期待された方々、申し訳ありません。
今回も表現がおかしい部分はあると思いますが、そこは感想欄にてアドバイスをお願いします。
6月18日、アラタとツキヒコの誕生日を祝うパーティーは、秋日家が所有するクルーザーで行われた。
秋日家が裕福な家庭だとは思っていたが、ここまでとは思わなかった。
アラタはカズミから「せっかくの誕生日パーティーなんだから、おめかししないとね」と着付けされた白いタキシードに身を包んでいた。
あまりにも規模の大きい誕生日パーティーということもあり、緊張のあまりにアラタの身体は固まっていた。
そんなアラタを見ながら、ツキヒコは笑いを堪えながら声をかけた。
「プッ...クフフ。アラタそんなに緊張するなよ。笑顔がぎこちないぞ」
「だっ、だってこんな大きな船で誕生日パーティーをするなんて思ってなかったし。むしろ主役はツキヒコの方だと思うんだけど...。」
「どうして、そう思うんだよ?今日はお前の誕生日でもあるんだぞ」
「確かにそうだけど、パーティーを考えたのはソウイチおじさんだし...。おじさんの子供のツキヒコだけが祝ってもらう方がいいと思う。僕はあくまで、ツキヒコの友達で誕生日が一緒ってだけなんだから。僕は母さんと聖に祝って貰えれば、それで十分なんだけどなぁ...。」
アラタの言葉を聞いたツキヒコは顔をしかめて、言った。
「父さん達に祝って貰うのが嫌なのか?」
ツキヒコの言葉を聞き、アラタは否定する。
「そ、そんな事ないよ!?凄く嬉しいよ!」
その言葉を聞いたツキヒコは笑顔になり、言った。
「なら、それで良いじゃないか。楽しもうぜ」
「うん...。そうだね!後で祝ってくれた人達にもお礼を言わなきゃ」
「大丈夫かぁ?ちゃんとお礼を言えるのかよ?緊張しすぎてお礼の言葉を噛むなよ」
「も、もう。そんなこと言わないでよ、もっと緊張してきたじゃん」
優しい言葉をかけ、慰め、和ませてくれる。まぶしい笑顔を浮かべて。その笑顔は不安や緊張を無くし、安心させてくれる笑顔だった。
「それにしても、アイリおばさんと聖が来れなかったのは残念だったなぁ」
思い出したようにツキヒコが呟く。
「仕方ないよ。聖も行きたがってたけど、風邪をひいちゃったし。そんな聖を看病できるのは母さんしかいなかったんだもん。また来年に母さんと聖を誘ってよ」
「もちろん、そのつもりだよ」
来年もまた、お互いに誕生日を祝う約束をする二人。それはとても仲睦まじい光景だった。
改めてアラタはラウンジを見渡した。ソウイチは顔が広いようで、様々な人々がいた。
教授仲間や有名女優など。
皆、様々な業界で活躍している者達ばかりだった。
「あ、あの人って、女優の月影ゆかりだよね?」
「本当だ。でもアラタって、あの人のファンだったけ?」
「いや、ファンって訳じゃないけど...綺麗な人だから」
「たしかに、凄い美人な人だよな。後でサインもらってくるか?」
「た、確かに。滅多に会えるわけじゃないからね。そうするよ」
その願いはあっさりと果たされた。ソウイチが彼女を含め、数人の友人を二人に紹介したからだ。
精神医学と脳外科の専門家で、多くの功績を出していることで有名な黒松教授に、大宮コンツェルンの会長である大宮幸一。
無所属でありながら、代議士にまで上り詰めた坂田龍三郎といった多くの著名人ばかりだった。
更に緊張が高まり、気絶してしまいそうなアラタだったが、月影ゆかりが放ったことばに気が向いて、どうにか意識を保った。
「10歳のお誕生日おめでとう。春日アラタ君、秋日ツキヒコ君。あなたたち選ばれし子供が世界を変えるのよ。しっかりね」
その一言に疑問を感じたのはツキヒコもだった。彼が「選ばれし子供って、どういう意味ですか?それに、世界を変えるって?」と訊いた。
「あら、あなたたちは知らないの?明日は日食があるでしょう。あなたたちはその時に―」と、月影ゆかりが彼らの問いかけに答えようとした途端に、慌てた様子でやってきたソウイチが「息子達をからかわないでください。困ります」と言い、止められてしまったのだ。
彼女は「久しぶりの楽しいパーティーで酔ってしまったみたい。ごめんなさいね、少し外の空気を吸ってきます」と言って、ラウンジから出ていってしまった。
ソウイチや黒松教授らが一瞬だけ見せた鬼気迫った表情に、アラタは不可解なものを感じた。
いつまで気にしても仕方がない、今はパーティーを楽しもう。と思ったアラタだった。
その直後、突然現れたバッタの大群に襲われて気を失ってしまう。
「さぁご一緒に…我が御子よ‼」
そんな、不気味な声が聞こえた。
アラタが目を覚まして最初に見たものは、不気味な雰囲気が漂う洞窟の中。
そして、白いローブに身を包み、人間とは言えない相貌をした3人の男女だった。
白いローブの人物達の中心にいる、岩のような皮膚をした老人は、不気味な笑みを浮かべながら言う。
「これからあなた方には、王になるための儀式を受けていただきます」
王になる儀式?何のこと?ツキヒコは?
アラタの頭の中は疑問ばかりだったが、隣に居たツキヒコと自分の状況を知った時に言葉を失った。
彼らは、一糸纏わぬ姿でおびただしい数の管に繋がれていたのだ。
「それでは始めよう」
そう呟いた、老人の指から光線が迸った。
何をされるかわからない恐怖に駆られたアラタとツキヒコは叫ぶ。
「ぼ、僕たちに何をする気なの!離してよ!」
「と、父さん!助けて!」
二人が叫ぶ様子をみた老人は笑いながら、光線をアラタ、ツキヒコに向けて撃つ。
「フハハハハハ、この管に繋がれているため、光線をあびても痛みは感じません。ですが人間ではなくなる感覚はあるでしょうね」
老人の言う通り、痛みは感じなかったが、自分たちの体が人の体ではなくなっていく感じはあった。あまりの恐怖に二人の少年は泣き叫ぶことしかできなかった。
すると、突如二人に駆け寄る人影があった。
「アラタ!ツキヒコ!」
駆け寄って来た人影はソウイチだった。二人の姿を見たソウイチは、老人が何を始めるのかを理解し、老人に対して抗議をする。
「待ってくれ!約束が違う!二人から記憶を消して、石を身体に埋め込むのは18歳になってからのはずだ‼」
老人はその言葉に対して声を荒げる。
「黙れ秋日!幼い内にキングストーンの力に馴染ませるようにと、創世王からのご命令だ。創世王のお言葉は絶対。邪魔をするなら貴様の命はないぞ!」
その言葉で動けなくなってしまうソウイチ。
「貴様は、そこで見ているがいい。世界を変える2人の王の誕生を」
光線が2人の脳にまで達しようとしたとき、ソウイチが老人を突き飛ばしていた。突き飛ばせれた衝撃で管は全てちぎれ、二人は自由の身となる。
「貴様ぁ!余程死にたいようだな!」
邪魔をされた老人は怒りくるい、ソウイチに飛びかかろうした瞬間。老人の体を緑色の電撃が襲った。
「ぬおぉぉ!な、何だ⁉」
電撃を受けた老人は膝を着く。アラタとソウイチは電撃が飛来した方へ視線を向けると…。
放電する手を見つめ、涙をながしなら笑うツキヒコの姿だった。
「ハ、ハハ…本当に、もう人間じゃなくなったのか、俺…」
諦めたように笑うツキヒコは、全てを捨てるような決心をした顔で、父に向って叫ぶ。
「父さん!今のうちにアラタを連れて逃げて!」
「ツキヒコ、何を言って「早く!」
父の言葉を遮り、ツキヒコは叫ぶ。
ソウイチは未だに動けないアラタを抱え、走る。すると電撃による影響か洞窟は崩れ始めた。
「おじさん、待って!ツキヒコが!」
アラタの制止を聞かず、ソウイチは走った。
「ツキヒコォ!ツキヒコオォォォ!」
アラタは必死にツキヒコの名を叫ぶが、その声は洞窟が崩れていく音にかき消され、声は届くことはなかった。