No.23   作:Blood Moon

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片羽の天使

アレルヤが降下する。

 

「戦闘、既に始まっています!」

 

オペレーターの声が響く、ブリーフィングと違いすぎる。

 

と思うと壁から爆風がアレルヤを撫ぜていく、恐らく超大型ミサイル、ゲームの時は核ミサと呼んでいたものだろう。最近本物と会うはめになったのについていない。

 

あくまで大型なだけなので放射線被害はない。

 

 

戦争において攻撃性能と防御性能のどちらが先に発展するか解るだろうか?

答えは前者である。

彼らノーマルはネクストと同じ兵器も扱えるこれも国家解体戦争との違いだろう。

プライマルアーマーがあるとはいえ、ネクスト戦で使われる武器もノーマルは使えるのだ。もちろん当てれるならば、という条件はつくが。

 

 

 

レーダーの反応をみると敵ノーマルと明らかにスピードがノーマルではない機体。

「高エネルギー、不明ネクストです!」

 

すると壁が焼け始めると白い機体が押し割るように外へ飛び出す。

 

ローゼンタール製ネクストHOGILEに右腕にブレード左腕に僕らでは初期ライフルと呼ばれていたスタンダードライフル、右肩には三連レーザー、破壊天使砲と呼ばれた高火力のエネルギー兵器を搭載している。

 

だが僕はこの機体構成を『見たことがない』

「NO.29ロードです!」

 

NO.29…僕と同じくリンクス戦争時には既にいなかった者である。

 

GA製のノーマルがバズーカをその機体に放つとその機体は『本来のクイックブーストよりも多い噴射光』を出しながらノーマルをブレードで切り刻んでいく。

 

 

僕は知っている。そう知っているだけだ。二段QBというエネルギーを少しだけ多めに使い、より速くより遠くにクイックブーストを使う技術、そしてこれはリンクス戦争時に三人しか使えなかったものだ。アスピナの傭兵、砂漠の英雄、アナトリアの傭兵。それなのに四人目が僕の前にいる。

 

「同類…なのか?」

 

「NO.23サンプルか、レイレナードのお前がこの依頼を受ける、それは私の道を壊すものだ」

レーダーの白い点が赤く変わる。

 

「死ねっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

間合い、という言葉それを、如実に感じる。

 

相手の躍動的なリズムはまるで人が舞っているような、AMS適性の差ではない。次僕がここに立つことをわかっているようなどんどんAPが消えていく。

「何故僕に襲いかかる!道とは何だ!?」

「世界はあるように進み、あるように継がれるべきだからだ!」

 

 

フレアをぶつけて目眩ましにする。本来の用途とは違うが仕方ない。ロードはレーザーを放つエネルギー弾は距離減衰が激しい。後ろにQBを吹かしてからすぐ右に吹かす、駄目だ平衡感覚がブレそうになる。

 

フレアをぶつける、しかし問題はないかのようにブレードがアレルヤを切り裂く。

 

「二度は効かん、致命的だったな」

「お互いにな」

 

 

 

ロードに大型のミサイルが背中から直撃する。本来フレアはミサイルをその熱源で誤魔化すものだ。しかし今回は逆に取らせてもらった。

 

しかしロードはブレードを直前で振りその慣性と爆風で僕の目の前に、ライフルでアレルヤのモノアイを撃ち抜く。

 

僕は前方向のQBで体当たりをする。

 

恐らくはブレードを振ろうとしてたロードは吹き飛ぶ。

 

相手はブーストがおじゃん、こっちは視認に難あり。

 

満身創痍だった。

 

「素晴らしい抗いだ」

お互い様だ。

「死にたくないもんでね」

「本当か?それなら何故ネクストを降りない?最も安全になるぞ、死にたがり」

僕は頭をぶん殴られたような気がした。その手段があるのに何故僕はネクストを降りない?『死にたがり』というのは否認できない。僕は死んだからここに来ているのだから。だけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う…僕はまだ死ねない、力を手に入れるまで!何かを見つけるまで!」

 

そうゆうとロードはオーバードブーストで空に飛ぶ、格納してあるから壊れずそれをギリギリまで黙っていたのか、たちの悪い奴だ。

 

「お疲れ様でした、サンプル」

オペレーターの声が響く、ファットマンみたいなのもいいが女性の声は戦場から戻れたような実感がして悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

「敵ノーマルはこちらで処理したのでこちらの報酬ははありません、ネクスト戦への対応についてで払わせいただきます」

 

……やっぱり女怖い。

 


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