ホームズと振り返る、高難易度人理修復   作:厨二留年組

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ホームズと振り返る 高難易度厨解釈 永続狂気帝国セプテム

「さて、ローマだ。」

 

映像を見始めたホームズはリツカに目を向けて、言い放った。

 

「あまりゴチャゴチャ話すのもアレだから先に話すことを決めておこう。どうせロムルスとアルテラの話くらいしか目ぼしい所はないだろう?」

 

「いやいや、ネロの話とか聞きたいんだけど。どうしてネロの時代が特異点になったのかとか。ローマなら他にも色々、カエサルの時代とか、オクタヴィアヌスの時代とか、コンスタンティヌスの時代とかあるじゃん。」

 

「ふむ、ではその事も含めて説明しようか」

 

まさか、ホームズの奴、自分から話し始めたのにめんどくさくなってきたのか、などとリツカは考えながら話の続きを促した。

 

「.まず、なぜネロ帝の時代なのかと言うとだね、ネロ帝がいずれ獣として人類史に強く刻まれることになるからだよ。そうなる前に死んでしまうことが世界にとっては何よりも大きな歪みとなってしまう。」

 

「えーっと、どう言うこと?」

 

「21世紀現在、世界で最も読まれている本は何だと思う?」

 

「えっ、あっ、聖書…」

 

「そう、聖書だ。黙示録において666と語られる獣はネロ帝を示している。それはネロ帝がキリスト教を迫害したのが原因だろう。仮にネロ帝が本来の歴史よりも早く死んでしまった場合にそれが起こらなくなってしまう。そうなれば聖書は完成しない。」

 

「完成しない?何で?」

 

「聖書はゾロアスター教の二元論や終末思想などを取り込んでいる。666のいない、つまるところ黙示録が不完全な、終末思想の要素が抜けた聖書は宗教経典として不完全、聖書世界観そのものが歪になってしまう。そうなった場合の特異点の規模はかなりのものだろうね」

 

「そうか、だからローマ帝国早期滅亡と、聖書世界の崩壊を一手に行えるネロの時代なんだ。……レフはアレだね。コフィン爆破といい目の付け所はいいのに致命的なポカをやらかすよね。じゃなきゃ人理が焼却されてたんだけどさ。」

 

敵のミスによる危ういバランスの上での人理救済だったなぁ、などと肝を冷やしつつリツカは話を移す。

 

「ロムルスの宝具、アレ何?ちょっとおかしくない?何でもありに見えるんだけど?」

 

映像ではロムルスの建国槍が大樹を召喚し、歴代ローマ皇帝を召喚し、ローマ軍人を多数召喚し、建築物さえも召喚していた。

 

「おかしいよね。大樹召喚も質量がおかしいけど、歴代ローマ皇帝と、建築物は明らかにおかしいよね。ローマ皇帝ってサーヴァントだよね!ハドリアヌスの長城とかコンスタンティノープルの三重壁とか明らかに宝具だよね!」

 

「全ての道はローマに通じる。ローマの現在過去未来を内包する建国槍はロムルスが建国の際に植えた木であり、ローマそのものを象徴するものだ。その位はやるだろうね。ロムルスは聖杯によって異常強化されて呼び出されたんだから。」

 

理由はそれだけではないと、ホームズは付け加える。

 

「ロムルスは死後、クイリヌスという神格になる。前に話に出した気がするけど、ロムルスは規格外の皇帝特権によって神性を抑えている。聖杯によってそれが出来ていないから、ほとんど神霊みたいなものさ。」

 

「クイリヌス?ロムルスのそれってマルスの子としての神性の話じゃないの?」

 

「それも正しいよ。マルスの子としての半神ロムルスは死後クイリヌスという神になる、で分かるかな? クイリヌスというのはローマにおいて平和な時のマルスと考えられている重要度の高い神だ。……ややこしいね。この話は後に回そう。」

 

先にアルテラについて説明してしまおうか、などと言いつつホームズは煙を吐き出す。

 

「アルテラ、彼女はさっき話題に出したニーベルンゲンの歌にもエッツェルという名で登場する。まぁ、それは置いておいて、重要なのは彼女の持つ武器、三色に光る神の鞭だ。マルスの武器である、あの鞭の色は印欧語族神話における三機能構造を示している。三機能構造とは、印欧語族神話における神格の役割区分を上位から主権、戦闘、生産の三つに分類したものだと思えばいい。この三つの構成要素が社会階層や神学の主要部分を構成していた。」

 

ホームズは裏紙を取り出し図解しながら説明を始める。

 

「まず、マルスが三機能構造の全てを掌握したローマ最大の神格であるところの説明を行うために三機能を個々で分けて考えようか。最上位である主権は無論、建国王であるロムルスが保持している。戦闘はギリシアの戦神アレスと同一視されるローマ最大格の戦神マルスが機能させている。そして生産はローマの平和を司るクイリヌスという神格が機能させている。」

 

主権ーーロムルス(死後クイリヌス)

I I

戦闘ーーマルス(ローマ最大格の戦神)

I I

生産ーークイリヌス(マルスの非戦闘時)

 

「まぁ、なんだい。要は全部マルスなんだよ。ローマにおいてマルスは大抵のことが出来てしまう、ギリシア輸入前から存在する強大な神格なんだ。ちなみにローマ神話の主神はユピテルというローマ版ゼウスだけれど、この神格はローマ建国当初は存在していなかった。ギリシアから輸入されたものだ。」

 

「さて、アルテラとマルスとの繋がりも説明しなくてはいけないね。何故彼女があんなものを持っているのかとか。彼女の大元から説明しなくてはいけない、彼女の本体ともいうべき存在はセファールという、外宇宙からの侵略者だ。アルテラは聖剣によって打倒され風化したセファールの遺体だった遺跡から、フン族によって発掘され。頭脳体でありながらセファールとしての記憶を失っていたためにフン族によって育てられる。アッティラと名付けられ、己を人間と誤認したまま成長し寿命を終えた存在こそが彼女だ。」

 

「彼女がマルスの剣を持つに当たって、セファールが侵略の際にマルスを打倒して剣を奪取した事を念頭においてほしい。アルテラがマルスの剣を持つに至った理由は、セファールが所持していたという前提でアルテラ自身が三機能構造をフン族の王となって掌握した為だ。神格であるマルスはこれを持って神々の王と呼んで差し支えないほどの力を証明していたけれど、主権も戦闘も生産も人の王ならば担うべき当たり前のことだからね。」

 

「そっか、多神教の神様は役割で分けられちゃうからか」

 

「そうだ。そしてここで話はロムルスの異常な生産力につながる。マルスは王と、戦神と、農耕神の三つの側面を兼ね備える。このうち、農耕神としての側面はクイリヌスと同一視される。クイリヌスとは死後のロムルスの事であり、ロムルスは聖杯に異常強化された際にその方面の力が色濃く出たんだろう。」

 

 

映像が終わった。アルテラに関しては未だリツカは完全に理解出来ていないようだが、ホームズはさっさと話を打ち切ってしまった。

 

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