 

「じゃあ、目を閉じて」

「……ヤ……」

「閉じてくれた方がやりやすいんだけど……」

「ヤ……プロデューサーのこと…………一瞬でも、見逃したく……ないから♡」

「っ」

「だから…………見つめ合った、まま…………するの♡」

「雪美……」

「…………して?♡」

 

 ちゅっ♡

 

 えへへ……してくれた♡

 プロデューサーとの……大好きな人とのちゅう、好き♡ いつまでもこのままでいたいくらいに♡

 

「っ……はぁ、これで許してくれる?」

「うん……♡」

 

 むぎゅ〜っ♡ すりすり♡

 

 絶対に私優勝するから、その時は将来結婚してね。

 私の大好きな大好きな……魔法使いの灰色猫さん―――。

 

 佐城雪美♢完




佐城雪美編終わりです!

ちょっと今回は色々と独自設定を多く含みましたが、ご了承ください。

お粗末様でした☆
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