プロゲーマーやってたら妹がアイドルになっていた件について。 作:河竹
渋谷 秋人。プロゲーマーとしての活動名は『アキト』。これが俺の名前だ。
4年前から配信を始め、基本的にFPSゲームの配信を主に活動している。ちなみにまだ顔出しはしない予定だ。
四人家族の長男ではあるが、実家である花屋を継ぐか継がないかで揉めたりすることもなく、お陰様ですんなりと自分のやりたいことをやらせてもらっている。
ちなみに俺の七つ下に妹がいる。割と顔立ちは似てるんだけどなんていうか性格は結構違う。
まあ、別に仲が悪いわけでもない。寧ろ良い方に入ると思う。偶に買い物とか行ってたしな。喧嘩など以ての外だ。
まあ、そんな家族とは2年前にプロになり、実況とかの兼ね合いから一人暮らしをしてからは殆ど会ってない。
妹にいたっては俺が何をしているのかすら知らないんじゃないか?殆ど連絡も取ってないし。
そして、俺は今日も日銭を稼ぐべく配信をしている。
「よっし、ならキリもいいし今日はこの辺で終わりにするか!」
そう言い、俺はゲームをタイトル画面へと戻した。
コメント欄ではおつかれの文字が流れ始める。
「おう、お疲れ!おっ!えっと、erikaさん、スパチャありがとうございます!次回も楽しみにしてますっと、ありがとう!」
他にも何件か、スパチャ、いわゆる投げ銭をしてくれる方々に感謝を述べつつ締める。
「じゃあ、本日もご視聴ありがとうございました。明日からね、俺大会に出発するから、当分の間配信できないけど。まあ、一応撮り溜めのやつとか1日に一個くらい出してくんで、よければそちらもご覧ください。以上、アキトでした!」
マイクのスイッチと配信機器をオフにし、ゲーミングチェアに深くもたれ掛かる。
「あー、疲れた。明日から大会かああああ!」
明日の大会は『ノン・ルール・サバイバル』、通称『NRS』を大会だ。バトルロワイヤル系の開祖と呼ばれるゲームであり、戦術は多種多様に及ぶ。一人で戦うソロモードや、二人のデュオ、四人のスクワッドモードが存在するこのゲーム。
世界から名だたるプロゲーマーが参加するこの大会に、俺はありがたいことにソロ部門に出場させていただくことになった。
そして気になるその賞金はなんと、10億円!
10億ですよ10億!
一生遊んで暮らすわこんなもん!!
「まあ、そんなに現実は甘いわけでもないけどね」
実際、このゲームは100人による対戦ゲームであり、当然出場者も100人。
実質1%である。
考えるだけでも頭が痛くなる確率に嫌気がやしてきた。
「はぁ、明日に備えて寝るか」
PCの電源をオフにし、昨日の晩にすでに揃えてある荷物をもう一度確認してからベッドに潜り込む。
「なんか話のネタになる面白いニュースでもないかな」
布団を被りながらスマホでニュースを見ていく。
「またあの政治家不倫してんのかよ。これで何人目よ?他もなんか似たようなもんだな」
たしかにゴシップニュースは世間の視線を集めるには持ってこいだけど、やっぱ配信でネタにするにはちょっとな。
どんどん下へとスクロールしていくと、アイドル系の記事が掲載されてある。
「ふーん、最近はなに、シンデレラガールズとかあんの?なんじゃそりゃ」
殆どゲーム関連の記事しか普段目にしない俺にとってアイドルなんてものは殆ど無知といっても過言ではない。偶に配信のコメントで見るくらいだ。
「色々いるんだな〜つか何人いんだよこれ......ん?」
ふと、スクロールする手が止まった。
第三回総選挙 No.1 渋谷凛
............は?
「............は?」
心と体が連動した瞬間だった。
いやいやいやいや
え?え?同姓同名?
目にも留まらぬ速さでその記事をタップする。
見ると紛れも無い、紛うことなき我が妹の頬を染めた写真が載っている。
「......え?んな馬鹿な」
もう一度その記事を再読み込みする。
が、結果は変わらず。
「......まじか」
「.............」
俺は混乱する頭を整理するように、呟きを拡散するアプリを開き、こう呟いた。
『俺の妹がアイドルになっていた件について』