ホームズと振り返る、高難易度人理修復   作:厨二留年組

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ホームズと振り返る、高難易度厨解釈 邪竜百年戦争オルレアン

特異点Fの振り返りを終了したホームズとリツカは第一特異点であるフランスの記録を見始めた。

 

大量の海魔とワイバーンによって冒涜的に蹂躙された街を、新たにジャンヌ=ダルクを仲間に加えた自分たちが進んでいるのを見て、リツカはホームズに質問した。

 

「ジャンヌは英霊として不完全な状態でフランスに呼ばれているけれど、普通なら知名度補正がかかって万全以上の状態で呼び出されるはずでしょ?どうしてこの時はこうなったの?」

 

映像を止めてホームズは口を開く。

 

「この特異点の原因は聖杯を所持したジルドレと反転したジャンヌ=オルタだ。特異点形成にあたって、ジルドレはジャンヌ=オルタを作り出したが、同時に本物のジャンヌ=ダルクも呼び出していたんだ。」

 

「ジルドレはジャンヌが大好きだから、自分たちが危機に陥らせたフランスにジャンヌが召喚されないなんてあり得ないって考えたせいかな?」

 

「それもなくはないだろうけど、最適解では無いね。彼は自らが作り出したジャンヌ=オルタの為にわざとジャンヌを不完全な状態にして呼び出したのだよ。彼が先に不完全な召喚をしたことでアラヤからの完全な状態のジャンヌの召喚可能性を潰したのさ。仮に完全な状態のジャンヌが召喚されていたなら、紅蓮の聖女という自爆特攻宝具で彼女だけで特異点修復がなされていた可能性が高い。」

 

「どうして?ファヴニールはどうするの?ジャンヌに勝てるとは思えないんだけど。」

 

「それに関しても問題がない。まず紅蓮の聖女によってジャンヌ、ジャンヌ=オルタが共に消滅する。次に……」

 

「ちょっと待って。なんでジャンヌの自爆でジャンヌ=オルタまで消滅するのさ?」

 

「ああ。それはあの宝具がジャンヌ=ダルクの火刑という概念を結晶化させたものだからだ。そうである以上、性質に関わらず存在する全てのジャンヌは消滅する。ジャンヌ=オルタもその源流はジャンヌなのだから例外ではない。」

 

「あの宝具にそんな使い方があったなんて。」

 

「本来の聖杯戦争において同じサーヴァントが召喚されないが故に認知されなかったのだろうね。さて、ジャンヌ=オルタが聖杯を一時的に所持していた以上、聖女を火刑にした事で付与された聖性に対する特攻が聖遺物である聖杯も攻撃に晒され破損するだろう。そうなれば、ジルドレ側としては聖杯の確保に動かなければならないわけだが。ジャンヌ=オルタの消滅と同時にジークフリートにかけられていた呪詛が解かれてしまう以上、ファヴニールは全く役に立たない。シャドウサーヴァントも同様だ。ここまでこればあとは勝手に特異点は修復されるだろう。」

 

「それってかなり御都合主義的な進み方じゃないか?現実的じゃない。」

 

「いや、啓示のスキルを高いランクで持つ彼女に限ってはそうでもないのさ。勝利の要因がある以上絶対に上手くいくよう行動する。しかし、まぁ仮定の話だ。映像の続きを見よう。」

 

再び流れ始めた映像では、ファヴニールが圧倒的な力でリツカ達のいる街をなぎ払い、焼き払っていた。

 

「そういえばさ、ファヴニールがジャンヌ=オルタによって強化されてジークフリートでも勝ちの目を得るのが難しくなっているのはわかるのだけれど、それ以前にジークフリート程の英雄が呪詛で動けなくなっていたのは何故なの?」

 

「ああ、もっともな質問だね。セイバーには基本的に高い対魔力があるから、と考えているのだろう?ジークフリートには対魔力のスキルは存在しないよ。悪竜の血鎧を得た代償に機能しなくなってしまったのさ。セイバーで召喚されればクラススキルとして英霊に関係なく与えられる対魔力はジークフリートにも例外なく与えられる。しかし、全身に邪竜の血を浴び、高いランクの邪竜の黄金による呪いを常時対魔力で無効化し続けているから、実質的に機能しなくなっているんだ。」

 

「黄金の呪い?そんな話は聞いたことがないけど。」

 

「いいや、あるはずだよ。ジークフリートの黄金率というスキルと幸運の低さがそれだ。悪竜の持つ黄金には持ち主に対して、ある程度の黄金率を与える効果と幸運値の低下、破滅の呪いを与える効果がある。アンドヴァリというドワーフ、幻想種の中でも魔術、呪術に長けている存在が掛けた呪いなのだが、財宝の守護者であったファヴニールを倒し、血を浴びたジークフリートを財宝を簒奪したものとして認識し、呪いをかけ続けているわけだ。これをどうにかする事は基本的に不可能だ。不幸な事にね。」

 

「シグルドとジークフリートは非常に近しい存在だ。逸話の原型、いや枠組みと言うべきかな?それが同じなのだよ。だからこそ、細かい違いは多々あるが、ジークフリートの逸話にはシグルドの逸話の諸要素が混ざりこんでいる。無辜の怪物と言うスキルがあるだろう。それと似たようなものだと思えばいい。」

 

「ジークフリートとシグルドの相違は何?」

 

「そうだね。違う点を列挙しようか。まずニーベルングの歌おいてジークフリートが竜殺しを行った際に戦った敵のファフニールについてだが、シグルドが倒したのは竜に変身する小人だということ。ジークフリートは竜殺しの末に悪竜の血鎧を手に入れたのに対して、シグルドは動物会話の力を手に入れたこと。ジークフリートの妻がクリームヒルトであるのに対して、シグルドの妻はブリュンヒルデであること。ちなみに、ニーベルンゲンの歌ではブリュンヒルデはブルグンド王の嫁になってしまう。まあ、こんな所かな。それとニーベルンゲンの歌の本筋は彼の妻であるクリームヒルトの復讐劇なんだよ。」

 

「えぇっ!!そっちが本筋なんだ…。あっ、あと、ニーベルンゲンの指輪っていうのを授業で聞いた事があるんだけど関係あるの?」

 

「ニーベルンゲンの指輪はワーグナーという作曲家が、ニーベルンゲンの歌やヴォルスングサガなどを基に作ったものだよ。長い作品だが、機会があれば見てみるといい。ニーベルンゲンの歌も韻が踏まれていたというし、サーヴァントに唄ってもらったらいい。」

 

ホームズに勧められたリツカは苦笑いして答えた。

「あはは、機会があれば頼むとするよ。」

 

あれこれ話しているうちに、気づけばピエール=コーションの情けない姿が映像に映っていた。それに目を向けたリツカは更に疑問を口にする。

 

「異端審問で聖女を火刑にするってさ、聖女に与えられた加護を考えると難しくないかな?どうやってやったのさ。ジャンヌは規格外の対魔力と、強力な加護があったんでしょ?」

 

事が事だけにジャンヌ本人には聞きづらいから、と気まずそうに聞いたリツカに対してホームズは顔をしかめながら答えた。

 

「たしかに本人には聞かない方がいいだろう。少し気分が悪くなるかもしれないが…」

 

前置きをした後にホームズは答えた。

 

「神から加護が与えられた聖女が殺せないのならば、神の加護が与えられない小娘にその身を堕とせば良いと異端審問側は考えたのだろうね。魔女であるという虚言を流布し、その身を貶める事で負担をかけた。彼女の強靭な精神を彼女が守った人々に攻撃させた。そうする事で、彼女に与えられた加護を消したんだ。」

 

「加護ってそんな簡単に消えるものだったの?」

 

「彼女が信じる神が与えた加護はフランスを救うためのものだ。シャルル7世が戴冠し、フランスの救済がある程度なされた以上、加護の力は当初よりもかなり弱まっていただろうね。加えて言うならば、彼女が聖人として認められたのは20世紀初頭だ。」

 

世界でも高い知名度を誇る聖女が聖人として認められたのが最近である事に驚いているリツカをよそにホームズはジャンヌの話を早々に切り上げた。

 

映像は止まっていた。既に第一特異点の記録を流し終えてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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