デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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砂塚あきら編

 

 高望みはしない

 

 人にはそれぞれ

 

 出来る限度があるから

 

 でも最近は

 

 努力すれば

 

 その限度は超えられると思ってる

 

 だって自分がアイドルやってるし

 

 ファンも順調に増えてるもん

 

 でも努力出来るのって

 

 周りが支えてくれてるから

 

 なんだよね

 

 それを教えてくれたのが

 

 魔法使いさんって感じ

 

 ―――――――――

 

「あきら、本当に大丈夫か? 兄ちゃんも一緒に付いてってやるぞ?」

「大丈夫だって兄ぃ。確かに初めての東京でのテレビ収録だけど、Pさんも一緒だしさ」

 

 明日から私はアイドルとして、初のテレビ収録に臨む。兄ぃはそれが心配で土日なのもあるから自分も付いていこうとしてるの。

 兄ぃには悪いけどそんなの必要ない。それに兄ぃは兄ぃで普段の日頃の疲れを休日に癒やしてほしい。何よりこっちとしてはPさんと二人きりの機会がなくなっちゃう。

 

「本当に信じて大丈夫なのか?」

「何? 私の信じたPさんが兄ぃは信じられないの?」

「だっていくらいい人って言っても芸能関係の人だろ? 一般人にはわかんないことなんてたくさんあるじゃないか……それに兄ちゃんとしては妹が大人の男と二人で東京に行くことが心配なんだ」

「心配症だなぁ兄ぃは。Pさんとのコトはお母さんたちも安心してくれてるし、兄ぃだってPさんに懐いてるじゃん。知ってるよ? この前Pさんに新田美波ちゃんのサイン頼んでたの」

「うっ……それは、折角だから……」

「とにかく、兄ぃは心配し過ぎ。Pさんは上っ面だけじゃない、中身もしっかりしたいい人だよ」

「なんかあったらすぐに連絡するんだぞ?」

「はいはい。お土産に兄ぃの好きそうなおっぱいマウスパッド買ってくるね」

「おっぱいのは結構持ってるからおしりの方で」

「……ヘンタイ」

「るせぇっ」

 

 彼女いるんだから彼女の触ればいいのに。どうせ彼女さんも兄ぃのヘンタイさ加減は承知の上だと思うよ。あんな隠し方じゃ甘いもん。

 

 まあ、それは置いといて……私は自分の担当プロデューサーさんと事務所には内緒で付き合ってる。

 もちろん両親や兄ぃは知ってるし、許してくれた。それだけPさんって誠実なんだよね。私と20も年の差あるのに独身ってキセキみたい……というか周りの女の人の見る目ないのかな?

 いや、たぶん、私が男の人の趣味が変わってるんだよね。Pさんって小太りだし、アイドルオタクだからプロデューサーにまでなっちゃった人だもん。口を開けばアイドルの話か他の趣味の話ばっかり。

 でも私としてはその話をしてる時のPさんの表情が好きなんだよね。全身からそれに対する愛情ってのがめっちゃ伝わってくるし、好きなことを好きって胸を張って言えてるから。

 私もどっちかと言えばオタクだけど、Pさんほどオープンになれないもん。流石に学校の友だちらは知ってるけどね。

 

 そんなんだから私はPさんに惚れて、アイドルデビューしたお祝いの打ち上げでダメ元で告白したら今に至るって感じ。

 人前とかで恋人らしく過ごせないけど、私は元から周りに見せつけるようなコトは無理だからちょうどいいって思ってる。

 ま、当然明日からのお仕事は頑張るし、それが終わってからのPさんとの東京デートも楽しんでくる!

 

 ―――――――――

 

「いやぁ、疲れたなぁ」

「仕事終わりに色々と付き合わせて、ゴメン」

 

 収録日当日。収録の方は無事に終わったし、昼前からだったのもあって夕方には終わった。

 だからってのもあって、私はPさんとちょっと東京観光してきたの。観光って言っても秋葉原の駅周辺なんだけどね。

 兄ぃの好きそうなの多くてちょっと迷ったり、Pさんとプリクラ撮ったり、お母さんに頼まれてたコスメ買ったり、お父さんにアキバ系のだけどお饅頭買ったりした。

 流石に色々と付き合わせ過ぎちゃったなぁ。

 

「いやいや気にしなくていいよ。可愛い彼女とのデートだからな」

「可愛いとか、いいよ、そんなの」

「出たよ、ツンツンあきら」

「ツンツンしてないっ」

 

 これでも自分、Pさんにはデレデレしてるんだから。

 

「ほいほい。まあとにかく少しゆっくりしたら、飯でも食いに行こうぜ」

「うん」

 

 自分たちが泊まってるのは格安のビジネスホテルだから食事は外で食べるか買ってくるのが基本だよね。私的にはコンビニでもいいんだけど、Pさんってこういう時は必ず外食なんだよね。

 折角美味しいお店があるんだから食わなきゃ損、なんだって。私としてはPさんとの思い出が増えて嬉しい、かな。

 

 でも―――

 

「はぁ、この疲れ具合……歳を感じるなぁ。な、〇〇モン?」

 

 ―――この時だけはちょっと胸がざわつく。

 

 Pさんにはお気に入りのぬいぐるみがある。確かデ〇モンのキャラクターのト〇モン。白くて丸くて歯茎が凄くて、今でも大切にしてる40センチくらいのぬいぐるみ。今でもたまにそのアニメ観てて、私も何度か一緒に観た。

 強面なPさんがぬいぐるみ抱っこしてるそのギャップは萌えるし、出張先まで持ってくる愛着も凄いけどさ、彼女としては悔しいじゃん? まあぬいぐるみからすれば私の方がぽっと出なんだけれども……ぬいぐるみ抱っこするなら私を抱っこすればいいじゃん。

 

「またその団子持ってきたんだ?」

「コイツと俺は一心同体だからな。というか、コイツいないと寝れない」

「いずれ自分と結婚して子どもが生まれたら、その子どもにソイツはあげるけどね」

「まあ、そうなるのは仕方ないかな……」

「そうなるとPさんは眠れなくなるね」

「そ、その時はあきらが……」

「残念。自分は自分の子どもの面倒があるから」

「うぅっ」

 

 ちょっといじめ過ぎちゃったかな。大丈夫だよPさん。子どもが生まれてもPさんのコトもちゃんと愛すから。というか蔑ろになんか絶対にしないよ。お母さんたちだって私や兄ぃの前では普通にしてるけど、二人きりの時は手とか繋いで仲いいし。

 

「まったく……普段は頼りになるのに♡」

「…………」

「ほら、おいで♡ その団子より彼女の方が温かいし、いい匂いだし、癒やされるぞ〜?♡」

 

 両手を広げてPさんを誘うと、Pさんは「トコ〇ンな」って訂正しながら自分に抱きついてきてくれた。なんだろう、この高揚感。ぬいぐるみに勝った感が凄くて満足感ヤバい。

 

「Pさんはぬいぐるみより私の方が好きだよね?」

「……比べるもんじゃない」

「素直になりなよ。私知ってるよ? Pさんが私のコト大大大大だぁいすきだって♡」

「好きじゃなきゃ覚悟して付き合ったりしない」

「ふふっ、だよね♡ だからPさんはぬいぐるみより私の方が好きなの♡」

 

 ねー?♡って訊きながら私がPさんの頭に頬を擦り付けると、Pさんは唸り声を上げる。まだ受け入れたくないんだね。変なPさん。でもそんなとこも好きだよ。

 

「ねぇ、Pさん……♡」

「ん?」

「自分、Pさんが思ってるより、Pさんのコト好きだからね?♡」

「……あぁ」

「自分、夢とか高望みしない主義だったけどさ、今はちゃんと夢があるんだよ?」

「トップアイドル……」

「そ、トップアイドル。そんな風に思わせたのはPさんなんだよ?」

「プロデューサーだからな。目標は高くないと」

「全部全部、Pさんのせい。だからちゃんと連れて行ってね。自分もそれ相応の努力するから」

「もちろんだ。一緒にアイドルのてっぺん取るぞ」

「うん♡ それで結婚記者会見するの♡」

「……それはしなきゃダメか?」

「トップアイドルが結婚するのに記者会見しない方がヤバくない?」

「いや、あきらなら先にSNSとかに上げそうだから」

 

 あぁ、それもいいね。バズるの確定じゃん。最高記録更新出来るかも。

 

「じゃあそうする♡ それからニュースになって、記者会見って流れね♡ Pさんも同席してもらうから♡」

「俺はいいよ。似顔絵とかで」

「やだ。日本中に自分の旦那自慢するし」

「自慢しなくても……」

「だってその時は私をトップアイドルにした張本人ってことになってるんだよ? 自慢しなきゃじゃん♡」

「あきらが眩しいよ」

「好き好きオーラ全開だからね♡」

 

 自分でもこんなに恋愛して変わるとは思わなかった。今までの普通をPさんがまったく違う……キラキラと輝く普通にしてくれた。本当に感謝してるし、愛してる。まあこのことはまだ、結婚したあとじゃないと本人には言わないけどね。

 

「ん〜っ、Pさん好き〜♡」

「俺も好きだよ」

「自分の方が好き好き〜♡ Pさん負け〜♡」

「一生負けてていいよ」

「じゃあ自分が一生勝っててあげるね♡ ん〜、はふはふ、はふっ♡」

「おい、首元に噛みつくなよ。あとが残る」

「べふひひぃふぁん♡」

「食いついたまま喋るな」

「ぷはぁ、別にいいじゃんって言ったの♡ それとも誰かに首元見せる機会でもあるの?」

「それはないけど」

「ならいいでしょ?♡ 本当ならもっと目立つところにしたいけど、ガマンしてるんだよ?♡」

 

 キスマークを残すより、歯型を残した方が自分らしいし、Pさん私の歯可愛いって前に言ってたし。

 

「もう好きにしてくれ」

「前からそうしてるよ♡」

「なら俺も好きにする」

「いいよ♡」

 

 するとPさんは私の泣きぼくろにキスしてきた。

 前に雑誌の特集で占い師さんに自分のこと占ってもらった時に言われたけど、左に泣きぼくろがあるとその人って母性本能が強いんだって。だからPさんのこと年上の人でも可愛いって思うのかな?

 

「Pさんってよくほくろにキスしてくるね♡」

「なんか可愛いからな」

「へへっ、嬉し♡」

「……あきらってイチャイチャしてる時って、本当にデレデレだよな」

「イチャイチャしてれば誰だってそうじゃない? イチャイチャしててツンツンしてたり病んでたりしてたら変じゃん」

「まあ、そうなんだけど……」

「それに、自分基本Pさんにはデレデレだから」

「え」

「何さ?」

「仕事で今日も可愛いとか言っても適当に流してただろ」

「それは他の人の目があるからで……心の中じゃぴょんぴょんしてるし……」

「ほう」

「だから、自分はツンツンしたことないから」

「そうか」

 

 Pさんはそう言うと、またキスしてきた。でも今度は唇で、それはとっても気持ちよかった。きっと今の私の顔は蕩けてて、目にもハートマーク浮かんでるよ。

 でもこんなキスされたら、もっと欲しくなっちゃう。

 

「Pさん♡」

「ん?」

「先にPさん欲しい♡」

「いいよ」

「食事から帰ってからもしてくれるぅ?♡」

「するする」

「へへっ、やった♡」

 

 こうして自分はPさんにいっぱい可愛がってもらえた。でも実際、朝まですることってあるんだなぁって思ったよ―――。

 

 砂塚あきら♢完




砂塚あきら編終わりです!

クールなんだけど、実はデレデレにしました!

お粗末様でした☆
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