お待たせしてしまい、申し訳ありません(待ってる方がいるのか不安ですが)
原作を読み返しながら書いたので、変なところは無いと思います...。 誤字や脱字などがあれば、感想欄に書いていただけると嬉しいです。
今年はもう1話投稿しようと思います。
それでは、トリニティセブン-世紀王と7人の魔書使い-第1話「改竄者と世紀王の選択」どうぞ!
アラタは暗闇の中にいた。誰かがアラタに手を伸ばす。掴みとらなければいけない。そう思い必死に手を伸ばす。しかし、少しの所で届かない。手はどんどん遠ざかっていく。
手を伸ばした人物の姿が段々見えてくる。アラタはその人物が誰か分かると手を伸ばす。
「聖?何処に行くんだ?聖!」
「俺は殺したのに、聖には手を伸ばすんだな」
アラタはその声を聞き、振り向く。そこにいたのは、身体中が血まみれになったツキヒコだった。
「ツキ...ヒコ...」
「お前はこれからも、苦しみ続けるんだよ。アラタ」
「う、うわああああああ!」
「...ハッ!?」
アラタは目を覚ます、視線の先は見慣れている自室の天井。
起きあがり、首をうごかすと一人の少女が視界に入った。少女は心配そうな表情でアラタを見ていた。
「また、あの夢ですか?アラタさん」
「聖...。あぁ、ツキヒコが出てきたよ。ボロボロの体になって俺に言うんだよ、『俺を助けてくれなかったのに』って...」
「アラタさん...。顔を洗ったらどうですか?少しは気が楽になると思いますから」
「うん...そうする」
アラタそう答えると、ベッドから降りて洗面所に向かった。
アラタは洗面所に着くと、鏡を見つめて自分の顔を見た。
酷い顔だった。顔色は真っ青になり、目に光は灯っていなかった。暫く鏡をみつめると、ツキヒコの姿を思い出してしまった。血まみれになり、腕や足はどうにか繋がっている姿。
「...ッ!」
アラタは頭を横にふり、顔を洗い始めた。その後に自室に戻ると制服に着替えて、リビングに向かう。
リビングに入ると聖の姿があった。聖が朝食を作り終えた所のようで、テーブルに朝食を並べていた。
「おはようございます、アラタさん」
「おはよう、聖」
アラタの顔を見た聖は安心した様子で、
「良かった...。少しは顔色が良くなったみたいですね、朝食にしましょう」
「大分楽になったよ。ごめん、心配かけて」
「今に始まったことじゃないですから、あまり気にしないでください。座りましょう」
二人は椅子に座り、食事を始めた。
「ご馳走さまでした」
「はい、お粗末様でした」
聖はそう謙遜するが、アラタは特に不満は感じていなかった。
「また、そうやって謙遜しなくても」
「謙遜なんかじゃありません。アイリさんやアラタさんの腕に比べればまだまだですよ」
「そうかなぁ、俺は追い抜かれそうで結構あせってるんだけど」
アラタの言葉は間違っていない。中学から二人で交代しながら家事をやっている。小学生から家事を始めたアラタだが、聖が家事を積極的にやり始めたのは中学からである。母のアイリや自分が教えたことで料理の腕はあがっていったが、3年でここまで成長したことで自分の腕を追い抜くのではないか、と感じている。
「そろそろ時間ですね」
「もう、そんな時間?」
時計を見ると、家を出る時間となっており、二人は片付けをして学校へ向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
ゴルゴムとの戦いから三年が経った。世界的にも知られたゴルゴムの侵略だったが、あれほど大きな出来事にも関わらず、ほとんどの人がそんな事件はなかったかのように忘れていた。
俺としては、あんな出来事は忘れても良いと思っている。家族、友人、恋人を失った人がいた。そんな辛いことを忘れたいと思う人はいるだろうから。
戦った俺は覚えておかなければならない、救えなかった命、俺に助けを求めた人々の命。それを背負って生きていかなければならない。
認めたくないことだけど、多くの命が犠牲になったことで今の平和な世界がある。
俺は自分にそう言い聞かせながら、自宅を出た。
◆◆◆◆◆◆◆◆
外に出た途端、アラタが感じたのは、違和感だった。何かが違う、正確な表現は出来ないが、何か変だ。
アラタは辺りを見渡すが何もおかしい所は無い。道行く人々は毎日見掛ける顔の人ばかりである。
何かがおかしい...。何が...!?
アラタが空を見上げて目に入ったのは太陽だった。黒い太陽。とでも言うべきか、禍々しい感じを漂わせる太陽があった。
そんなアラタは様子に気付いていないのか、聖は身体を伸ばして言った。
「うーん、今日もいい天気!」
アラタは驚きながらも聖に声をかける。
「なんか太陽、おかしくない?なんか黒いっていうか」
アラタの言葉を聞いた聖は「?いつもと変わりませんよ」と返す。
「そうかな...? なんかこう、もっと眩しかったような......」
「充分眩しいじゃないですか。この私の爽やかな笑顔のように!」
そんな聖の言葉に「ええっと...」とアラタは返答に困ってしまった。
「なんですか、その反応は!?可愛いボケじゃないですか」
「ボケなの?」
アラタはそう言いながら聖に近づくと、頭に手を置いて何かを確認した。
「身長は....伸びてはないよね?」
その言葉に聖は顔を赤くしながら、
「の、伸びてますよ!!まだまだいけますって!!」と反論する。
「確かにまだ10代だから伸びる可能性はあるだろうけど...。俺は今の身長が良いと思うよ?」
「それ、どういう意味ですか?私を見下ろせるのが良いとか、そういうことですか?」と聖は半目でアラタを見る。
その反応で、誤解を与えてしまった。と感じたアラタは
「いや、別に深い意味はないよ...」とアラタは言葉を濁す。
「なんですか?今はぐらかしましたよね?」
「はぐらかしてないよ!?」
聖の言葉にアラタは慌てるような表情を見せる。
「慌ててるのが怪しいです!絶対何かあります!」
聖に指摘されたアラタは、
「わかった、わかったよ。今言うのは恥ずかしいから、学校終わってからで良いよね?」
「...分かりました、絶対ですよ?」
聖は少し不満を感じながらも歩き出した。聖に続いてアラタも歩き始める。
学校に近づいてくると、一人の女性が歩いてきた。赤い長髪の女性だった。
制服を着ていることから同じ学校の生徒だと思われるが、アラタは見覚えがなかった。
あんな生徒いたかな?と思いながら、すれ違う瞬間、
「早く目覚めなさい、春日アラタ。そうでなれば____殺さなくてはならなくなります」
「!?」
アラタは振り返るが、そこに女性はいなかった。
「アラタさん...?」
アラタが急に振り返ったのを見た聖が声をかける。
「聖、今ここに。うちの制服を着た赤い長髪の女子生徒がいなかった?」
「?そんな人いませんよ?」
「そっか...。朝から疲れてるのかなぁ」
「大丈夫ですか?学校に着いたら、保健室に行きます?」
聖は心配そうにそう言ったが、アラタは心配をかけまいと、
「いや、大丈夫だよ。朝から保健室なんてサボりみたいだし。具合が悪くなったら、後で行くから」
「なら、いいですけど...。無理はしないでくださいね?」
「わかってるよ。無理そうだったら早退するから」
二人は玄関で別れて、自分のクラスへと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
授業中だけど、やっぱり気になるな。回りを見る限り、他の生徒や教師も普通に過ごしてるけど...。
どうも、太陽をおかしく思ってるのは俺だけみたいだな。黒い...太陽.....。
そんなはずはないか。黒で世界を照らせるわけがない。太陽は炎の塊だ。
...もしかして、キングストーンの暴走?いや、戦いが終わってからも、石の力を制御するトレーニングはしてきたから、暴走の心配は無いはず。なにせ、先生に教えてもらった通りにやってたし。
朝に出会った、あの女性が何か関係してるのか?
『早く目覚めなさい』
うちの制服を着てたし、捜してみるか?いや、捜してもどうにもならないし。
今日は朝から変なことが続くなぁ...。
◆◆◆◆◆◆◆
午前の授業が終わり、昼休みになった。クラスメイトが昼食を食べようとする中、アラタはずっと、黒い太陽と朝に出会った女性のことを考えていた。
「おーい、アラタぁー」
自分を呼ぶ声が聞こえたので、顔を向けると、男子生徒と聖が教室の入り口に立っていた。
「嫁さんがきてるぜ」
男子生徒の言葉に、聖は顔を赤くしながら、
「って、嫁じゃないですよ!?」と叫ぶ。
聖の反応が面白いのか、周りの生徒たちは
「何言ってんの?毎日健気にお弁当作ってくるし」
「毎日迎えにくればねぇ...?」
「どう、考えても嫁だろ!」
「ハハハ」とからかう声が響く。
「えっ!?そっ、そうじゃないんですっ!!アラタさん一緒に食べないと、食べないから.....」と聖は言うが、顔が真っ赤なので余計にからかわれてしまう。
その様子を見て笑っていたアラタだが、そ流石にこのままでは可哀想なので、止めにはいる。
「はいはい、どいてどいてー。頼むからうちの従姉妹をいじめないでよー」
「うう...。見てないで直ぐに助けてくださいよぉ...」
アラタは聖の言葉に苦笑しながら、
「ごめんごめん。皆悪気があるわけじゃないからさ。お詫びに今日の夕飯は、聖のリクエストに応じたものにするからさ」
「考えておきます...」
そんな聖の頭につい、手を乗せてしまうアラタ。
「ふえぇ!?ア、アラタさん!?」
「聖には本当に助けられてるんだよ。これは本当のことだからね」
「アラタさん...」
「さっ、屋上行こう」
「はっ、はい」
そう言って二人は屋上向かった。その後に教室では、生徒たちが
「アラタはまるで、動じねぇなー」
「聖ちゃんも大変ね...」
その瞬間、生徒たちは一瞬で消えていった。
屋上へ続く階段へ登りかけた時、アラタは急に立ち止まる。
「あいたっ」
急に立ち止まったことに、対応できなかった聖は額をアラタの背中にぶつける。
そして、額を抑えながら、
「どうしたんですか、アラタさん。急に立ち止まったりして」
アラタは屋上の扉に視線を向けていた。聖はその視線を追うように扉をみる。
そこには、赤い長髪にベレー帽をかぶった女性がアラタを見下ろしていた。
「アラタさん。知り合いですか?」
「いや、違うよ。そもそもあんな女子生徒がいることも知らない。転校生なら、先生から何か連絡があるはず」
「それも、そうですね」と言う彼女を尻目に、アラタは女性に失礼のないよう、敬語で声をかける。
「今朝見かけましたけど、初対面ですよね?知り合いだとしても、いきなり『殺す』なんていう知り合いは俺にいませんし」
「え...?殺...す.....? 」とアラタの言葉に聖は驚いて、女子生徒を見る。
アラタの言葉に女性は
「誤解です。このまま目覚めないのなら、殺さなければならなくなると言いました」
「大して、意味変わりませんよね?それに、目は覚ましてるつもりなんですけど...」
アラタの言葉に女性は冷たい視線を向けながら
「覚まさせてあげてもいいんですよ?」
二人の間に漂う空気に耐えきれなかったのか、聖が声をかける。
「あっ...。あのっ....、貴方は?」
「リリス。浅見リリスです」
女性はそう名乗った。
「浅見...リリス...さん」
自己紹介を済ませたリリスは、階段を降りてくる。すれ違う瞬間、アラタはリリスに問いかける。聖には聞こえないように。
「貴方は...ゴルゴムの生き残りか?」
「ゴルゴム?なんのことですか?そんなことより、こんな黒い太陽の世界、早く消してくださいね」
リリスはそう言って、階段を降りていった。冷たい雰囲気を漂わせながら。
ゴルゴムの人間じゃない?じゃあ何者なんだ?あの女性は?
アラタの疑惑は深まるばかりだった。
◆◆◆◆◆◆
昼食を終えたアラタは屋上にいた。
浅見リリス。あの女性《ヒト》だけが、太陽をおかしいと思っている。何かの異変に気付いている?口振りから察すると、黒い太陽の原因は俺だということになる。
アラタが考えてこんでいると、目の前に人影が現れた。
「おりょ?こんなトコにいたんですか?」
顔をあげると、そこには聖がいた。
「捜してたんですよ。まさか、お昼頃休みから、ずっとだったんじゃ...」
聖の言葉を聞き流し、アラタは聖に問いかける。
「ねぇ、聖。やっぱり、太陽も月もあんなに黒くなかったよね?俺の記憶だと、太陽をは眩しくて直視なんかできなかったし、月は白く光るものだった。_________少なくとも黒くはなかった!!」
その言葉で、聖の様子に変化があらわれる。
「.....何言ってるんですか?」
「...聖?」
「太陽も月も、ずっと昔から黒ですよ。アラタさんが生まれた時も、生まれる前も」
聖の言葉に驚きながら、
「それは.....。本気でいってるの?」とアラタは聞き返す。
「そうですよ。アラタさんは当たり前の日々をすごし、真っ黒な太陽を毎日見て起きて、黒い月を見て眠る_______そういう世界にいたし、そういう世界を望んだんです」
「俺が...望んだ.....?」
聖はアラタが耳元に口を寄せて、
「そうですよ。私がいて、クラスメイトがいて、貴方が当たり前に暮らし、当たり前に楽しんで生きていく世界...。だから____太陽や月が黒いくらい構いませんよね?」」
聖はそう言うと、アラタの左手を掴んで、自分の胸に当てる。その行動に驚いたアラタは
「ちょっ!?聖!?」と慌てるが、聖は恥ずかしがる様子がない。それ処から、頬を赤く染め、段々色気を出してくる。
「ほら....。こうして私とずっといれば__貴方のための聖がいくらでも望むことを...」
何を言ってるんだ?この子は本当に聖なのか?アラタの中で疑惑はどんどん深まっていく。
「さあ....アラタさん....」
『私のこと...忘れないでくださいね』
瞬間、涙を流す聖の姿が目に写った。
「.....」
アラタの様子がおかしいことに気付いた聖は声をかける。
「ん?どうしたんですか?」
「君は、本当に聖?」
アラタの言葉に一瞬、驚いた顔をした聖。焦るような様子で、
「え...?なっ...何言ってるんですかっ!?聖ですよ聖っ!!アラタさんの従姉妹で幼なじみの!!」
「俺の誕生日は?」
「6月18日です」
「好きな食べ物は?」
「唐揚げです」
いくつか質問をしていくアラタ。それに答えていく聖。
それでも、アラタは聖に疑惑の視線を向ける。
「なっ...なんですか、まだ信じられないんですか!?私がアラタさんに嘘をつくわけないじゃないですかっ!!」
聖は、慌てるように答える。
「じゃあ、太陽は何色だ?」
「そんなの黒に決まって...」
「嘘だ」
アラタはスマホを取り出して、それを聖に見せる。
スマホの画面には幼い頃のアラタとツキヒコ、そして聖が写っていた。3人とも絵を持っている。
「これは幼い時にツキヒコと一緒に絵を書いた時の様子の写真だけど、これを見て気付くことはないか?」
「っ!?それは....」
聖は驚いた表情を見せて、口をつぐむ。
「わかるよね?この絵に描かれいる太陽が赤いのが!」
「っ!!」
聖の表情を見て確信したアラタは、
「聖は俺に嘘なんかつかない。どんなことでもだっ」
聖を顔を俯かせて黙っている。アラタは更に問いかける。
「お前は誰だ!?ゴルゴムの生き残りか!?本物の聖は何処にいる!?」
「くくっ.....はっはっは!!こりゃ、やられたぜ!!」
「!?」
アラタは聖から妙な気配を感じとり、後ろに飛んで距離をとる。ゴルゴムの戦いの後も、体が鈍らないようにトレーニングをしていたことで、直ぐに動くことができた。
聖は不敵な笑みを浮かべながら
「そうかそうか。こりゃあ、とんだ盲点だったぜ。今流行りの誘い受け男子じゃなかったんだなお前!!」
「.....」
アラタは直ぐに対応できるよう、”聖を観察する。
「っ!!」
アラタは背後から気配を感じとり、右に転がって避ける。
すると、アラタのいた場所に弾丸のようなものが飛来し、そのまま聖の方へ向かう。
しかし、弾丸のようなものは、聖にあたる前に壁のようなものに阻まれる。
聖は、不敵な笑みを浮かべたまま叫ぶ
「ずいぶんなご挨拶だな魔導師!」
魔導師?
アラタは聖の視線の先をみる。そこには、
ライフルを両手にかかえ、先程とは異なる服装をした赤い長髪の女性がいた。
「ついに、正体を表しましたね!
そう叫んで、聖を睨み付けていた。
はい、お待たせして申し訳りません!
次で原作1巻の第1話の部分を終わり。と考えていいます。前書きの通りに、今年が終わるまでに投稿しようと思います!(残り2日しかないけど...)