デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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上京してる設定です。


高橋礼子編

 

 一度きりの人生なら

 

 とびきり激しく過ごしたい

 

 だからアイドルの世界に

 

 飛び込んでみたの

 

 すると思ってた以上に

 

 刺激的で情熱的だった

 

 年齢なんて関係ない

 

 関係があるのは

 

 目の前のこの私と

 

 魔法使いさんの情熱だから

 

 ―――――――――

 

「はい、OKで〜す!」

「高橋さんお疲れ様でした〜!」

「確認作業に入るので一旦休憩してください!」

 

「えぇ、お疲れ様」

 

 今日の私の仕事はアイドルとしてはちょっと変わったお仕事。何故ならたった今終わったのはハイボールのCM撮影だったから。

 

「いやぁ、アイドルにして溢れ出る色気、最高でしたよ」

「ふふ、ありがとうございます」

 

 私にこのお仕事のオファーをくれたハイボールメーカーの広報担当者さんも満足してくれたみたい。

 

「後日、こちらからお礼としてうちの商品をいくつか高橋さんの事務所にお送りしますので、ご賞味ください」

「あら、わざわざありがとうございます。楽しみにしてますね」

 

 こうして広報担当者さんは私と別れて自社へと帰っていき、私も撮影スタジオ内の休憩スペースに向かった。

 

 ―――――――――

 

「どうですか?」

「ん〜、ここのカットを使いたいですね。そしてここの商品名を宣伝するとこに少しエフェクトを……」

 

 確認作業中のスタッフさんたちに混じって熱心に私の見せ方を指示してるのは、私専属のプロデューサー。私を見て、評価して、アイドルにしてくれた掛け替えのない人よ。

 お仕事の上で最高のパートナーだけど、実はプライベートでは最愛のパートナーだったりするの♡

 

 ―――――――――

 ――――――

 ―――

 

 私が彼と初めて会ったのはとあるパーティ会場。私の知り合いが開くものだから私も何度か参加してるパーティ。そこで彼を見つけた。

 どうして彼にしたのか……それは彼が一人でグラスにも手を伸ばさず、誰かを探してるような感じだったから。

 私は自分で言うのも変だけど、男を見る目はあるの。その時、彼は色んな女性を見てた……けれど声は掛けずにいた。でもどの女性も真剣に見ていた。

 値踏みしてるとかじゃなくて、もっと違う物を見ていたと思う。だから私から声を掛けたの。

 

 するとこれが大当たり。彼はアイドルのプロデューサーをしてて、このパーティに参加したのもスカウトのためだった。

 彼がする少年のような屈託のない眼差し。それでいて自分の仕事を語る際の誇らしい表情……そんな彼の魔法に私は掛かったんだと思う。

 だから私をアイドルにしてみる気はないかと提案した。最初こそ彼は渋ったけれど、私は簡単に諦める女じゃない。彼の目を見つめて、本気でアイドルにしてみる気はないかともう一度訊ねると……彼は強く頷いたわ。

 

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 

 そこから私は彼と過ごていく時間の中で彼に恋をして、たくさんアピールして、告白してもらったの。つい2週間くらい前になるかしら? 私からでも良かったんだけど、やっぱり告白なら男性の方からしてもらいたいじゃない? でも彼から告白してもらった時は初めての経験でもないのに、涙を流したわ。それだけ私は彼の魔法に掛かっていたみたい♡

 

「高橋さん、少し構図を変えるのでもう一度お願いします」

「えぇ、分かったわ」

「セリフは無しで今度は最後にわざと視線をカメラから外して、ハイボールのグラスに微笑み掛けてください」

「ん〜、こんな風に?」

 

 説明に来てくれたプロデューサーに私が微笑み掛けると、彼はすごくいい笑顔で「そんな感じです」と頷いた。それもそう……だって私は彼のことを思い浮かべて微笑むと、いつだって最高の笑顔が出来るんだもの♡

 

 ―――――――――

 

 撮影も無事に終わった私はプロデューサーの運転で事務所に帰ってきた。プロデューサーも納得のいく映像が撮れたみたいでずっとニコニコしてるし、私まで嬉しくなっちゃう。彼のそういう少年的なところが私を魅了するのかしら? 私より4つも年上なのにかわいいところがあるのってずるいわ♡

 

「上に報告すれば俺も高橋さんも今日の仕事は終わりなので、帰り支度をしていてください。送っていきますから」

「分かったわ……でも出来るだけ早く戻って来てね?♡」

 

 じゃないと時間が無くなっちゃうからね♡

 

 なんの時間かというと、今日は彼の……プロデューサーの誕生日。だから仕事が終わったら私が借りてるマンションの部屋に彼を招待して、私なりにお祝いしてあげようと思ってるの。最初はホテルのレストランでディナーをご馳走しようかと思ったんだけど、私たちは恋人同士だし、その最初こそインパクトが強い方がいいと思ったのよね。何より彼の喜ぶ顔を独り占めしたかったし♡

 

「分かりました。出来るだけ早く戻って来ますね」

「えぇ、お願いね♡」

 

 ―――――――――

 

 私の部屋に入ったら、早速行動を開始する。今朝早起きして仕上げるだけにしておいた料理を仕上げ、この日のために志乃にも助言してもらって買っておいたシャンパンをグラスに注いだら、私たちだけのディナーパーティが幕を開ける。

 

「お誕生日おめでとう、〇〇さん♡ あなたが生まれた大切な日を、こうしてあなたの恋人として祝えるだなんて幸せだわ♡」

「ありがとうございます、俺もすごく嬉しいです。礼子さんと出会えて、こうして付き合えて……」

 

 誕生日に乾杯をし、グラスを控えめにカチンと鳴らした私たち。でも彼はシャンパンではなく、私の唇をこのパーティの最初に口にした……せっかちな人♡ 私はどこにも行かないのに♡

 

「んっ……もう、マナーが悪いわね♡」

「嬉しそうじゃないですか」

「あなたとのキスが嫌なはずないでしょう?♡」

 

 私をこんなに幸せな気持ちにさせるキスが出来る人はこの世であなただけよ♡

 

「それよりシャンパン、ぬるくなっちゃうわよ?」

「頂きます……おぉっ……美味しいです」

「良かったわ♡」

 

 私がそのシャンパンを作った訳ではないのに、彼のその一言に喜んでしまう。ダメね。どんなに経験豊富でも、彼の前では私はただの少女になってしまうみたい。

 

「ね、あーんってしてあげましょうか?♡」

「いいですね。では、食べさせますね。礼子さん、お口を開けてください」

「ふふっ、今のは普通流れ的に私が〇〇さんにあーんをするところでしょ? ふふふっ」

 

 本当に可笑しな人。素でこんなに可愛らしい人ってそういないわよ。

 

「あ、すいません……」

「赤くなっちゃって、本当にかわいいわ♡ 次からはもっとちゃんと提案するわね♡」

「さっきのは忘れてください……」

「いやよ♡ こんなに可愛らしい思い出、記憶喪失にでもならない限り忘れてあげないわ♡ 記憶喪失になっても覚えてるかもしれないけど、ね♡」

「礼子さん……」

「ふふっ、そうして眉尻下げてる表情もかわいいわ♡」

 

 今日は彼の誕生日で私はもてなす側なのに楽しんじゃってごめんなさいね。でもあなたとのこういう時間は私にとって最高の時間なの♡

 

 ―――

 

 ディナーを終え、食器洗いも終えた私はリビングのソファーでくつろいでいる彼の隣に行く。私が彼の隣に座ると、彼は自然に私の肩に手を回して抱き寄せてくれる。

 私はその瞬間がとても好き。あぁ、私はこの人の恋人なんだって強く実感するから。

 

「今夜は泊まっていってくれるでしょう?」

「迷惑でなければ」

「迷惑なら最初から呼んでないわよ」

「ありがとうございます」

「私こそありがとう。あなたの大切な記念日の時間を私だけに割いてくれて」

 

 去年は事務所でお酒が飲めるみんなとそれこそパーティをしてたのに、今年は私に独り占めさせてくれたんだもの。絶対に最高の時間を私がプレゼントするわ♡

 

「〇〇さん♡」

「はい?」

「今夜は私に酔って?♡」

「既に酔ってますよ……今日の礼子さんはいつにも増して、綺麗ですから」

「ふふっ、嬉しい……ねぇ、じゃあキスして?♡」

「はい……」

「んっ♡」

 

 唇と唇が軽く重なるだけのソフトなキス。それを彼は何度も繰り返す。すると私の身体は徐々に熱くなっていく。彼だけが使える私を夢中にさせる魔法。

 

「ぁ……♡」

 

 唇の次は必ず私の瞼に彼は唇を落とす。知ってか知らずか尊敬の意味を含むキスを彼は必ず唇の次にする。だから私も私から彼の瞼にキスを返す。

 

「んっ……あっ♡」

 

 次の標的は耳。耳へのキスは誘惑を意味する。だから私は彼に全てを任せるの。

 

「ひぁ……くぅんっ♡」

 

 そして首筋……正確には喉ね。ここへのキスは欲求。つまり彼は私を求めている。

 

 これまでのキスにそういう意味があるということを彼は知らない。そういうことには本当に疎いから。だからこれは私の妄想。でも妄想なのに私は嬉しくて乱れてしまう。そんな知識なんてなくても彼の心が私を求めてくれているみたいに思えるから。

 

「礼子さん……」

「えぇ、いいわ……来て♡ 今の私はアイドルじゃない……あなただけの女よ♡」

「礼子さんっ」

「あっ……〇〇さんっ♡ 好き……大好きよっ♡」

 

 ―――――――――

 

 気がついたらベッドルームで朝を迎えてしまった。彼の魔法のせいで完全に描いていたプランが崩れてしまった。

 いや、彼が私を求めてくれたのは嬉しかったし、最高の夜をプレゼント出来たとは思ってる。

 

「すぅ……すぅ……」

 

 今も私の隣で無邪気に眠ってるし♡

 

 昨晩は本来ならディナーのあとで私が用意したプレゼントを彼にあげて、それから私自身を味わってもらう予定だった。なのに私がその気にさせられてしまってそのまま彼に身を委ねてしまったわ……。

 でも気持ちよかった……♡ まだお腹も彼のせいで重いし……♡

 まあデキちゃったらお互い腹を括る覚悟があるからいいんだけど、もう少しこのドキドキな恋愛をしたいわね♡

 

 さて、プレゼントを渡すのがすっかり遅くなってしまったけれど、せっかく用意した物を渡さないのも変だから彼を起こしたら渡しましょう。

 

 ―――

 

「え、プレゼントですか?」

「えぇ、昨晩はその……雰囲気で渡しそびれちゃったの……」

 

 朝食の席で私は早速彼にプレゼントの話を切り出した。彼はとても驚いていたけれど、私って好きになった人にはとことん尽くしちゃうタイプなのよね。それもやり過ぎってくらいに。

 

「わざわざありがとうございます」

「いいのよ、それで受け取ってくれるかしら?」

「はい、勿論です」

「じゃあ、今持ってくるわね♪」

 

 私が彼のために用意したプレゼント……それは―――

 

「……抱き枕ですか?」

 

 ―――私の写真がプリントされたカバー付き抱き枕よ♡

 色々考えたんだけど、これがインパクトあっていいかと思ったの。最悪枕カバーは捨ててもらっても構わないしね。

 

「反対側には水着姿の私の写真がプリントされてるわよ♡」

「あぁ……これはこの前のグラビアの写真ですね」

「……要らなかったらそのカバーは捨てていいから」

「あ、すみません。そんなことしませんよ、大切にします」

「でも反応薄かったわ」

「いえ、ちょっと考えてまして……」

「何を?」

「俺は好きな時にいつでも生の礼子さんを抱きしめることが出来るから、写真じゃなくてもいいかなぁと……」

「っ!?」

 

 ず、ずるい……素でそんなこと真面目に言われてこっちがドキッとしたじゃない!♡

 

「なら早速抱きしめる?♡」

「喜んで……」

「あ……♡」

 

 こうして私たちは珍しく遅刻するギリギリになって事務所に着いたわ♡ 遅刻しなくてよかったけれど、こういう刺激的な朝も悪くないわね♡―――

 

 高橋礼子♢完




高橋礼子編終わりです!

礼子さんはとにかくえっろいので甘くてえっろい話にしました!←

お粗末様でした☆

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