デレマス◇ラブストーリーズ《完結》   作:室賀小史郎

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茄子(なす)ではなく茄子(かこ)と読みます!


鷹富士茄子編

 

 小さな頃から

 

 運は人一倍良かった

 

 くじ引きをやれば大当たり

 

 壊れて捨てられていたおもちゃも

 

 私が触れると動き出す

 

 そんな幸運な私を

 

 更に幸せにしてくれる

 

 素敵な魔法使いさんが現れ

 

 人々に幸運のお裾分けをしています

 

 ―――――――――

 

「うお〜、すげぇ〜……」

「すごく高そうなお部屋ですね……」

「そりゃあそうだろ。三ツ星ホテルのペントハウスだぞ? スイートルームの更に上のランクだからな」

「まあ、そうだったんですか? ではますますすごいですねぇ♪」

 

 こんにちは、鷹富士茄子です。私は今、専属プロデューサーと共に東京都内の三ツ星ホテルに来ています。

 その理由は私が福引きで特賞を当てまして、せっかくですのでオフを頂いてプライベートで宿泊に来たんです。

 プロデューサーは最初はお仕事のご予定があったのですが、幸運なことにお相手の方から日程のご変更をお願いされたらしく、晴れて私と二人きりで宿泊しに来れたのです。

 

 どうして私とプロデューサーが二人きりで宿泊なのかというと、私たちが事務所に内緒で秘密恋愛をしているからです。

 アイドルとプロデューサー、ましてや私は今やそこそこ名の知れたアイドルなので、私がアイドルを引退するまでは秘密しようとプロデューサーと決めました。

 とは言っても、仲良しのアイドル仲間にはご報告しています。やはり仲間たちには隠し事はよくありませんし、味方が多くて悪いなんてことはありませんから。

 

 プロデューサーは私が初めて運命を感じた殿方。なので私はアイドルとプロデューサーという関係だけでなく、もっと深い結び付きを求めました。

 迷惑かもしれない、断られるかもしれないと思っていた矢先にプロデューサーから告白をされたので、私は更に運命を感じました。勿論、私の答えは一つ。そして今に至ります。

 

 幸い事務所の方には全くバレる心配もなく、これまで平穏にお付き合い出来てきましたが……今回は流石にバレちゃうかもしれません。しかしそれはそれでなんとかなるだろうと私は思っています。何しろ私には、プロデューサーという最も大切な人をもう手に入れていますから♡

 

「茄子の強運には毎度驚かされてるが、今回も驚かされたなぁ」

「いいサプライズになって良かったです♡」

 

 窓際のソファーに並んで座る私たち。ここはホテルの最上階なのでどんなにくっついていてもバレる心配はありません。なので私はそれをいいことにうんとプロデューサーの左腕に自ら両手を絡めてくっついています♡

 普段と何も変わらない会話しかしていないのに、私の胸はそれだけで幸せを感じて、トクントクンと鼓動が弾みます♡

 

「ロイヤルスイートだからどれも高級感が半端ないなぁ。逆に落ち着かないよ……」

「ふふふっ、プロデューサーらしい♡ あ、今は下のお名前でお呼びしても問題ありませんよね?」

「え、ま、まあ大丈夫だろ。専属のバトラーさんは付いてるが、呼ぶまでは来ないだろうし……」

「では……〇〇さん♡」

「……な、なんか照れるなぁ」

「私も少し……ふふっ♡」

 

 普段の私は"プロデューサー"か苗字でしか彼を呼ぶことはありません。それをいざ下のお名前にすると、私の鼓動はまた更に早くなります。そしてとてもふわふわとした気持ちになって、それがまた心地良い。

 

「……部屋の中でも見て回るか」

「そうですね♡」

 

 このままソファーで寛いでいては私もプロデューサーも心臓が爆発しちゃいそうですし♡

 

 ―――――――――

 

「今思うとやたらソファーが多いな……」

「そうですね。どこでも寛げるように配置されているのでしょうか?」

「多分な。でもぶっちゃけこんなに要らないよな」

「なら、私と暮らすお部屋にはソファーは一つでいいですね♡」

「お、おうそうだな……」

(将来も一緒にいてくれるんだなぁ)

 

 プロデューサーは必要最低限の家具しか置きたくない人。となると、やっぱり和室の方がこのみなのでしょうか? プロデューサーが住んでいるマンションも和室がありますし、基本的に和室をお使いになってますから。

 

「それともソファーではなく、座布団か座椅子ですかね?」

「うん? まあ、俺は別に拘りはないからなぁ。ただ家具をごちゃごちゃ置くよりは、シンプルな感じの方が過ごしやすいだろ?」

「なるほど、私も同意見です♡」

「なんでそんな嬉しそうなんだよ……?」

「だって好きな人と同じ意見なのって嬉しくありませんか?♡」

「それは分かるけど……」

「同じ意見だから、今の私たちがあるんです。ほら、とても嬉しく思えませんか?♡」

「それはちょっとズルい例えだよ。頷くしかないじゃん」

「ふふふっ♡」

 

 はぁ、幸せで思わずため息が出てしまいます。時には違う意見になることもありますが、やはり根本は同じ意見でないとこんなにも愛しさは募りません。

 

「あぁ、もう我慢出来ません♡」

「? 何が?」

「大好きです、〇〇さん♡ とってもとっても大好きです♡」

「お、おう、俺も茄子のことが好きだよ」

「はい……ふふふっ♡」

 

 言っちゃった♡ でも言えば言う程、私のプロデューサーへの愛しさは増していきます。

 

「茄子は本当に可愛いな」

「〇〇さんの前だけです♡」

「幸せで罰が当たりそうだ」

「大丈夫ですよ、私が側にいるんですから♡」

「流石女神様だな」

「〇〇さんだけの女神ですよ〜♡」

 

 私は別に自分のことを女神だなんて大層なことは思ったことありません。でも愛するこの方がそう思ってくれるならば、私はそうでありたい。

 それに―――

 

「まあ、茄子が女神でもなんでも俺は好きだけどな」

 

 ―――彼はどんな私でも好きだと……そう言ってくれます。気遣いとかおべっかではなく、真っ直ぐな気持ちで……。だから私は幸せを実感してまた自然と笑みをこぼします。

 

「次の部屋に行こうか」

「はいっ♡」

 

 ―――――――――

 

 それからも私たちは部屋の中のさまざまな場所を探検しました。プロデューサーはその都度圧倒され、私も圧倒はしていましたが、プロデューサーの反応の方が可愛くてそっちに夢中になってました♡

 そして今はルームサービスを待っているのですが―――

 

「まさか俺たちがこの部屋に宿泊した百万組目の客だとは……」

「その記念にルームサービスは特別な物をご用意してくださるなんて、幸運ですね♪」

 

 ―――またも幸運なことが私たちに舞い込んだんです♡

 

 百万組目の宿泊客として、ルームサービスは特別なディナーを無料で提供してもらえます。

 

「シャトー・ル・パンなんて高いワイン初めて飲むけど、飲んで腹くださないか心配だ」

「胃が驚いてですか?」

「あぁ。そもそも俺は普段からワインなんて飲まない」

「でもそのシャトーなんとかという名前は知ってるんですね」

「別名シンデレラワインだからな。同僚たちと飲んでた時に話のネタとして同僚の一人が話してたのを覚えてたんだ」

「まあ、まるで私たちにピッタリなワインですね♪」

 

 私もシンデレラガールズの一人。そんなシンデレラにしてくれたのがプロデューサー。だからこれはきっとこうなる運命だったんだと私は思いました。

 

「今日はサプライズ尽くしだなぁ、本当に」

「私は幸せ尽くしです♡」

「そんな笑顔で言われたら、何も言えないな……」

「今は言葉なんて必要ありませんよ♡ 今はただ、私とこの幸せを噛み締めましょう♡」

「……そうだな」

 

 プロデューサーはそう言うと私の肩を優しく抱き寄せてくれました。私はそれが嬉しくて、また更に幸せを実感出来ました♡

 

 ―――――――――

 

「……〇〇さん♡」

「茄子……」

 

 素敵なディナーを愛するプロデューサーと過ごした私は、夜景をバックにプロデューサーと見つめ合っています。

 お互いお酒も入って気分も高揚し、ただお互いに相手の名前を口にするだけで、もうそれ以上の言葉がなくても相手が何を望んでいるのか分かります。

 

「んっ……ちゅっ……んむぅっ♡」

「ちゅっ……っ……んっ」

 

 お互いにただ相手を求め合う、シンデレラとはかけ離れた荒々しいキス。でもこれでいい……私はこれがいい♡

 求めて欲しい。私がプロデューサーを心から求めているように、プロデューサーからも私をたくさん求めて欲しい。

 

「……っはぁ、ちょ、ちょっと待ってくれ……!」

「はぁはぁ、どうしたんですか?」

 

 私はもっとプロデューサーが欲しいのに、どうしてお預けにするんですか……酷いですぅ。

 

「どうしてって……そりゃあ、茄子が……」

「私がどうしたんですか? もしかして、私……何か〇〇さんに嫌われるようなことしてしまいましたか?」

「い、いやそんなことはない。絶対に」

「では、どうして?」

「茄子の手がさっきから俺のをその……撫でてるから」

「あら、〇〇さんもそのつもりでキスしてくれたんですよね?」

「そ、そうだけどさ、まだ風呂も入ってないだろ?」

「それの何が問題なんですか?」

 

 私はどんなプロデューサーでも受け入れられます。寧ろそのままの方がよりあなたを強く感じられるから、私としては好ましいんですが……。

 

「やっぱりこういうのはお互い綺麗になってからの方がいいと思って……」

「私がこのままでと望んでも?」

「うん……矛盾してるかもしれないけど、茄子には出来るだけ綺麗なままでいて欲しいんだ」

「まるで自分のせいで私が汚れてしまうみたいな言い方ですね?」

「そりゃあ、な。もう何度も茄子とはこういうことしてるけど、茄子を汚したくないから……」

 

 その気持ちは嬉しく思います。でもそんなこと要らぬ気遣いです。もう既に私はあなたなしでは生きていけない身体になっているのですから。

 そもそもプロデューサーが私を汚すなんてことはありませんから!

 

 だから私はそのままプロデューサーをソファーへ押し倒しました。

 

「うわっ」

「………………」

「茄子……?」

「私は〇〇さんのせいで汚れるなんて思いません。これは私が望んでいることです」

「……茄子」

 

 私はプロデューサーの上に馬乗りになり、自ら上の服を全て脱ぎ捨てます。

 

「ここもここもここも……全て〇〇さんのです。この世界で私の全てを愛することが出来るのは、〇〇さんただ一人なんです」

「………………」

「それに私のココ……。ココはもうあなたの形を覚えてしまって……あなたとこうしているだけであなたを受け入れたくて、疼いています♡」

「っ」

「愛してます、〇〇さん♡ どうか私をあなたの愛で満たしてください♡」

「茄子っ!」

「〇〇さんっ♡」

 

 私を幸せにするのも不幸にするのも生涯であなただけ。でもあなたとなら私はどんな不幸の中でも小さな幸せを感じることが出来る。それはあなたを愛しているから。

 

「茄子っ、愛してる!」

「私もですっ……あぁっ♡」

 

 その日の夜は、これまでで一番激しくて、とても幸せな夜でした♡―――

 

 鷹富士茄子♢完




鷹富士茄子編終わりです!

実は神様なのでは?と噂されるラッキーアイドルからの愛はとてつもないってことで!

お粗末様でした☆

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